鉄道唱歌 北海道編 南の巻第11番 長万部に到着!

まずは原文から!

鰯(いわし)鰈(かれい)に法貴貝(ほっきがい)
海産おほき長萬部(おしゃまんべ)
南部陣屋(なんぶじんや)の跡(あと)すぎて
はや後志(しりべし)の黒松内(くろまつない)

もう少し読みやすく!

鰯(いわし)鰈(かれい)に法貴貝(ほっきがい)
海産多き 長万部(おしゃまんべ)
南部陣屋(なんぶじんや)の跡すぎて
はや後志(しりべし)の黒松内(くろまつない)

さあ、歌ってみよう!

♪いーわしかれいに ほっきがい
♪かいさんおおき おしゃまんべ
♪なーんぶじんやの あとすぎて
♪はやしりべしの くろまつない

(函館本線)
函館駅→桔梗駅→七飯駅→新函館北斗駅→大沼公園駅→駒ヶ岳駅→森駅→八雲駅→国縫駅→長万部駅→黒松内駅→比羅夫駅→倶知安駅→然別駅→余市駅→蘭島駅→塩谷駅→小樽駅

※鉄道唱歌に関係ある主要駅のみ抜粋

八雲駅(やくもえき)、国縫駅(くんぬいえき)を過ぎてさらに北上すると、函館本線と室蘭本線との分岐点であり、この地域の交通の要所である長万部駅(おしゃまんべえき、北海道山越郡長万部町)に到着します。

長万部駅(北海道山越郡長万部町)

おしゃまんべ・・・あまりにもユニークで覚えやすいこの地名は、もはや全国的に有名でしょう。

北海道の多くの地名は通常の漢字の読み方ではない、いわゆる「難読地名なのですが、この長万部も例外ではなく、通常の漢字の読み方ではこういった読み方はしない、つまり難読地名ということになります。

北海道の地名の大半はアイヌ語由来であり、この長万部もアイヌ語由来です。

」・・・そこの、
シャマン、サマン」・・・横に流れる
ペッ」・・・川

つまり、町中を横に流れる川(長万部川?)のことを指して「オシャマンペッ」→「長万部」となったのではないかと推測されます(諸説あり)。

北海道では川に由来する地名がとても多いです。川はアイヌ語で「ペッ」といい、この「ペッ」が「(べつ)」に代わり、その結果として北海道には「別」がつく地名が多いと思います。例えば、「登別(のぼりべつ)」「幌別(ほろべつ)」「鷲別(わしべつ)」「愛別(あいべつ)」「士別(しべつ)」「江別(えべつ)」「厚別(あつべつ)」「姉別(あねべつ)」などといった地名ですね。

例えば、単に「幌別(ほろべつ)」というとアイヌ語で「大きな川」という意味になります。「(ホロ、ポロ)」は「大きな」という意味になります。」がつく地名も、北海道には多いですよね!例えば、「幌内(ほろない)」「幌延(ほろのべ)」「美幌(びほろ)」「小幌(こぼろ)」「野幌(のっぽろ)」「豊幌(とよほろ)」などです。

あの大都会・札幌(さっぽろ)も、実はアイヌ語なのです!

札幌市には、市内を豊平川(とよひらがわ)という大きな川が流れています。

それを見たアイヌの人が、これを「乾いた大きな川だ!」という印象を抱いたため、

乾いた→サッ→札
大きな→ポロ→幌
→ペッ→別

サッポロペッ」→「サッポロ」→「札幌」となったのではないかと推測されます。(「別」の文字は入っていませんね)

札幌って、よくよく考えたら難読地名ですよね。(^-^;
札幌は有名すぎる地名なので慣れ親しんでいますが、もしそうでなければ一発で読める人は少ないのではないでしょうか。

また、「別(ペッ)」の他に、「(ナイ)」も、アイヌ語では「川」という意味になります。
そのため、北海道には「内」がつく地名がとても多いです。例えば「木古内(きこない)」「岩内(いわない)」「歌志内(うたしない)」「稚内(わっかない)」「相内(あいのない)」などですね。

なぜ北海道にこれだけ「川」に由来する地名が多いのかというと、恐らくアイヌの人々にとって「川で魚釣りをすること」が非常に重要なことだったからではないかと思われます。

本州から遠く離れた北海道(蝦夷地)は、本州からの農耕技術はなかなか伝わりにくかったでしょう。というか、冷涼かつ寒冷な北海道では、本州で育つような温暖な環境を好む農作物は育ちませんし、本州で普及しているような農耕技術は通用しにくいわけですね。
したがって、アイヌの人々は長い歴史において、いかに魚が釣れやすい川を見つけ、そこで効率よく魚を捕ることが重要だったのでしょう。
川は魚釣りをするだけでなく、生活用水としても重要でしたから、それだけアイヌの人々によって「川」というものが重要だったわけです(川の存在は北海道だけでなく、本州でももちろん重要になります)。

北海道の地名は調べれば調べるほど興味深いものが多くて、個人的に研究対象として凄く好きです。

さて、話を長万部に戻します。

長万部から東室蘭方面の列車(現在の室蘭本線)は、鉄道唱歌の時期(1906年)にはまだ開業していませんでした。
長万部~室蘭の区間は長輪線(おさわせん)といい、1920年代に開業しましたが、後に室蘭本線に統合され、現在に至るようです。

なお、長輪の「長」は「長万部」の頭文字であり、一方「輪」というのは室蘭市に「輪西(わにし)」という地名があるため、その頭文字ということでしょう。

鉄道唱歌ができたのが1906年ですから、この長万部~室蘭の区間は鉄道唱歌には登場しないわけです。

長万部から室蘭本線を2駅ほどいくと、日本一の秘境駅として名高い「小幌駅(こぼろえき、北海道虻田郡豊浦町)」に至ります。

小幌駅(豊浦町)

小幌駅は2つのトンネルに囲まれた狭いスペースにあり、1日の本数が少なく、駅の外への道がほぼないため、列車以外でこの駅に到達することがほぼ困難であることで有名な駅ですね。
多くの鉄道ファンや鉄道系YouTuberがこの駅を目指してやってきます。

また、長万部には東京理科大学の北海道・長万部キャンパスがあり、1987年から2020年にかけて基礎工学部1年次の方々がここで学ばれていました。全寮制のため厳しいことで有名でしたが、2020年をもって基礎工学部の教育課程は終了となりました。
なお、1学年の学生さん達の年齢はおよそ18歳~19歳ですから、長万部でのこの辺りの年齢層が突出して高くもありました。そのため、2016年6月19日から施行された「18歳選挙権」にも大きな影響も出るとして注目されたようです。

冬の長万部の海(北海道山越郡長万部町)

函館駅を8時18分発の長万部行普通列車に乗ると、11時09分に長万部駅に到着します。その後、約2時間後の13時29分発倶知安行に乗り換えて、倶知安→小樽方面を目指します。

以下、2024年のダイヤで解説します。

08:18 函館発 函館本線・長万部行
11:09 長万部着
13:29 長万部発 函館本線・倶知安行
15:02 倶知安着
15:16 倶知安発 函館本線・小樽行
16:26 小樽着
18:30 小樽発 
  快速エアポート166号・新千歳空港行
19:07 札幌着

長万部駅での待ち時間約2時間をどう過ごすかがカギになります。

長万部駅の観光案内所「インフォまんべ」ではお土産品や簡単なお菓子類を買うことができます。駅玄関口には自販機もあるため、飲み物も買うことができます。駅から500mほど離れた場所にセブンイレブンもあるのですが、真冬は極寒かつ険しい雪道となるので、駅から徒歩だと意外と距離があります。真冬の雪道に慣れている方や、夏の気候のいい時期はセブンイレブンも併せて利用するのもよいでしょう。駅から約150mの位置にはツルハドラッグもあるので、こちらも買い物に利用も検討してみましょう。

ここでの買い物は非常に重要となります。なぜなら、長万部駅から先の道中は、夕方の小樽駅到着までほぼ買い物のチャンスはないと思ってよいからです(倶知安駅では14分ほど乗り換え時間あり)。したがって、ここでしっかり飲食物系を確保しておきたいところです(それよりも、朝の函館駅出発前にコンビニ等で買い物を済ませるのがベストでしょうか。昼食分も購入しておくという意味で)。
駅玄関口から少し右に行くとトイレもあるので、トイレもしっかり済ませておきたいところです(ただ、JR北海道の普通列車には大抵トイレがついていたと思います)。

真冬の時期は駅玄関口付近の待合室は暖房がよく効いててとにかく暖かいので、真冬の2時間待ちも寒さを感じずに過ごせます。
たまに玄関の外に出て、雪景色を楽しみましょう。

夏の時期は長万部の気候は非常にいいため、海岸沿いにまで気分転換に散歩に行くのもアリです。噴火湾の大海原を楽しみながら、写真撮影などを楽しみましょう。

夏の長万部の海

13時10分頃には、そろそろ列車に乗る準備をしましょう。置いていかれると、2時間待ちの努力が台無しです。

13時29分発・倶知安行きに乗ると、いよいよ険しいけれども美しい山岳地帯に入っていきます。

長くなったので、歌詞後半の「南部陣屋」「黒松内駅」の解説は、次の記事にて行います!

次は、黒松内駅に止まります!

注意
この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
もし内容の誤りに気付かれた方は、「お前は全然知識ないだろ!勉強不足だ!」みたいなマウントを取るような書き方ではなく、「~の部分が誤っているので、正しくは~ですよ」と優しい口調で誤りをコメント欄などでご指摘頂ければ嬉しく思います。再度こちらでも勉強し直し、また調べ直し、内容を修正致します。何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

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