まずは原文から!
裾野(すその)は俱知安(くっちゃん)の大原野
オンコ椴松(とどまつ)楢(なら)桂(かつら)
林は天を打ち掩(おお)ひ
面積ほとんど三十里
さらに読みやすく!
裾野(すその)は俱知安(くっちゃん)の大原野
オンコ、椴松(とどまつ)、楢(なら)、桂(かつら)
林は天を打ち覆い
面積ほとんど三十里
さあ、歌ってみよう!
♪すそのはくっちゃんの だいげんやー
♪オーンコとどまつ ならかつらー
♪はやしはてーんを うちおおいー
♪めんせきほとんど さんじゅうりー
(函館本線)
函館駅→桔梗駅→七飯駅→新函館北斗駅→大沼公園駅→駒ヶ岳駅→森駅→八雲駅→国縫駅→長万部駅→黒松内駅→比羅夫駅→倶知安駅→然別駅→余市駅→蘭島駅→塩谷駅→小樽駅
※鉄道唱歌に関係ある主要駅のみ抜粋
比羅夫駅(ひらふえき、北海道虻田郡倶知安町)を出て、蝦夷富士(えぞふじ)・羊蹄山(ようていざん)を右にしつつ進むと、窓の景色は徐々に町らしい様相を呈してきます。やがて倶知安駅(くっちゃんえき、北海道虻田郡倶知安町)に到着します。
倶知安町(くっちゃんちょう、北海道虻田郡)は、長万部と小樽のちょうど真ん中あたりにある町で、後志総合振興局(しりべしそうごうしんこうきょく)の振興局所在地です。
つまり、蘭越町(らんこしちょう)やニセコ町などで形成される、後志地方の中心地的な町ということもできるでしょう。
なお、小樽市も後志総合振興局のエリア内ではあるのですが、後志総合振興局は振興局所在地が「市」ではなく「町」(倶知安町)であることでも知られています。
倶知安町は、羊蹄山(ようていざん)と並んでこの地域の大きな山であるニセコアンヌプリへ向かう人や、スキーへ行く人達の拠点ともなっているようです。私はスキーに詳しくないのでわかりませんが、スキーを行う人々は倶知安町内のホテル等に宿泊し、そこからニセコのスキー場に向かう・・・といったスキー旅行スタイルで合ってますかね。
スキーを何日もやる人は、倶知安町が衣食や宿泊の拠点になるわけですね。
ニセコアンヌプリ(標高1,308m)は、倶知安町の西にある山であり、名称の由来はアイヌ語です。
ニセコアンヌプリの裾野(すその。「ふもと」の意味)では、スキー場で賑わい、多くのスキーヤーが訪れるそうです。
「ニセコ」とは、アイヌ語で「崖(がけ)に」「峡谷に」などのことをいうようです。
つまり、川で浸食された深く入り組んだ崖(峡谷)、という意味になるでしょうか。
ニセコアンヌプリの西に流れる「ニセコアンベツ川」は、深く入り組んだ峡谷に流れる川、といった意味合いの言葉であるようです。
簡単にいえば、以下のように単語に区切れば、アイヌ語の日本語訳がわかりやすいでしょう。
「ニセコ」→崖に、峡谷に
「アン」→ある、そこに存在する
「ヌプリ」→山
「ベツ」→川
つまり、
ニセコ(峡谷に)アン(ある)ヌプリ(山)
→峡谷にある山
ニセコ(峡谷に)アン(ある)ベツ(川)
→峡谷にある川
このように語句ごとに分解すれば、それぞれの名前の由来がわかりやすいでしょう。
なぜ「ニセコ」はカタカナなのかというと、漢字などを当てようにも、当て字が定着しなかったなど理由は様々あるようです。
倶知安町西には「ニセコアンヌプリ」、東には「羊蹄山(ようていざん)」が存在し、この辺りは自然豊かな場所といえるでしょう。
では、鉄道唱歌の歌詞の解説をします。
「裾野(すその)」とは、山の麓(ふもと)にある広がった平野のことをいいます。
例えば、静岡県の富士山の東側の麓に「裾野市(すそのし)」という街がありますが、恐らく富士山のふもとの街、という意味合いがあるのでしょう(裾野市の由来は、裾野駅からだそうです。駅名から自治体名が決まった一つの例となります)。
歌詞の1行目は、「羊蹄山の麓に広がるのは、倶知安の大原野だ」という意味合いになるでしょう。
歌詞の2行目。
「オンコ」「椴松(とどまつ)」「楢(なら)」「桂(かつら)」はすべて、植物の名前になります。
「オンコ」は北海道の方言だそうで、イチイという赤くて綺麗な花を咲かせる植物のことです。
「椴松(とどまつ)」は、北海道に広く分布するマツ科の一種です。
「楢(なら)」は、建築材や木材として使われる植物で、北海道産のそれは特に有名だそうです。
「桂(かつら)」は全国的に広く分布している植物(広葉樹)」で、こちらも建築材や木材として広く使われるようで、北海道産のそれもやはり有名だとか。
これだけ歌詞の中にテンポよく北海道ならではの植物の名称を入れるのですから、1906年にこの曲を作詞した大和田建樹(おおわだ たけき)さんの作詞センスと知識には素晴らしさを感じます。
歌詞全体を意訳すると、以下のようになるでしょうか。
「羊蹄山の麓の裾野には、倶知安の大原野が広がる。
それは、オンコ、椴松、楢、桂など北海道ならではの美しい植物で様々だ。
林はあまりにも深く、まるで空は覆われてしまう。
その面積は約100平方km(※)にも達するだろう。」
※1里は約3~4kmくらいだと理解しているので、あえて30里を約100kmとさせていただきました。
さらに、面積100kmということはありえないので(これだと札幌方面や函館方面まで達してしまいます)、10km×10km=平方100km、という理解としました。羊蹄山のふもと一帯がだいたい半径10km以内に収まっているので、この計算方法で合ってると思います。
確かに、電車で函館本線のこの付近を走っていると、まるでクリスマスツリーのように細くて華奢でスリムな木や林、森が多いような印象を受けます。
まるで北欧の針葉樹林のようです。
本州の植物はもっと横に太くてそこまで真っ直ぐじゃない木も多い気がするのですが、北海道のこの地域は豪雪地帯なので、木が横に太くて葉っぱも大きいと、雪が木の上に積もりまくって重さに耐えられなくなるので、北海道の植物はあまり積雪の影響を受けないように、華奢で真っ直ぐでスリムな木や林が多いのでしょうね(他にも理由はあるかもしれませんが)。
次は、倶知安を出て小樽方面へ函館本線を進みます!
注意
この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
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