鉄道唱歌 北海道編 北の巻第8番 江別市は石狩川と千歳川近くの街

まずは原文から!

石狩川(いしかりがわ)に打ち注ぐ
千歳(ちとせ)の川の落口(おちぐち)に 
おかれて賑(にぎわ)ふ江別町(えべつまち) 
石狩(いしかり)行の汽船あり

さらに読みやすく!

石狩川(いしかりがわ)に打ち注ぐ
千歳(ちとせ)の川の落口(おちぐち)に 
おかれて賑(にぎわ)う江別町(えべつまち) 
石狩(いしかり)行の汽船あり

さあ、歌ってみよう!

♪いしかりがーわに うちそそぐー
♪ちとせのかわのー おちぐちにー
♪おかれてにぎわう えべつまちー
♪いしかりゆきのー きせんありー

(函館本線)
小樽駅→(熊碓トンネル)→銭函駅→手稲駅→琴似駅→札幌駅→厚別駅→野幌駅→江別駅→幌向駅→岩見沢駅→峰延駅→美唄駅→奈井江駅→砂川駅→(神居古潭)→旭川駅

※鉄道唱歌に関係ある主要駅のみ表示

北海道江別市(えべつし)は札幌から約15kmほど東にある街で、普通列車だと札幌駅から概ね30分以内に着ける距離にある街です。札幌市のベッドタウンとしての機能も大きいでしょう。

札幌駅から普通列車で旭川方面に向かう場合、終点が江別駅または岩見沢駅になっている場合が多いため、江別駅は岩見沢駅と並んで乗り換えのための重要駅となります。ぜひ、乗り換えの際には時間に余裕があれば駅の外に降りてみましょう。

江別駅(江別市)

江別市は鉄道唱歌の歌詞にあるように、石狩川(いしかりがわ)と千歳川(ちとせがわ)の間に位置しています。

千歳川は、千歳市(ちとせし)の西約20km先にある支笏湖(しこつこ)を源流とし、千歳市を経由して、江別市で石狩川と合流し、石狩湾に注ぐ川です。

石狩川(いしかりがわ)は、石狩平野を流れるとてつもなく長く大きな川です(もちろん、余裕で一級河川)。
石狩川は北海道の本当に真ん中辺りから流れ出て、旭川あたりから西へ西へと流れ、函館本線とほぼ並行して滝川・岩見沢・江別と経由し、江別市で北西に向きを変え、札幌の北にある石狩湾に注ぎます。

石狩川の流域面積は、関東地方の利根川とねがわに次いで国内2位。石狩平野が国内3位の平野ですから、それだけ大きく産業や農業、交通の発展に重要な川や平野であることがわかります。

流域面積(りゅういきめんせき)とは、「降った雨が川に注ぐ地域の面積の合計」です。
これだと非常にわかりにくいですが、降った雨の水というのは、やがて地下を経由して、川や海に流れ出ることになっています。

例えば、群馬県はその全域が利根川の流域面積に含まれます。
逆にいえば、群馬県内に降った雨は、全て地下などを経由して、利根川に注ぐわけです。

つまり、石狩川の流域面積に含まれる地域に降った雨は、みな石狩川に流れ注ぐということです。その流域面積が、利根川に続いて国内2位ということです。そしてその流域面積に含まれる街は、江別市はもちろん札幌市、千歳市、岩見沢市、旭川市など北海道の主要都市をかなり含んでいますから、凄いですよね。

なお、日本一長い川は信濃川、日本一流域面積が大きい川は利根川。この辺りは、豆知識として覚えておきましょう。

川は古くから、多くの役割を担ってきました。

・昔はトラックや鉄道などがなかったため、大量の人々や荷物を運ぶために、船を通した(これを「水運」といいます)。
飲み水や、洗濯、お風呂などの生活用水を取るために使われた(これを「上水(じょうすい)といいます。対義語は、汚物などを流す「下水」。人工的なもので有名な上水は江戸・東京の神田上水や玉川上水など)。
・農地(田んぼや畑など)に、水を引っ張って作物を育てるのに用いられた(これを「灌漑(かんがい)といいます」)。

このように、川の水を有効活用することを「利水(りすい)」といいます。

逆に、川は歴史的に人々の生活を脅かす存在でもありました。

台風や大雨などで川が増水し、氾濫して周囲の民家を巻き込む。(1)
橋が流されてしまう。(2)
橋が沈んでしまう。(3)
川の流れが激しく向こう岸も遠いため、橋が発展していない時代は、向こう側に思うように渡れない。(4)

そのため、川は高い堤防を築いたり、ダムなどで大雨のときにある程度の水を溜められるようにして、川がバーッと流れるのを防ぐ必要があります。

このように、川が氾濫したときのために様々な対策することを、「治水(ちすい)」といいます。

IT系に詳しい人ならわかるかもしれませんが、「バッファ」って言葉がありますよね。あれは大量のデータが溢れないよう、一時的にどこかの領域に「あそび」を設けておくことで、データが溢れないよう防いでいるのです。

川も同じで、ダムやため池のような広く水を溜めるような場所を確保して、大雨のときに川が溢れないようにした場所を「遊水池(ゆうすいち)」といいます。
バッファと同じで、「あそび」の領域を設けるわけですね。
このような遊水池の代表例として、栃木県・群馬県・埼玉県・茨城県と実に4つの県境の間にまたがる「渡良瀬遊水地(わたらせゆうすいち)」があります。また、渡良瀬遊水地は、遊水池としての機能はもちろん、明治時代に発生した足尾銅山鉱毒事件の対策(銅山から出た鉱毒を沈めて公害が発生しないようにする)として作られたものでもあります。

(2)の対策の例として、川が流されないように独特のそろばんの玉のような形となったものが、山口県岩国市の「錦帯橋(きんたいきょう)」です。

(3)の対策の例として、いくら橋を頑強にしても流されるので、どうせなら橋をわざと沈めさせてショックを吸収させコストも下げよう、というのが高知県四万十川流域の「沈下橋(ちんかばし)」です。もちろん安全のため、大雨のときは沈下橋は通行不能になります。

(4)の代表例としては、静岡県島田市の大井川(おおいがわ)です。昔は「箱根八里は馬でも越すが 越すに越されぬ大井川」と言われ、昔は人を肩に乗せて渡るか、危険を冒して自力で(泳いで)渡る必要がありました。逆にいえば、渡りにくいということは敵から攻められにくくもなるため、昔は川は軍事上の防衛の要でもあったわけです。

上記は、鉄道旅行の豆知識として、覚えておくと旅が少し楽しくなるかもしれません。錦帯橋大井川鉄道唱歌にも登場します(それぞれ山陽・九州編23番、東海道編23番)。

話がだいぶ長くなってしまい申し訳ないのですが、石狩川も上記のような「利水」「治水」が歴史的に重点的に行われてきました。
石狩平野は日本トップクラスの広さですから、この広大な平地を生かすために田や畑に水を供給したり、人々の飲み水や生活用水として使用されてきたことでしょう。

歌詞にもあるように、川を利用して船を通し大量の物資を運ぶため、また人を乗せるために石狩市方面への船も出ていたことと思います。

さらに、石狩川は物凄く大きな川ですから、ひとたび大雨に見舞われたときは洪水や氾濫などの被害も大きかったことでしょう。川が大きいということはそれだか大雨で溜まる水の量も多いわけで、それが限界に達して溢れてくるわけですから、襲ってくる水の量が半端なさそうです。そのため、様々な方法で治水が行われてきたと思います。
したがって、現代では全国どこの自治体も人々の安全のため、河川の氾濫対策には膨大なコストをかけていることでしょう。今後はAIやビッグデータなどの活用で、治水の技術はより進化していくかもしれません。

次は、岩見沢(いわみざわ)に止まります!

注意
この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
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