鉄道唱歌 奥州・磐城編 第31番 松島を出発し、小牛田方面へ

まずは原文から!

汽車に乘(の)りても松島(まつしま)の
話(はなし)かしまし鹿島臺(かしまだい)
小牛田(こごた)は神の宮(みや)ちかく
新田(にった)は沼(ぬま)のけしきよし

さらに読みやすく!

汽車に乗りても松島(まつしま)の
話(はなし)かしまし鹿島台(かしまだい)
小牛田(こごた)は神の宮(みや)ちかく
新田(にった)は沼(ぬま)のけしきよし

さあ、歌ってみよう!

♪きしゃにのりても まつしまのー
♪はーなしかしまし かしまだいー
♪こごたはかーみの みやちかくー
♪にったはぬまのー けしきよしー

(東北本線)
福島駅→伊達駅(旧・長岡駅)→越河駅→白石駅→岩沼駅→仙台駅→岩切駅→国府多賀城駅→塩釜駅→松島駅→鹿島台駅→小牛田駅→新田駅→石越駅→花泉駅→一ノ関駅→平泉駅→盛岡駅

※鉄道唱歌に関係ある主要駅のみ抜粋

松島観光を終えると、再び東北本線に乗って小牛田(こごた)方面へ向かいます。しかし、東北本線の松島駅は松島の観光中心地から約1kmほど離れているため、なんとか様々な方法で東北本線に乗る必要があります。

仙石線「松島海岸駅」から東北本線に飛び移って小牛田方面へ向かうには、以下の方法があります。
(いずれも「青春18きっぷ」や「北海道&東日本パス」を持っているという前提で解説します)

(1)少し東の高城町駅まで行き、仙石東北ラインに乗り換えて塩釜駅まで戻り、塩釜駅から東北本線に乗り換えて小牛田方面へ向かう。

(2)仙石線で仙台駅まで戻り、東北本線に乗り替えて小牛田方面へ向かう。

(3)仙石線で石巻駅まで行き、石巻線で小牛田方面へ向かう。

(4)お金に余裕がある方は、松島海岸からタクシーで東北本線・松島駅まで行き、松島駅から小牛田方面へ向かう。

(5)脚力に自信のある方は、徒歩15分~20分ほどで東北本線・松島駅までゆき、松島駅から小牛田方面へ向かう。

まず、(1)の方法は最も早い方法ですが、乗り換えが2回ある点を考慮する必要があります。
また、滅多に機会はないと思いますが、もし100km以上の普通乗車券(大都市近郊区間以外)所持の場合に、塩釜駅で途中下車できないため注意しましょう。(松島駅~塩釜駅で区間外乗車の特例で運賃計算に含めないため。このあたりの説明は理論が難しいので省略します。今は理解できなくて構いません)

(2)の方法は、時間はかかりますが一番シンプルな方法です。JRとしてもこの方法を推奨したいところでしょう。仙台駅に戻ってきた序で(ついで)に、休憩や、食事、買い物などを済ませるのもアリです。

(3)も時間がかかる上に、そもそも鉄道唱歌のルートから外れてしまいますが、こちらも比較的シンプルな経路で小牛田駅に着きます。石巻市(いしのまきし)は仮面ライダーの聖地でもあるので、ファンの方は途中下車してみましょう。

(4)はお金に余裕のある方、(5)は脚力に自信ある方のみ推奨です。歩くと長いので、車には充分注意して行ってください。

ここで、ちょっと難しい話を。
(以下、理解できなくても大丈夫です!)

仙台から松島までのこの区間は、「東北本線」「仙石線(せんせきせん)」「仙石東北ライン」という3つの路線が混じる、複雑な路線になっています。
仙石線(せんせきせん)は文字通り仙台市石巻市(いしのまきし)を結ぶ路線ですが、仙台~松島間で駅数が多く所要時間がかかるため、駅数が少なく早い東北本線との間で不公平が生まれていました。
仙石線は1920年代に民間の会社によって作られた路線であり、東北本線は戦時中の1940年代に勾配のきつい山側のルートから、松島を経由する海側のルートに変更された経緯のある路線です。
そのため、東北本線と仙石線が並行する形となり、また両線が接近する区間があります。そして塩釜駅と高城町駅の間に、その地点があります。
だったら、ここを繋げてしまえばいいんじゃない?」「途中までは駅数の少ない東北本線で移動して、途中から仙石線に飛び移ればいいんじゃない?」という、現在の仙石東北ラインの発想は昔からあったのですが、長い間それはできませんでした。
なぜなら、東北本線は「交流」、仙石線は「直流」という電気の仕組みが違うため、交流仕様の列車がそのまま直流の区間に突入することはできないのです。つまり、東北本線から仙石線への飛び移りは技術的に不可能だったわけです。
しかし、東日本大震災の後の2010年代に入って、「ハイブリッド気動車」という新型車両が導入され、直流と交流関係なく運転することが可能になりました。つまり、技術的に東北本線から仙石線への乗り入れが可能になったわけです。
そして、塩釜駅~高城町の間に東北本線と仙石線をつなぐ線路が作られ、仙石東北ラインができたのでした。2015年のことです。

仙石線は、2011年の東日本大震災の際には津波で線路は流され、列車も脱線するなど甚大な被害を受けました。しかし、人々の努力によって、見事に復旧を果たしています。

東北本線・松島駅を過ぎると、愛宕駅(あたごえき、宮城県宮城郡松島町)、品井沼駅(しないぬまえき、宮城県宮城郡松島町)を過ぎて、鹿島台駅(かしまだいえき、宮城県大崎市鹿島台)に至ります。

なお、愛宕駅(あたごえき)は、東北本線の旧線(山側のルート)が廃止になったときに、地元の方々に配慮してできた駅です。
かつては、東北本線は利府駅(りふえき)から斜め45度に品井沼駅まで直線的に延びていましたが(山側のルート)、勾配がきついため戦時中に塩釜や松島を通る海側のルートに変更され、かつてのルートは岩切駅から利府駅の区間のみを残して「利府線(りふせん)」になったことは、前々回説明しました。

歌詞には「汽車に乗りても松島の 話かしまし鹿島台」とあります。

これは、「汽車に乗っても、まだ松島の海めぐりや観光の話が絶えない」という意味になります。
かしまし」とは、本来は「やかましい」「うるさい」という意味ですが、ここではそのようなネガティブなイメージではなく、あくまで「松島を出て鹿島台駅まできても、まだ松島の話題が絶えない」という意味になります。

この地域のこのシチュエーションで「かしまし」と「鹿島台(かしまだい)」というフレーズをうまく掛け合わせる作者の大和田建樹さんは天才だと思います

鹿島台駅を過ぎると、陸羽東線(りくうとうせん)と石巻線(いしのまきせん)の交差地点である小牛田駅(こごたえき、宮城県遠田郡美里町)に到着します。

小牛田駅(美里町)

小牛田駅(こごたえき)は美里町(みさとちょう)という町にある駅であり、また小牛田駅は歌詞にある通り、神社に近い駅です。では、その神社とは何かというと、「山神社(やまのかみしゃ)」という神社です。

山神社(やまのかみしゃ)は小牛田駅の北西数百メートルの位置に所在する神社であり、富士山のふもとの浅間神社(せんげんじんじゃ)で祀(まつ)られているコノハナサクヤヒメという女性の神様を祀る神社です。
コノハナサクヤヒメは日本神話きっての美人として知られ、ニニギノミコトという神様の子供を一夜にして妊娠したり、また炎の中で出産するなど、妊娠能力・出産能力の高い神様として知られます
そのため、コノハナサクヤヒメを祀る山神社は、安産祈願や子宝・子授かりにご利益があるとされています。

なお、「安産祈願」「子宝祈願」にご利益のある神社仏閣で、鉄道唱歌に関係あるところでは、福岡県久留米市(くるめし)の水天宮(すいてんぐう)、奈良県の帯解寺(おびとけでら)などがあります。また、岐阜県多治見市(たじみし)の虎渓山(こけいざん)にある永保寺(えいほうじ)の本尊も、「孕み観音(はらみかんのん)」として知られます。いずれも、安産祈願や、子宝祈願にご利益のあるパワースポットです。
併せて覚えておきましょう。
(それぞれ山陽・九州編第49番、関西・参宮・南海編第31番、中央線鉄道唱歌第64番。)

小牛田駅は、陸羽東線(りくうとうせん)との分岐駅でもあります。
陸羽東線(りくうとうせん)は小牛田駅から西へまっすく延びていき、山形県の新庄駅(しんじょうえき、山形県新庄市)へ至る路線です。
途中、東北新幹線との交差地点である古川駅(ふるかわえき、宮城県大崎市)や、鳴子温泉駅(なるこおんせんえき、宮城県大崎市)を経由します。
山形県に入ると、南新庄駅で奥羽本線と合流して、新庄駅に至ります。

仙台方面から東北本線を北上する場合、大抵は小牛田駅止まりとなっているため、小牛田駅で乗り換えて一ノ関(いちのせき)方面へ向かうのが一般的です。

小牛田駅を出発すると、大きな沼の近くである新田駅(にったえき、宮城県登米市)に到着します。

新田駅(登米市)

新田駅近くの大きな沼は「伊豆沼(いずぬま)」と呼ばれ、ラムサール条約の締結地点になっています。

伊豆沼(宮城県登米市)

ラムサール条約とは、簡単に言うと「食物連鎖を崩さないために湿地を保護する努力を各国でしましょうね」という条約です。

ラムサール条約に指定されている湿原(沼や湖)などは、渡り鳥の中継点、つまり休憩場所や食べ物を採るための場所になるのが一般的です。

渡り鳥は、南の国からやってきて、夏を涼しい日本(北海道など)で過ごした後、冬は暖かい南の国へ戻ります。そのため、沼や湖が自然破壊されると、渡り鳥は休憩場所の確保やエサの確保ができないため、南の国へ戻ることができません。これでは南の国が困るため、沼や湖の環境を保つために日本側が努力をする必要があります。そのための条約がラムサール条約というわけです。

新田駅を過ぎると、いよいよ岩手県の県境に近くなります。
新幹線の駅では「くりこま高原駅(宮城県栗原市)」と同じくらいの緯度まで北上してきています。
次はいよいよ、岩手県の県境です!

注意
この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
もし内容の誤りに気付かれた方は、「お前は全然知識ないだろ!勉強不足だ!」みたいなマウントを取るような書き方ではなく、「~の部分が誤っているので、正しくは~ですよ」と優しい口調で誤りをコメント欄などでご指摘頂ければ嬉しく思います。再度こちらでも勉強し直し、また調べ直し、内容を修正致します。何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

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