鉄道唱歌 東海道編の歌詞(馬入川・相模川、大磯)の観光・歴史について、鉄道に詳しくない方にもわかりやすく解説してゆきます!
まずは原文から!
わたる相模の馬入川
海水浴に名を得たる
大磯みえて波すゞし
さらに読みやすく!
わたる相模の 馬入川
海水浴に 名を得たる
大磯みえて 波すずし
さあ、歌ってみよう!
♪わーたるさがみの ばにゅうがわ
♪かいすいよーくに なをえたるー
♪おおいそみえてー なみすずしー
新橋駅→高輪ゲートウェイ駅→品川駅→大森駅→川崎駅→鶴見駅→東神奈川駅→横浜駅→大船駅→藤沢駅→大磯駅→国府津駅(→小田原駅・熱海駅)
※鉄道唱歌に関係ある主要駅のみ抜粋
※鉄道唱歌の当時の「神奈川駅」と、現在の「東神奈川駅」は別の駅
※小田原駅・熱海駅は鉄道唱歌の当時のルートには含まれない
横須賀から大船に戻り、再び東海道線をゆく
藤沢・平塚の湘南地域へ
横須賀観光を終えると、横須賀線を再び大船駅に戻り、
- 藤沢(ふじさわ)
- 辻堂(つじどう)
- 茅ケ崎(ちがさき)
- 平塚(ひらつか)
- 大磯(おおいそ)
方面へ向かいます。
この地域はいわゆる「湘南地域」と呼ばれ、相模湾(さがみわん)に接する海の綺麗なかつての江戸時代の東海道の区間になります。
箱根駅伝では「3区」の区間
箱根駅伝では、冬の海風がランナー(3区)に容赦なく吹きつけるという、まさしく難所区間になります。
歌詞「支線」とは?
歌詞にある「支線」とは、これまで何度も説明してきたように、現在の「横須賀線」のことです。
鉄道唱歌のできた当時(西暦1900年)は、横須賀線はあくまで東海道線の「支線」という扱いであったようです(1909年に「横須賀線」に変更)。
「馬入川」とも呼ばれる、相模川を渡る
「馬入川」とは、茅ヶ崎駅(神奈川県茅ヶ崎市)を過ぎてから渡る相模川のことになります。
源頼朝が、馬から落ちて亡くなった川
源頼朝は1199年に、なんと馬から落ちて亡くなったと言われています。
その場所が相模川というわけです。頼朝が馬から落ちた川ということで「馬入川」というわけですね。
ただし、懐疑的な意見も
しかし、この「馬から落ちた」というエピソードには懐疑的な意見もあります。
本当はどこかの無名な兵士に矢を打たれて死んだのでは、という説です。
はどこの人間かすらもわからない無名な兵士に討たれることは不名誉なことであり、それならいっそ自害したほうが潔い、と考えられていました。
よって、この「馬から落ちたエピソード」は、実際には矢で討たれて死んだことを隠蔽するための「創作」だった、という説もあります。
あなたは、どの説を信じるでしょうか。

相模川(馬入川)(神奈川県)
相模川は、山梨県では「桂川」と呼ばれる
なお、馬入川こと相模川は、上流の山梨県では「桂川」という名称になります。
桂川は、山梨県大月市から東へ流れ、神奈川県に入って「相模川」という名称に変わり、相模湖で徐々に進路を南へ変え、やがて相模線の鉄道路線に沿うような形で南下して相模湾に注ぎます。
桂川は、中央線鉄道唱歌 第13番でも歌われていますね。○詳しくは、以下の記事でも解説していますので、ご覧ください。

桂川にかかる「猿橋」
また、山梨県大月市には、猿橋という、まるで虹のような(猿が手を繋いで橋をかけたような)橋があります。
猿橋は、
- 山口県岩国市の、「錦帯橋」
- 長野県木曽郡上松町の、「木曾のかけはし」
とともに、日本三大奇橋とされています。
(※ただし最後の1つは、富山県黒部市の「愛本橋」ともいわれます)
湘南最大のショッピングモール「テラスモール湘南」がある辻堂駅
辻堂駅(つじどうえき、神奈川県藤沢市辻堂)には、湘南最大級のショッピングモールである「テラスモール湘南」があります。
テラスモール湘南では、食店などが充実していますので、「青春18きっぷ」や「北海道&東日本パス」の旅で疲れたときは、辻堂駅で途中下車して寄っていくとよいでしょう。
「辻」とは、昔の「交差点」という意味
ちなみに辻堂の「辻」とは、昔でいう交差点のことをいいます。
その交差点にあった有名なお寺(=お堂)にちなんで、辻堂という地名の由来になりました。
分かれ道は「追分」という
また、昔でいう「分かれ道」は、追分(おいわけ)といいます。
相模線との分岐駅・茅ヶ崎駅 相模国一宮・寒川神社へもここから
茅ヶ崎駅(ちがさきえき、神奈川県茅ヶ崎市)は、相模線との分かれ道となります。
相模線は、相模国一宮である寒川神社が沿線に存在します。
また
- 厚木駅(あつぎえき、神奈川県海老名市※)
- 海老名駅(えびなえき、神奈川県海老名市)
を経由して、将来のリニア停車予定である橋本駅(はしもとえき、神奈川県橋本市)に至ります。
※厚木駅は、海老名市の駅になります。
厚木市の主な駅は、小田急線の「本厚木駅」あたりになります。
サザンオールスターズで有名な、神奈川県茅ヶ崎市
神奈川県茅ヶ崎市はサザンオールスターズの桑田佳祐さんの出身地になります。
そのため、茅ヶ崎駅の東海道線の発車メロディーにはサザンオールスターズが1990年に発表した「希望の轍」という曲が使われています。
当初はなかなか採用してもらえなかったそうですが、地元住民の皆さんの懸命な誘致活動により、2014年に晴れて採用されたようです。
「サザンオールスターズ」は、1978年にデビューしたロックバンドです。
代表曲として、「希望の轍」の他に「勝手にシンドバッド」「いとしのエリー」「エロティカ・セブン」「愛の言霊(ことだま)」「TSUNAMI」などの大ヒット曲で知られます。
かつて東海道の宿場町「平塚宿」のあった、平塚市
「七夕祭り」で有名
神奈川県平塚市(ひらつかし)は、「関東三大夏祭り」の七夕祭りで有名で、平塚駅の発車メロディーにも「たなばたさま」が使われています。
同じく七夕祭りで有名な中央線阿佐ヶ谷駅(あさがやえき、東京都杉並区)の発車メロディーにも「たなばたさま」は使われています。
また、阿佐ヶ谷はジャズの街でもあるということで、ジャズバージョンとなっています。
箱根駅伝では、3区から4区への中継所
また、平塚はお正月の箱根駅伝では、第3区から第4区へつなぐ中継所になっています。
4区では、平塚から小田原までの、約20kmを走り抜けます。
東海道五十三次の宿場町・平塚宿
そして、東海道五十三次の宿場町である「平塚宿」がありました。平塚駅には、平塚宿の大きな浮世絵が飾られています。
なお、スーツさんが2020年に行われた「自転車で行く東海道の旅」で言及されていた件で興味深かったのが、
そうです。
その誘い文句というのが、
あの山は追い剥ぎが出るから危険です。
今日はまだお部屋も空いていますから、悪いこと言わないから泊まっていきなさい」
などと嘘をついて、平塚宿に泊めていたそうです。しかし、実際には高麗山を登らずに大磯まで行けるため、すぐに嘘だったことがバレるわけです。
私はスーツさんの「自転車で行く東海道の旅」シリーズが大好きなのですが(この旅を題材にした本も持っています)、スーツさんはよくこんな事知ってるなぁ、とスーツさんの知識の広さと深さに驚きました。

東海道五十三次・平塚宿の浮世絵。バックに高麗山が描かれている(平塚駅より)
浮世絵にも描かれている、高麗山
画像の浮世絵には、平塚宿のバックに高麗山が描かれています。
浮世絵とは、江戸時代に歌川広重という方が書かれた絵画のことです。
昔は現代でいうところの「インスタ映え」のようなものがなかったので、各地の「絵になる景色」は、こうして「浮世絵」などに収められてきたのです。
本来、「浮世」とは「憂鬱な俗世間」みたいなマイナスのイメージなのです。
しかしこれが転じて「人生」「世の中」「世間」みたいな普通のイメージでも使われます。
したがって、「浮世絵」とは当時の世の中を風刺した絵、というような意味にもなります。
日本初の海水浴場、大磯
「大磯(おおいそ)」は日本初の海水浴場とよばれ、また風光明媚な別荘地としても栄えてきました。
なぜ大磯が別荘地として栄えてきたのかというと、それは景色が綺麗なこともあるでしょうが、夏は海風で涼しく、冬は温暖な気候で暖かいからでしょう。
別荘地は、歴史的にこのように景色が綺麗で、夏は涼しく冬は暖かい場所が選ばれる傾向にあります。

大磯駅(神奈川県中郡大磯町)

大磯の海(神奈川県中郡大磯町)

大磯の海(神奈川県中郡大磯町)
大磯を過ぎると、二宮を経て、国府津・小田原方面に至ります!
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