まずは原文から!
いよ/\近く馴れくるは
近江(おうみ)の海の波のいろ
その八景(はっけい)も居(い)ながらに
見てゆく旅の樂(たの)しさよ
さらに読みやすく!
いよいよ近く馴れくるは
近江(おうみ)の海の波のいろ
その八景(はっけい)も居(い)ながらに
見てゆく旅の楽しさよ
さあ、歌ってみよう!
♪いよいよちーかく なれくるはー
♪おうみのうみのー なみのいろー
♪そのはっけーいも いながらにー
♪みてゆくたびのー たのしさよー
(東海道線)
米原駅→彦根駅→能登川駅→近江八幡駅→野洲駅→守山駅→草津駅→南草津駅→瀬田駅→石山駅→大津駅→山科駅→京都駅→山崎駅→高槻駅→茨木駅→吹田駅→新大阪駅→大阪駅→尼崎駅→芦屋駅→三ノ宮駅→神戸駅
※鉄道唱歌に関連する駅と、新快速列車が停車する駅などを表記
※この区間は「琵琶湖線」「京都線」「神戸線」などの愛称あり
草津を出て、琵琶湖の周辺へ 大津市に到着
草津駅(くさつえき、滋賀県草津市)を出ると、列車はいよいよ滋賀県の県庁所在地である大津市(おおつし)のエリアに入ってきます。そして日本一大きな琵琶湖(びわこ)の景色もとても美しいエリアに入ってゆきます。
歌詞冒頭の「いよ/\」とは「いよいよ」と読みます。
昔は縦書きが基本だったので、
い
よ
く
と書いて、「いよいよ」です。
昔は二文字以上の繰り返しは「く」の文字に近い記号を使っていたのです。
一文字の繰り返しには「ゝ」を使います。例えば、「おるゝ」→「おるる」となります。
また、この「く」のような文字をスラッシュ(/)とバックスラッシュ(\)で表現すると、
い
よ
/
\
で「いよいよ」と読みます。
しかし、現代ではこのような表記は一般的ではなく、また横書きで書く機会も多いので、これを横書きすると
いよ/\
となります。他にも、鉄道唱歌の例でいくと
「京都/\」で「きょうときょうと」
「しば/\」で「しばしば」
などのようになります。
草津駅を過ぎると滋賀県の県庁所在地である大津市(おおつし)に入り、また琵琶湖にも近づきます。
滋賀県大津市(おおつし)は琵琶湖に面した街であり、琵琶湖の周りには風光明媚な景色がたくさんあります。
びわこ浜大津駅から、びわ湖大津プリンスホテルまでの湖岸沿いの景色がとても美しいものとなります。
近江国(おうみのくに)とは、現在の滋賀県のことをいいます。
近江の海とは、いわゆる琵琶湖のことを言います。「海」とありますが、まるで湖でありながら海のように大きいので、このような表現がなされているわけです。
「近江八景」とは?琵琶湖周辺の、八つの素晴らしい景色
歌詞にある「八景(はっけい)」とは、いわゆる「近江八景(おうみはっけい)」のことをいいます。
近江八景(おうみはっけい)とは、琵琶湖周辺の8つの景色に対する風景評価(ふうけいひょうか)のことをいいます。
「風景評価(ふうけいひょうか)」というのは説明が難しいのですが、簡単にいえば、琵琶湖周辺には8つの風光明媚で「美しい」「絵になる」「(現代で言うところの)インスタ映えする」などの景色の名所がある、と思ってもらえれば問題ないでしょう。
つまり、ここでは大津市をはじめとする琵琶湖周辺には8つの感動すべき観光名所がある、と思ってもらえれば大丈夫です。
近江八景は、具体的には以下の8つをいいます。
鉄道唱歌の歌詞に登場する順に並べていきます。
瀬田の夕照(せたのせきしょう)
石山の秋月(いしやまのしゅうげつ)
粟津の晴嵐(あわづのせいらん)
比良の暮雪(ひらのぼせつ)
矢橋の帰帆(やばせのきはん)
堅田の落雁(かただのらくがん)
三井の晩鐘(みいのばんしょう)
唐﨑の夜雨(からさきのやう)
鉄道唱歌では、驚くべきことに、なんとこれらの8つをすべて歌詞に割りあてています。次回以降の第40番・第41番・第42番・第43番に登場します。
これを全部、七五調(しちごちょう。7文字・5文字からなる歌詞のこと)の鉄道唱歌の歌詞に入れる大和田建樹(おおわだ たけき)さんの作詞センスには驚かされます。
また、それだけ大和田建樹さんの近江八景への思い入れや興味関心度合いが高く、何としてでも8つ全てを歌詞に詰め込みたかったという意気込みが感じられますね。
近江八景について、簡単に紹介
以下、簡単にその8つを紹介します。
「瀬田の夕照(せたのせきしょう)」
瀬田の唐橋(せたのからはし)は、琵琶湖から流れる瀬田川(せたがわ)に架かる橋のことであり、かつて飛鳥時代から交通の要衝としてされてきました。また、「急がば回れ」の語源になった橋でもあります。
「石山の秋月(いしやまのしゅうげつ)」
東海道線(琵琶湖線)石山駅から京阪石山坂本線で10分ほど南下すると、石山寺駅(いしやまでらえき、滋賀県大津市)に着きます。
石山寺(いしやまでら)は、東寺真言宗のお寺であり、また紫式部が源氏物語の着想(アイデア)を得たお寺でもあります。
「粟津の晴嵐(あわづせいらん)」
粟津(あわづ)とは、石山駅周辺(北側)の地名です。粟津晴嵐とは、粟津に吹き付ける風や嵐のことをいいます。
また源義仲(別名・木曾義仲、朝日将軍)が源平合戦のときに討たれた場所でもあります。
「比良の暮雪(ひらのぼせつ)」
琵琶湖の西にある比良山地(ひらさんち)にかかる雪のことを言います。
比良山地は、標高1,214mの武奈ヶ岳(ぶながたけ)が最高峰の山々です。
「堅田の落雁(かただのらくがん)」
堅田(かたた、かただ)とは、琵琶湖の西にある大津市の地名です。JR湖西線(こせいせん)の堅田駅(かただえき、滋賀県大津市)が最寄駅となります。
堅田の落雁とは、堅田に降りるカリ(雁)という鳥のことを言います。
「三井の晩鐘(みいのばんしょう)」
大津市のやや西にある三井寺(みいでら)に鳴り響く夕焼けの鐘のことを言います。三井寺は正式には園城寺(おんじょうじ)といいます。
「唐﨑の夜雨」
唐﨑(からさき)は、大津市における琵琶湖の南西に位置する地名です。JR湖西線唐﨑駅(からさきえき、滋賀県大津市)が最寄り駅となります。
唐﨑の夜雨とは、この唐﨑の夕暮れどきに物寂しく降り注ぐ雨のことをいいます。失恋や別れなどを彷彿させ、切ない情景ですね。
あなたならではの、「旅の楽しさ」を追究していこう
そして歌詞には、「見てゆく旅の楽しさよ」とあります。
前回の歌詞では「旅の徒然の憂さ晴らし」とあり、列車の長時間の長旅に疲れているかのような印象もありました。
しかし、今回はそれも一転し、「楽しさ」となっているのが興味深いです。
これから近江八景や琵琶湖の美しい景色を見に行くワクワク感を、この歌で表現しているのでしょう。
そして、この辺りから大津・京都・大阪と街の規模も大きくなっていくため、それなりに飲食店や遊ぶ場所も増えていきます。
私は定食屋「宮本むなし」が好きだったのですが、ここから先は「宮本むなし」の店舗も増えてきます。
宮本むなしは、おかわり自由でガッツリ食べられるため、私は昔よく通っていました。
昔は南草津駅前に宮本むなしがあったのですが、 現在は残念ながらなくなったようです。
しかし現在では石山駅前にも宮本むなしがあるので、そちらで食べれば問題なしです。
そしてここから先は新快速列車で、一気にスピードアップします。新快速のスピードが大きく上がるのも、これもまた旅の楽しみではないでしょうか。
皆さんには、どんな旅の楽しみ・楽しさがあるでしょうか。
では、次回から「近江八景」の観光・解説に入っていきます!
注意
この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
もし内容の誤りに気付かれた方は、「お前は全然知識ないだろ!勉強不足だ!」みたいなマウントを取るような書き方ではなく、「~の部分が誤っているので、正しくは~ですよ」と優しい口調で誤りをコメント欄などでご指摘頂ければ嬉しく思います。再度こちらでも勉強し直し、また調べ直し、内容を修正致します。何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
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