鉄道唱歌 東海道編 第42番 比良山地と、琵琶湖を矢橋へ向かう船 

まずは原文から!

比良(ひら)の高嶺(たかね)は雪ならで
花なす雲にかくれたり
矢走(やばせ)にいそぐ舟の帆も
みえてにぎはふ波の上

さらに読みやすく!

比良(ひら)の高嶺(たかね)は雪ならで
花なす雲にかくれ(隠れ)たり
矢走(やばせ)にいそぐ(急ぐ)舟の帆も
みえて(見えて)にぎわう(賑わう)波の上

さあ、歌ってみよう!

♪ひーらのたかねは ゆきならでー
♪はななすくもにー かくれたりー
♪やばせにいーそぐ ふねのほもー
♪みーえてにぎわう なみのうえー

(湖西線)
山科駅→大津京駅→唐﨑駅→比叡山坂本駅→おごと温泉駅→堅田駅→志賀駅→比良駅→近江舞子駅→近江高島駅→近江今津駅→マキノ駅→近江塩津駅

(京阪電鉄石山坂本線)
石山寺駅→唐橋前駅→京阪石山駅→粟津駅→京阪膳所駅→びわ湖浜大津駅→三井寺駅→大津市役所前駅→京阪大津京駅→近江神宮前駅→滋賀里駅→坂本比叡山口駅

※上記は全ての駅でなく、鉄道唱歌に関連する駅及びその他歴史上重要と思われる駅を筆者の独断と偏見で抜粋

今回も、「近江八景」をめぐる旅

今回は、近江八景(おうみはっけい)のうち2つである

比良の暮雪(ひらのぼせつ)
矢橋の帰帆(やばせのきはん)」

について語っていきます。

近江八景(おうみはっけい)とは、前々回から解説しているように、滋賀県大津市や琵琶湖周辺の歴史的な8つの景勝地や観光スポットなどをいいます。

簡単にその8つを紹介しておくと、鉄道唱歌に登場する順に、

  1. 瀬田の夕照(せたのせきしょう)」
  2. 石山の秋月(いしやまのしゅうげつ)」
  3. 粟津の晴嵐(あわづのせいらん)」
  4. 比良の暮雪(ひらのぼせつ)」
  5. 矢橋の帰帆(やばせのきはん)」
  6. 堅田の落雁(かたたのらくがん)」
  7. 三井の晩鐘(みいのばんしょう)」
  8. 唐﨑の夜雨(からさきのやう)」

になります。

琵琶湖南側からはるか遠くに眺める、比良山地(写真右奥)

近江八景・比良暮雪

比良の暮雪(ひらのぼせつ)」とは、近江八景の1つで、比良山地(ひらさんち)にかかる夕暮れの雪のことをいいます。

比良山地(ひらさんち)とは、琵琶湖の西側にある標高1,214mの山のことをいいます。

比良山地は鉄道の駅でいうと、 湖西線(こせいせん)のうち、

  • 比良駅(ひらえき、滋賀県大津市北比良)
  • または、近江舞子駅(おうみまいこえき、滋賀県大津市南小松)

あたりが、最も近い駅になります。

暮雪(ぼせつ)とは、夕暮れ時に降る雪のことを言います。

1960年代まで存在していた、江若鉄道

この辺りは、かつて1960年代まで江若鉄道(こうじゃくてつどう)という私鉄路線があった時期から、比良山地登山客の拠点となっていました。

なお、江若鉄道(こうじゃくてつどう)は、

  • 近江国(おうみのくに。現在の滋賀県)
  • 若狭国(わかさのくに。現在の福井県西部)

とをそれぞれ結ぶ鉄道路線として、計画・運行されました。
「近」「狭」の頭文字を一つずつとって、「江若(こうじゃく)」というわけですね。

近江今津駅(おうみいまづえき。滋賀県高島郡今津町、現・滋賀県高島市今津町)までは現役開業していたのですが、資金不足のため、福井県まで線路を延ばすことができなかったようです。

そして、戦後のモータリゼーションにより、自動車が一般家庭に普及したため、鉄道の需要は減少してしまい、江若鉄道は結局1960年代に廃止となってしまいました。

その後、1970年代には湖西線(こせいせん)が登場し、大阪・京都方面から金沢方面へ向かう「特急サンダーバード」などのショートカット(短絡)路線として多いに役立っています。
もし琵琶湖線経由(つまり米原・長浜経由)だと、遠回りになるからですね。

琵琶湖の西に連なる、比良山地

比良山地の最高峰は、標高1,214mの武奈ヶ岳(ぶながたけ)になります。

比良山地は、決して単独の山のみというわけではなく、複数の山からなる、いわゆる連邦(れんぽう)になります。
その中で最も高い山が、武奈ヶ岳になります。

武奈ヶ岳(ぶながたけ)は、山の中にブナがたくさん生い茂っています。これが名前の由来です。

比良山地は、その名前から比叡山(ひえいざん)と勘違いしやすいのですが、まったくの別物であり、比叡山はもっと南にある山であるため、誤解しないように気をつけましょう。

歌詞の意味についても考察

歌詞にある、

比良の高嶺は雪ならで 花なす雲に隠れたり

とは、今では必ずしも(「暮雪(ぼせつ)」の言葉のように)雪に隠れているというわけではなく、

比良山地の頂上は、雲ではなく、まるで花のような雲に、山が覆われて隠れている

というような意味になるでしょう。

「花なす」の「なす」とは、「~のような」という意味になります。

近江八景の度へ 湖西線や京阪線をうまく使いこなす

こうした近江八景の旅をするためには、一旦

  • 山科駅(やましなえき、京都府京都市山科区)

まで行き、山科駅から湖西線(こせいせん)に乗り換えれば比良方面へと向かうことができます。

また、山科駅まで行かなくとも、京阪石山坂本線(けいはんいしやまさかもとせん)をうまく利用し、

  • 京阪大津京駅(けいはんおおつきょうえき、滋賀県大津市)

まで行けば、JR湖西線大津京駅(おおつきょうえき、滋賀県大津市)から湖西線に飛び移ることができます。

琵琶湖の西を走る「湖西線」

湖西線(こせいせん)は1974年に開通した、鉄道の歴史では比較的新しい路線です。
湖西線は「こせいせん」と読みます。
「こさいせん」とは読みません。

浜名湖(はまなこ)の西にある静岡県湖西市(こさいし)と勘違いして読まないように気をつけましょう。

堅田駅以北に広がる、壮大な琵琶湖

湖西線は、堅田駅(かたたえき、滋賀県大津市)を過ぎたあたりからの琵琶湖の雄大な景色が最高です!
もはや湖ではなく、「海」のような広さです。

近江舞子駅

近江舞子駅(おうみまいこえき)は、琵琶湖屈指の海水浴場がある駅です。

舞子(まいこ)」とは、兵庫県神戸市垂水区にある「舞子」に似ている景色だから付けられたそうです。
神戸の舞子は、まるで松の茂る様が、女性が舞い踊るかのようなので「舞子」と名付けられたそうです。

兵庫県の舞子は、美しい松で生い茂り、向こう岸には淡路島の眺めがあります。
これは鉄道唱歌 山陽・九州編 第5番でも歌われていますね。

カタカナの駅・マキノ駅

マキノ駅(滋賀県高島市マキノ町)は、カタカナの駅であることで知られます。

なぜカタカナなのかというと、「マキノ高原スキー場」がマキノ町の由来となり、さらに町名が、マキノ駅の由来となっています。

敦賀方面への分かれ道・近江塩津駅

近江塩津駅(おうみしおづえき、滋賀県長浜市)は、滋賀県最北端の駅であり、また北陸本線との合流地点であります。

現在の北一直線に福井県敦賀市(つるがし)まで延びるルートは昔は技術的に不可能でした。そのため、勾配を避けるために、

  • 旧・疋田駅(ひきだえき)
  • 旧・柳ヶ瀬駅(やながせえき)
  • 旧・中之郷駅(なかのごうえき)

を経由するルートになっていました(現在はいずれの駅も廃止)。
これは鉄道唱歌 北陸編 第68番でも歌われている通りですね。

現在は新疋田駅(しんひきだえき、福井県敦賀市疋田)~近江塩津駅間を、トンネルでまっすぐに結ぶルートになっています。

今回はメインではないので、これ以上の話は北陸編のときに詳しく語りたいと思います。(※以下で解説しています!

近江八景「矢走の帰帆」

ここで、近江八景の「矢走の帰帆(やばせのきはん)」についても解説しておきます。

琵琶湖対岸の矢走方面。左奥の山は、近江富士・三上山(みかみやま。標高432m)

矢橋(やばせ)とは、瀬田駅から北西へ約1km~2kmほど行った地名になります。
矢橋も、かつての琵琶湖の水運において欠かせなかった港町のひとつです。
まだ鉄道や車が一般的でなかった時代は、長浜~矢橋~大津~堅田などの区間を、琵琶湖の上を舟で移動していたのでした。

この矢橋から船出すると、確かに近道ではありました。しかし、琵琶湖の天気はよく荒れる上に、比良山地から吹き降りる「比良おろし」という風が強く、琵琶湖の水上移動は危険でもありました。
そのため、遠回りでも瀬田の唐橋(せたのからはし)経由の陸路を通った方がむしろ安全であったことから、「急がば回れ」の語源になっています。

矢橋には、人口的に作った島「矢橋帰帆島(やばせきはんとう)」があり、島内は公園となっています。

次は、近江八景の残り3つである「堅田の落雁」「三井の晩鐘」「唐﨑の夜雨」について解説していきます!

ちゅうい!おわりに

この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
もし内容の誤りに気付かれた方は、「お前は全然知識ないだろ!勉強不足だ!」みたいなマウントを取るような書き方ではなく、「~の部分が誤っているので、正しくは~ですよ」と優しい口調で誤りをコメント欄などでご指摘頂ければ嬉しく思います。再度こちらでも勉強し直し、また調べ直し、内容を修正致します。何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

この記事が良いと思った方は、よかったら次の記事・前回の記事も見てくださいね!

コメント