鉄道唱歌 北陸編 第3番 王子に到着!経済の発展に貢献した製紙場の歴史

まずは原文から!

見よや王子(おうじ)の製紙塲(せいしじょう)
はや窓(まど)ちかく來(き)たりたり
すきだす紙(かみ)の年(とし)にます
國家(こっか)の富(とみ)もいくばくぞ

さらに読みやすく!

見よや王子(おうじ)の製紙塲(せいしじょう)
はや窓(まど)ちかく来たりたり
すきだす紙(かみ)の年(とし)にます
国家(こっか)の富(とみ)もいくばくぞ

さあ、歌ってみよう!

♪みーよやおうじの せいしじょう
♪はやまどちかくー きたりたりー
♪すきだすかーみの としにますー
♪こっかのとみもー いくばくぞー

(東北本線)
上野駅→田端駅→王子駅→赤羽駅→蕨駅→浦和駅→大宮駅

(高崎線)
上尾駅→桶川駅→鴻巣駅→吹上駅→熊谷駅→深谷駅→本庄駅→神保原駅→新町駅→倉賀野駅→高崎駅

※鉄道唱歌に関連する主要駅のみ表記

田端駅(たばたえき)を過ぎて東北本線を北上すると、やがて王子駅(おうじえき)に着きます。
この辺りは、ほぼ鉄道唱歌 奥州・磐城編の行程と被っています。

王子駅(東京都北区)

奥州・磐城編第2番でも解説した通り、王子には飛鳥山公園(あすかやまこうえん)という、桜の名所(お花見の名所)があります。
また、江戸時代までは「かわらけ(土器)投げ」という遊びが流行ったのですが、明治時代になって危険という理由で禁止されたことは、これまでも解説してきた通りです。

王子(おうじ)はかつて、渋沢栄一(しぶさわ えいいち)という偉い人が開いた製紙場(せいしじょう)がありました。
つまり明治時代に、紙をここでたくさん製造していたのです。

ではなぜ明治時代に入ってそんなに紙が必要になったのかというと、一つは「お札」です。
また、新聞雑誌など、そういった報道機関が発達してきたため、多くの人々に対して、大衆に紙が浸透していったのでした。
明治時代は人口が増えたこともあり、たくさんの人々がお金を持つようになると、それまでの金(ゴールド)の絶対数が足りなくなり、いちいちゴールドとお札を交換できなくなったため、ゴールドと交換しなくていいお金を用意する必要がでてきました。これを「不換紙幣(ふかんしへい)」といいます。一方、それまでのゴールドと交換できていたお金を、「兌換紙幣(だかんしへい)」といいます。

では、ゴールドと交換できないのに、なぜ1万円札は1万円分のモノやサービスと交換できるの?というと、それは「日本国民みんなが1万円札に1万円分の価値があると信じている」「国や日本銀行によって信頼性が担保(たんぽ)されている」ことが挙げられます。
日本はこうしたお金の制度がしっかりできているため、お金の信用度が高いのです。

渋沢栄一は、明治時代の早い段階から、こうしたお金やお札による経済の重要性に気付いており、こうしたお金やお札の事業にいち早く手を出していました。
この「即断・即決・即行動」みたいな渋沢栄一の行動力は、現代の起業家や成功者にとってもの鑑(かがみ)ともいえるでしょう。
渋沢栄一は、「日本の資本主義の父」とも言われています。
生涯で500もの会社や事業を行うのだから、現代でいうところのスーパーマルチ起業家ですね。

最初の王子の製紙場を抄紙会社(しょうしがいしゃ)というふうにいます。
なぜ王子という土地が良かったのかというと、たくさんの水と木材確保できたからといいます。

王子製紙は、北海道苫小牧市(とまこまいし)にも1910年に進出しています。これは、近隣にある支笏湖(しこつこ)から豊富な水資源が確保できたことが挙げられます。
紙を作るには、木材はもちろんのこと大量の水も必要だということです。
苫小牧市は、現代でも王子グループによる製紙業が盛んです。

なお、静岡県富士市(ふじし)にもかつて「富士製紙」があり、これも富士山から湧き出る大量の水が確保できたことに起因します。
先程述べた王子製紙の苫小牧進出に対抗して、富士製紙も20世紀初頭に北海道釧路市(くしろし)に進出しています。
釧路市に新富士駅(しんふじえき)という駅が存在するのは、その名残です。
しかし、度重なる設備投資にお金をかけすぎたことと、1929年に起きた「昭和恐慌」のダブルパンチで経営がピンチとなり、1933年に富士製紙は王子製紙と合併して、現代に至ります。
現在でも、静岡県富士市には王子グループの製紙工場がたくさんあり、富士市や岳南鉄道(がくなんてつどう)の沿線一帯は製紙業が盛んです。

王子・苫小牧市・釧路市・富士市といった街を観光される場合には、こうした「紙の歴史」について考えてみるのも1つの趣(おもむき)といえるでしょう。

次回も、王子についての話題です!

注意
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