鉄道唱歌 北陸編の歌詞を、わかりやすく解説してゆきます!
碓氷峠・アプト式の歴史などを、初心者でも楽しめるよう解説してゆきます!
↓まずは原文から!
碓氷峠のアブト式
齒車つけておりのぼる
仕掛は外にたぐひなし
さらに読みやすく!
碓氷峠の アブト式
歯車つけて おりのぼる
仕掛は外に 類いなし
さあ、歌ってみよう!
♪うすいとうげのー アプトしきー
♪はぐるまつーけて おりのぼるー
♪しかけはほかにー たぐいなしー
高崎駅→安中駅→磯部駅→松井田駅→横川駅
(バス)
横川駅→軽井沢駅
※鉄道唱歌に関連する主要駅のみ表記
※横川駅~軽井沢駅は現在は廃止区間のため、路線バスのみ
横川駅から先は、長野県との県境・碓氷峠へ
横川駅(群馬県安中市)から先は、碓氷峠という長野県との県境をなす、難所中の難所を過ぎていく必要があります。
碓氷峠は、江戸時代の中山道の時代から、まだ鉄道も自動車もない徒歩で移動していた時代に、多くの旅人たちを苦しめてきた険しい峠道でした。
明治時代となり「鉄道の時代」となってからも、碓氷峠は
- 線路の工事
- 列車の走行
にも、難題を吹きかけることになりました。
山が急で険しく、また列車は坂道に弱いために、一筋縄では登らないからです。
明治時代の坂道を克服した「アプト式」
そのため、明治時代の鉄道は碓氷峠において「アプト式」という方式を採用しています。
「アプト式」とは、当時ドイツで使われていた技術であり、線路と線路の間に歯車をつけて登っていくという、当時としては斬新かつ画期的な技術でした。

横川駅の「アプトの道」の表記(群馬県安中市)
歌詞の原文では「アブト式」と、濁点になっています。
これは、時代の差異に起因する表記揺れ、または誤植ではないかと思われます。
歌うときは
と、半濁点で歌ってもらえれば問題ないでしょう。
全部で26ものトンネルが存在した、碓氷峠
そして、碓氷峠には全部で26のトンネルを前に控えていました。
このトンネル自体も難所であり、当時は蒸気機関車の吐く煙がトンネル内に充満し、窒息する人が多く出たとも言われています。
そして碓氷峠は66.7‰(パーミル)という坂道であり、これはとんでもなくきつい坂です。
パーミル(‰)とは、1kmあたりにどれだけ登るのかを表した指標です。
これだと説明が難しいので、だいたい以下のように覚えてもらえれば大丈夫です。
- 0‰→平地
- 20‰→きつい坂道
- 30‰→かなりきつい坂道
- 60‰→アプト式じゃないと無理
900‰→(※誤)熊本城の「武者返し」1000‰→(※誤)垂直の壁
広島県の瀬野駅と八本松駅の区間である、いわゆる「瀬野八」は、22.6‰になります。
福島県と山形県の県境にある「板谷峠」は、38‰になります。
箱根登山鉄道は、80‰という凄まじい勾配で、数多くのスイッチバックがあります。
大井川鐵道も、90‰というとんでもない勾配で、アプト式が採用されています。
熊本城の「武者返し」とは、地上ではゆるやかに見えるため登っていけそうだと錯覚し、徐々に傾斜がきつくなり上から撃ち落とされるという巨大な壁です。
これにより、1877年の西南戦争のときに薩摩軍は一人も城に侵入できず、熊本城は「難攻不落の城」と呼ばれました。
現在では鉄道が存在しないため、バスで碓氷峠を越える
現在の横川駅から先は碓氷峠の鉄道が出ておりませんので、軽井沢まではバスで520円で行くことになります。
JRバス関東の運営であり、1日8本、片道約34分、片道520円になります。

横川駅の、軽井沢行きのバス乗り場(群馬県)
また、バスで碓氷峠を越える際には、坂道が急でカーブがとても多いので、車酔いしやすい人はそれなりに対策も必要になります。

横川駅の「アプトの道」などを示す案内板(群馬県安中市)
なんとかこの難所を乗り越え、軽井沢を目指しましょう!
コメント
大変勉強になり楽しく読ませて頂いています。
一点補足させて頂きますが、
勾配は水平距離に対する垂直方向の距離です(数学的にはtanθ)。そのため1000パーミルは垂直の壁ではなく45度の坂道です。
参考 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/勾配
コメントありがとうございます。
すみません、ご指摘の通りです!
私も正直、「垂直の壁」はおかしいなと思いつつ、勉強と理解が追いつかずに放置しておりました。
仰る通り、1000パーミルは45度ですよね。
随時修正していきます。
他にもおかしな点あれば、ご指摘願えれば幸いです。
今後ともよろしくお願いします!