鉄道唱歌 北陸編 第14番 群馬県の養蚕・生糸・織物の歴史 近代日本の発展に不可欠だった産業

まずは原文から!

みわたすかぎり青々(あおあお)と 
若葉(わかば)波(なみ)うつ桑畑(くわばたけ) 
山のおくまで養蠶(ようさん)の
ひらけしさまの忙(いそ)がしさ

さらに読みやすく!

みわたすかぎり青々(あおあお)と 
若葉(わかば)波(なみ)うつ桑畑(くわばたけ) 
山のおくまで養蚕(ようさん)の
ひらけしさまの忙(いそ)がしさ

さあ、歌ってみよう!

♪みわたすかーぎり あおあおとー
♪わーかばなみうつ くわばたけー
♪やーまのおくまで ようさんのー
♪ひらけしさまのー いそがしさー

(両毛線)
高崎駅→新前橋駅→前橋駅→伊勢崎駅→桐生駅→足利駅→(至・小山駅)

※鉄道唱歌に関連する主要駅のみ表記

群馬県はかつて、養蚕(ようさん)つまりカイコの育成、生糸(きいと)の製造、また織物(おりもの)の製造が盛んでありました。

織物を作るには、生糸(きいと)が必要です。
つまり、生糸の生産がたくさん必要だったことを意味します。
そして生糸は、(カイコ)という幼虫が生み出します。
さらにカイコは(クワ)を食べて育つので、たくさんの桑を作るための桑畑が必要でした。
つまり桑畑は、カイコという幼虫が食べる桑を育てるための畑ということになります。

上記を簡単にまとめると、以下のようになります。

(くわ)→カイコが食べる植物。
カイコ(蚕)→生糸を生み出す幼虫。
生糸(きいと)→織物を造る材料。
織物(おりもの)→昔の和服。

明治時代の日本は「殖産興業(しょくさんこうぎょう)」といって、欧米諸国に対して追いつけ追い越せといわんばかりの勢いでした。

カイコ(蚕)や 生糸織物を大量に輸出して製造して輸出して、それで海外に売ることで大きな利益を上げる。
その利益によって、軍事力を強化し、欧米列強に対抗する。
これらが近代日本にとって、明治時代の日本にとって重要なことでした。
それが日本の世界における地位の向上に繋げることにもつながるからです。

歌詞から察するに、鉄道唱歌の当時の明治時代には、群馬県では見渡す限りに青々とした、たくさんの若葉からなる桑畑があったのだと思います。

赤城山と、群馬県の見渡す限りの景色(上越線の車窓より)

そしてその桑畑山の奥まで広がり、その開かれるさまは、まさに明治時代で「たくさんの桑を生産し、そこから生糸・織物を作って、たくさん外国に輸出して国を発展させるんだ!」という当時の国・明治政府の意気込みを感じさせます。

現在では、明治時代の殖産興業(しょくさんこうぎょう)ほどの緊急性はなく、また織物の生産も現代では盛んではないため(どうしても「しまむら」や「ユニクロ」などに勝てない)、当時ほどは桑畑の数はそこまで多くはないかと思われます。しかし、それでも桑畑や養蚕、生糸、織物などの生産で栄えてきた歴史とともに今の群馬県はあるわけで、やはりその重要性は無くして語れません。

そして生糸や織物を作るために必要な、官営(かんえい)の模範工場(もはんこうじょう)として作られたのが、群馬県富岡市(とみおかし)の富岡製糸場(とみおかせいしじょう)です。

官営(かんえい)」とは、簡単にいえば「国による運営」という意味です。
対義語は「民間」などになると思います。
つまり国が予算をかけて、国を上げて作った工場ということになります。
それだけ国の存亡(そんぼう)をかけた気合いの入れようであることが伺えます。

模範工場(もはんこうじょう)とは、国による
「民間の工場はこの工場を模範にして(見習って)作り、経営しなさい」
という意味合いの工場になります。

また同じく、織物の生産として盛んなのは東京都の八王子(はちおうじ)が挙げられます。
八王子で生産された織物は、現在の横浜線(よこはません)を通って横浜まで運ばれ、横浜港から船に載せられて海外輸出され、それによって大きな利益を上げました。

一方、群馬県で生産された生糸や織物などは、現在の高崎線から東京を経由して横浜へ運ぶというルートでした。
しかし戦争が激化して東京がもし不通になった場合に備えて、群馬県→八王子→横浜と縦に南下できるための路線として1930年代に八高線(はちこうせん)ができました。

群馬県ではこのように、歴史的に桑畑・養蚕・生糸・織物の生産に非常に重要な役割を果たしてきました。
こうした群馬県の産業のおかげで、海外へ多く輸出し、近代日本の発展に繋がりました。

群馬県を旅行・観光される際には、こうした生糸や織物などの歴史も思い浮かべながら探訪すると、より群馬県の観光が充実したものになります。

次も、両毛線(りょうもうせん)の解説をします!

注意
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