鉄道唱歌 北陸編 第19番 「アプト式」で碓氷峠を越える 難所中の難所を克服

まずは原文から!

これより音(おと)にきゝゐたる
碓氷峠(うすいとうげ)のアブト式
齒車(はぐるま)つけておりのぼる
仕掛(しかけ)は外(ほか)にたぐひなし

さらに読みやすく!

これより音(おと)にきき(聞き)いたる
碓氷峠(うすいとうげ)のアブト式
歯車(はぐるま)つけておりのぼる
仕掛(しかけ)は外(ほか)にたぐい(類い)なし

さあ、歌ってみよう!

♪これよりおーとに ききいたるー
♪うすいとうげのー アプトしきー
♪はぐるまつーけて おりのぼるー
♪しかけはほかにー たぐいなしー

(信越本線)
高崎駅→安中駅→磯部駅→松井田駅→横川駅

(バス)
横川駅→軽井沢駅

※鉄道唱歌に関連する主要駅のみ表記
※横川駅~軽井沢駅は現在は廃止区間のため、路線バスのみ

横川駅(よこかわえき、群馬県安中市)から先は、碓氷峠(うすいとうげ)という長野県との県境をなす難所中の難所を過ぎていく必要があります。

碓氷峠(うすいとうげ)は、江戸時代の中山道(なかせんどう)の時代から、まだ鉄道も自動車もない徒歩で移動していた時代に多くの旅人たちを苦しめてきた険しい峠道でした。

明治時代となり鉄道の時代となってからも、碓氷峠は線路の工事にも、列車の走行にも難題を吹きかけることになりました。
山が急で険しく、また列車は坂道に弱いために一筋縄では登らないからです

そのため、明治時代の鉄道は碓氷峠において「アプト式」という方式を採用しています。
アプト式」とは、当時ドイツで使われていた技術であり、線路と線路の間に歯車をつけて登っていくという、当時としては斬新かつ画期的な技術でした。

横川駅の「アプトの道」の案内板

歌詞の原文では「アト式」と濁点になっているのですが、これは時代の差異に起因する表記揺れ、または誤植ではないかと思われます。歌うときは「♪うすいとうげの アトしき~」と半濁点で歌ってもらえれば問題ないでしょう。

そして、碓氷峠には全部で26のトンネルを前に控えていました
このトンネル自体も難所であり、当時は蒸気機関車の吐く煙がトンネル内に充満し、窒息する人が多く出たとも言われています。

そして碓氷峠は66.7‰(パーミル)という坂道であり、これはとんでもなくきつい坂です。

パーミル(‰)とは、1kmあたりにどれだけ登るのかを表した指標です。
これだと説明が難しいので、だいたい以下のように覚えてもらえれば大丈夫です。

0‰→平地
20‰→きつい坂道
30‰→かなりきつい坂道
60‰→アプト式じゃないと無理
900‰→熊本城の「武者返し」
1000‰→垂直の壁

※読者の方にご指摘を受けたのですが、1000パーミルは「垂直の壁」ではなく、「45度の勾配」になります!水平方向に1000m進み、垂直方向に1000m上がることになるので、垂直ではなく45度でした。ご指摘いただいた方、ありがとうございました。

広島県の瀬野駅(せのえき)と八本松駅(はちほんまつえき)の区間である、いわゆる「瀬野八(せのはち)」は22.6‰になります。

福島県と山形県の県境にある「板谷峠(いたやとうげ)」は、38‰になります。

箱根登山鉄道は、80‰という凄まじい勾配で、数多くのスイッチバックがあります。

大井川鐵道(おおいがわてつどう)も、90‰というとんでもない勾配で、アプト式が採用されています。

熊本城の「武者返し」とは、地上ではゆるやかに見えるため登っていけそうだと錯覚し、徐々に傾斜がきつくなり上から撃ち落とされるという巨大な壁です。これにより1877年の西南戦争のときに薩摩軍は一人も城に侵入できず、熊本城は「難攻不落の城」と呼ばれました。

現在の横川駅から先は碓氷峠の鉄道が出ておりませんので、軽井沢まではバスで520円で行くことになります。
JRバス関東の運営であり、1日8本、片道約34分、片道520円になります。

横川駅の、軽井沢行きのバス乗り場(群馬県)

また、バスで碓氷峠を越える際には、坂道が急でカーブがとても多いので、車酔いしやすい人はそれなりに対策も必要になります。

横川駅の案内板(群馬県安中市)

なんとかこの難所を乗り越え、軽井沢を目指しましょう!

注意
この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
もし内容の誤りに気付かれた方は、「お前は全然知識ないだろ!勉強不足だ!」みたいなマウントを取るような書き方ではなく、「~の部分が誤っているので、正しくは~ですよ」と優しい口調で誤りをコメント欄などでご指摘頂ければ嬉しく思います。再度こちらでも勉強し直し、また調べ直し、内容を修正致します。何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

コメント

  1. より:

    大変勉強になり楽しく読ませて頂いています。
    一点補足させて頂きますが、
    勾配は水平距離に対する垂直方向の距離です(数学的にはtanθ)。そのため1000パーミルは垂直の壁ではなく45度の坂道です。
    参考 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/勾配

    • 鉄道究極 鉄道究極 より:

      コメントありがとうございます。
      すみません、ご指摘の通りです!
      私も正直、「垂直の壁」はおかしいなと思いつつ、勉強と理解が追いつかずに放置しておりました。
      仰る通り、1000パーミルは45度ですよね。
      随時修正していきます。
      他にもおかしな点あれば、ご指摘願えれば幸いです。
      今後ともよろしくお願いします!

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