鉄道唱歌 関西・参宮・南海編の歌詞(三輪山、桜井市)・観光・歴史について、わかりやすく解説してゆきます!
↓まずは原文から!
なくか昔のほとゝぎす
今は青葉の櫻井に
着きたる汽車の速やかさ
さらに読みやすく!
なくか昔の ほととぎす
今は青葉の 桜井に
着きたる汽車の 速やかさ
さあ、歌ってみよう!
♪なーくかむかしの ほととぎすー
♪いーまはあおばの さくらいにー
♪つきたるきしゃの すみやかさー
奈良駅→帯解駅→天理駅(旧・丹波市駅)→三輪駅→桜井駅→香久山駅→畝傍駅→高田駅
※鉄道唱歌に関連する主要駅のみ表記
天理駅を出て、桜井方面へ
天理駅(てんりえき、奈良県天理市)を出発し、桜井(さくらい)方面へと向かってゆきます。
すると、窓の左側には三輪山(みわやま)という、古くから神聖とされてきた山がそびえ立ちます。
またここからは、奈良県桜井市(さくらいし)に入ります。
三輪山(桜井市)

三輪山(みわやま)は、古くから神様が宿るとされてきた神聖な山であり、桜井市の名所でもあります。
歌詞の意味について確認
歌詞の「杉むら」とは、「杉の群れ」をいいます。
「むら」とは、「群れ」を現す古語です。
「がてに」とは、「~することができないで」という意味の古語です。
「過ぎがてに」とは?
「過ぎがてに」というと、「過ぎることができないで」となります。
つまり、杉の木々の群れが深く、そのすき間を「ホトトギス」が過ぎてゆけずに泣く、という意味になります。
「ホトトギス」とは?
「ホトトギス」とは、秋に泣く鳥のことです。
しかし、ホトトギスは夏に日本で繁殖する渡り鳥であるため、夏にホトトギスが鳴くことも充分考えられます。
「今は青葉の桜井に」とは?
また、次の歌詞では「今は青葉の桜(桜井)に」とあります。
つまり、桜が青い(緑の)季節というと「夏」になります。
そのため、作者の大和田建樹(おおわだ たけき)さんが、実際に鉄道唱歌 関西・参宮・南海編の旅で列車に乗っていた季節は、恐らく「夏」だったのだろうと推測できます。

三輪駅(奈良県桜井市)。微妙に鳥居っぽく見えるのは、気のせいですかね?
山そのものが神聖な、三輪山
三輪山は、山そのものが神聖(神域)となっています。
そのため、例えば僧侶などといった施設関係者以外は登ってはいけないということになっていました(※)。
※明治時代より、これは解禁されました。
現在も、後述するように条件は厳しいですが、OKとなっています。
このように、山自体が神聖であるという宗教上の理由により、
- 入ってはいけない(入山規制)
- あるいは登ってはいけない
という山は沢山あります。
世界でも、宗教上の理由で入れない・登れない山がある
世界にもそういった、
- 宗教上の理由により入山禁止な、神聖な山
- 未だに登頂が成されていない山(未踏峰)
もたくさんあるのです。
三輪山は、現在では(一定のルールのもと)登ることが可能
そんな三輪山ですが、現代では一応登ることは出来るようです。
しかし、登山にあたっては、
- 私語禁止
- 飲食禁止
- 撮影禁止
など、かなり厳しいルールが敷かれているため、登山の際には事前に確認や調べておくなど、かなり注意が必要です。
昔は、ありとあらゆるものに、神様が宿ると信じられてきた
三輪山は、大神神社の御神体となります。
つまり、山そのものを神様とみなす考え方です。
日本は「八百万の神」といって、
と信じられてきました。
つまり、科学も何も発展していなかった大昔には、ありとあらゆる自然現象は
- 「神様によるもの」
- 「神様が宿っているから」
- 「神様のおこないだから」
と信じられてきたわけです。
天照大神(アマテラスオオカミ)も、太陽の神様だとされています。
大神神社(桜井市)
大神神社(おおみわじんじゃ)は、三輪駅(みわえき、奈良県桜井市)の東側にある神社です。
大神神社は「おおみわじんじゃ」と読みます。
三輪山(みわやま)の御神体なので、「大神」という読みなのだと覚えておけばよいでしょう。
「本殿」が存在しない、大神神社
この大神神社には、「本殿」がありません。
つまり、前述の通り山自体が聖域なので、そのため本殿がないという、珍しい神社ということになります。
本殿(ほんでん)とは、神社建築のうち神様が宿るとされている建物です。
ここは通常、我々民間人が入れる・見れる場所ではありません。
拝殿(はいでん)とは、神社のうち我々民間人が入ることができて、神様を拝むための場所のことをいいます。
大神神社には本殿は存在せず、拝殿のみが存在することになります。
大神神社のウサギ
また大神神社には、いわゆるウサギさんがいらっしゃいます。
このウサギは何かというと、大国主命が日本神話で救った、あの「因幡の白兎」にちなみます。
「因幡(いなば)」とは現在の鳥取県東部のことであり、大国主命は島根県の出雲大社(いずもたいしゃ)で祀られている神様です。
「因幡の白兎」のエピソード
因幡の白兎とは、古事記などの日本神話において、
- 島の向こう岸に行こうとして、
- サメを騙し、
- サメを踏み台にして海を渡ったところ、
- サメの怒りを買ってしまい、
- 身体中を噛まれて、負傷してしまった
というウサギです(まあつまり、「自業自得」ということです)。
負傷したウサギが泣いているところを、大国主命(おおくにぬし)が薬草と医学の知識によって救ったわけです。
大国主命は、薬や医学の知識もあったのです。
心優しい大国主命の噂を聞きつけた美女・八上姫(やかみひめ)が、他の神様からの求婚を全部断って、「大国主命のお嫁さんになりたい」と言い出したのでした。
そのため、大国主命を祀る島根県の出雲大社(いずもたいしゃ)は、「縁結びの神社」として、婚活女性から人気があります。
出雲大社については、以下の記事でも解説していますので、ご覧ください。
大国主命(大物主神)を祀る神社
大神神社は、三輪山にその大国主命が潜んだという伝説があることから、大国主命を祀(まつ)る神社ということになります(※)。
※ちなみに正確には、大神神社の神様は、「大物主神」と言われています。
しかし、大物主神は大国主命と同一視(つまり、同じ神様だと思われること)されることもあります。
そのため、その所以で、大神神社にも「因幡の白兎」にちなむウサギがおられるのだと思います。
また、その大国主命が救ったうさぎが「因幡の白兎」のため、大神神社にうさぎ(の神様)がいるわけです。
「なでうさぎ」
この大神神社のうさぎを、「なでうさぎ」といいます。
このうさぎは撫でることによって、病気や怪我などが治癒するという風に言われています。
それは先ほどの
という故事に由来します。
日本のふるさと・奈良県
奈良県はかつて「大和国(やまとのくに)」と言われていて、ある意味「日本発祥の県」ともいえるため、神聖な山がたくさんあります。
例えば、三輪山をはじめ、
- 畝傍山(うねびやま)
- 天香久山(あまのかぐやま)
- 耳成山(みみなしやま)
など、昔から神様が宿るとされてきた山が多いのです。
桜井駅に到着
やがて、列車は桜井駅(さくらいえき、奈良県桜井市)に到着します。
歌詞の意味を確認
歌詞は、
- 「青葉の桜」というフレーズ
- 「桜井」という地名
を掛けているのだと思います。
これはいわゆる掛詞(かけことば)といい、日本の昔の歌では頻繁に用いられてきた、洒落・言葉遊びの一種です。
歌詞はおそらく「夏」だった?
また、先述の通り、「桜が青葉」というと季節は初夏から夏になります。
そのため、作者の大和田建樹さんが鉄道唱歌の旅をしていた時期は、だいたい夏頃だったのではと想像できます。
観光名所の多い、桜井市
奈良県桜井市(さくらいし)は、
- 三輪山(みわやま)
- 長谷寺(はせでら)
- 多武峰(とうのみね)
などといった、観光名所がとても多いことが知られます。
現在でも、土器が出てくる桜井市
また桜井市では現代でも、畑を耕している最中に土器が見つかるといいます。
昔の人々が使っていた食器や道具などが地中に放置され、現代になってから
- 畑を耕したり、
- 工事等で穴を掘っている最中
などに見つかったりするわけですね。
次は、初瀬・長谷方面へ
次は、近鉄大阪線に乗り換えて、少し東の初瀬(はつせ)・長谷寺(はせでら)方面への寄り道となります!
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