鉄道唱歌 関西編 第33番 三輪山と大神神社 やがて奈良県桜井市へ

まずは原文から!

三輪(みわ)の杉(すぎ)むら過ぎがてに
なくか昔のほとゝぎす
今は青葉(あおば)の櫻井(さくらい)に
着きたる汽車の速やかさ

さらに読みやすく!

三輪(みわ)の杉(すぎ)むら過ぎがてに
なくか昔のほととぎす
今は青葉(あおば)の桜井に
着きたる汽車の速やかさ 

さあ、歌ってみよう!

♪みーわのすぎむら すぎがてにー
♪なーくかむかしの ほととぎすー
♪いーまはあおばの さくらいにー
♪つきたるきしゃの すみやかさー

(桜井線/万葉まほろば線)
奈良駅→帯解駅→天理駅(旧・丹波市駅)→三輪駅→桜井駅→香久山駅→畝傍駅→高田駅

※鉄道唱歌に関連する主要駅のみ表記

※正式名称は「鉄道唱歌 関西・参宮・南海編」です。記事タイトルの便宜上、このようなタイトル(関西編)とさせていただいております。ご了承ください。

天理駅(てんりえき、奈良県天理市)を出発し、桜井方面へ向かっていくと、窓の左側には三輪山(みわやま)という、古くから神聖とされてきた山が聳(そび)え立ちます。

三輪山(奈良県桜井市)

またここからは、奈良県桜井市(さくらいし)に入ります。

三輪山(みわやま)は、古くから神様が宿るとされてきた神聖な山であり、桜井市の名所でもあります。

歌詞の「杉むら」とは、「杉の群れ」をいいます。
「むら」とは、「群れ」を現す古語です。

がてに」とは、「~することができないで」という意味の古語です。
「過ぎがてに」というと、「過ぎることができないで」と言います。

つまり、杉の木々の群れが深く、そのすき間を「ホトトギス」が過ぎてゆけずに泣く、という意味になります。
ホトトギス」とは、秋に泣く鳥のことです。
しかし、ホトトギスは夏に日本で繁殖する渡り鳥なので、夏にホトトギスが鳴くことも充分考えられます。
また、次の歌詞では「今は青葉の桜(桜井)に」とあります。
つまり、桜が青い(緑の)季節というと「夏」なので、作者の大和田建樹(おおわだ たけき)さんが実際に鉄道唱歌 関西・参宮・南海編の旅で列車に乗っていた季節は、恐らく「夏」だったのだろうと推測できます。

三輪駅(奈良県桜井市)。微妙に鳥居っぽく見えるのは、気のせいですかね?

三輪山は山が神聖(神域)なので、僧侶など施設関係者以外は登ってはいけないということになっていました(明治時代よりこれは解禁され、現在も後述するように条件は厳しいがOK)。
このように、山自体が神聖であるという宗教上の理由により、入ってはいけない・あるいは登ってはいけない山は沢山あります。
世界にもそういった、宗教上の理由により入山禁止な神聖な山があり、未だに登頂が成されていない山もたくさんあるのです。

そんな三輪山ですが、現代では一応登ることは出来るようです。
しかし登山にあたっては私語禁止・飲食禁止・撮影禁止などかなり厳しいルールが敷かれているため、登山の際には事前に確認や調べておくなど、かなり注意が必要です。

三輪山(みわやま)は、大神神社(おおみわじんじゃ)の御神体(ごしんたい)となります。
つまり山そのものを神様とみなす考え方です。
日本は「八百万(やおよろず)の神」といって、山や太陽・星・炎などあらゆるものに神様が宿ると信じてきました。
つまり、科学も何も発展していなかった大昔には、ありとあらゆる自然現象は「神様によるもの」「神様が宿っているから」「神様のおこないだから」と信じられてきたのです。
天照大神(アマテラスオオカミ)も、太陽の神様だとされています。

大神神社(おおみわじんじゃ)は、三輪駅(みわえき、奈良県桜井市)の東側にある神社です。
大神神社は「おおみわじんじゃ」と読みます。
三輪山(みわやま)の御神体なので、「大神(おおみわ)」という読みなのだと覚えておけばよいでしょう。

この大神神社には、「本殿」がありません。
つまり、前述の通り山自体が聖域なので、そのため本殿がないという、珍しい神社ということになります。
本殿(ほんでん)とは、神社建築のうち神様が宿るとされている建物です。ここは通常、我々民間人が入れる・見れる場所ではありません。
拝殿(はいでん)とは、神社のうち我々民間人が入ることができて、神様を拝むための場所のことをいいます。
大神神社には本殿は存在せず、拝殿のみが存在することになります。

また大神神社には、いわゆるウサギさんがいらっしゃいます。
このウサギは何かというと、大国主命(おおくにぬし)が日本神話で救った、あの「因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)」にちなみます。

因幡(いなば)」とは現在の鳥取県東部のことであり、大国主命は島根県の出雲大社(いずもたいしゃ)で祀(まつ)られている神様です。

因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)とは、古事記(こじき)などの日本神話において、島の向こう岸に行こうとしてサメを騙してサメを踏み台にして海を渡ったところ、サメの怒りを買ってしまい身体中噛まれて負傷してしまったウサギです(まあつまり、「自業自得」ということです)。

負傷したウサギが泣いているところを、大国主命(おおくにぬし)が薬草と医学の知識によって救ったわけです。
大国主命は、薬や医学の知識もあったのです。
心優しい大国主命の噂を聞きつけた美女・八上姫(やかみひめ)が他の神様からの求婚を全部断って大国主命のお嫁さんになりたいと言い出したので、大国主命を祀る島根県の出雲大社(いずもたいしゃ)は、「縁結びの神社」として婚活女性から人気があります。

大神神社は、三輪山にその大国主命(※)が潜んだという伝説があることから、大国主命(※)を祀(まつ)る神社ということになります。

※ちなみに大神神社の神様は「大物主神(おおものぬしのかみ)」と言われていますが、大物主神は大国主命と同一視(つまり、同じ神様だと思われること)されることが多いため、その所以で大神神社にも「因幡の白兎」にちなむウサギがおられるのだと思います。

また、その大国主命が救ったうさぎが「因幡の白兎」のため、大神神社にうさぎ(の神様)がいるわけです。

この大神神社のうさぎを、「なでうさぎ」といいます。
このうさぎは撫でることによって、病気や怪我などが治癒するという風に言われています。
それは先ほどの大国主命が、因幡の白兎の怪我を治した故事に由来します。

奈良県はかつて「大和国(やまとのくに)」と言われていて、ある意味「日本発祥の県」ともいえるので、神聖な山がたくさんあります。
三輪山をはじめ、畝傍山(うねびやま)・天香久山(あまのかぐやま)・耳成山(みみなしやま)など、昔から神様が宿るとされてきた山が多いのです。

やがて、列車は桜井駅(さくらいえき、奈良県桜井市)に到着します。

歌詞は、「青葉の桜」と、「桜井」という地名を掛けているのだと思います。
いわゆる、掛詞(かけことば)といい、日本の昔の歌では頻繁に用いられてきた洒落・言葉遊びの一種です。
また、先述の通り、桜が青葉というと季節は初夏から夏なので、作者の大和田建樹さんが鉄道唱歌の旅をしていた時期はだいたい夏頃だったのではと想像できます。

奈良県桜井市(さくらいし)は、三輪山(みわやま)、長谷寺(はせでら)、多武峰(とうのみね)などの観光名所がとても多いことが知られます。
また桜井市では現代でも、畑を耕している最中に土器が見つかるといいます。昔の人々が使っていた食器や道具などが地中に放置され、現代になってから畑を耕したり、工事等で穴を掘っている最中などに見つかったりするわけですね。

次は、近鉄大阪線に乗り換えて、少し東の初瀬(はつせ)・長谷寺(はせでら)方面への寄り道となります!

注意
この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
もし内容の誤りに気付かれた方は、「お前は全然知識ないだろ!勉強不足だ!」みたいなマウントを取るような書き方ではなく、「~の部分が誤っているので、正しくは~ですよ」と優しい口調で誤りをコメント欄などでご指摘頂ければ嬉しく思います。再度こちらでも勉強し直し、また調べ直し、内容を修正致します。何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

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