中央線鉄道唱歌 第21番 山梨市の「差出の磯」と笛吹川 そして石和温泉へ

まずは原文から!

さし出の磯(いそ)の村千鳥(むらちどり)
鳴きて過ぎ行ゆく日下部(くさかべ)や
石和(いさわ)の川に夜をこめて
鵜飼(うかい)舟(ぶね)にや棹(さお)さゝむ

さらに読みやすく!

さし出の磯(いそ)の村千鳥(むらちどり)
鳴きて過ぎ行ゆく日下部(くさかべ)や
石和(いさわ)の川に夜をこめて
鵜飼(うかい)舟(ぶね)にや棹(さお)ささん

さあ、歌ってみよう!

♪さしでのいーその むらちどりー
♪なーきてすぎゆく くさかべやー
♪いさわのかーわに よをこめてー
♪うーかいぶねにや さおささんー

(中央東線)
高尾駅→相模湖駅→上野原駅→四方津駅→鳥沢駅→猿橋駅→大月駅→初狩駅→笹子駅→(笹子トンネル)→甲斐大和駅→塩山駅→山梨市駅→石和温泉駅→酒折駅→甲府駅

※鉄道唱歌に関連する主要駅のみ表記

塩山駅を出て、山梨市駅へ 周囲はたくさんの「ブドウ畑」

塩山駅(えんざんえき、山梨県甲州市)を出ると、列車は甲府盆地の真ん中へ向かって、西へどんどん走ってゆきます。

この近辺は、窓を見渡すと、広大なぶとう畑がたくさん広がっています。
それもそのはず、山梨県はぶどうの生産量日本一の県だからです。
それに加えて桃の生産量も日本一のため、山梨県は「フルーツ王国」とも呼ばれます。

山梨市駅へ到着 かつては「日下部駅」だった

やがて、山梨市駅(やまなししえき、山梨県山梨市)に到着します。

山梨市駅(山梨県山梨市)
山梨市駅(山梨県山梨市)
山梨市駅(山梨県山梨市)

歌詞にある日下部(くさかべ)とは、現代の山梨市駅(やまなししえき)のことをいいます。
山梨市駅は、開業当時は日下部駅(くさかべえき)と呼ばれていました。

実は県庁所在地ではない、山梨市

山梨県山梨市(やまなしし)は、市名こそ山梨市ですが、実は県庁所在地ではありません。

山梨県の県庁所在地は、甲府市(こうふし)になります。
このように、”県庁所在地でない県名の市”は他にも以下のように存在します。


山梨県山梨市 県庁所在地:甲府市
沖縄県沖縄市 県庁所在地:那覇市
栃木県栃木市 県庁所在地:宇都宮市

沖縄市は、沖縄県のやや中央にある市です。

栃木市は、栃木県第2の都市である小山市(おやまし)のやや西にある市です。栃木市は「巴波川(うずまがわ)」の小江戸の景色がとても素晴らしいです。

これらは社会科の地理のテストでも、引っかけ問題として出されるかもしれませんので、気を付けましょう。
また、もしこの記事を社会科の先生が見てたら、どうか引っかけ問題として出さないであげてください(^^;)

笛吹川の景勝地「差出の磯」

差出の磯(さしでのいそ)とは、山梨市のやや北にある、笛吹川(ふえふきがわ)の作り出す景勝地になります。

差出の磯は、古くからたくさんの詩人たちの憧れとして、また歌に詠まれてきた歴史があります。
その詠まれてきた歌の多くは、基本的に以下のようになものが多いです。

※以下、全部筆者の作詞です。

【1】しほのやま さしでのいその むらちどり
まるでみんなで 楽しそうだな

【2】しほのやま さしでのいその ちどりたち
たのしいあぞび かんがえようね

【3】しほのやま かなしくむれて なくちどり
さしでのいその こいもむなしき

※【1】【2】【3】ともに、分かり易さの観点から(過去の歌詞の傾向を分析して)、私(筆者)が勝手に考えて作った歌です。
どれも深い意味はありません(考えなくて大丈夫です)。

「しほのやま」に由来する「塩山」

しほのやま(塩の山)」とは、山梨県甲州市の「塩山(えんざん)」の由来となった山のことです。「四方を見渡せる山」から「しほのやま」となり、そこから時代とともに「しおのやま→塩の山→塩山」と変化してゆきました。

ちなみに【1】【2】【3】どの歌も「しほのやま」から始まり、その後に「さしでのいそ(差出の磯)」というフレーズがまるで”お決まり””お約束”かのように続き、その後に「ちどり(千鳥)」というフレーズが登場していることに気付くでしょうか。

ちょっと難しい「枕詞」のお話

まずこの「しほのやま」は、「枕詞(まくらことば)」といいます。
枕詞(まくらことば)とは、歌をカッコよくするために、また字数を合わせるために使われてき、日本の昔の歌のテクニックの1つです。

ちはやふる~
ひさかたの~

などは、典型的・代表的な枕詞の一種です。

そして枕詞そのものには意味が無く、訳されることもありません。

なので、子どもの頃の私(筆者)のようなひねくれた生徒にとっては、この「無意味に使われる枕詞」の存在意義が理解できず、国語の先生を困らせることになります。

なんでこんな枕詞があるんですか?
と子どものとき国語の先生に聞いたことがあるのですが、
そういうものなんだから、きちんと覚えなさい、テストに出すわよ
と、(当たり前だと思いますが)まともに教えてはくれませんでした。
正直、私は心の中で「先生自身も多分わかっていないだろ!」とか「もはやテストで点を取らせないための嫌がらせだろ!」とか散々すら思ってました(言葉が汚くてすみません(^^;))ろくでもない生徒ですね。

日本の昔の歌は、基本的に五・七・五・七・七のフレーズになっています。
これは恐らく、日本の地名に「五文字のもの」が多く、また「七文字だと合わせやすい」「リズムよく聞こえる」等の理由もあるからだと思われます。
五文字と七文字の組合せは、ラップ調にしてもカッコよく聞こえます。
鉄道唱歌の歌詞も、基本的に「七文字と五文字の繰り返し七五調/しちごちょう)」になっていますよね。

ここで、例えば「ちはやふる」という五文字のフレーズが出てくると、その後に必ず「~」という言葉が出てくるということになります。
これはもはや「古くからの風習」や「しきたり」みたいなものであり、そういうルールになっているとしか言いようのない部分があります。

昔のある天皇や貴族が「ちはやふ 神~」みたいな歌を一度歌うと、必然的に周りの人や後世の人達も(畏れ多くて)そのルールを壊すわけにはいかないため、長年かけてこの「枕詞」のルールが(人々の知らず知らずのところで)定着してしまったのでしょう。

例えば
ひさかたの」→「天」「雲」「月」など
ちはやふる」→「神」
しほのやま」→「さしでのいそ」「ちどり」
みたいな感じの組合せです。

また「枕詞」は必ず五文字なので、作詞する側にとっては、アイデアが浮かばない時はとりあえず枕詞を使っておけばよく、作詞者の負担軽減につながる(?)といったメリットもあるでしょう。

また、「しほのやま」と来れば必ず「さしでのいそ」というフレーズが登場するルールになっているので、作詞がしやすく、また聞く側にとっても何の歌なのかが予測しやすくなります(特に「小倉百人一首」などの歌のゲームにおいては)。

平安時代は「朝廷」といって、貴族の皆さんは朝はやくに出勤し、昼には公務を終えていました(その代わり土日休みは無し)。
そして昼からは、歌を詠んで優雅に遊ぶという生活をしていましたから、こうした「歌あそび」は天皇や貴族にとってはとても重要だったのです。

また「ちどり」は三文字なので、あと二文字付け加えるだけで、簡単に五文字にできます。

鳴く千鳥
ゆく千鳥

などです。

差出の磯の歌も、長年にわたって「千鳥」というフレーズとともに使用される行為が繰り替えされ、定着したのでしょう。

上記の理由を考えたり知らなければ、私のような「ひねくれた生徒」が国語の先生に
何で枕詞とか意味不明なものがあるんですか」と聞いても
そういうものだから、我慢して覚えなさい
覚えないと志望校に受からないわよ
と返されるのが普通ですし、何でもかんでも質問したがる私のような生徒は、先生にとっては困るでしょう。
トーマス・エジソンも、子どもの頃は先生に質問しまくって困らせていたエピソードがあります。

そして「枕詞」と「その後に続くフレーズ」の組み合せの勉強は、結局のところ単なる暗記作業にもなりやすく、一方の先生側の立場からすれば試験問題を作りやすいため、必然的にテストに出やすくなります。
しかしこれを覚えさせられる生徒にとっては、上記の「なぜ枕詞は存在するのか」の意義を理解していなければ、「何のためにこんな暗記をしなければならないのか。将来何の役に立つのか」という思考に陥るようになり、結局は半ば強制的に暗記を強いられるだけという事態につながります。これが子どもが勉強を嫌いになる、1つの原因でもあります。

また、私(筆者)のようにADHDやASDなどの発達障害がある人は、「こういうものだから黙ってやりなさい(覚えなさい)」と言われるのが非常に苦手です。
また、ADHDだったことで有名なトーマス・エジソンも幼少期はこの事で苦労されていました。
なので元学校教員だったエジソンの母は、トーマスに対して「ただ覚えるだけでなく、なぜそうなるのか」を考えさせる勉強を教えたといいます。

話がだいぶ長くなりましたが、「枕詞」が何なのか、この「差出の磯」から発展して何でそうなるのかを気になって仕方がなかったので、私も納得いくまで調べてみました。
あの野口英世も、一度気になったことは納得いくまで調べていたといいます。

笛吹川と、石和温泉 石和温泉駅に到着

歌詞にある「石和(いさわ)の川」とは、ここでは「笛吹川(ふえふきがわ)」のことをいいます。
笛吹川は、かつてより灌漑(かんがい)に用いられてきた歴史があります。
灌漑(かんがい)とは、川から農地に水を引っ張ってくることをいいます。
これによって畑に水が届くので、周辺のブドウ畑が栄えることになります。

石和と書いて、「いさわ」と読みます。

石和温泉駅(いさわおんせんえき、山梨県笛吹市)
石和温泉駅(山梨県)
石和温泉駅(山梨県)

石和温泉(いさわおんせん)は、山梨県笛吹市(ふえふきし)にある温泉地です。
また、石和温泉駅(いさわおんせんえき)は、笛吹市の主要駅となります。特急「かいじ」の停車駅ともなります(「あずさ」は八王子~甲府間ノンストップなので、止まらないケースが多いです)。
山梨県笛吹市(ふえふきし)は、石和温泉を中心とした町になります。また、石和温泉駅の駅前にはイオンもあり、買い物に便利です。

工事中にお湯が吹き出した、石和温泉

石和温泉は、戦後にその「お湯」が発見されたという、温泉の歴史としてはかなり新しい部類のものになります。
というのも、世の中の大半の有名な温泉は、めちゃくちゃ昔から存在していたものが多いからです。
例えば、弘法大師(こうぼうだいし)・空海が平安時代に発見したというお湯(温泉)は全国各地にありますし、また長野県の「束間の湯(つかまのゆ。現代の「筑摩の湯」)」のように神話の時代から存在していたものもあります。つまり、「古事記」などの神話の本に、温泉の名前が記載されているということです。

なので、戦後に発見された石和温泉は、比較的新しい温泉だといえます。

石和温泉は、なんでも戦前からその「お湯」の存在が噂されていたそうです。
なぜなら、ぶどう畑を耕すときに、ちょくちょくお湯が沸いていたという噂話があったからです。
それが戦後の1956年に、工事のため「ボーリング」の機械によって井戸の穴を掘ったところ、温泉がどっと湧き出したことが、石和温泉の始まりとなりました。

鵜飼い(うかい)とは、鵜(う)という鳥を使って、アユという魚を捕らえる伝統的な手法です。
岐阜県の「長良川の鵜飼い(ながらがわのうかい)」が有名です。

次は、酒折駅(さかおりえき)に止まります!

注意
この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
もし内容の誤りに気付かれた方は、「お前は全然知識ないだろ!勉強不足だ!」みたいなマウントを取るような書き方ではなく、「~の部分が誤っているので、正しくは~ですよ」と優しい口調で誤りをコメント欄などでご指摘頂ければ嬉しく思います。再度こちらでも勉強し直し、また調べ直し、内容を修正致します。何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

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