中央線鉄道唱歌 第28番 竜王・韮崎・新府を登ってゆく やがて日野春、小淵沢へ

中央線鉄道唱歌の歌詞を、わかりやすく解説してゆきます!
竜王・韮崎などの地理・歴史を、やさしく解説してゆきます!

↓まずは原文から!

煙草たばこ産地さんち龍王りゅうおう
韮崎驛にらさきえき車窗しゃそうより
新府しんぷあととむらひつ
登る日野春ひのはる小淵澤こぶちざわ

さらに読みやすく!

煙草たばこ産地さんち 竜王りゅうおう
韮崎駅にらさきえきの 車窓しゃそうより
新府しんぷあとを とむらいつ
登る日野春ひのはる 小淵沢こぶちざわ

さあ、歌ってみよう!

♪たばこのさーんち りゅうおうや
♪にらさきえきのー しゃそうより
♪しんぷのあーとを とむらいつー
♪のーぼるひのはる こぶちざわー
(中央東線)
甲府駅→竜王駅→韮崎駅→新府駅→日野春駅→小淵沢駅→富士見駅→青柳駅→茅野駅→上諏訪駅→下諏訪駅→岡谷駅(→至・塩尻駅)

※鉄道唱歌に関連する主要駅のみ表記

甲府駅を、諏訪・松本方面へ出発

やや長かった甲府観光はここで終わり、これより甲府駅を出発します。

竜王駅・韮崎駅・新府駅・日野春駅・小淵沢駅へと進む

甲府駅を出ると、歌詞にあるように、

  • 竜王駅りゅうおうえき(山梨県甲斐市)
  • 韮崎駅にらさきえき(山梨県韮崎市)
  • 新府駅しんぷえき(山梨県韮崎市)
  • 日野春駅ひのはるえき(山梨県北杜市)
  • 小淵沢駅こぶちざわえき(山梨県北杜市小淵沢町)

のように進んでゆきます。

南アルプスの山々(中央本線の車窓より)

南アルプスの山々(中央本線の車窓より)

この地域では、周囲に標高2,000m~3,000mの高い山々が連なり、日本の屋根と言ってもいいような場所を走ります。
列車もどんどん標高を上げてゆき、標高約300mの甲府から標高約955mの富士見駅まで、長野県方面へ一気に登ってゆきます。

竜王駅へ到着!「信玄堤」のある甲斐市

竜王駅(山梨県甲斐市)

竜王駅(山梨県甲斐市)

竜王駅は、山梨県甲斐市かいしの駅です。

甲斐市かいしは、歌詞にあるように煙草の産地として知られます。

甲斐市の「信玄堤」

甲斐市には、武田信玄の時代に、洪水の対策として作られた「信玄堤しんげんづつみ」があります。

昔の川は、氾濫しまくっていて住民を困らせていたため、堤防を作ることは急務だったのでした。

山梨県は「甲」のつく地名が多い 混同防止のために

山梨県はかつて「甲斐国かいのくに」と呼んでいたので、「甲」がつく地名が多くなります。
県庁所在地の甲府市こうふしをはじめ、

  • その左側(西側)が「甲斐市かいし
  • 甲府市の右側(東側)が「甲州市こうしゅうし

ですので、間違わないようにしましょう。

簿記の「貸借対照表」のような覚え方

ここで「こう”し”ゅうし」の「し」の文字が右側を向いているため、甲州市は甲府より「右側」と覚えれば楽かもしれません(^^;) 

これは簿記などで習う貸借対照表たいしゃくたいしょうひょうにおいて、

  • 借方かりかたは、「左側
  • 貸方かしかたは、「右側

というのと同じ覚え方です。(^^;)

借方かしかたの場合は、「かり」の「り」の文字が左を向いているため、貸借対照表において左側というわけです。

甲斐市かいしについては、

  • かいし」→「かりし(勝手に変換)」→「左側

と覚えるしかないでしょう(^^;)
無理矢理すぎる・・・。

夢窓疎石の「恵林寺」が存在する甲州市

甲州市の中心駅は塩山駅えんざんえきであり、夢窓疎石むそうそせきが建立した恵林寺えりんじがあります。

甲州市塩山については、以下の記事をご覧ください。

中央線鉄道唱歌 第20番 窓に広がるぶどう畑 塩山駅と、夢窓国師の開いた恵林寺
中央線鉄道唱歌の歌詞を、わかりやすく解説しています!鉄道の知識のみならず、歴史や旅行を楽しむためのノウハウを、鉄道に詳しくない人でも楽しめるよう解説してゆきます!

続いて、韮崎駅(韮崎市)へ 

続いて、韮崎駅にらさきえき(山梨県韮崎市)に着きます。

韮崎駅(山梨県韮崎市)

スイッチバック時代の跡が残る、急勾配に位置する駅

韮崎駅にらさきえきは、とても勾配がきつい位置にあるため、かつてスイッチバックがあった駅でした。

スイッチバックとは、簡単にいうと「人」の形をした線路です。
昔の列車は、勾配に弱かったため、勾配対策のために設けられた線路のことです。

例えば昔の車両だと、勾配のきつい位置に列車を止めておくのはきつかったのでしょう(雪で滑り落ちる、など)。

韮崎駅でのスイッチバックでは、

  1. 奥に別途設置された、駅のホームに入って、
  2. 客の乗り降りをさせ、
  3. その後、再び本線に戻って、前進する

という形になります。

中央線には、スイッチバックの跡が多い

中央線は、勾配のきつい山岳地帯を走ることが多いです。
そのため、このようなスイッチバック(をやっていた形跡)がたくさん存在します。

かつてスイッチバックが存在した駅の例

中央線において、かつてスイッチバックを行っていた駅は、例えば以下のような駅があります。

  • 初狩駅はつかりえき(山梨県大月市初狩町)
  • 笹子駅ささごえき(山梨県大月市笹子町)
  • 勝沼駅かつぬまえき(山梨県甲州市勝沼町)(※現:勝沼ぶどう郷駅
  • 新府駅しんぷえき(山梨県韮崎市)

※他にもまだまだあります。

そもそも、中央線のスイッチバックの目的は?現代は多くが廃止に

また、スイッチバックには単線(線路が1本のみ)だった時代に、列車同士の行き違いために、退避されるという目的もありました。

しかし現在では、

  • 列車性能が向上し、きつい坂道の上に車両を止めたとしても問題なくなったため
  • 複線化(線路が2本になること)が行われ、いわゆる「通過待ち」は不要になったため

などの理由により、スイッチバックの大半はもはや不要となり、その多くは廃止されています。

新府駅に到着 武田勝頼が負けを覚悟し、燃やして捨ててしまった城

やがて、かつて戦国時代に新府城しんぷじょうのあった、

  • 新府駅しんぷえき(山梨県韮崎市)

に到着します。

新府駅(山梨県韮崎市)

新府城しんぷじょうとは、かつて武田勝頼が築いた城でした。

「新府」の由来は、恐らくですが

  • (=甲斐国の国府、府庁などの意味)に取って代わる、しい府庁

という意味で、「新府」という地名になったのだと思われます。

なぜ、新府城は建てられたのか

では、なぜ新府城は建てられたのか

1575年の「長篠の戦い」で織田信長の鉄砲隊に敗れた武田勝頼は、その勢いを急速に失ってゆきました。

西から攻めてくる織田軍に備えるため

当時まだ、甲府市あたりに拠点を構えていた武田勝頼は、

  1. 西側から(諏訪方面から、もっと厳密には名古屋→木曽側)から攻めてくる織田信長の軍に備えるために、
  2. 甲府よりもやや西に、新府城を造ることにした

のでした。

財政不足・人手不足により、城建設を諦める

しかし武田氏は既に劣勢であり、財政も尽きてしまっていたのでした。しかも、無理にこきつかった甲斐国の民たちも、既に武田勝頼から心は離れていっていました。

こうした資金不足や労働力不足などの問題もあり、新府城の建設はろくに進みませんでした。

新府駅(山梨県韮崎市)

作りかけの城を焼却し、東へ逃げる

結局、武田勝頼は造りかけの新府城を断念して、きれいに焼き払った後に、

  • 甲府→大月

の方面へ逃げました。

なぜ焼き払ったのかというと、造りかけの新府城が乗っ取られた場合、それを利用して、敵の本拠地の城に改造されてしまうという恐れがあるからです。
立つ鳥後を濁さず(=去る者は綺麗に片付けて去ること)」という意味もあるでしょうが、それだけではなさそうです。

東の山へ逃げ、天目山にて自害へ

その後、武田勝頼は東にある山梨県大月市おおつきしにある岩殿山いわどのやまに向かい、部下だった小山田信茂おやまだのぶしげに、かくまってもらおうとしたのでした。

しかし残念ながら裏切られてしまい、少し手前の天目山てんもくざん(中央線の甲斐大和駅のあるあたり)で追っ手に捕まってしまい、悲劇の自害を遂げています。

岩殿山については、以下の記事でも解説していますので、ご覧ください。

中央線鉄道唱歌 第15番 大月の名所・岩殿山 主君・武田勝頼に背いた部下とは
中央線鉄道唱歌の歌詞を、わかりやすく解説しています!鉄道の知識のみならず、歴史や旅行を楽しむためのノウハウを、鉄道に詳しくない人でも楽しめるよう解説してゆきます!

天目山については、以下の記事でも解説していますので、ご覧ください

中央線鉄道唱歌 第18番 逃げ場を失った武田勝頼が滅びた、甲斐大和駅の東の天目山
中央線鉄道唱歌の歌詞を、わかりやすく解説しています!鉄道の知識のみならず、歴史や旅行を楽しむためのノウハウを、鉄道に詳しくない人でも楽しめるよう解説してゆきます!

日野春駅を過ぎて、やがて小淵沢駅へ 小海線との分岐駅

新府駅を出てさらに進むと、やがて

  • 日野春駅ひのはるえき(山梨県北杜市)

を過ぎて、小海線こうみせんとの分岐駅でもある

  • 小淵沢駅こぶちざわえき(山梨県北杜市)

に着きます。

北杜市は、「ほくとし」と読みます。

日野春駅(山梨県北杜市)

小淵沢駅(山梨県北杜市)

小淵沢駅から北へ延びる、小海線

小淵沢駅からは、はるか北の長野県小諸市こもろしに至る、小海線こうみせんが出ています。

標高約1,345m、JR最高峰の駅・野辺山駅

野辺山駅(長野県南佐久郡南牧村野辺山)

小海線には、野辺山駅のべやまえき(長野県南佐久郡南牧村野辺山)という、標高約1,345mJR線で最も標高の高い位置にある駅がよく知られます。

夏はとても涼しく、まるで北海道に来たような印象を受けます。
また、西には八ヶ岳やつがたけの雄大な姿が登場します。

次回は、富士見駅へ

次は、富士見駅ふじみえきに止まります!

ちゅうい!おわりに

この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
もし内容の誤りに気付かれた方は、「お前は全然知識ないだろ!勉強不足だ!」みたいなマウントを取るような書き方ではなく、「~の部分が誤っているので、正しくは~ですよ」と優しい口調で誤りをコメント欄などでご指摘頂ければ嬉しく思います。再度こちらでも勉強し直し、また調べ直し、内容を修正致します。何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

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