今回は、房総半島の南東の海岸沿いである、御宿・大原・上総一ノ宮といった地域の話題となります。この地域の旅行を低予算かつ充実して楽しむポイントを、わかりやすく解説します!!
(外房線)
安房鴨川駅→安房小湊駅→行川アイランド駅→上総興津駅→鵜原駅→勝浦駅→御宿駅→大原駅→上総一ノ宮駅→茂原駅→大網駅
※上記は全ての駅ではなく、スペースの都合上筆者が独断でピックアップしたもの
勝浦駅を出て、上総一ノ宮・大網方面へ
勝浦駅(かつうらえき、千葉県勝浦市)を出ると外房線(そとぼうせん)に従って北東へ進み、
- 上総一宮(かずさいちのみや)
- 茂原(もばら)
- 大網(おおあみ)
方面へと向かってゆきます。
御宿駅に到着
やがて御宿駅(おんじゅくえき、千葉県夷隅郡御宿町)に至ります。
御宿(おんじゅく)とは、かつて北条時頼(ほうじょう ときより)がここに宿を置いたことからその名前になりました。
北条時頼とは
北条時頼は、鎌倉幕府5代目執権(しっけん)です。
執権とは鎌倉幕府の将軍に代わって政治を行う重要なポストです。
他に有名な執権としては、
- 2代目執権・北条義時(よしとき)
- 8代目執権・北条時宗(ときむね)
らがいます。
義時は「13人の合議制」の一人として有名です。
時宗は、モンゴル襲来(元寇)のときの執権です。
夷隅郡(いすみぐん)
御宿町(おんじゅくまち)が存在する夷隅郡は、「いすみぐん」と読みます。
大原駅(いすみ市)に到着
御宿駅を出ると、やがて「いすみ鉄道」との分岐線である、大原駅(おおはらえき、千葉県いすみ市)に到着します。
「いすみ鉄道」との分岐駅・大原駅
大原駅(おおはらえき)は、第三セクター路線である「いすみ鉄道」との分岐駅でもあります。
第三セクターとは、半分が民間、半分が公営という形式の組織です。
元々は「木原線」で、木更津と接続するはずだった
いすみ鉄道は、元々はJR東日本の木原線(きはらせん)という鉄道路線であり、大正時代に木更津~大原間の開通を目的として建設されました。
木原線の由来は、
- 「木更津」(きさらづ)
- 「大原」(おおはら)
に由来しています。
つまり現在木更津駅から出ている久留里線(くるりせん)と接続するはずだった路線なのです。
木更津との接続は実現せず、第三セクターへと移管
しかしそれは実現することはなく、1988年にJR東日本から「いすみ鉄道」にその経営が引き継がれました。
これが「いすみ鉄道」が第三セクターである所以(ゆえん)です。
つまり、いすみ鉄道と沿線自治体(線路の周辺の町)がお金を出しあって運営しているという形式になります。
小湊鐵道を通じて房総半島の反対側へと至る、いすみ線
そしていすみ鉄道・いすみ線は、途中の
- 上総中野駅(かずさなかのえき、千葉県夷隅郡大多喜町)
で小湊鐵道(こみなとてつどう)と接続し、市原市の五井駅(ごいえき)へと至る路線になります。
結局は、違う形で「紀伊半島横断」が実現した
以上を踏まえると、房総半島を横断して反対側へと至る路線は、大正時代に想定していたもの(木更津~大原)とは異なる形(市原・五井~大原)で実現したということです。
上総一ノ宮駅(一宮町)に到着
大原駅を出ると、やがて上総一ノ宮駅(かずさいちのみやえき、千葉県長生郡一宮町)に到着します。
上総国一宮・玉前神社
上総一ノ宮(かずさいちのみや)とは、上総国(かずさのくに)の一宮(いちのみや)である玉前神社(たまさきじんじゃ)という神社に由来しています。
「上総国」とは
上総国(かずさのくに)とは、千葉県の中部のことをいいます。
一方、
- 千葉県北部のことを、下総国(しもうさのくに)
- 千葉県南部のことを、安房国(あわのくに)
といいます。
京都に近い方が「上」と覚えよう
ここで地図上で上の方が「下」、下の方が「上」となっています。
これは、昔は上総国の方が京都に近かったことに由来しています。
上総国の方が地図上で「下」にある理由
というのも、大昔は現在の東京~千葉の区間にあたる地域はまだ道がなく、ただの野生の湿地(つまり、原生の草が生えているだけの土地)だったため、人々は通る(往来する)ことは出来ませんでした。
そのため、大昔の人々は陸ではなく海上ルートを通って京都の方面まで行っていたのでした。
だいたい木更津・君津・富津あたりの海岸から船出していたわけですね。
昔は京都に近い方を「上」、遠い方を「下」として位置付けていました。
新潟県の「上越」「中越」「下越」というネーミングも同じ理由です。
そのため、海上ルートのあった上総のほうが京都に近いため、地図上では「下」にあるのに「上総国」となったわけです
「国」とは?
国(くに)とは、奈良時代の律令制における、全国のエリア分けのことであり、現在でいう「都道府県」に該当します。
ただし、千葉県の場合は先述の通り、下総・上総・安房の3つの国からなります。
「一宮」とは?
一宮(いちのみや)とは、その国で一番格式の高い神社のことをいいます。
その国では一宮をトップとして、二宮(にのみや)、三宮(さんのみや)と続きます。
また、一宮・二宮・三宮といった神社は、上総一宮や尾張一宮などのように、その地域の地名の由来にもなったりします(他にも有名なところでは、神戸の「三ノ宮」など)。
「官幣大社」とは?
似たような制度に、官幣大社(かんぺいたいしゃ)というものがあります。
官幣大社(かんぺいたいしゃ)は、明治時代の「近代社格制度(きんだいしゃかくせいど)」と呼ばれる制度における神社のランク・格付けです。
詳しくは、以下の記事でも解説していますので、ご覧ください。
神武天皇の母・玉依姫を祀る、玉前神社
玉前神社(たまさきじんじゃ)は、先述の通り上総一宮の地名の由来となった神社であり、その名の通り上総国の一宮にあたる神社となります。
また、神武天皇(じんむてんのう)のお母さんにあたる玉依姫(タマヨリビメ)を祀(まつ)る神社になります。
神武天皇とは、日本の初代天皇であり(現代の令和の天皇陛下は第126代)、紀元前660年2月11日に神武天皇が奈良県橿原市(かしはらし)において即位し、日本を建国したとされています。
詳しくは、以下の記事でも解説していますので、ご覧ください。
上総一ノ宮駅から先は、「複線」に
上総一ノ宮駅を境に、ここからは線路の本数が増え「複線」となります。
つまり線路が二本(以上)になる、ということです。
複線になると列車の行き違いが容易となるため、単線の時のようにどこかの駅で列車の行き違いを待つ必要が無くなります。
また、ここからは千葉・東京、そして神奈川県の逗子(ずし)・久里浜(くりはま)方面への直通列車が増えます。
京葉線の通勤快速が「廃止」に
余談ですが、ついこの間、京葉線(けいようせん)の通勤快速が2024年3月のダイヤ改正をもって廃止になりました。
このことで世間的に問題になり、一宮町の馬淵正也(まぶち まさや)町長が「暴挙と言わざるを得ない」と反対の声を上げたことで、話題になったことがありました。
沿線住民にとっては大打撃
京葉線(けいようせん)とは、
- 東京都
- 千葉県
の間を、(東京湾の)海沿いに走る路線のことです。
この京葉線の通勤快速が朝夕の時間帯で廃止になるという発表をJR東日本が打ち出したことで、沿線住民からの猛反発を受けました。
というのも、「通勤快速が止まる駅」という理由でその街(沿線上)に引っ越した人もいるので、通勤快速が失くなったら一気に東京への通勤などで不便になるからですね。
一宮町へのアクセスにも影響
また上総一ノ宮駅は、東京から快速一本で乗り換え無しで来られることも町の強みの一つであり、通勤快速が廃止となると一宮町への(東京からの)朝夕の通勤が一気に不便になってしまいます。
そのため、町の人々の生活スタイルにも影響してくるわけです。
2024年3月以降、京葉線を走る快速列車は通勤時間とはかけはなれた昼間のみとなり、朝・夕の列車のほとんどは普通列車(一部は特急列車)となっています。
一方で、「メリット」を感じる人も
これにより、通勤時間が最大20分長引くことになり、それまで通勤快速の恩恵を受けていた方々がいつもより早起きをせざるを得なくなったなど、かなり困惑する事態となったようです。
しかし一方で、それまで通勤快速が止まらない駅から乗っていた人々にとっては各駅停車(普通列車)の本数が多くなったことから、むしろ便利になったという意見もあります。
鉄道の廃止問題は、地域住民への影響が大きい
このように、鉄道の廃止問題は地域住民や地域経済の死活問題になることがあります。
しかしその一方、JR東日本をはじめとする鉄道会社からすれば経営の予算問題を解消したい思惑など、両者の意見が食い違うと問題になることがあり、深く考えさせられる部分があります。
次は、茂原・大網方面へ
次は、茂原(もばら)、大網(おおあみ)に止まります!
ちゅうい!おわりに
この記事は、「旅行初心者に教える」ことを目的地として書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
もし内容の誤りに気付かれた方は、「お前は全然知識ないだろ!勉強不足だ!」みたいなマウントを取るような書き方ではなく、「~の部分が誤っているので、正しくは~ですよ」と優しい口調で誤りをコメント欄などでご指摘頂ければ嬉しく思います。再度こちらでも勉強し直し、また調べ直し、内容を修正致します。何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
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