冬の【東京→北海道】鉄道旅4 郡山→福島

郡山駅を出発して、福島方面へ

郡山駅(こおりやまえき、福島県郡山市)を出ると、福島方面へと向かってゆきます。
郡山駅を北上すると、日和田駅(ひわだえき、福島県郡山市日和田町)を過ぎ、やがて本宮駅(もとみやえき、福島県本宮市)に着きます。

日和田駅(福島県郡山市日和田町)

「本宮」の由来は、本宮市にある「安達太良神社」にあり

福島県本宮市(もとみやし)の「本宮(もとみや)」の由来は、本宮市にある安達太良神社(あだたらじんじゃ)にあります。

安達太良神社(あだたらじんじゃ)は、この辺りのめちゃくちゃ高く美しい山である、安達太良山(あだたらやま、標高1,728m)を神様として祀(まつ)る神社です。
昔は、山には神様が宿っている(むしろ、山そのものが神様である)と信じられていたからですね。

安達太良山(東北本線の車窓より)(福島県)

本宮は、会津方面への交通の拠点だった

本宮(もとみや)は、かつて江戸時代までは会津(あいづ)方面への分岐点でした。

正確には、本宮市の北にある二本松市(にほんまつし)に存在した二本松宿(にほんまつしゅく)から、この本宮宿(もとみやしゅく)を経て、西の会津方面へ抜ける二本松街道(にほんまつかいどう)」という江戸時代の道路が存在したわけです

まだ鉄道や自動車が無かった江戸時代までは、「徒歩」「」が旅の基本でした。
昔の旅人たちは本宮で1泊して、さらに翌朝になって山・峠を超え、猪苗代湖(いなわしころこ)・会津方面まで向かっていたというわけです。
その合津方面へ向かっていた二本松街道は、昔の人が(徒歩または馬で)移動していた道であり、まさに砂利道(じゃりみち)の舗装されていなかった道路になります。

まあ当時はまだ自動車が無く、「人が歩ければいい」という前提の道路なので、クルマがスリップしないほどの綺麗な道路である必要は無かったわけです。
また、そういった街道であっても、江戸時代当時としてはすごく綺麗で大きな道路だったわけです。

二本松」とは、一つ北の市である(福島県)二本松市のことです。
つまり二本松街道はその名の通り、二本松宿を始点・終点としていた街道ということですね。

現在では、会津方面へ行くには国道49号で郡山市から自動車か、あるいは磐越西線(ばんえつさいせん)などで郡山駅から向かうというのが主流です。
郡山(こおりやま)が会津方面への分岐点となったのは、現在の磐越西線となる鉄道が出来た明治時代になってからです。

二本松駅を出て、安達駅へ

本宮駅を過ぎると、二本松駅(にほんまつえき、福島県二本松市)・安達駅(あだちえき、福島県二本松市)と過ぎます。

幕末の戊辰戦争(ぼしんせんそう)のときは、南からやってくる新政府軍は、北へ逃げる旧幕府軍を倒すために、まず本宮二本松城を制圧して、そこを拠点に会津方面へ攻め入る、という流れだったのです。
そのため本宮市には、いまだに戊辰戦争の爪痕があちこちに残されているといいます。

二本松駅からは、安達ヶ原の黒塚(あだちがはらのくろづか)へと向かうことができます、
安達ヶ原の黒塚は、なんと妊婦さんが襲われるというグロテスクな伝説が残っています。

戊辰戦争安達ヶ原の黒塚について、詳しくは以下の記事でさらに詳しく、わかりやすく解説しているため、ご参照ください。

鉄道唱歌 奥州・磐城編 第21番 安達太良山の麓をゆく 安達ヶ原の黒塚を探訪

松川・金谷川駅・福島

松川駅(まつかわえき、福島県福島市)を過ぎると、さらに金谷川駅(かなやがわえき、福島県福島市)を過ぎてゆきます。

金谷川駅福島大学の最寄駅のため、たくさんの学生さんが乗ってこられます。
私(筆者)の学生時代は太っていて非リアでしたので、若くてカッコいい(可愛い)学生さんが輝いてみえました(^^;)

福島駅に到着!県庁所在地・福島市 風が「吹く島」

やがて福島県の県庁所在地である福島市の中心駅・福島駅(ふくしまえき、福島県福島市)に着きます。

福島(ふくしま)の由来は、福島市のシンボル的山である信夫山(しのぶやま)に風が吹き付け、「吹く島(ふくしま)」に由来しているそうです。

大昔、信じられないことに福島市は「大きな沼」でした。そして街のシンボル信夫山は、その沼にぽっかり浮かぶ島だったのです。その風が吹き付けるため、「吹く島」→福島となったようです。

福島市は古関裕而(こせき ゆうじ)のふるさとであり、東北本線の発車ホームでは「高原列車は行く」の発車メロディーが使われています。

福島市古関裕而の関連性については、以下の記事でわかりやすく解説していますので、ご覧ください

鉄道唱歌 奥州・磐城編 第22番 福島に到着!板倉氏と古関裕而の街

「高原列車は行く」のモデルになった、沼尻鉄道

その発車メロディー「高原列車は行く」の元となったのは、福島県の中部にある磐梯(ばんだい)地方の沼尻鉄道(ぬまじりてつどう)になります。

沼尻鉄道(ぬまじりてつどう)は、現代でいう磐越西線(ばんえつさいせん)の川桁駅(かわげたえき、福島県耶麻郡猪苗代町)から出ていました。

耶麻郡は「やまぐん」と読みます。

磐越西線は、前回も解説した郡山駅から、猪苗代(いなわしろ)・磐梯(ばんだい)・会津(あいづ)方面へ出ている列車です。さらに新潟方面へも延びています。

沼尻鉄道は、磐梯山(ばんだいさん)の右隣を通って、沼尻(ぬまじり)・奥磐梯(おくばんだい)という地域まで出ていたわけです。

たくさんの硫黄を運んだ、沼尻鉄道

沼尻鉄道(ぬまじりてつどう)は、現在では廃線となっています。
その昔は、硫黄(いおう)という貴重な資源を掘り出していたのでした。
硫黄(いおう)はマッチの材料に使われるなど、特に昔の日本では重要な資源でした。
そうした硫黄を掘り出しては、運んでいたのです。

しかし1960年代の高度経済成長期に入ると国産の硫黄は海外の安い輸入品に負けてしまい、また後述の三重県・四日市(よっかいち)で産出される硫黄に負けてしまうこととなり、苦境に追い込まれることとなります。
また、高度経済成長期になると貨物列車ではなくトラックなど自動車が普及してきたため、だんだんと沼尻鉄道の貨物列車は使われなくなりました。

四日市の「硫黄」に負けてしまった、沼尻鉄道で運ばれる硫黄

さらに高度経済成長期の当時、三重県・四日市(よっかいち)で問題になっていた「四日市ぜんそく」への対応策として脱硫装置(だつりゅうそうち)が開発されてからは、石油の副産物として大量の硫黄が産出されるようになったため、これによって沼尻の硫黄はさらに苦境に陥ってしまうこととなりました。

硫黄(いおう)は、先述の通り石油コンビナートの煙突から、煙として出る際にも取り出されます(煙と分離されます)。
でないと、後述する硫黄酸化物が「四日市ぜんそく」のように大気汚染の原因となるからです。
三重県四日市市(よっかいちし)では、1960年代の高度経済成長期に、「四日市ぜんそく」という公害病に悩まされていました。

「四日市ぜんそく」をチャンスに変えた、四日市 沼尻鉄道への影響

四日市ぜんそく」の原因は、煙突から放出される硫化酸化物(りゅうかさんかぶつ、SOx)にありました。
いわば二酸化硫黄(SO2)などの有害な化合物です。
そのため、煙突から硫化酸化物が放出されないよう、脱硫装置(だつりゅうそうち)が開発されました。

この脱硫装置(だつりゅうそうち)によって、煙と硫黄を分離し、その副産物として硫黄が取り出されます。
この硫黄が、資源として利用されるわけです。
これによって四日市の空や空気は綺麗になり、また「硫黄」も産出され、それを出荷することで利益が上がるという、まさに一石二鳥というわけですね。

四日市ぜんそく」については、以下の記事でもわかりやすく解説しているため、ご覧ください。

鉄道唱歌 関西編 第17番 亀山駅を北へ寄り道 名古屋方面へ そして四日市に到着

この時、大量に硫黄が四日市で取り出されたため、これに圧(お)されて福島の沼尻鉄道で運ばれる硫黄は負けることとなってしまい、沼尻で採れた硫黄は売れなくなり、運ぶ硫黄も無いため沼尻鉄道の貨物列車は衰退となっていったのです。

旅客や観光客メインへの脱却を図るも、むなしく廃止となった沼尻鉄道

「硫黄が運べないなら、人(旅客)を運んで利益を補填(ほてん)してやれ!」
「ならば観光客を乗せるぞ!磐梯山スキーに行く観光客を乗せて、利益を挽回するぞ!」

といいたいところですが、沿線住民の人口減少により、減った貨物収入を旅客収入で賄(まかな)いきることができませんでした。つまり、硫黄が減った分の利益を、人口減少により「旅客」の利益で補填(ほてん)することができなかったのです。

そのため、残念ながら不採算となった沼尻鉄道は1969年に全線が廃線となったのでした。

しかしこれは、沼尻鉄道に限らず、日本各地の全てのローカル路線に言えることだったりするのです。ここに、超少子高齢化過疎化に苦しむ、日本社会の実情があります。

福島駅を出て、白石・仙台方面へ

次回は、福島駅を出て、白石(しろいし)・仙台(せんだい)方面へ向かう行程となります。

今回も最後まで読んでくださってありがとうございます!

【注意】
この記事は、「旅行初心者に教える」ことを目的地として書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
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