花咲線・釧路~厚岸の鉄道旅と、花咲線・釧路湿原・タンチョウヅルの歴史などを、初心者の方にも、わかりやすく解説してゆきます!
釧路からは、「花咲線」で根室へ
釧路駅(北海道釧路市)からは、東の根室方面へと進んでゆきます。
根室本線、通称・花咲線に沿って進んでゆきます。
「花咲線」とは、あくまで 根室本線の一部
ちなみに「花咲線」とは正式な名称ではなく、あくまで根室本線の一部であり、
- 釧路~根室
の区間での愛称となります。
かつて2016年まで、根室市に「花咲駅」という駅があったため、その駅に由来しているわけです。
花咲駅は現在は廃止となりましたが、「花咲線」という路線名はそのまま引き継がれているというわけですね。
「花咲」とは?アイヌ語由来の言葉
ちなみに「花咲」とは、アイヌ語の「ポロ・ノッ(大きな岬)」という言葉から来ています。
- ポロ→大
- ノッ→岬
という風に、時代とともに変化しました。
ちなみ「鼻」「岬」とは、半島の小さいバージョンのようなものであり、海にちょこっと突き出た陸地のことをいいます。
なお現在でも、東根室駅と西和田駅(いずれも根室市)の間に
- 「花咲港」という港町と、
- 「花咲岬」という、
海に突き出た小さな半島があります。
この「花咲岬」こそが「ポロノッ(花咲)」の由来になったものと思われます。
壮大な景色が広がる、花咲線
花咲線では、途中、
- 東釧路
- 厚岸
- 浜中
- 厚床
- 東根室
といった駅を過ぎてゆきます。
花咲線の景色は、壮大な湿原や原野・海の景色が広がり、とても綺麗です。
本州ではまず見られないような広大かつ美しい景色が広がるので、心して見にゆきましょう。
釧路湿原の守り神「タンチョウツル(丹頂鶴)」
釧路湿原は、日本最大の湿原です。
釧路湿原は、タンチョウヅル(丹頂鶴)が有名です。
昔、タンチョウは捕まえると「食肉」としても売ることができたそうなので、歴史的に多くの人々によって(彼らの生活費を稼ぐために)捕獲されてしまい、その乱獲のために絶滅危惧種になるまで陥ってしまいました。
また美しいイメージのあるタンチョウですが、その裏ではトウモロコシなどの農産物を食い荒らしてしまうという「害鳥」とみなされることもあったりすのです。
これはちょっとショックですよね。
他にも「(家畜の)牛さんたちが住む小屋」に侵入し、家畜を怪我させてしまったりする事例までもが報告されているようです。
家畜として買われている牛さんたちは「牛乳」を出してもらって販売するために育てられています。
そのため、その牛さんたちがやられると、今度は牛乳の生産量にも影響が出てしまうわけです。
これらもタンチョウさまのイメージや夢を壊してしまうようなエピソードであり、ちょっと残念ではあります。
しかし厳しい自然で生きるタンチョウも立派な野生動物であり、タンチョウもモノを食べないと生きていけないため、それも仕方ないというか複雑な気持ちになります。
タンチョウは日本では1924年に釧路湿原で再発見されるまでは(すっかりその数を減らしてしまい)、絶滅したと考えられていました。
その理由は、先述の通りタンチョウは食肉として売れたために乱獲されたきたからですね。
こうして個体数を大きく減らしてきたタンチョウですが、戦後になると人々によって意図的に餌を与える行為が行われてきました。
これによってタンチョウの数は順調に増えていったのですが、今度はタンチョウの方が電線や鉄道などに衝突して事故死していまうというケースが増大してしまいました。
その後も「日本野鳥の会」などの有志の人々によって積極的に餌がタンチョウに与えられてゆき、タンチョウたちは順調に数を増やしていきました。
しかしそれは、あくまで「人の手」によって、人為的に増えたことになります。
そのため、
- 逆に今度は数が増えすぎて住む場所に困ったり、
- 他の鳥類との共存で縄張り争いが起きたり、
- 他の鳥類との接触機会が増して(距離が近くなったことにより)、感染症までもが増大する
という別の問題も起きてしまいました。
さらにタンチョウ向けに与えられた餌を狙って、キタキツネ・エゾシカなどといった他の動物までタンチョウの生息地に(餌を奪おうとして)侵入してくるという、さらに別の問題まで起きてしまいました。
やはり、人の手によって(乱獲によって)不自然に減らされ、また逆に人の手によって意図的に増やされたりすると、ある意味では自然界のルールに従っていないことにもなるため、様々な問題が起こってしまうのは仕方ないことなのかもしれません(なお誤解なきように付け加えておきますが、もちろん、タンチョウに積極的に餌をあげて保護する人々の取組み自体はとてもよいことです)。
こうした人間の「おこない」と、自然界・地球のルール・秩序との「共存」については、なかなか一筋縄ではいかないことも多く、複雑な思いになり考えされられます。
根室と「千島列島」
根室(現在の北海道根室市)は、歴史的に千島列島と近く、千島列島との関わりで非常に重要な役割を担っていました。
なぜならこの地域はロシアとの距離も近いため、歴史的にロシアとの関わりが親密な地域だったからです。
千島列島とは、いわゆる択捉島などの北方領土よりも、さらに北東に連なる列島になります。
日本に最も近い島は、ウルップ島(得撫島)になります。
さらに、千島列島の北東には
- 「カムチャッカ半島」
- 「ベーリング海」
があり、その東には「アリューシャン列島」が連なり、そのさらに東にはアメリカ合衆国・アラスカ州が存在することなります。
まさにこの地域は、「国境に近い地域」と呼べますね。
釧路川と東釧路駅
前置きが大分長くなりましまが、ここからは実際に花咲線の沿線に沿って話を進めてゆきます。
釧路駅を出ると釧路川を渡り、徐々に市街地を離れてゆきます。

釧路川(北海道釧路市)
そして東釧路駅に着きます。

東釧路駅(北海道釧路市)
東釧路駅までは、周辺にまだたくさんの民家があり、また市街地という印象です。
なので釧路駅間~東釧路駅、さらには別保駅(釧路町の中心駅です)くらいまでの区間は人々がたくさん住む場所・地域になります。
そのため、この区間は移動需要(通学・通勤需要など)が比較的多いような印象を受けます。
東釧路駅を出ると、左側へ釧網本線と分岐してゆきます。
つまり、前々回まで網走・知床方面からここ・釧路まで通ってきた線路ですね。
釧路町・別保駅に到着
やがて釧路町の中心駅である、
- 別保駅(北海道釧路郡釧路町)
に着きます。
釧路町は、西隣の釧路市と同じ名前の町になります。
そして釧路市とは歴史的に様々なイザコザがあり、残念ながら両者の関係は良くないそうです。
それはかつて、1920年に釧路市(当時は釧路町)から「釧路村」として弾き出されてしまい、しかも釧路町が「釧路区(後に釧路市に)」へと昇格したため、釧路村は釧路区の発展になかば置いていかれる形となったのでした。
そのため、釧路村(後の釧路町)は、釧路区(後の釧路市)に対して、長年にわたって負の感情を持ってしまうことになるのです。
しかし時代はさらに進み、今度は釧路市の方から釧路町の方へなんと合併を持ちかけました。
しかし先述の過去の経緯があり、釧路町からは合併を拒否されてしまいました。
かつて自分たちを突き放した側が、いざ自分たちが人口減で窮地に陥ったら合併してくれというのは、さすがに「虫が良すぎる」と思ったのでしょう。
こうした両都市間のイザコザは、もちろん釧路市と釧路町のみに限らず、全国各地に存在しており、現在に至る根深い問題が残っていたりするのです。
酷いときには「~町の人間とは結婚するな」という「結婚差別」まで起きていたりするのです。
釧路に限らず、こうした過去のイザコザからくる両都市の根深い問題が、いつか解消されるときが来ることを願うばかりですね。
別保~上尾幌を通過 エゾシカが大量出現!?
別保駅を出ると、ここからはもはや市街地どころか集落・建物の景色すらも影を潜め、早速北海道らしい広大・雄大な原野や山林の中を走っていくことになります。
そして別保~上尾幌の区間は、とても駅間距離が長くなります。
私が乗ったときには、なんとエゾシカの集団がいました。
しかも集団で7頭くらい集まっていました。
というか、この区間は本当にエゾシカが多く生息するエリアのようです。
しかも北海道のシカはとてもサイズが大きいです。
奈良や宮島のシカよりも1.5倍くらい大きい印象です。
人間よりも少し大きいくらいなので、近くで見たらちょっと恐怖すら感じます。
エゾシカが大きい理由としては「北へ行けば行くほど個体は大きくなる」という「ベルクマンの法則」が関係しています。
とても長い駅間距離を経て、
- 上尾幌駅(北海道厚岸郡厚岸町)
に到着です。

上尾幌駅(北海道厚岸郡厚岸町)
そして、「可愛らしい駅舎」の尾幌駅(北海道厚岸郡厚岸町)に着きます。

尾幌駅(北海道厚岸郡厚岸町)

尾幌駅(北海道厚岸郡厚岸町)
尾幌駅の可愛らしくて特徴的な駅舎は、もちろん「使わなくなった車両」を転用したものになります。
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