
今回は、静岡県沼津市の沼津港から発着する、駿河湾クルーズに乗ってみたときの感想を、駿河湾の歴史などを交えてわかりやすく解説してゆきます!
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沼津港発着、駿河湾を約30分かけて遊覧する船旅
今回は、静岡県沼津市(ぬまづし)の沼津港から発着する、駿河湾(するがわん)クルーズに乗ってみたときの感想・解説です!
アニメの聖地・沼津についての基本的な事項については、以下の記事をご覧ください!
「駿河湾クルーズ」とは書きましたが、正式にはちどり沼津港遊覧クルーズ(千鳥観光汽船)という遊覧船になります。
「海の幸」であふれる沼津港に来たときは、是非ともチェックしておきたい遊覧船です!
この遊覧船では、まず沼津港を出発して、沼津のランドマークである水門びゅうおの下をくぐり、駿河湾(するがわん)に出てきます。
そして日本一高い山である富士山を眺めながら、日本一深い駿河湾の上を、約30分ほどかけて遊覧します。
富士山の高さ(3,776m)と、駿河湾の深さ(約2,500m)は、どちらも日本一です!その2つの日本一を同時に堪能できるわけなので、それこそ素晴らしい体験ができるというわけです。
船が出ると、すぐさまたくさんのカモメが船のあとをついてきます。
沼津港を出たあとはすぐに水門びゅうおの下をくぐり、そして広大な駿河湾に出てきて、富士山の勇姿などを眺めることができます。
広大な駿河湾の眺めは素晴らしいほか、ひっきりなしに飛んでくるカモメの勇姿や、また遠くには淡島(あわしま)や大瀬崎(おせざき)などの景色もあり、ほとんど退屈することはなく、30分の時間があっという間に感じられます。
沼津港では「港83番地」などで、沼津名物のアジのひものを堪能したりできます。
季節は「冬」「春」「秋」がベスト 「夏」は避けて
ベストな季節としてはやはり、富士山がくっきりと姿を現す「冬」、その次に「春」「秋」あたりがオススメです。
逆に、富士山が分厚い雲で覆われがちな「夏」は一番オススメできません。
富士山は、夏の時期になると瞬く間に分厚い雲に覆われやすくなります。
もし富士山にこだわらないのであれば夏でもいいかもしれませんが、やはり富士山がないとちょっと寂しいですし、あるのと無いのでは全然違ってきます。
狙うならやはり、快晴の日が比較的多い冬・春・秋ですね。
余談:なぜ夏の富士山は雲に覆われやすいのか
※このセクションは余談です。興味ない方が大半だと思うので、さっさと読み飛ばしてください。
ちなみに富士山が夏に雲だらけになってしまう理由は、駿河湾から(南から)吹き付けてくる大量の「ムシムシして湿った空気」が、富士山の斜面にぶつかると上に昇っていくという「上昇気流」が起きるためです。
そして、それらが(夏でも10度を下回る)富士山の頂上で急激に冷やされることが原因で、空気が水分を含みきれず、水蒸気があふれてしまい「雲」になりやすくなってしまうからです。
空気というものは、暖かいほど多くの水分を含むことができます。逆に、温度が低いほど水滴になりやすくなります。
これは、冬に窓が水滴だらけになる「結露(けつろ)」という現象に似ています。
冬の結露に悩まされている方は、この知識は知っておくと対策しやすいでしょう。
夏の富士山でも、これと同じ現象が起こるわけですね。
※以上、どうでもいい余談でした!カップルでデートするときは、こんな夢もロマンもない話はしないようにしましょう。
カモメのエサを持って、沼津港を出発
前置きがかなり長くなりましたが、そんな感じで駿河湾に出るべく沼津港を出発するわけです。
ちなみに私が乗ったときは、まず船に乗る前に「かっぱえびせん」が無料で配られました。
最初はサービスでくれるお菓子なのかな?と思ったのですが、これはカモメのエサ用に配られているものなんだとか(^^;)
「かっぱえびせん」は、カモメが大好きなエビで出来たお菓子です。
カモメの皆さんは「かっぱえびせん」がとても大好きなので、船の回りには大勢のカモメが群がります。
そして船からカモメに「かっぱえびせん」を投げつけると、見事なまでに「くちばし」でキャッチするのです!
船が出港するとすぐさま、恐ろしいほどの数のカモメが後ろからついてきます(大汗↓↓)。
カモメたちからすれば人間たちからエサ(かっぱえびせん)を貰えることはもう判りきっていることなので、彼らは「今か今か」とエサを狙っているわけですね。
大型展望水門「びゅうお」をくぐる
沼津港を出発すると、まもなく大型展望水門びゅうおの真下をくぐります。
大型展望水門びゅうおは、もし地震が起きたときに津波を防ぐため、門が自動で閉まる仕組みになっている水門です。
上は展望台となっており、view(ビュー:眺め)と魚(うお)で、「びゅうお」という名前なりました。
通常の沼津の観光であれば、「びゅうお」は遠くから眺める、あるいは展望台に登るというのが基本となります。
しかし今回のように船で真下を通るというのは普段はなかなかしない体験でもあります。
カモメによる、見事なエサキャッチ 鳥同士の激しい争奪戦
「びゅうお」をくぐると、たくさんのカモメが船についてくるため、ここでエサをあげると、それはそれはものすごいことになります。
カモメ同士のエサの争奪戦が始まるのです!


エサを掴むために目の前をものすごい勢い・スピードで飛んで来たりするときもあるため、あの鋭いクチバシが当たってしまわないかと、ちょっと恐怖に感じるときもあります(^^;)
しかもカモメだけでなく、中にはカラスとかトンビとか、全然関係ない鳥までもが混じって飛んできたりします。
つまり、カモメのエサを横取りしようと狙ってやってくる、卑(いや)しい精神の鳥も中には混じっていたりするわけです(^^;)
富士山をバックに飛ぶカモメ そもそも、鳥はなぜ空を飛べるのか?

ここでカモメの皆さんは、富士山をバックに飛ぶことになります。
その時、私は
「なぜ鳥って空を飛べるのか?」
「そもそも、鳥はなぜ空を飛ぶ必要があるのか?」
などについて考えていました。
普通こんなこと誰も考えないかも知れませんが(^^;)
鳥が飛ぶ姿は、まるで飛行機と似ています。
飛行機の翼は、「鳥の羽」の真似をして作られています。
飛行機も鳥も、どちらもその大きな羽に揚力(ようりょく)を受けて、浮かび上がるという仕組みになっています。
鳥の体は、羽で浮かせることができるレベルにまで軽く出来ています。
また鳥の羽も、鳥の体を浮かせられるほどにまで大きく出来ており、また(揚力を得るに十分な)大きな風を得られるように出来ています。
飛行機の場合も、時速300kmで滑走(かっそう)したときに、翼全体でとてつもない風を受けることで、飛ぶようになっています。
そして、そんな翼で機体を浮かせられるように、機体は極力軽くなっています。
鳥がなぜ空を飛べるように進化したのかかというと、それは天敵から逃れやすくするためです。
鳥は常に、地上の猛獣から狙われています。
鳥が食べたり水を飲んだりするときにはまず地上に降りないといけないわけですが、その瞬間も常に猛獣から狙われている状態なので、常に油断できないのです。
「空を飛べるなんてうらやましい」と思うかもしれませんが、鳥の生活はいつも猛獣に狙われるかもしれないという恐怖に怯えっぱなしの状態であり、決して安心安泰ではないのです。
また、駿河湾の富士山のふもとは、かつて戦国時代に武田勝頼(かつより)と後北条氏(ごほうじょうし)が戦った場所でもあります。
千本松原(せんぼんまつばら)においても、武田氏と後北条氏の戦いが繰り広げられました。
千本松原と、武田勝頼と後北条氏の戦いについては、以下の記事でもわかりやすく解説していますので、ご覧ください。
牛伏山、東郷海水浴場
乗船・出港してから15分ほどたち、かなり奥の方の海にまで出てくると、東には沼津市の南東に位置する牛臥山(うしぶせやま)や島郷海水浴場(とうごうかいすいようじょう)、そして沼津御用邸(ぬまづごようてい)などの景色も登場します。
牛臥山(うしぶせやま)は、まるで牛が伏せているような山の形から、そう名づけられました。
アニメ「幻日のヨハネ」に登場する「トーレス湿地園」も、この牛臥山のふもとにある牛臥山公園がモデルと言われています。
島郷海水浴場(とうごうかいすいよくじょう)とは、アニメでAqours(アクア)の文字が書かれていた砂浜になります。また、メンバー達がよくダンスの練習をやっていた海岸でもあります。
沼津御用邸(ぬまづごようてい)とは、かつて大正天皇のご静養のために建てられたものです。
ちなみに、御用邸(ごようてい)とは、天皇陛下の別荘のことをいいます。
御用邸付近には心地よい海風が吹き、また松林に覆われている(日陰の多い)場所であるため、夏でも涼しい場所になります。
あわしま
駿河湾をさらに奥の方まで出てくると、はるか向こうには、淡島(あわしま)が登場するようになります。


淡島(あわしま)には、アニメにおいて小原鞠莉(おはら まり)ちゃんのお父さんが経営する「淡島ホテル」があります。
大瀬崎
駿河湾をさらに奥の方まで出てくると、沼津市のはるか西へ突き出た海岸である大瀬崎(おせざき)も姿を現します。


駿河湾も奥の方まで出てくる頃には、さすがについてくるカモメさん達の数も多少は減ってきます。疲れてきたんでしょうかね。
しかし、相変わらずエサをおねだりするカモメさんたちがたくさん登場します。
飽くなきエサへの執念といったところでしょうか(^^;)
30分の船旅もあっという間に終わり 沼津港に帰着
こうした景色満載の船旅でしたが、約30分ほど経ち、あっという間に沼津港に到着します。
水門「びゅうお」の下を再びくぐって、沼津港に到着です。
甚大な数のカモメたちと触れ合うという、普段なかなか出来ない体験をすることができました。
まじめな歴史の話:駿河湾の歴史をわかりやすく
ここから先は、いつもの蘊蓄(うんちく)・歴史学習コーナーになります。
せっかくの学習機会なので、駿河湾の地理や歴史などについて、もっと深く掘り下げてゆきましょう。

駿河湾(するがわん)は、改めて説明すると
- 伊豆半島の先端・南端にあたる石廊崎(いろうざき)と、
- はるか西の御前崎(おまえざき:静岡県御前崎市)
のそれぞれをお互い横に直線に結んだとき、「そのときに出来る線」よりも北側に含まれる海域のことをいいます。
つまり、駿河湾は
南伊豆町・松崎町・西伊豆町・沼津市・富士市・静岡市・焼津市・吉田町・牧之原市・御前崎市
という、非常に大きな半円の中のエリアの海ということになります。
駿河湾は古くから、主に「魚釣り」のための漁場や、また海上のルートとしての船の交通路として利用されてきたのでした。
駿河湾は最深部では水深2,500メートルもの深さにも達しており、そのため日本で最も深い湾となっています。
これだけ深い海なので、深海魚とよばれる魚がたくさん住んでいます。
深海魚たちは、天敵から逃れるために、あえて深い海に住んでいるのです。
深海では太陽の光が届かないうえ、水圧がものすごくかかるという過酷な環境のため、普通の生物では絶対に生きていけません。
深海魚たちは、そんな過酷な環境に耐えられるように独特な形をしており、またとても強い体を持っています。
駿河湾には、南側から北へ移動してくるフィリピンプレートが、北の大陸側にあるアムールプレートの岩盤の下に深く沈み込んでいくことで出来た駿河トラフがあります。
ちなみにトラフとは、「海溝」の浅いバージョンのことをいいます。
かつて内陸部・山梨県へと運ばれていた、駿河湾のお魚
かつて駿河湾で採れたお魚は、内陸部の山梨県(甲斐国)にまで運ばれ、おいしく食されてきたという歴史があります。
江戸後期・明治時代になると、駿河湾にて漁獲されたお魚などは、内陸部・山梨県へと流通していくようになりました。
内陸部においては基本的に海の幸や魚などは採れないため、駿河湾で取れた魚は、富士川を通って内陸部の山梨県にまで運ばれたきたのです。
そして運ばれた荷物は、甲府盆地の南端にある鰍沢(かじかざわ)という場所で、陸に上げられました。
山間部では採れない「海の幸」を運んでくるわけなので、当然「運べば売れる」ということになります。
もちろん逆に、その対価として「山の幸(山でしか採れないもの)」も、内陸部から海側の駿河湾方面へと運ばれきたという歴史があるわけです。
昔の人はこうした「物々交換」によって、経済やくらしが成り立っていたわけですね。
鰍沢(かじかざわ)とは、山梨県・甲府盆地の最南端に位置する、静岡県に最も近い場所にある地名です。
甲府盆地(こうふぼんち)を南下してゆくと、富士川の流れる峡谷に入っていく付け根にあります。
鉄道の駅でいえば、身延線(みのぶせん)・鰍沢口駅(かじかざわぐちえき、山梨県西八代郡市川三郷町)が最寄りになります。
ここに鰍沢河岸(かじかざわかし)と呼ばれる「船が発着できる・荷物の積み降ろしができる」というような場所が築かれ、ここで富士川から運ばれてきた商品を陸に上げたり、また逆に舟に積んでいたりしたわけです。
鰍沢河岸(かじかざわかし)を利用した富士川を舟に荷物を載せて運ぶ「水運」は、この江戸~明治にかけての時期に最盛期を迎えています。
昔はまだ鉄道や「高速トラック」などが一般的でなかったため、舟で荷物を運ぶ方が一番効率がよかったのですね。
また、鰍沢河岸の跡からは、駿河湾から産出された海産物などが出土しているといます。
つまり、かつてここで駿河湾の魚介類が、たくさんやり取りされていたことがわかるわけですね。
しかし明治時代後期になると、中央本線や身延線(みのぶせん)などの鉄道が開通していったことにより、大量の荷物を運ぶ役割は「舟」から鉄道(貨物列車)に置き換わっていくことになりました。
そうして鉄道が主流になっていったため、舟運・水運の重要性は徐々に低下していったのでした。
まとめ
いかがだったでしょうか。以下に今回の要点をまとめておきます!
- 駿河湾は、日本一深い湾である。
- 飛行機の翼は、鳥の羽を真似て作られている
- 鳥が空を飛べる理由は、天敵から身を守るためである。
- 御用邸(ごようてい)とは、天皇陛下の別荘である。
- 深海魚が深い海で暮らすのは、天敵から身を守るためである。
- 駿河湾の海岸では、かつて武田勝頼と後北条氏が戦った。
- 駿河湾の「海の幸」は、かつて内陸部の山梨県まで、富士川の上を通って「舟」で運ばれた。
今回はここまでです。
お疲れ様でした!
ちゅうい!おわりに
この記事は、「旅行初心者に教える」ことを目的地として書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
もし内容の誤りに気付かれた方は、「お前は全然知識ないだろ!勉強不足だ!」みたいなマウントを取るような書き方ではなく、「~の部分が誤っているので、正しくは~ですよ」と優しい口調で誤りをコメント欄などでご指摘頂ければ嬉しく思います。再度こちらでも勉強し直し、また調べ直し、内容を修正致します。何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
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