「重要文化財」「国宝」とは?観光のときの疑問点を、わかりやすく解説!

今回は、旅行観光のときに誰もが疑問に思うであろう、国宝重要文化財について、わかりやすく解説してゆきます!

そもそも、重要文化財って何や!?
国宝って何や!?

なんとなーく「スゴいもの」なんだろうな~、ということほまではわかると思います。
しかし、じゃあ具体的には一体何なんだ?とも思っちゃいますよね。

今回はそんな疑問に答えていこうと思います!
少なくとも、旅行初心者だった頃の私(筆者)が「こんな解説が欲しかった!」というものを心がけて解説してゆきます!

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重要文化財とは?

重要文化財とは、日本にあるさまざまな歴史ある文化的な財産(=これを「文化財」といいます)のうち、中でも特に重要なものであると、国(正確には、文部科学大臣)によって定められたものをいいます。

例えば、日本の歴史がたくさん凝縮された奈良京都などには、たくさんの重要文化財国宝が指定されていますね。

より具体的にいうと、日本各地にある文化財のうち、

  • 歴史的に、とても価値が高いよ。日本人の歴史において、こんなスゴいものなんて、なかなか無いものだよ。(=歴史的な価値が高いもの)
  • 芸術においてとても価値が高いよ。日本人の歴史において、現在でも語り継がれているほどの、多くの人々に感動を与えてきたような芸術だよ。(=芸術的な価値が高いもの)
  • 学術的価値がとても高いよ。現代人の我々が勉強・研究するものとして、とても学ぶ価値・研究する価値があるほどとても重要なものだよ。(=学術的な価値が高いもの)

などについて、国の組織の一つである文部科学省のトップである文部科学大臣が、その権限に基づいて「これは特に重要だ!」と判断して指定した文化財のことをいいます。
文部科学大臣には「重要文化財」や「国宝」の指定をするための「権限」が、法律(=後述する「文化財保護法」)によって与えられています。

重要文化財は、略して「重文(じゅうぶん)」とも呼ばれます。

もし重要文化財に指定されたら、その文化財の管理・修繕(メンテナンス)のために、国から補助金を受けられるなどのメリットがあります。
逆にいえば、国からすれば、それだけお金を出してでも守りたい価値があるものだということです。

重要文化財には、以下のようなものが選ばれる傾向にあります。

  • 京都奈良などに多く存在する、とても歴史的に価値が高いもの。
  • 雅楽」や「能楽」などといった、日本の歴史においてとても重要な芸術など。
  • お城いい意味で)古い建物・漆器・陶磁器・彫刻・絵画・お祭り・輪島塗など、歴史的にとても価値の高いもの。

したがって、以下のようなものは、文部科学大臣から重要文化財として指定してもらえません。

  • 古いことには変わりないが、ただボロいだけのもの
  • 単なるオンボロ・スクラップみたいなもの
  • 歴史上で、大して誰の記憶に残らなかったような、マイナーで価値のないような芸術
  • 勉強する価値もないほど、どうでもいいもの

こういったものは、申請してもNGになります。つまり、重要文化財としては指定されません。
重要文化財は、国の税金からお金を出してでも「守りたいほど価値のある文化財」である必要があるため、当然といえば当然ですね。

「文化財保護法」とは?

今回解説する「重要文化財」や「国宝」についての決まり・ルールなどは、基本的に「文化財保護法(ぶんかざいほごほう)」という法律の中に、とても詳しく書かれて(決められて)います。
逆にいえば、「重要文化財」「国宝」などに関する決まり・ルールなどは、すべて「文化財保護法」という法律に従って決められているというわけです。

国にとって重要なこと」を決めているわけなので、ちゃんとした法律に従って決められている(というか、決めなければならない)というわけですね。

この「文化財保護法」という法律が制定されたきっかけは、1949年に発生した法隆寺金堂火災・壁画の破損であったことは、広く知られています。
国にとって大事なものが火災によって破損してしまったわけなので、二度とこうした事が起こらないように、国がお金をかけてでも重点的に守っていこうと決めたというわけです。

法律の文章は基本的に国のエライ人(国会議員といった政治家)によって作られている(書かれている)ため、難しい単語がたくさん使われています。
以下、「文化財保護法」などの法律でよく使われる用語一例になります。

  • 文化財:過去の偉人たちが作り上げた、文化的・歴史的にとても価値のある財産のことです。
  • 学術的(がくじゅつてき):「勉強になるもの」のことです。いわば、「のび太くんが嫌いなモノ」のことです。逆にいえば、漫画・アニメ・ゲーム等は学術的とはいえないわけですね。
  • 所産(しょさん):「作られたもの」「生まれたもの」などのことをいいます。例えば、「文化的な所産」などのように使います。
  • 資する(しする):「助けになる」「補助をする」などの意味になります。例えば、「国民の生活に資する」などの使い方をします。

有形文化財とは?「形のある文化財」

有形文化財(ゆうけいぶんかざい)とは、簡単にいえば形のある文化財のことです。
ここではつまり「形がある」ということがポイントです。
逆に「形がないもの」は、無形文化財(むけいぶんかざい)というカテゴリーになります。
例えば「建物」「仏像」「書物」などには形がありますが、「芸能」「音楽」「お祭り」などには形がありませんよね。

つまり対義語は、無形文化財ということになります。

有形文化財には、たとえば次のようなものがあります。

  • 建造物:住宅・寺社・橋・ダムなどが該当します。例えば、日本橋(東京都)・道後温泉本館(愛媛県)・高知城(高知県)・大阪城などが挙げられます。
  • 絵画(かいが):歴史的な絵などが該当します。
  • 彫刻:仏像や、神様を模した像などが該当します。
  • 工芸品:刀・鏡・焼き物・陶磁器などが該当します。
  • 古文書:ある有名な家系や、お寺などに残る古文書などが該当します。
  • 考古資料、歴史資料など。

無形文化財

無形文化財は、歴史的・芸術的に価値があると認められている財産・所産のうち、無形の(=ない)文化財のことをいいます。

先述の通り、例えば「建物」「仏像」「書物」「刀」などには形があるために有形文化財になります。
一方、「芸能」「音楽」「お祭り」「技術」などには形がないため、無形文化財になります。

重要無形文化財の指定には、有形文化財のときと同じく文化財保護法に基づいて、文部科学大臣が指定するものになります。

無形文化財の例には、次のようなものがあります。

  • 能楽(のうがく)・歌舞伎(かぶき)・人形浄瑠璃文楽(にんぎょうじょうるりぶんらく)などといった「伝統的な芸能」。
  • 雅楽(ががく)などの、日本ならではの伝統的な「音楽」。
  • 備前焼などの陶芸(とうげい)・結城紬(ゆうきがすり)などといった染織(せんしょく)などの伝統的な「工芸技術」。
  • 京都祇園祭(ぎおんさい)や青森ねぶた祭などの伝統的な「お祭り」。
  • 名刀を鍛(きた)えるといったような、刀工(とうこう)さんが持っている職人としての神がかった「技術」。
  • 輪島塗(わじまぬり)や津軽塗(つがるぬり)などといった、伝統的な漆器を製作するための「技術」。

などがあります。

なお、一度「重要無形文化財」に指定されることになった文化財については、

  • 保存・記録の作成
  • 伝承者(後進に伝える人)の育成

などのために、公費(=国からのお金)からお金が支給されることになります。

「人間国宝」とは?

先述の重要無形文化財の”保持者”として認定された人物は、「人間国宝」とも呼ばれます。

人間国宝とは、芸能や工芸技術などのような「無形文化財を保持している人」のことをいいます。
正式には「重要無形文化財保持者」といいます。
なので単に「日本一スゴい人」というだけでは、人間国宝とはいえないわけです。

人間国宝の例としては、次のような方がいます。

能楽・染織・漆芸・木竹工・陶芸・陶芸・金工・鍛金などにおけるスゴい人たち
その分野では「神様」にも等しい、すごい腕を持った人たち

といった、現代人の我々にとってはあまり馴染みの分野・ジャンルに秀でた人たちが多い印象です。

なので、例えば

二次元・生成AI・イケメン・美女・アニメ・ゲーム・漫画・イラスト・J-POPなど

といったジャンルの創作の達人では、さすがに「人間国宝」には選ばれにくいでしょう(^^; 

もしも文部科学大臣の座に、アニメオタク鉄道マニアなどとしても知られる現・内閣総理大臣の石破茂(いしば しげる)氏が就任することになったら、こうした創作に対して理解があるわけなので、上記のようなジャンルの創作のプロが「人間国宝」に選ばれるようなこともあるかもしれません(いや、さすがにそれはないか・・・)。

必ずしも「スゴい人=人間国宝」ではない

話を元に戻します。

「人間国宝」となっている人々は、正直あまり聞いたことが無いような方々も多い印象ですが、これらの人々は無形重要文化財を保持しているスゴい人ばかりになります。
つまり、いくらスゴい人であっても、重要無形文化財を保持していなければ、人間国宝とはならないわけですね。

例えば大谷翔平さんやイチローさんは、いかにも人間国宝に選ばれてもおかしくなさそうなスゴい人たちですが、さすがにいくら彼らでも重要無形文化財を保持しているわけではないと思うので、例えいくらスゴい人であっても法律上は「人間国宝」には選ばれない、というわけですね。

もし、例えば

  • ボールを165km/hで投げる技術
  • 二刀流でホームランを50本打て、投手としても二桁勝利できる技術
  • ライトからスゴい球を投げて、ホームへ走るランナーを仕留める技術(「レーザービーム」と呼ばれるもの)
  • 毎年安打を200本打てる技術

などといった「誰にも真似できない技術」が「重要無形文化財」として認定されれば、大谷翔平さんやイチローさんも人間国宝になれるかもしれません。
しかし、そもそもスポーツの技術が「伝統的芸術」としてみなされるかどうか、といわれると厳しいのかもしれないということです。

日本政府が人間国宝(=無形重要文化財保持者)の皆さんに対して支給する助成金は、一人当たりで年間200万円と定められています。
この200万円は、決して私利私欲(しりしよく)のために使っていいわけではなく、人間国宝の方々にとっての貴重な活動費となるわけです。

したがって、人間国宝に指定されることは必ずしもいいことばかりでなく、あまりにその努力をサボっていると、国から勧告を受ける可能性もあるわけです。
なので、人間国宝かどうかにかかわらず、誰しも努力は怠ってはならないというわけですね。

重要文化財に指定される「メリット」

重要文化財に指定されるメリットには、次のようなものがあります。

  • 管理や修理に対して、国からの補助補助金)を受けることができる。
  • 相続税の控除や、固定資産税の減税などといった、税金面・税制面でのさまざまな優遇措置を受けることができる。
  • 登録証登録プレートが交付されるため、観光客がそれを見ることで、すぐさま「重要文化財(に指定されるほど価値があるもの)」であることがわかるようになる。
  • 重要文化財の修理や管理に関して、国(文化庁)から技術的なアドバイスを受けることができる。

つまり、重要文化財に指定された建物には、固定資産税(=例えば「建物」や「車」などの資産にかけられる税金)がかからなくなります。
これにより「節税効果」が期待できるようになります。
また、建物を(本人が亡くなったときに)子孫などに受け継がせるときにかかる相続税も、免除(非課税)になるわけです。
(※ただし建物の評価額が3,600万円以下であれば、どのみち非課税となります)

重要文化財に指定される「デメリット」

重要文化財に指定されることは、決していいことばかりではありません
重要文化財に一度指定されると、所有者には「文化財保護法」などの関係法令にしたがって、文化財を適切に管理していくという義務が生じてきます。

重要文化財に指定されるデメリットとしては、たとえば以下のようなものがあります。

  • 例えば「モノ」であれば、海外への輸出が禁止されてしまうこと。国の宝に等しい価値があるものなので、当然といえば当然ですね。
  • また管理・修理などで国の補助を受けられるかわりに、文化庁(国の組織)からの厳しい指導・監督を受ける必要がある。

したがって、重要文化財の管理や修理のためには、国からの厳しい指導が入ることとなります。
もし管理を怠けていたり、サボったりしていると、最悪の場合は重要文化財の登録を抹消されてしまうかもしれない、というリスクもありえるわけです。
今の時代、SNSで炎上してしまうかもしれませんからね。

重要文化財の「審査基準」 厳しい審査

重要文化財の審査基準は、文化財保護法という法律を根拠にして、文部科学大臣がそれを定めています。
つまり、法律に基づいて、国のエライ人によって厳しい基準によって選ばれるわけです。
国の税金」からお金を払ってでも守っていくわけなので、当然といえば当然ですよね。
「古い方がいい」とはいっても、その辺のただボロいだけの建物などでは、当然ながら審査には通らないわけです。

重要文化財の審査基準には、次のようなものがあります。

  • 歴史的な景観に寄与しているか。:かつての(いい意味で)古い町並みが、いい具合・いい状態で保存されているか。
  • 造形(ぞうけい)の規範となっているか:重要文化財にふさわしい「とても優れたカタチ」のものになっているか。
  • 再現することが容易でないか:誰にでもマネできないものではないか、オリジナリティにあふれたものであるか、悪質な模造品などに負けてしまう恐れがないか。
  • 文化史的な意義が深いか→勉強・研究をするのに、十分な価値がある文化のものかどうか。
  • 学術的な価値が高いか→人々にとって、勉強や研究をするだけの価値があるかどうか。
  • 歴史上極めて意義深いのか→歴史にあまり関係ないものはダメだよ。

などの要素が考慮されます。

重要文化財に指定されるということは、国からの補助金(=それは国民の血税からで出ている)が出るわけなので、こうした厳しい審査基準があるわけですね。

「国宝」とは?

重要文化財のうち、日本国内だけでなく世界からみても特に価値が高いと認められたものは「国宝」に指定されます。

これは重要文化財と同じく文部科学大臣の権限で「比類ないほど日本の宝としてふさわしい」と認められたものが、「国宝」として選ばれるというわけです。

「国宝」レベルのものになると多くの外国人観光客が見に来るわけなので、まさしく「日本の宝」として相応しいものが選ばれるというわけですね。

国宝の例としては、

  • 姫路城・松本城・松江城・犬山城・彦根城
  • 中尊寺金色堂(岩手県)
  • 金印(福岡県)
  • 銀閣寺(京都府)
  • 東大寺南大門(奈良県)
  • 奈良の大仏(奈良県)

などがあります。さすが国宝というだけあって、どれもスゴいものばかりです。
「重要文化財レベル」であれば正直一般的に知られていないものも多いのですが(ただし、その分野では「神様」扱い)、「国宝レベル」であれば誰もが一般的に知っているようなものばかりになります。

まとめ

いかがだったでしょうか。以下に今回の要点をまとめておきます!

  • 重要文化財とは、国にとって歴史的にとても価値のあるものなどを、文部科学大臣が定めたものをいう。
  • 重要文化財や国宝に関する規定は、文化財保護法という法律に定められている。
  • 重要文化財に指定されると、国から補助金などが受けられるメリットがある。
  • 逆に、重要文化財に指定されることで、国からの指導や勧告などが入ることになる。
  • 重要文化財に指定されるには、それなりの厳しい条件を満たさなければならない。
  • 形のある文化財のことを、有形文化財という。
  • 形のない文化財のことを、無形文化財という。
  • 重要無形文化財の保持者のことを、人間国宝という。
  • 国宝とは、重要文化財の中でも特に(世界からみても)比類ないほど価値のあるものをいう。

今回はここまでです。

お疲れ様でした!

ちゅうい!おわりに

この記事は、「旅行初心者に教える」ことを目的地として書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
もし内容の誤りに気付かれた方は、「お前は全然知識ないだろ!勉強不足だ!」みたいなマウントを取るような書き方ではなく、「~の部分が誤っているので、正しくは~ですよ」と優しい口調で誤りをコメント欄などでご指摘頂ければ嬉しく思います。再度こちらでも勉強し直し、また調べ直し、内容を修正致します。何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

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