鉄道車両の記号「クモハ」「キハ」などについて、わかりやすく解説します!
初心者や詳しくない方にも楽しめるよう解説してゆきます!
「クモハ」「キハ」って一体何?
あなたも、列車でよくある
- 「クモハ」
- 「キハ」
- 「クハ」
って一体何?とか思ったことが、一度くらいはあるんじゃないでしょうか?
私も、そうでした。
実は、あれってみんな意味があるんです!
鉄道車両の記号には、ちゃんと意味がある
こうした鉄道車両の記号には、以下のような意味があります。
- 「ク」:運転台が付いた車両(制御車)
- 「モ」:モーターが付いた車両(電動車)
- 「ハ」:普通車(→国鉄時代の「イロハ」に由来)
- 「ロ」:グリーン車(→国鉄時代の「イロハ」に由来)
- 「サ」:運転台もモーターも付いていない車両(付随車)
- 「キ」:気動車(ディーゼルカー)
- 「ネ」:寝台車
例を挙げると?
例えば、
- 「クモハ」は、運転台(運転席)とモーターがついた普通車
- 「キハ」は、気動車の普通車
ということになります。
例えば「クモハ」だったら、
- 先頭に運転席があって、
- 車両にはモーターがついていて、
- グリーン車じゃない普通車
というような雰囲気の意味になります。
例えば「キハ」だったら、
- 電気で動かない「気動車」であって、
- グリーンじゃない普通車
のような雰囲気の意味になります。
国鉄時代に制定された、鉄道車両の記号
これらの鉄道車両の記号は、国鉄時代において制定されています。
- 1872年から1949年まで:官設鉄道
- 1949年から1987年まで:日本国有鉄道(国鉄)
- 1987年から現在まで:日本旅客鉄道株式会社(JR)
鉄道車両の記号は、1987年に国鉄が民間の企業となってJR社となったときにも、国鉄時代のものがそのままJR社へと引き継がれたのでした。
ただし、
- JR四国
- 私鉄
などでは、独自の形式が使われている場合もあります。
「ク」は「運転台」を表す記号
運転台とは、電車の運転士運転者が運転操作を行うための場所・スペースのことです。
言わば「運転室」や「運転席」のことです。
なぜ「ク」の記号なのか?
この「運転台」がついている車両に対して「ク」の記号がつけられています。
なぜ「ク」なのかは、はっきりいって不明です。
かなり調べたのですが、明確な答えにたどり着きませんでした。
「駆動車」に由来しているという説もありますが、それはあくまでモーターを搭載した車両を示す「モ」という記号になりますので、違うようです。
こうなるともはや、車両の「ク」の記号の由来は、
- 伝統でこうなった
- 脈々と受け継がれている伝統
としか言いようがないでしょう。
たぶん今では、JR社の社員ですらも、わかるという人はいないと思います。
運転台(運転席)とは?
ちなみに運転台とは、運転士さんが列車を安全に運行するために、列車の動きを制御(コントロール)するための装置がたくさん集まっている部分のことです。
運転台は、
- 「運転室」
- 「運転席」
とも呼ばれます。
運転席には、
- 今の走行状態を示す、計器類
- スイッチ
- レバー:加速・減速・ブレーキ
- ハンドル
- ペダル
などといった、運転の操作をするために必要な、さまざまな装置が存在します。
列車の「心臓部」とも呼ばれる運転席
運転台は、鉄道車両の中でも最も重要な部分の一つとされています。
そのため、運転台は鉄道ファンにとっては列車の「心臓部」とも呼ばれます。
鉄道ファンの中には、列車の運転席を「心臓部」と呼ぶ人がいます。
これは、
- 運転席が、列車を動かすための重要な場所であること
- 運転士が操作を行う中心であること
ことなどの理由により、比喩的に使われる表現です。
列車の運行を、直接制御する(できる)ための場所である
運転席は、
- 加速
- 減速
- ブレーキ
- ドアの開閉(開けたり、閉めたり)
などといった、運転士が列車の運行に関する、あらゆる操作を直接行うための場所となります。
運転席が、運転士の責任が集中する場所であるため
運転士は、運転席で安全な運行を確保するために、
- 常に周囲の状況に気を配り、
- 常に適切な判断と、運転操作を行う
という必要があります。
その中心こそが、まさに運転席で あるということです。
列車の「顔」とも言える場所である
したがって、これらの要因から運転席は「単なる操作場所」ではなく、
- 列車の「心臓部」
として、鉄道ファンからは特別な意味を持つ場所と認識されています。
つまり「単なる運転席」ではなく、わかる人から見たら、十分に心臓部としての役割を果たしているというわけです。
また、運転席の形状やデザインは、列車の個性を表す要素の一つとも言えます。
運転台の特徴
運転席は、基本的に
- 運転に必要な機械や、器具が設置されている
- 運転者が座って運転操作を行う
という場所です。
そんな運転席ですが、運転席は、運転者がやりやすいように、かなりの工夫がなされています。
詳しくは、以下の記事でも解説していますので、ご覧ください。

「普通車」を現す記号「ハ」
って思いますよね。
これはいわゆる、
- 「イ・ロ・ハ」
のハに由来しています。
「イロハ」の記号を使った、かつての国鉄の等級制
国鉄ではかつて、車両の種類を表すのに「イロハ」の記号を使った等級制がありました。
- 1等車は「イ」
- 2等車は「ロ」
- 普通車は「ハ」
というように、車両形式の記号に用いられていました。
1969年になると等級制は廃止され、
- 1等車・2等車(イロ)→グリーン車
- 3等車(ハ)→普通車
という形となり、現代に至ります。
このように2等級制に移行したことで、1等車は廃止となりました。
それに伴って、「イ」の記号も使われることは無くなりました。
国鉄時代の「1等車」とは?
国鉄時代の1等車は、かつて存在した列車車両の等級の一つであり、現在のグリーン車にあたる車両でした。
1等車は、座席や設備・サービスなどが、他の等級の車両よりも優れているという特徴がありました。
そのため、より快適・リッチな移動空間を提供していたのでした。
国鉄時代における1等車と2等車の違い
国鉄時代の1等車と2等車の主な違いは、
- 設備の充実・豪華さ
- サービスの良さ
- そして運賃の差
にありました。
1等車は、より快適な座席や設備を備え、運賃も高額だったのでした。
一方、2等車は1等車に比べて設備やサービスは劣るものの、比較的安い運賃設定だったのでした。
国鉄時代の「2等車」とは?
2等車は、1等車に比べると
- 座席がやや狭い
- 設備は簡素なものになっている
というものが一般的でした。
しかし、基本的な移動手段としては十分なものでした。
つまり1等車に比べると、やや簡素なサービスが提供されていたのでした。
したがって、2等車は1等車よりも運賃の面では安価でした。
そのため、より庶民的な移動手段として利用されていました。
モーターを現す記号「モ」
「モ」は、車両がモーターによって駆動されるということを表す、重要な記号です。
そもそも「モーター」とは?
鉄道の「モーター」とは、電車を走らせるために車輪を動かすための、メインの電動機(電気で動く装置)のことです。
そのため電車の場合は、自動車や気動車などと違って「エンジン」とは言いません。
また、モーターとは「電気エネルギー」を「運動エネルギー」へと変換する装置のことをいいます。
つまり、電気の力を、運動に変える装置というわけですね。
「モーター音」が聞こえる車両
「モ」がつく車両は、走行中にいわゆる「モーター音」が聞こえます。
そのため、モーター音が好きな人(※「音鉄」といいます)にはたまらないことでしょう。
ただしモーターがあるため、人によってはやや騒音などが気になるでしょう。
近年は騒音対策のため、モーター音が少ない車両も登場しています。
ディーゼルカー(気動車)を表す記号「キ」
「キ」は、気動車の「気」からきており、エンジンを搭載している車両であることを表す記号として使われています。
ディーゼル車(気動車)とは?
ディーゼル車とは、軽油で動く
- ディーゼル機関(ディーゼルエンジン)
を、列車を動かすためのパワー(原動力)として走る列車のことです。
荷物を運ぶ「ディーゼル機関車」
また、主に荷物を運ぶためのディーゼル機関車は、
- 非電化の区間、つまり給電設備がない(電車ではない)地域
において、蒸気機関車にかわって多く用いられています。
ディーゼル機関車をはじめとする、いわゆる荷物を載せた「貨車」を引っ張る機関車については、以下の記事でも解説していますので、ご覧ください。

「キ」の記号の使用例
例えば、「キハ」という表記であれば、気動車で普通車(グリーン車などの優等車両ではない)であることを意味します。
また、「キロ」であれば、気動車のグリーン車を指します。
「ロ」なので優等車両であり、普通車ではないということです。
ディーゼル列車の運用
ここで「電車」「気動車(ディーゼルカー)」の使い分けですが、
- 乗客数が多い地域では「電車」、
- 乗客数が少ない地方の地域では「ディーゼルカー」
という、一応の使い分けがされています。
都市部では「電車」、地方では「気動車」の傾向も
ちなみに都心部では、電車網が発達しているため、「電車」が主流であることが多いです。
しかし、地方では
- 電化されていない路線(非電化区間)
- 電車が通っていない地域
も多いため、主にディーゼル車(気動車)が使われる傾向があります。
唯一、電車が存在しない徳島県
ちなみに徳島県は全都道府県で唯一、電車が走っていません。
したがって、徳島県内を走る列車は、全て軽油を燃料とするディーゼル車になります。
ちなみに徳島県に「電車」が存在しない理由などについては、こちらの記事(当サイト)でも解説していますので、ご覧ください。
グリーン車を表す記号「ロ」
かつては2等級列車(ロ)だったグリーン車
先述の「イロハ」の一つである「ロ」の記号は、現代でいうグリーン車に該当します。
今でいうグリーン車は、国鉄時代には1・2等級列車でした。
先述の通り、国鉄時代は1等・2等・3等という3つの等級がありました。
そのうち、1・2等車が現在のグリーン車に相当していました。
その後、等級制は廃止され、
- 1等車は廃止
- 2等車はグリーン車
- 3等車は普通車
と呼ばれるようになりました。
そもそも「グリーン車」とは?
グリーン車とは、普通車よりもグレードの高い特別車両のことです。
つまり、
- 座席がゆったりとしている
- 様々な設備が充実している
ということが特徴です。
高額である代わりに、豪華な空間が保たれるグリーン車
グリーン車に乗るためには、
- 運賃(乗車券)
- 特急料金(特急券)
に加えて、
さらにグリーン券(特別車両券)を購入するという必要があります。
かなり高額にはなりますが、その代わりかなり高級感がある旅行が楽しめるようになります。
芸能人など有名人が乗っている可能性も!?
また、グリーン車には芸能人など有名人が乗っている可能性もあります。
グリーン車が有名人に選ばれやすい理由は、
- 普通車よりも快適で、かつゆとりある座席やサービスが提供されること
- 他に乗客が比較的少ないため、プライバシーが守られやすい環境であること
- 多忙な有名人にとって、よりゆとりある、疲労がたまりにくい移動というニーズが存在すること
- 有名になればなるほど、全国各地から仕事に呼ばれやすく、より移動の負担を少なくする必要があること
こうした様々な要因が、有名人がグリーン車を選ぶ理由であると考えられます。
まさに「豪華」!グリーン車の主な特徴
グリーン車の主な特徴は、次のとおりとても豪華なものとなっています。
- 座席がゆったりとしており、リクライニングシートを深く倒せる、という特徴があります。
- 普通車よりも座席の幅・間隔が広く、リクライニング機能も優れているめ、長時間の移動であっても快適に過ごすことができます。
- 普通車に比べて、静かで落ち着いた空間となっているため、読書や仕事をするのにはもってこいです。
- 座席の幅が広くなっており、また前後との間隔も広くなっています。そのため、グリーン車では足を伸ばして、リラックスできます。
- 明かりの照度(ルクス)が控えめとなっているため、落ち着いた雰囲気の車内となっています。
- 新幹線のグリーン車では、全ての席に、コンセントや読書灯などといった、仕事に適した物が設置されています。そのため新幹線のグリーン車では、普通車のように通路側の席においてコンセントが使えないという心配が、ほとんど無いというわけです。
- おしぼりや、ドリンクのサービス、さらには新聞の無料配布などがある場合も!?
- グリーン車は普通車に比べて、乗客数が少ないという傾向があります。そのため、比較的静かで、落ち着いた空間があります。
したがって、グリーン車は、
- ラッシュアワー・通勤時間帯などといった混雑を避けたい時
- かなりの長距離におよぶ旅行
- 高年収・ハイクラスの人々の移動
などの用途に、主に利用されています。
自力では動けない「付随車」を表す記号「サ」
鉄道車両の記号「サ」は、付随車(ふずいしゃ)を表します。
付随車とは、自分ではモーターなどの動力装置を持たず、自力では走れないため、他の車両から引っぱられて(牽引されて)はじめて動く車両のことです。
付随車の例としては、
- 客車:お客様を載せるための車両
- 貨車:荷物を載せるための車両
などがあります。
新幹線の場合は、複数の車両が連結されて走行するとき、
- 一部の車両は、動力を持たない付随車となっている
- 残りの車両に対して、モーターなどの動力がついていて、全体としての走行をサポートしている
という形になります。
鉄道車両の記号を組み合わせた応用例
以上、ここまでの内容・特徴を踏まえて、応用例にチャレンジしてみましょう。
応用例1:「クハ」の場合
「クハ」という記号からは、おおむね以下のような特徴のある車両であることがわかります。
- 運転台が付いている、普通車である
- 「ロ」がついていないため、少なくとも優等車両ではない
- 「キ」がついていないため、電車であることがわかる
- 運転台がついているため、先頭または最後尾にある車両であることもわかる
- 「モ」がついていないため、モーターがついていないことがわかる
- モーターが搭載されていないため、モーター音の影響を受けにくく、比較的静かである
応用例2:「モハ」の場合
「モハ」という記号からは、おおむね以下のような特徴のある車両であることがわかります。
- モーターが付いた普通車である
- 走行中にモーター音が聞こえるため、モーター音が好きな鉄道ファンにはたまらない
- モーター音による騒音などが気になる人は、避けた方が無難
応用例3:「サロ」の場合
「サロ」は、
- 運転台もモーターもない付随車であり、
- グリーン車としての運用となっている
ということになります。
おわりに・まとめ
以上、色々解説しましたが、いかがだったでしょうか。
今回の知識を身につければ、今後電車に乗るとき、列車・車両に対する見方が変わるんじゃないかと思います。
きっと「クモハ」「キハ」などの記号をみた瞬間に、「運転台とモーターのある普通車だな~」などのように考える・判断するクセがつくことになるでしょう(^^;
こうした知識が増えれば、世の中に対して見る目は変わり、面白いものになります!
以上、今回はここまでです。
お疲れ様でした!
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