日本遺産とは何か?について、わかりやすく解説してゆきます!
主に旅行初心者の方を対象に、やさしく解説してゆきます!
日本遺産に指定されている、醒井宿
前回で、日本遺産に指定されている、滋賀県米原市に存在する醒井宿の紹介・解説をしました。

日本遺産に指定されている、醒井宿(滋賀県米原市)
醒井宿は、前回も解説した通り、2015年に文化庁の「日本遺産」として認定されたのでした。
そのストーリーは、以下のようなものです。
では
- 「日本遺産とは何か?」
- 「ストーリーとは何か?」
について、以下さらに詳しく解説してゆきます!
日本遺産とは?
ここで日本遺産とは、その地域における歴史的な魅力をアピールするための「ストーリー(※後述)」を、文化庁が
- 「これは観光客にとってわかりやすい!魅力的だ!」
と認定するものです。
もし日本遺産に認定されると、
- 地域の認知度・知名度が向上する
- 観光客が増加する
とった、様々なメリットが期待されます。
文化庁サイト「日本遺産について」

日本遺産と重要文化財、どっちが格上?
では、日本遺産と重要文化財では、それはやはり重要文化財の方が格上です。
重要文化財は、文化財保護法とよばれる立派な法律に基づいて、国が指定するものです。
そのため、歴史的・文化的に相当な(めちゃくちゃ)価値の高いものなどが選ばれます。
また、重要文化財に指定されると、国から補助金が降りるわけです。
そのため、選ばれるためには相当たるレベルのものである必要があります。
また、必然的に審査も厳しくなり、管理を怠っていると認定を取り消されることもあります。
重要文化財については、以下の記事でも解説していますので、ご覧ください。

日本遺産に選ばれるメリット
日本遺産に認定されること自体によって、直接的にお金が支給されるというわけではありません。
つまり、補助金がダイレクトに降りるというわけではない、というわけです。
しかし、日本遺産に認定されることで、
- 地域の活性化
- 観光客の誘致
に繋がる可能性があります。
もちろんその結果として、町が経済的に発展していく、という効果も期待できます。
地域経済の活性化
日本遺産に認定されたことで、観光客がもし増加してくれれば、
- 旅人たちが泊まるための、宿泊施設
- 観光客の皆さんが、食べたり飲んだり休憩するための、飲食店
- おみやげを買って帰るための、土産物店
などに対して、利益が上がる効果が出てくることになります。
すなわち、ダイレクトに言ってしまえば「儲かる」わけですね。
それによって、地域経済の活性化にも貢献するわけです。
文化庁とは
ここでいう文化庁とは、説明が難しいため、「文部科学省の下部組織・関連組織」という理解で問題ありません。
日本遺産で重要視される「ストーリー」
日本遺産では、とにかく「ストーリー」が重要視される
このように日本遺産では、ストーリーとなる様々な文化財たちを活用・アピールしてゆき、また各地様々な場所へと情報発信してゆくことで効果があるわけです。
このようにして、地域の活性化を図ることを目的としています。
すなわち、日本遺産は
- 個々の「モノ」としての文化財
を守ってゆくだけではなく、それらが
- みんなに物語るストーリー
を、とても重視しているというわけです。
なぜ「ストーリー」が、日本遺産では重要なのか?
日本遺産においてストーリーが重要なのは、点ではなく「面」で、文化財をイメージしやすくする点にあります。
これにより、単独ではわかりにくい・イメージしにくい文化財であっても、
- より具体的かつ、立体的にイメージすることが可能になる
というわけです。
魅力的なストーリーは、
- 観光客の皆さんの興味を引き、
- 「実際にその場所を訪れたい」という気持ちを起こさせる
という効果があります。
また、ストーリーが魅力的であればあるほど、観光客の皆さんの記憶に残りやすくなります。
それにより、旅行の思い出をより豊かで、鮮明なものにするという効果が期待できる、というわけです。
文化庁ー日本遺産のストーリー検索サイト

魅力的なストーリーを構成・発信する努力
日本遺産では、より魅力的なストーリーを構成するために、真実に基づいた努力が必要です。
もちろん、ウソやねつ造はいけません。
「嘘」や「不正確な情報」は、地域の信頼を損なうことにつながってしまいます。
また、日本遺産の価値を低下させる可能性もあるわけです。
そのため、かなり慎重になる必要がある、というわけですね。
日本遺産に指定されるメリット・デメリット
日本遺産に選ばれるメリット:地域の魅力を発信
こうしたストーリーを軸にしながら、地域の文化財を、まとめて国内外に発信してゆくことで、以下のようなメリットが得られます。
- 観光客誘致(つまり、観光客の皆さんを招いて、お金を落としてもらうこと)
- 地域振興(つまり、地域を発展させていくこと)
につなげます。
メリットの一つ:地域活性化
日本遺産がもし認定されると、それによって、地域のブランド力が向上していくという効果が期待できます。
これにより、
- 観光客の増加
- 地域経済がどんどん活性化していく
ことにつながることが期待されます。
日本遺産に選ばれるデメリット
もし 日本遺産に選ばれたからといって、無条件に喜ぶわけにもいきません。
日本遺産に選ばれるということは、
- その文化財の保護と管理が、より重要になる
ということです。
仮にめでたく日本遺産に認定されたとしても、もし適切に整備や管理が行われておらず、ボロボロになっていれば、劣化や破損を招きかねません。
さらには、観光客の信頼を損ねてしまうという可能性があります。
常に良好・ベストな状態に保つ努力・コストが必要になる
観光客は、日本遺産というブランドに期待して訪れます。
もし、
- ボロボロで整備が行き届いていない場所
- まともな情報が不足している(ちゃんと名所について教えていない)場所
があったりすると、観光客の皆さんからは「期待を裏切られた」と感じられてしまいます。
結果、観光客から不満を持たれてしまう、という可能性があります。
常に良好な状態に保ち、観光客の満足度を、低下させないことが大事
もし観光客の満足度が低下してしまえば、リピーターの減少に繋がってしまいます。
また、ネットなどの口コミ等で悪く書かれてしまったり、評判の悪化を招いてしまうといった可能性まであります。
そうなると、結果的に経済効果も期待できません。
修繕・維持を怠ると、地域全体のイメージダウンにも繋ってしまうリスク
また、日本遺産のメンテナンスを怠ったりサボったりして、整備不良が続いてしまえば、地域全体のイメージダウンにも繋ってしまいます。
そうなると、他の観光地との競争力も低下してしまい、観光客を奪われてしまう、というリスクもあるわけです。
日本遺産を維持していくための「対策」
日本遺産をキレイな形で維持していくためには、
- 定期的なメンテナンスや修繕を行う
- 常に、良好な状態・コンディションを維持していく
といった策を講じる必要があります。
住民からの「観光地への投資」への理解は重要
また、地域住民の意見を聞きながら、お互いに協力してゆき、協力体制を築いていく必要があります。
つまり、限りある観光資源を、コストを投じてまで観光地を維持していくための住民の理解を得ることが重要になる、というわけです。
つまり、住民全員から
「もっと他のことに税金を回せ」
って言われるとオシマイであり、もはや観光資源を維持しくこともままならなくなるわけです(もちろん、彼らの上記の言い分も、場合によっては一理あるわけですけどね)。
つまり、住民からの観光地への投資の理解を得ることは、とても重要になるわけですね。
観光資源の維持には、たくさんのお金がかかる
観光資源をキレイかつ、高品質なままに維持していくためには、たくさんのお金がかかります。
例えば、
- 修繕費(傷んだ箇所を治していく費用)
- 清掃費(キレイに掃除するための費用)
- 場合によっては拡張工事(より新しく、追加していくための費用)
などといった、様々な費用がかかるわけです。
多くの場合、歓呼資源の維持費用は、税金などから払われる
これらの費用は、住民の税金や、場合によっては観光客からの入場料などで賄(まかな)われることが多いです。
そのため、先述の通り観光地にコストをかけるための住民の理解は、とても重要なのです。
観光地を維持していくための、「持続的な取り組み」
したがって、ずっと日本遺産の観光利益によって住民の皆さんが食べていけるような、持続可能な観光地の維持・発展を目指していく必要があるというわけです。
ちなみに、近年よく使われる「持続的な」という言葉は、
- 短期的・その場限りではなく、「長期にわたって」
という意味合いの言葉です。
すなわち、未来永劫にわたって、継続的に続けられるよう、努力していくという意味のフレーズになります。
大切なお客様を手放さないために、常に努力が必要 世の中、ホント甘くない・・・
日本遺産は、地域の魅力を発信するための、素晴らしい制度です。
しかしながら、その効果を最大限に活かしていくためには、日本遺産に認定された後の、
- 適切な整備・管理
- 大切なお客様を手放さないための努力
が、とても重要となってくるわけです。
お客様というものは、一度信頼を失うと、本当に素早く去っていってしまうものです。
お客様を作る(呼ぶ)のには時間がかかりますが、失うのは一瞬です。
YouTuberだって、常に動画がキチンとしたクオリティで保たれていないと、視聴者がすぐに離れていってしまうのと同じです。
世の中、ホント甘くないんですよね・・・。
認定取り消しの可能性
2025年には、認定された日本遺産のうち、初の取り消しされたという事例が発生しました。
これは、
- 地域との連携不足(観光地と地域住民のコミュニケーションが取れておらず、まともに維持活動ができていなかった)
- 住民の認知度・理解度が低かった(つまり、理解が得られなかった)こと
などが理由とされています。
おわりに・まとめ
何でも、メリット・デメリットは存在する
以上、ここまででわかるように、日本遺産に選ばれることは、確かにメリットもあります。
しかし、決していいことばかりではないわけです。
その維持のためには、弛まぬ努力が必要であることが、お分かりいただけたことと思います。
観光地の維持には、地域住民との連携・理解も不可欠
日本遺産にめでたく認定された後には、ストーリーを維持・発展させるための努力が不可欠となってきます。
そのためには、時間・労力・コスト・地域住民の理解なども必要になってきます。
また、
- 地域との連携がとれていないと、
- 地元住民からの理解を得られず、
- 観光地の維持に対して、コストをかけられない
・・・など、なかなか難しい点もある、ということを覚えてもらえれば大丈夫です。
以上、今回はここまで
今回はここまでです。
お疲れ様でした!
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