四国新幹線とは?なぜ完成しないのか?について、初心者の方にも、基本からわかりやすく解説してゆきます!
はじめに
今回は、おそらくあなたも気になっているでろう「四国新幹線」について、一緒に探求してゆきましょう!
四国新幹線とは、いったいどんな計画なのでしょうか。
そして、なぜ、長年うわさされているのに、「完成しないのか」という、その本当の理由についても、深く掘り下げていきます。
すなわち、この壮大なプロジェクトの現状と、そこに横たわる課題を知ることで、日本の交通インフラの未来について、考える良いきっかけになりますね!
さあ、ワクワクしながら、この知識の扉を開いてゆきましょう!
四国新幹線には、実は2つの路線の計画がある
四国新幹線は、
をそれぞれ結ぼうという、とても壮大な計画のことです。
この四国新幹線の計画は、実は2つのルートに分かれているのです。
1つ目:四国を「横」に結ぶ、オーソドックスな「四国新幹線」
まず、
という、メインでよく知られている計画のことです。この計画が実現すると、
- 大阪(新大阪)
- 四国
- そして、九州の大分
を、それぞれ結ぶことになります。
2つ目:四国を縦に結ぶ、「四国横断新幹線」
また、四国横断新幹線は、
です。したがって、この計画が実現すると、
- 本州の岡山
- 四国の高知
が、まさしく「縦」の一本の線路でつながることになるというわけです。
どちらの計画が実現しても、四国の未来が、ぐっと明るくなりそうですよね!
四国新幹線の実現によるメリット
もしも四国新幹線が将来的に出来たとしら、どんないいことが起こるのか。
四国新幹線が実現したときのメリットは、以下のようにたくさんあります。
四国の移動が、圧倒的に速くなる
まず、四国の4つの県(徳島県・香川県・愛媛県・高知県)を、今までよりも圧倒的に短い時間で、自由に行き来できるようになるというわけです。
したがって、四国から鉄道で行ける範囲がぐんと広がるため、もっと色々な地域の人たちと交流できます。
観光・旅行面でも、お客様が増えてプラスに
さらには、たくさんの人が行き交うという流れが増えたりして、お店や旅館・ホテル・観光地などは、シンプルに「儲かる」ようになるわけです。
これは、観光地などで働く多くの方々にとってはありがたいことです。
リニアとの連携で、四国→東京も圧倒的に速くなる
特に、いずれ未来に完成するであろう「リニア中央新幹線」と乗り継ぐことで、四国からの大阪や東京へのアクセスが、今よりも格段に便利になります。
すなわち、新大阪駅で「リニア中央新幹線」に乗り換えれば、東京までもあっという間に着くことができるようになるのというわけです。
なんだか、想像しただけでワクワクしてきますね。
したがって、四国新幹線は、きっと四国と私たちのの未来をもっと明るくしてくれる「希望の光」になるはずです。
四国新幹線は、なぜできないのか
しかし、四国新幹線がなぜ実現しないのか。
その主な理由は、
- 莫大かつ巨額な建設費用
- 山岳地帯が多く、費用のみならず作業負担も甚大になる
- 人口が少ないことによる、費用対効果の低さ
にあります。
というわけです。
日本全体が少子高齢化に苦しんでいる現在ですが、四国もその例外ではなく、むしろかなり深刻な人口減少が進んでいます。
そのため、建設費を回収できる見込みは、かなり低いものとされています。
また建設費は、四国4つの県の全部の年間予算額に匹敵するという、とてつもない規模になるという試算もあります。
人口減少の問題
このように四国新幹線の建設には、莫大・巨額な費用がかかると試算されています。
しかも四国4県(徳島県、香川県、愛媛県、高知県)全ての県において、容赦なき人口減少が進んでいます。
その深刻な人口減少の原因は、主に
- 少子高齢化
- 若年層の、都市部への流出
などが、主な要因として挙げられます。
そのため、もし仮に四国新幹線を作ったとしても、
- 期待したほど、乗る人がいないなどの結末
が、容易に想像できたりするわけです。
そのため、投資の回収がまず容易ではないとされています。
既に存在している交通インフラとの競合
また、四国には既に
- 高速道路(と、高速バス)
- 空港
といった既存の交通インフラが充実しているため、新幹線を通しても競争力・インパクトが薄いという点も挙げられます。
JR四国の厳しい経営状況も、大きな要因のひとつ
また、四国新幹線の整備や建設を難しくしている、もうひとつの大きな理由に、
というとのがあります。
人口減少の著しい四国の鉄道会社であるJR四国は、日本の鉄道会社の中でも特に、
- 大都市のような、たくさんのお客さんが乗ってくれる「ドル箱」のような路線が少ない
- 新幹線からの利益が存在しない
といった、大変厳しい状況にあるのです。
「ドル箱路線」:多くの収益を生み出す、すなわち儲かる路線を指す言葉です。
主に、利用者が多くて高収益な事業を支える路線のことを指し、事業者にとっては経営の安定化に大きく寄与する路線のことです。
唯一日本で新幹線が存在しないという、四国の現状
現在、四国では新幹線が整備されておらず、四国地方は
- 日本で唯一の、新幹線空白地
となっています。
しかし、四国の4つの県や、お金を持った経済界の方々からは、新幹線整備をするように求める声も上がっています。
そのため、区間を限定した建設構想も提言されています。
新幹線が進む北海道 進まない四国
北海道では、
- 新青森駅
- 札幌駅
までの北海道新幹線の工事が、2005年よりおこなわれています。
このうち、既に
- 新青森駅~新函館北斗駅
の区間が2016年に開業し、2038年度に札幌まで延伸開業する予定であります。
このため、北海道・本州・四国・九州の四島のうち、
となりました。
四国新幹線実現に求められること
したがって、四国新幹線の実現には、
- 建設費の財源を確保すること
- 費用対効果を検証すること
- JR四国の経営状況を改善すること
など、多くの課題を解決する必要があるわけです。
しかし、
- 四国経済の活性化
- 観光振興
のためには、新幹線整備が不可欠との考えも根強く、今後も議論が続けられると見られます。
中には四国新幹線「不要論」も
もちろん、四国に住んでいる人の中には、
と考える人もいるのです。
たとえば、新幹線よりも
- 今ある鉄道を、もっと便利にすること
- 高速道路を、もっと使いやすくすること
- LCC(格安航空会社)を、四国の空港にもっとたくさん呼び込むこと
といった、他の交通手段を充実させることのほうが、四国の未来にとってはもっと大切だという意見もあるのです。
「高齢者へ税金を回すべきだ」との声も
確かに新幹線も、もちろん素晴らしい計画です。
しかし、
- 四国に住むみんなが、もっと便利になる
- もっとみんなが豊かになる
というためには、まずは
ということが、一番なのかもしれませんね!
本州と四国 どう結ぶ?
四国新幹線が通ることを想定された、大鳴門橋
また四国新幹線は、元々は
- 本州
- 四国
のそれぞれを結ぶために、まずは「淡路島を通る」ということが考えられていたのでした。
淡路島は、兵庫県に属する、瀬戸内海最大の島です。
北は、後述する明石海峡大橋で神戸方面と結ばれています。
南は、後述する大鳴門橋で、四国と結ばれています。
関西と四国を結ぶ、重要なアクセスルートの島であり、またリゾート地としても知られています。
淡路島の陸地を通した方が、広い瀬戸内海せとないかいに長大トンネルを作るよりも、ずっと安全で安上がりだからですね。
自動車と四国新幹線の「両方」が通れる設計の大鳴門橋
そのために、この「四国新幹線」という壮大な計画のために、大鳴門橋という橋では、
- 自動車・鉄道のどちらもが使える橋
として、設計されたのです。
ちなみに大鳴門橋とは、淡路島と徳島を結ぶための、まるで瀬戸大橋のように、とても大きな橋のことです。
あの有名な「鳴門の渦潮」も、まさにこの橋の下で起こっているのです!
大鳴門橋:鳴門の渦潮で有名な鳴門海峡を渡る橋です。
また、淡路島と徳島県を繋ぐ、全長1,629mにもおよぶ、とても長い橋です。
橋の内部には遊歩道「渦の道」があり、間近に鳴門の渦潮を眺めることができるという、人気の観光スポットとなっています。
この大鳴門橋は、先述の通り、元々は
- 自動車
- 四国新幹線
の、どちらも通れるように設計されています。
四国新幹線は未開通 未だ使用されていない「空間」
しかし、四国新幹線はいまだに実現していないため、新幹線が本来通るためのスペースは、今はまだ「空き」の状態のままとなっているのです。
できれば、四国新幹線が無事に開通して、このスペースがしっかり有効利用されるようになるといいですね!
明石海峡大橋に、鉄道が通らない理由は?
また、本州側(兵庫県側)に明石海峡大橋という、本州と淡路島を結ぶ、とても大きな橋があるのは、よくご存知だと思います。
明石海峡大橋:兵庫県神戸市と、淡路島を繋ぐ、全長3,911mにおよぶ、世界最大級の吊り橋です。
1998年に開通し、完成当時は、世界最長の吊り橋でした。
2022年、トルコで開通した世界最長の橋に抜かれました。
明石海峡大橋は、当初は鉄道も通る予定だった
しかし、この橋には「鉄道の線路」が通っていないのです。
当初は
- 「電車も車も、両方が通れる橋にしよう!」
という計画だったのですが、途中で
- 「道路・自動車だけの専用の橋」
へと、計画が変更されてしまったのでした。
その結果、明石海峡大橋の近くに、
- 改めて「海底トンネル」を作って、そこに電車を通す必要がある
ということになったのですね。
なぜ鉄道は通らなくなったのか?
このように、明石海峡大橋が鉄道を通せない仕様になった(変更された)理由その背景には、
- 国鉄の財政難:昔のJRにあたる国鉄という会社が、とてもお金が無い状態だったこと。
- 橋が重さに耐えられないこと:あまりにも重い鉄道を通すには、橋の設計を、もっと頑丈に作り直さなければいけなかったこと。
- オイルショック:石油の価格が急に上がってしまい、社会全体が混乱していたこと。
といった、さまざまな理由があったのです。
なんだか、当時の状況の難しさが伝わってきますね!
四国新幹線の建設には、莫大な費用がかかる
実は、四国新幹線を九州の大分まで通すためには、
- 「豊予海峡」
という、四国と九州を分け隔てている海に対して、新しい橋または海底トンネルを作らなければいけないのです。
豊予海峡:
- 大分県の佐賀関半島
- 愛媛県の佐田岬半島
という、愛媛県と大分県を最短で結ぶ岬の、それぞれの間にあたる海峡です。
豊予海峡は、幅わずか約14㎞の狭い海峡で、瀬戸内海と外海(太平洋)からやってくる海流が、激しくぶつかり合います。
このため、海流が非常に速く、潮流が渦を巻く様子が見られ、漁師さんたちの仕事を困難にします。
この豊予海峡とは別に、さらに新しいルートを作ることもしなければなりません。
それは、反対側の明石海峡にも、橋や海底トンネルを建設しなければいけないわけです。
それは先述の通り、明石海峡大橋には鉄道を通るスペースが(予算の関係で)作れなかったため、新たに別途海底トンネルを掘らなければいけなくなったからですね。
約4兆円にもおよぶ、甚大なコスト
そのため、四国新幹線というプロジェクト全体にかかる費用は、なんと約4兆200億円と見積もられている(予測されている)のです!
したがって、この金額は、国の1年間の軍事費にも匹敵するほどの、本当にとてつもなく巨額なものだということがわかります。
なんだか、その金額の大きさに、目がくらんでしまいそうですね!
新幹線を建設しても、元は取れない
したがって、例えこれだけ膨大なお金をかけて四国新幹線を作ったとしても、今の日本と四国の現状を考えると、
- 建設にかかったお金を、お客さんからもらう運賃だけで回収することは、残念ながら到底難しい
というのが現実なのです。
この点が、四国新幹線の計画がなかなか進まない、大きな理由のひとつなわけですね。
今では非現実的な「紀淡海峡」ルート
和歌山(紀州)と淡路島を結ぶルート
ちなみに1999年頃まであったアイデアに、紀淡海峡に橋や海底トンネルを建設するというものがありました。
紀淡海峡:
- 本州(紀伊半島)
- 淡路島
に挟まれた海峡であり、大阪湾と紀伊水道(太平洋)への入口にあたる部分に位置します。
友ヶ島水道とも呼ばれ、古くから重要な海上ルートであり、また友ヶ島などの島々が浮かぶ、歴史的に軍事的にもゆかりのある場所です。
しかし、このような大きな海峡にトンネルを作るとなると、やはり膨大な費用がかかるため、明石・淡路島・鳴門を通るルートの方が現実的とされ、このルートは(事実上の)廃案となったのでした。
紀淡海峡の工事調査は、事実上の廃案に
また、紀淡海峡の工事調査は、平成19年(2007年)をもって、事実上、廃案となりました。
これは、将来的な計画が復活する可能性は残しつつも、現状では具体的な工事は見送られた、ということです。
すなわち、この計画は、費用や技術的な課題が大きく、一度立ち止まることになったのです。
大成建設などの「エキスパート」による、紀淡海峡のトンネル工事の可否
また、天下の大成建設でさえ、紀淡海峡のトンネル工事については、厳しい見解を示しています。
技術的には、「可能」である、とされています。
しかし、流れが非常に速い海峡での難工事になるため、工事期間が膨大になります。
したがって、それにかかる費用も、莫大になってしまう、というのです。
技術力はあっても、自然の力にはかなわない、ということかもしれませんね。
やはり、巨大プロジェクトの実現には、莫大なお金の壁が立ちはだかるのですね!
四国新幹線は、補助金が降りにくい
いわゆる「整備新幹線」に指定されていない
四国新幹線は、残念ながら「整備新幹線」ではありません。
(整備新幹線については、次の項目で詳しく解説しますね!)
したがって、国から建設費用の補助金が、非常に降りにくいという、死活問題というべき大きな問題があります。
すなわち、この整備新幹線の枠組みに入れないため、建設の財源をどう確保するかが、長年の課題となっているわけです。
巨額な費用を、四国だけでまかなうのは、本当に難しいことですよね。
このように、国からのサポートがないと、なかなか前に進めない、というのが現実なのです。
整備新幹線とは?
整備新幹線とは、「全国新幹線鉄道整備法」という法律に基づいて、国が建設を整備する新幹線の路線のことです。
つまり、国が「これは必要だ」と認めて、費用の大部分を補助してくれるという、特別な新幹線なのですね。
まあ、国にとって必要だ、価値があると認められているから、国の予算を使って整備される(作られる)わけですね。
現在、北海道・東北・北陸・九州・西九州の新幹線が、この整備新幹線にあたります。
すなわち、この整備新幹線に認定されることで、国からのサポートが受けられるようになるため、建設の実現性が飛躍的に高まるのです!
そして四国も、この仲間入りをしたい、と願っているわけですね。
四国は、みんなで整備新幹線への昇格や補助金を求めている
そのため四国では、四国全体の政治レベルを挙げて(4つの県のトップである県知事を中心に)、国に対して熱心に要望活動が行われています。
その内容は、
- 「整備新幹線への昇格・格上げ」
- 「建設のための、補助金の交付」
です。
すなわち、例えば
- 四国の経済発展
- 南海トラフ地震
などの災害対策という、国にとってのメリット・重要性などを強く訴えているのです。
この新幹線の実現は、四国の未来にとって、欠かせないプロジェクトである、という熱意が伝わってきますね!
四国のみんなの思いが、いつか国全体を動かす日が来ると良いですね!
四国新幹線が「整備新幹線」として認められにくい理由
四国は、北海道や北陸、九州といった他の地域と比べて、整備新幹線として認めてもらうのが難しいという現実があります。
その最大の理由は、大都市が少なく、人口密度が比較的低いことです。
- 北海道:札幌という大都市との経済活性化が期待される
- 北陸:金沢などの大都市へのアクセスや、東海道新幹線が万一の災害で不通になったときのバックアップ路線としても期待されている
- 九州:福岡・熊本・鹿児島・長崎などの主要都市と、関西圏・東京とのアクセスを抱えている
したがって、国が建設を決める際の重要な指標である「採算性」や「投資効果」が、他地域に比べてどうしても低く評価されやすいのです。
どれだけ四国にとって必要であっても、国にとって「ビジネスとして成り立つのか」という壁をクリアするのは、本当に大変なのですね。
四国新幹線は「日本のバックアップ」にもなる?
と、そう考える人もいるのではないでしょうか。
実は、四国新幹線を作ることには、日本全体にとって大きなメリットがあるのです。
リニアと九州新幹線が、四国でつながる
まず、先ほどもお話ししたように、四国新幹線は、大阪が起点となります。
そして、その大阪には、2037年に「リニア中央新幹線」が開通する予定となっています。
したがって、この
- 東京→リニア中央新幹線→新大阪駅
- 新大阪駅→四国新幹線
- 豊予海底トンネルを経由して、
- 九州新幹線
がそれぞれ、もしつながったら、どうなるでしょうか。
なんと東京から九州を、わずか2時間半で、行けるようになるのです!
これは、
ということです。
すなわち、東京と九州の間を移動するお客さんや、ビジネスで動く人たちを、四国新幹線がしっかりと支えることができるようになります。
そのため、たくさんの人が四国新幹線を利用してくれる、という需要が見込まれているのです。
災害時にも安心!「第二の国土軸」とは?
また、四国新幹線は、東海道・山陽新幹線という、日本の大動脈のバックアップ路線にもなりうるのです。
例えば、地震などの災害が起こって、東海道・山陽新幹線が使えなくなったとしても、
- 四国新幹線があれば、代わりに日本の東西を結ぶことができる
というわけです。
したがって、日本という国にとって、「第二の国土軸」という、より頑丈な交通の基盤になるわけです。
そのために、四国新幹線を「電車」ではなく、「リニア方式」で建設しようか、とする構想もあるようです。
四国新幹線の、フリーゲージトレインの導入構想
過去にはなんとか低予算で四国に新幹線を通すために、例えば、
- ミニ新幹線
- フリーゲージトレインの導入構想
も検討されました。
そもそも「フリーゲージトレイン」とは?
四国新幹線には、実は「フリーゲージトレイン」という、ちょっと変わった規格の新幹線を走らせよう、という構想があったのでした。
これは2008年ごろに、実際に検討されていた計画だったのでした。
線路の幅を変えられる特殊な電車・フリーゲージトレイン
そもそも「フリーゲージトレイン(FGT)」とは、
- 新幹線が走る「標準軌」(約1.4mの線路幅)という広い線路から、
- 在来線が走る「狭軌」(約1.0mの線路幅)という、狭い線路
まで、線路の幅に合わせて、車輪の幅を自動的に変えることができるという、なんとも特殊な仕様の電車のことをいいます。
したがって、この電車があれば、新幹線と在来線の間で、わざわざ電車を乗り換える必要がなくなるというメリットがあるわけです。
すなわち、東京から四国まで、乗り換えなしで、しかも短い時間で移動することが可能になるというわけです。
なんだか、夢のような電車だと思いませんか?
新幹線と在来線の線路は、なぜ同じ電車が通れないのか?
新幹線と在来線は、走るための線路の幅が、そもそも違うのです。
- 新幹線の線路は、とても幅が広くなっています。
- 一方、在来線の線路は、それよりも幅が狭くなっています。
したがって、
- まるで足のサイズが違うそれぞれの人が、全く同じ靴を履くことができない
ように、新幹線の車両が、そのまま在来線の線路を走ることは、残念ながらできないのです。
すなわち、この線路の幅の違いを、乗り越えるための特別な電車が、「フリーゲージトレイン」というわけです。
「フリーゲージトレイン」の実現が難しい理由
しかしながら、このフリーゲージトレイン(FGT)という、まるで夢のような電車も、実はさまざまな理由から、実現には至っていないのが現状なのです。
フリーゲージトレインを、四国新幹線に導入することが、とても難しいとされている主な理由には、以下のようなものがあります。
莫大な費用と、技術的な課題
すなわち、このフリーゲージトレインという特別な仕様の車両を作るためには、莫大な費用がかかってしまうのです。
さらに、電車が安全に走るための技術的な課題も、まだ完全に解決されていません。
そのため、このまま進めたとしても、採算が取れるか、元が取れるかどうかの見通しも立っていません。
したがって、この
- 「お金の問題」
- 「安全性の問題」
が、大きな壁となっているのですね。
「スピードが遅い」という課題も
そして、もうひとつ大きな問題があります。
それは、フリーゲージトレインの「スピード」です。
現在の新幹線は、時速300キロという、とても速いスピードで走っています。
しかし、フリーゲージトレインは、これまでの実験の結果、最高速度が時速270キロという、とても低いということが分かっています。
したがって、
- 今の山陽新幹線のような、とても速いスピードで走る電車に、
- このフリーゲージトレインが、そのまま乗り入れることは、残念ながら難しい
とされているのです。
したがって、これだけ素晴らしい技術なのに、実現が難しいと聞くと、少し残念な気持ちになる思いですね。
「フリーゲージトレイン」お金もスピードも課題あり?
フリーゲージトレイン(FGT)は、線路の幅を変えられるという、とても素晴らしい技術です。
しかし、技術開発に莫大な費用がかかってしまうという、大きな課題があります。
すなわち、この技術を新幹線に導入したとしても、かかる費用に対して、得られるメリットがあまり大きくない、という見方があるのです。
新幹線区間では、スピードも遅くなってしまう
さらに、もうひとつの大きな課題に、「最高速度」があります。
新幹線の線路を走るときでも、フリーゲージトレインの最高速度は時速270kmが限界とされています。
したがって、今の新幹線が走るスピードと比べると、どうしても劣ってしまいます。
すなわち、せっかく新幹線区間に入っても、スピードが出ないため、所要時間の短縮効果は、あまり期待できないのです。
したがって、お金とスピード、どちらの面でも、なかなか難しい問題が山積みだということなのですね。
「ミニ新幹線」の案は?
また、同じく整備新幹線ではない山形新幹線で既に実現している「ミニ新幹線」の方式についても、四国新幹線においては、
- 線路の幅を広げるのに、甚大な工事負担・費用がかかる
- トンネルにおける工事、地盤を強くする工事、電力設備の工事など、全て新幹線仕様に合わせないといけない
など、かなり難しい状況にあるのです。
どのみち、元が取れないわけですよね。
山形新幹線およびミニ新幹線については、こちらの記事(当サイト)でも解説していますので、ご覧ください。
ハードルの高い「新幹線仕様」への移行
つまり、新幹線の高速運転に耐えれるように、
- 線路の下の地面を強化したり、
- 変電所の容量をアップする
など、何もかも「新幹線仕様」にするために、甚大な費用がかかるわけです。
そのため、結局元は取れない、ということになるわけです。
一方、山形新幹線が実現できた理由
- ミニ新幹線方式に正式に決まり、当初の理想だった「フル規格」よりは「安上がり」でいけたこと。線路幅を広げる「改軌工事」などで済み、難工事を避けられたこと。
- JR東日本という、資金余力のある会社によって建設されたこと。
- 四国と違って「陸続き」でいけたこと。四国新幹線のように、海峡を越える必要が無かったこと。
- その他、「べにばな国体」があったことなど、山形県のみならず国にとってもメリットがあったこと
山形新幹線もいわゆる「整備新幹線」ではありませんでしたが、こうした様々なプラス要因がうまく重なり合って、国からの補助金が無事に降りて(国の予算に編入されて)、建設が進んだわけです。
四国新幹線の建設の道は、改めて「いばらの道」だと感じましたね(^^;
おわりに・まとめ
四国新幹線と、その「完成しない理由」について学んでみて、いかがだったでしょうか。
すなわち、技術的な課題だけでなく、
- 巨額の費用
- 採算性の問題
など、さまざまな壁があることが分かりましたね。
これらの壁が、新幹線の実現を難しくしているというわけです。
しかし、この計画は、四国の発展にとって、とても重要な夢です。
だからこそ、私たちが、その現状に関心を持ち続けることが、未来の実現に向けた、大きな一歩になるのかもしれませんね!
それでは、次の機会にも、是非一緒に学んでいきましょう。
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