長崎県の島原半島にある雲仙岳について、その歴史や「平成新山」の成り立ち、温泉との関連性などをわかりやすく解説してゆきます!
はじめに
今回も前回に引き続き、島原鉄道とその沿線の地理・歴史を学んでゆきましょう!
島原鉄道の基本的な知識および歴史などについては、以下の前回の記事でも解説していますので、ご覧ください。

雲仙岳の概要
雲仙岳は、長崎県の島原半島にある火山の総称です。
すなわち、複数の山々の集まりで、その中でも平成新山が最も高い山(1483m)です。
雲仙岳と普賢岳の違い
ちなみに雲仙岳という名前は、実は単独の山の名前を指すわけではなく、
- 普賢岳
- 平成新山
などといった、複数の峰々の総称となります。
すなわち、雲仙岳という単独の山があるわけではなく、島原半島にある火山群全体の名前であるというわけです。
したがって普賢岳は、その雲仙岳火山群のなかで、最も有名で、かつて最高峰だった山の一つの名前です。
つまり、
- 「雲仙岳というグループの中に、普賢岳というメンバーの山がいる」
と考えると分かりやすいですね!
噴火時の「雲仙岳」の呼称
平成2年(1990年)から始まった噴火活動のときにも、その場所は「雲仙岳」と呼ばれていました。
すなわち、噴火が起きた元々の本体の山である普賢岳は、もともとは雲仙岳という火山群(たくさんの火山たちのまとまり)の中の一つでした。
ニュースなどの報道においては「雲仙普賢岳」と、具体的な山名を付けた呼び方も多く使われました。
しかし、山全体のことを示す「雲仙岳」という総称は、むしろ昔からずっと使われ続けていた、ということですね。
「雲仙・普賢岳」という呼び方について
すなわち、この呼び方は、噴火のニュースなどの際に、
- 雲仙という地域全体ので起きている事象であること
- 具体的には、本体の普賢岳で、噴火活動が起きていること
を、明確に伝える意図があったために、ニュースなどでこの名前が広まりました。
つまり、具体的に噴火が起きた、本体・最高峰の山である普賢岳という山名を組み込むことで、場所の特定と状況の緊急性を両立させていたというわけですね。
「雲仙・普賢岳」はマスコミ用語?
すなわち、危機的な状況を正確に伝えるために、両方の名前が使われるようになったわけですね。
したがって、「雲仙・普賢岳」という呼び方は、学術的な正式名称というよりは、どちらかというと報道やマスコミで広く使われた用語、と言えます
ニュースなどの報道により、「雲仙普賢岳」という呼称が定着
このように、先述の平成の大噴火の報道により、
- 「雲仙・普賢岳」
という呼び方が、多くの人からまるで正式名称のように認識されてしまった面はあります。
つまり、連日のようにテレビなどでこの名前が使われたため、この地域の最も一般的な呼び方として定着してしまったというわけです。
したがって、この山は、現在でも「雲仙岳」という広いくくりの中にあります。
しかし、噴火を経験した世代にとっては、「雲仙普賢岳」という名が、あの激しい火山活動を思い出す代名詞になっているのかもしれませんね。
地元における現在の雲仙岳の呼称
地元では、今でも「雲仙岳」という総称が、広く使われています。
地元の人々にとって、「雲仙岳」という呼称は、昔から定着していました。
もともと地元では、雲仙岳という呼び方が一般的だった
すなわち、この地域一帯が国立公園や温泉地として「雲仙」の名で長年親しまれてきたからです。
また、江戸時代から、この地域は普賢岳などへの信仰の山として知られていましたし、明治時代以降は温泉地として「雲仙」の名が広まっていたからです。
このように、地元の観光や行政の場面においては、あくまで地元地域のことを示す「雲仙岳」という呼び方が基本です。
しかし、噴火の記憶が新しい世代や、災害の話をする際などには、あえて区別するために「普賢岳」や「平成新山」と個別の山名を挙げることもあります。
雲仙岳の噴火と、平成新山
平成の火山活動
雲仙岳は、活発な火山活動の歴史を持っています。
特に、1990年(平成2年)から始まった噴火活動は記憶に新しい人も多いことでしょう。
この活動により雲仙地域では大きな被害が出ましたが、それと同時に平成新山という新しい山が誕生したという、まさに大地のエネルギーを感じる出来事でした。
平成新山 誕生のプロセス
この噴火においては、まずはメインの火山である普賢岳の火口から、高温のガスや岩石が凄まじい速さで流れ落ちてくるという火砕流が何度も発生しました。
火砕流:火山噴火で発生する、高温のガスと火山灰・岩石の塊がそれぞれ混ざり合い、山肌をものすごい高速で流れ下りてくるという現象のことです。
下に流れず固まり、上に溜まって積み上がっていった(平成新山)
このとき、
- 火口から出た溶岩が、下へと流れてゆかずに、
- その場で次々に盛り上がってしまった
ということで、なんと「溶岩のドーム」を作りました。
すなわち、火口から出た瞬間にその場に居座ってしまい、横に広がる前に、上へ上へと盛り上がってしまったのです!
急激な冷却→固まる→それが「壁」になった
また、噴火したばかりの熱い溶岩がそとに出てきて常温の外気に触れると、融点を下回ってしまい、表面からどんどん冷えて固まり固体となります。
つまり、そのときに出来た「固体」の岩が、押し出されてくる新しい溶岩を閉じ込める「器」、むしろ「壁」のような役割を果たしました。
上へ上へと盛り上がり、元の普賢岳よりも高い平成新山の完成
その「壁」に遮られて溶岩は山のふもとへと流れなくなり、下から次々とマグマが押し上げられてゆき、それに伴いドームがどんどん巨大化しました。
これが冷えて固まったものが、現在の平成新山というわけです。
すなわち、火山のエネルギーが直接形になった「溶岩の山」なんですね!
なんと最高標高を塗り替えた平成新山
平成新山ができる前の普賢岳の標高は、1,359mでした。
まあ、この地域からであればわりとどこからでも見えるほどの、かなりインパクトある高い山ですね。
つまり、噴火によって溶岩ドームが盛り上がってゆき、平成新山(1,483メートル)が新しく誕生するまでは、この普賢岳が雲仙岳におけるそれまでの最高峰だったというわけです。
したがって、平成新山は、それまでのトップだった普賢岳の記録を、一気に124メートルも上回ってしまいました。
標高は1,483m、長崎県の最高峰に(平成新山)
平成新山の標高は1,483mです。
したがって、現在ではこの平成新山が長崎県の最高峰となっています。
山が新しく生まれて、しかも県で一番高くなるなんて、自然のパワーは本当にすごいですね!
自然の力って本当にすごいですよね!
平成新山の分類 成層火山ではない?
平成新山は、火山活動によって積もり積もってできた、成層火山ではありません。
そもそも「成層火山」とは
成層火山とは、噴火で噴出したドロドロの溶岩や火山灰などが何層にも積み重なってできた、円錐形になった大きな火山のことです。
富士山などがこれにあたります。
すなわち平成新山はこの成層火山ではなく、1990年代の噴火で、粘り気の強いドロドロとした溶岩が、ドーム状に盛り上がってできた溶岩ドームであるというわけです。
したがって、この盛り上がりが新しく山頂の高さ・標高を更新したため、「新山」と呼ばれているというます。
まるでゴツゴツとした岩肌が特徴的で、力強い姿ですよ!
成層火山と溶岩ドームの違い
成層火山と溶岩ドームの最も大きな違いは、「形」と「溶岩の性質」にあります。
例えば富士山のような成層火山の場合は、粘り気の弱い(あまりドロドロしていない)溶岩や火山灰が交互に積み重なってゆくことで出来たため、まるできれいな円錐形をしています。
つまり、
- 噴火が何度も繰り返されることで、
- 時間をかけて大きくなっていく
わけですね。
「平成新山」のように高く積み上がっていくプロセス
一方で溶岩ドームは、
- 粘り気の強いドロドロとした溶岩が火口から出てきたときに、
- すぐに融点を下回って固まってしまい、
- 固まったものが「壁」となって、
- それ以上流れてきた溶岩は下・横に流れていかずに、
- 盛り上がってできた塊
ということになります。
すなわち、マグマの「さらさら度」の違いにあります。
さらさらしていれば、まるで富士山のように広く流れてきれいな裾野を作りますが、ドロドロだとその場で盛り上がってしまい、ドームになるわけですね。
この「盛り上がり」によって、元々の山である普賢岳の最も高い地点よりも、新しくできた溶岩ドームのてっぺんが高くなった、というわけです。
こうして山から出てきたものが、本体より高くなったわけですか、なんとも驚きですよね!
雲仙岳と温泉
火山のめぐみ・温泉
雲仙周辺に温泉地が多いのは、火山の恩恵
雲仙岳の周りに温泉地が多いのは、この山が今も活動している火山であることの大きな恩恵です。
なぜなら、火山の地下深くには、マグマによる熱源があるからです。
この巨大な熱エネルギーが、地下にある水をまるでお風呂のガスのように温め続けているわけですね。
そのため、
- 地熱を利用した温泉
- 地面から熱い水蒸気が噴き出してくる、地獄と呼ばれる場所
が、それぞれ数多く存在するというわけです。
まさに、大地の恵みですね!
火山により地下水が熱せられて、地上に出てきたものが、温泉
温泉の仕組みは、
です。
つまり、
- 地面からしみ込んだ雨水などが、
- 地下深くにあるマグマ溜まりの近くまで降りていきます。
- そこで、熱いマグマによって、高温に温められた水が、
- 地層の割れ目(隙間)を通って、
- 再び地上に湧き出てきます。
これが温泉の正体です。
雲仙温泉のような素晴らしい温泉は、火山の力が作り出した自然の芸術ですね!
火山の熱は、一般家庭のガス給湯器と役割が同じ
また、火山の地下深くにあるマグマの熱は、温泉にとってはまるで(お風呂のお湯を沸かすための)ガス給湯器のような役割を果たしています。
つまり、
- 火山によるマグマの熱そのものが、温泉の熱源となり、
- 地下にしみ込んだ・地下を流れる地下水を、
- 火山という自然のガス給湯器が、常に高温に熱し続けている
というわけです。
火山がもたらした「自然のお風呂」の仕組み・温泉
したがって、この仕組みのおかげで、私たちは
- 雲仙の地表に湧き出てくる、温かいお湯(温泉)の恵み
を受けることができるというわけです。
つまり火山がもたらす、壮大な自然のエネルギーというわけですね!
温泉は火山大国・日本ならではの恩恵
温泉の存在は、火山大国である日本ならではの恩恵であり、外国人からも珍しがられています。
日本列島は、多数の火山が連なるような火山帯の上に位置しています。
それは、プレートがとても多い場所の上に日本列島が存在しているからです。
すなわち、この地理的な特徴のおかげで、地下には常に熱源があり、温泉が数多く湧き出てきているというわけです。
したがって、これほど豊かな温泉資源を持っている国は、世界的に見ても珍しく、まさに火山大国・日本ならではの、素晴らしい恩恵だと言えますね!
日本の文化にも深く根付いています。
温泉は外国人から見ても珍しい?
日本の温泉は、外国人から見ても、非常に珍しく魅力的な文化として捉えられています。
つまり、火山の熱を利用した自然のお風呂自体が珍しいことに加え、温泉宿の「おもてなし」の文化なども独特だからです。
また、近年は日本での温泉体験を目当てに来日する観光客の方々も増えています。
温泉は、日本の誇れる観光資源の一つですね!
おわりに・まとめ
雲仙岳の噴火がもたらした驚異的なパワーと、そこから生まれた「大地の恵み」である温泉。
自然の「厳しさ」と「優しさ」の両面について、お分かりいただけたでしょうか。
火砕流が一瞬にしてすべてを飲み込むという破壊力は、当時のニュース映像を通じても世界中に衝撃を与えました。
しかし、これほど恐ろしい噴火を起こす火山のエネルギーですが、一方で私たちに温泉という、最高の癒やしをプレゼントしてくれています。
それが、雲仙温泉や島原温泉です。
火山は時に恐ろしい牙をむくこともあれば、温かく私たちを包み込んでくれることもある。
こうした火山という巨大なエネルギーを身近に感じながらのゆったりと温泉というものは格別でしょうね!
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