まずは原文から!
沼津(ぬまづ)の海(うみ)に聞こえたる
里は牛伏(うしぶせ)我入道(がにゅうどう)
春は花さく桃のころ
夏はすゞしき海のそば
さらに読みやすく!
沼津(ぬまづ)の海(うみ)に聞こえたる
里は牛伏(うしぶせ)我入道(がにゅうどう)
春は花さく桃のころ
夏はすずしき海のそば
さあ、歌ってみよう!
♪ぬまづのうーみに きこえたるー
♪さーとはうしぶせ がにゅうどう
♪はーるははなさく もものころー
♪なーつはすずしき うみのそばー
(東海道線)
沼津駅→富士駅→富士川駅→興津駅→清水駅→静岡駅→安倍川駅→焼津駅→藤枝駅→島田駅→掛川駅→袋井駅→磐田駅(旧・中泉駅)→天竜川駅→浜松駅
※鉄道唱歌に関連する主要駅のみ抜粋
富士山と駿河湾に囲まれた街・沼津
箱根の山方面から海側へ線路を下ってくると、日本一深いと言われる駿河湾(するがわん)に面した駿東最大の街・沼津市の中心駅である、沼津駅(ぬまづえき、静岡県沼津市)に到着します。
現在の沼津駅は東海道線と御殿場線の分岐点であり、鉄道唱歌ができた明治時代(1900年)は現在の御殿場線が東海道線のメインルートでした。
しかし、1934年に丹那トンネル(たんなトンネル)が開通し、東海道線が熱海経由のルートに変更されると、それまでの国府津駅~御殿場駅~沼津駅のルートは「御殿場線」という扱いとなりました。
静岡県沼津市(ぬまづし)は、日本一高い山である富士山と、日本一深い海である駿河湾に抱かれた風光明媚な景色を持つ街で、歴史的に多くの文豪や作家などに愛されてきた他、その気候の良さから大正天皇のご静養の街としても選ばれました。
スーツさんが2019年夏に行われた「日本一周」シリーズでアニメ聖地巡礼のために沼津市を訪問された際に、鉄道唱歌のこの第17番の歌詞の1・2行目を歌唱されるシーンがあります。
昔の人々は東海道(とうかいどう)において、険しい箱根の山を歩いて(また馬で)越えてくるという大変な旅をしていたのでした。そんな箱根の山を越えてきた旅人たちにとって、沼津の海の景色はどれほどありがたかったことでしょうか。
雨が少なく晴れが多い。けど富士山の水(沼)のおかげで、水には困らなかった町
沼津市は夏は海風が吹き涼しく、冬も晴れの日が多く暖かい。年間を通じて晴れの日が多く、降水量が少ないという絶好の気候に恵まれた場所です。降水量が少ないからこそ「干物(ひもの)」の名産地であり、また降水量が少なくても富士山からの大量の湧き水による沼がたくさんあったことから、歴史的に水不足にも困りませんでした。
昔は、「沼」や「池」「川」という存在はとてもありがたいものでした。現在のように上水道やダムなどのインフラもなかった時代は、人々は常に水不足との戦いであり、水がないことには飲料水の確保や、選択肢やお風呂などの生活用途もままなりません。農作物も育ちません。いわゆる「雨乞い(あまごい)」も辞さない覚悟もあったでしょう。
しかし、富士山から大量の沼や水が湧き出る沼津は、そんな水不足とは無縁であり(これは隣の三島市も同様)、そんなありがたい沼がたくさん出る港町(津)であったことから、「沼津(ぬまづ)」という地名が生まれたものとおもわれます。
(なお、こうした沼や池などは現在ではダムや上水道などに役割を譲っているため、現在では埋め立てられて存在せず、住宅地や農耕地などになっているかもしれません。)
沼津という地名は古くは鎌倉時代からあったようで、現在の狩野川(かのがわ)の下流にその地名が残る「蓼原(たでわら)」という名前で呼ばれた時期もあったようです。
箱根の山から下ってきた旅人を癒した宿場町・沼津宿と、沼津の海
箱根の山はとにかく険しい道で、鉄道が出来る前の江戸時代以前は、歴史的に多くの旅人たちを苦しめてきました。スマホもGPSもない時代ですから、必然的に遭難の危機もあったかもしれませんし、山賊に襲われる危機もあったかもしれません。
そんな険しい箱根の山を下ってきた旅人たちにとって、海に近い沼津の街はどれだけありがたかったでしょうか。
東海道五十三次(とうかいどうごじゅうさんつぎ)における江戸から京都までの計53の宿場町のうち、12番目の宿場である「沼津宿(ぬまづしゅく)」も、箱根を降りてきた人々をもてなしたり、またこれから箱根の山越えに挑む旅人たちが英気(えいき)を養う場として重要だったことでしょう。
水門「びゅうお」があり、干物や海鮮丼と名産が盛りだくさんの沼津港エリア
沼津港(ぬまづこう)は、古くから大量の物資を運ぶための重要な港として機能してきました。昔はトラックや貨物列車、航空機などによる大量輸送のない時代でしたから、船に乗せて大量の荷物を運ぶ「水運」が最も効率的で主流でした。
そうすると、港に荷物を入れたり下げたりする人の数も増えますし、港湾で働く人も増えます。また、そうした人をもてなす飲食店や商業施設なども増えます。こうして沼津港などの港町はどんどん栄えていきます。
静岡県の海側(太平洋側沿い)には「沼津(ぬまづ)」「興津(おきつ)」「焼津(やいづ)」と、「津(つ)」がつく地名が多いと個人的に感じているのですが、それだけこういった地域が海運などで重要な港町だったかが伺い知れます。
かつて沼津港まで荷物を運んでいた貨物路線「蛇松線」
そして、鉄道ができた明治時代には、沼津港から沼津駅まで線路が延びる「蛇松線(じゃまつせん)」がありました。
蛇松線(じゃまつせん)は元々、狩野川(かのがわ)の下流にある蛇松町から荷物を載せ、アジや木材などを運んでおり、「静岡県最初の鉄道」と言われていました。
しかし、1960年代以降にトラック輸送が主流になると、こうした貨物路線は徐々に衰退していき、蛇松線の需要も徐々に減少、1974年には廃止となってしまいました。
現在の沼津市でも、わずかながら線路の跡が残る他、蛇松町方面および沼津港方面に向かって元々線路のあったところが緑道(蛇松緑道)として残されています。
人気アニメ「ラブライブ!サンシャイン」の舞台・聖地に
このように、港町として大きく栄えてきた沼津市でしたが、2011年3月におきた東日本大震災の影響で、津波の恐怖に耐えられたくなった海沿いに住んでいた人々が次々に転出していき、街から出ていくことになってしまいました。その結果、人口は減少し続け、また全国的な少子高齢化の影響もあり、沼津市は人口20万人を割ってしまうこととなりました。
しかし、2015年に当時の大人気アニメ「ラブライブ!」シリーズの続編である「ラブライブ!サンシャイン!!」の舞台が沼津市に決定され、翌2016年から放送されると、「聖地巡礼」として多くのアニメファンが沼津市に来訪するようになりました。アニメ聖地巡礼は沼津市の経済に少なからずの貢献がなされたとみられ、沼津駅周辺や、駅からバスで約35分の海辺の町「内浦(うちうら)」では、アニメに登場した場所として特に大きな盛り上がりをみせました。
2022年現在は感染症などの影響もあってかやや盛り上がりに落ち着きをみせていますが、私をはじめとした根強いファンが未だに沼津訪問を続けています。
「ラブライブ!サンシャイン!!」は、静岡県沼津市を舞台としたアニメとして知られ、「廃校の危機に瀕した学校を、アイドルグループを結成して救う」というストーリーのアニメです。
主人公たちの女子高生9人のグループはAqours(アクア)といわれ、実在する学校をモデルにした「浦の星女学院」という架空の女子校(私立高校)が廃校のピンチに陥ったので、主人公たちの女子高生9人が立ち上がって突き進む、といったストーリーです。
アニメでは、沼津市の観光のランドマークがほぼ抑えられているため、観光のための勉強にもなります。
例えば、
「あわしまマリンパーク」
「伊豆・三津シーパラダイス(いず・みとシーパラダイス)」
「内浦三津海水浴場(うちうらみとかいすいよくじょう)」
「沼津港大型展望水門びゅうお」
「仲見世商店街(なかみせしょうてんがい)」
「狩野川(かのがわ)」
「上土(あげつち)」
など、沼津の観光名所は(全てではないにせよ)ほぼ抑えられていると思っています。
また、2023年には、再び沼津市を舞台としたアニメとして、「幻日のヨハネ」が放送されます。
本アニメは主人公を津島善子(ヨハネ)さんに置き換え、沼津市をモデルとした「ヌマヅ」というまるで中世ヨーロッパのような独特の世界を舞台としたアニメとなっています。
本アニメの放送により、再び沼津に盛り上がりが訪れることが期待されます。
私も、このアニメを楽しみにしています。
海沿いエリア「牛臥」「我入道」 名誉市民・芹沢光治良の出身地
以下、歌詞について少し解説しておきます。
「牛臥(うしぶせ)」とは、沼津の海沿いにある、まるで牛が寝そべった(臥せている)ような形の山のことを言います。
また牛伏山の近くには、大正天皇がご静養のために滞在された沼津御用邸(ごようてい)があります。「御用邸」とは、天皇や皇族の別荘のことをいいます。御用邸は1970年に民間に開放され、今は御用邸記念公園となっています。
御用邸記念公園の周りには島郷海水浴場(とうごうかいすいよくじょう)があり 、アニメで「Aqours」の文字が描かれていた砂浜もここになります。遠くには淡島(あわしま)や大瀬崎(おせざき)などを眺められます。
「我入道(がにゅうどう)」とは、狩野川のほぼ河口にある海沿いの地域のことをいいます。沼津名誉市民の小説家・芹沢光治良(せりざわ こうじろう)さんが生まれた地域として知られます。
我入道にある芹沢光治良記念館は、Aqoursの4thシングル「未体験HORIZON」の舞台ともなりました。
アニメの聖地巡礼も兼ねて、ここからの長い旅に備えて沼津で一休み
沼津駅周辺は、店もとにかく充実しています。
スーパー、コンビニ、百均、タリーズコーヒー、サンマルクカフェなど旅の途中の買い物や休憩にも最適です。
青春18きっぷ初心者の方が静岡県内を進む場合、原則として普通列車のみの移動となるため、それはとても難易度が高いものとなります。そのため、列車での長時間移動がきつくなった場合では、無理をせず沼津駅で途中下車してみましょう。お店がたくさんあるため、買い物や休憩に困ることはないでしょう。駅前にはアニメ関連のカフェもあり、簡単なアニメ聖地巡礼も可能です。
また、沼津駅北口にはビジネスホテルが充実しており、比較的低価格でいけるため、泊まるための街としても沼津市は旅人にとっては重宝します。
私は沼津市がとても大好きなため、沼津駅を出るときはいつも名残惜しく感じます。
まさに「土産を下げていざ発たん 跡に名残は残れども」(鉄道唱歌東海道編53番より)です。
沼津駅を出ると、次は片浜駅→原駅と、富士山のふもとを走っていきます。
次は、富士駅に止まります!
注意
この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
もし内容の誤りに気付かれた方は、「お前は全然知識ないだろ!勉強不足だ!」みたいなマウントを取るような書き方ではなく、「~の部分が誤っているので、正しくは~ですよ」と優しい口調で誤りをコメント欄などでご指摘頂ければ嬉しく思います。再度こちらでも勉強し直し、また調べ直し、内容を修正致します。何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
コメント