道東の旅16(最終回)千歳線・千歳→北広島→札幌 札幌へ到着!

道東の旅は、今回が最終回 千歳からゴール・札幌へ

前回で列車は、千歳駅(ちとせえき、北海道千歳市)に到着しました。
今回は千歳駅を出て、ゴールの札幌(さっぽろ)へ向かう行程となります。

千歳駅(北海道千歳市)

今回で「道東シリーズ」は最後とさせてもらいます。長かった・・・。

千歳駅を出ると、千歳線に沿って、恵庭(えにわ)・北広島(きたひろしま)、そして札幌方面へと進んでゆきます。

千歳線・札幌方面へ向かう(北海道)

北広島市を過ぎ行く 広島県とも関係ある街

北広島市(きたひろしまし)は、明治時代に広島県の人々が入植してきたことがきっかけで、「北広島市」となりました。
「入植」とは、つまり移住してくることです。

明治時代は、北海道でたくさんの資源が眠っていることがわかったことと、またロシアの南下政策(なんかせいさく)に備えるなどの目的で、北海道の防衛を固めるために、北海道に移住した人たちがたくさんいたのです。

ロシアの南下政策や、北海道の開拓などについては以下の記事でも解説していますので、ご覧ください

道東の旅2 石北本線・上川→白滝 駅間距離約40分の国境を越える

また、北海道の南西の海岸(胆振地方/いぶりちほう)にある伊達市(だてし)も、東北地方の伊達氏(だてし)が入植してきた土地になります。

明治時代になると「士農工商」が廃止され、元・武士たちは職と特権を失ってしまい、プライドは引き裂かれ、慣れない商売に手を出して失敗し、転職に失敗して困窮してしまうという武士達が多くいました。
そうした武士達を救う目的もあり、北海道に「開拓」「鉱山労働」「外国からの防衛」などを目的として北海道に移住(入植)してきた元武士たちが多くいました。

明治時代には「資源がたっぷり眠っている北海道に行けば儲かる」というような風潮すらあったので、江戸時代の士農工商廃止されたために失職した武士たちや、また元々金持ちだった人(資本家)たちがさらに金持ちになるために、北海道へ移住して私財を投資し、事業を起こした人々がたくさんいたのです。

こうした資本家のうち、広島県の段原村(だんばらむら)からこの土地に移住してきた和田郁二郎(わだ いくじろう)という方が、北広島市の最初の歴史を作り上げたのでした。なお広島の段原村は、岸田総理の本拠地でもあります。

北広島市は元々は「広島村」でしたが、市制施行(つまり「市」になる)のときに広島県の県庁所在地である「広島市」と被らないように、「北広島市」となったのでした。
おそらく「北海道の広島市」という意味合いで「北広島市」となったのでしょう。

明治時代に広島村(北広島市)に移住した人々は、元々は瀬戸内海(せとないかい)の温暖な気候に恵まれた、広島県の出身です。
そのため、当初は北海道の厳しすぎる極寒に耐えきれなかったともいいます。

なお広島県にも、広島市の北には「北広島町」という町があります。
こちらはシンプルに「広島市の北の町」なので、「北広島町」というわけですね。
北広島市(北海道)と北広島町(広島県)は基本的には無関係ではありますが、広島県(広島市)に何らかの関係ある点に関しては共通です。

また北広島町(広島県)は、今や有名な安芸高田市(あきたかたし)の西隣にある町でもあります。
安芸高田市は、2024年の東京都知事選で大人気・話題となった、石丸伸二(いしまる しんじ)前市長で有名になりましたね。
安芸高田市の公式YouTubeチャンネルは登録者数が約26万人もおり(東京都は約18万人でこれを上回っています)、その人気と知名度がすごいことが伺い知れます。

北海道日本ハムファイターズの拠点となった、北広島市

北広島市には、北海道日本ハムファイターズが2023年から本拠地の球場としている「エスコンフィールドHOKKAIDO」があります。

エスコンフィールド」という名前は、日本エスコンという会社が命名権(ネーミングライツ)を取得したためについている名前です。
ネーミングライツ」とは、お金を払えば自社や自社製品の名前を施設名などに入れることができるという権利のことです。
例えば鉄道でいえば、千葉県の銚子電鉄が駅名にユニークな(ネーミングライツ販売でつけられた)名前をつけていますね。

北海道日本ハムファイターズは、元々は札幌ドームを拠点とする球団でした。
さらに言えば、もっと昔は東京ドーム(東京都)が拠点であり、読売ジャイアンツ(巨人)と共同で東京ドームを使っていた時代があったのです。
しかし人気球団である巨人の方が使用を優先されてしまう東京ドームを借りてやらざるをえなかったこと、さらには90年代当時は(今でこそ人気な)パ・リーグはセ・リーグの人気の影に隠れて、どうしても不人気という時代でした。ことに日本ハムは2000年代初頭にかけて低迷が続き、観客動員数137万人にまで落ち込むほど人気が伸び悩んでいており、なんとか打開策が必要という時期でした。

そんな状況を打開するため日本ハムファイターズは、2004年から本拠地を東京から札幌に移転し、数多くの選手を排出するなど人気球団となりました。

しかし札幌ドームや札幌市との様々なトラブルがきっかけで、日本ハムファイターズは2023年から北広島市に自前で球場(上記のエスコンフィールドHOKKAIDO)を作って、本拠地を移しています。

日本ハムファイターズが、本拠地を北広島市に移した理由

ではなぜ、ファイターズが札幌ドームを去ることになったのか。

それは札幌ドームを保有している札幌市がファイターズから高額な球場使用料を長年に渡って徴収していて、しかも札幌市は日ハムによる度重なる「値下げ交渉」に全く応じなかったからでした。
しかも観客数が2万人を超えると増えた分だけ使用料が高くなること、さらに球場での飲食物・グッズなどの販売の利益が日本ハムの利益にはならず、みな札幌市の利益になってしまっているという状況になっていました。

そんな札幌市に対して球団(日本ハムファイターズ)は不満怒りを感じて、札幌市とこれ以上「値下げ交渉」することは無理だと判断して諦め、自前で球場を作ることを決定したのでした。そしてそうした事情を察知した北広島市が、日本ハムファイターズ(の新球場建設)を猛烈に誘致したことにより、晴れて北広島市に日ハムの新球場ができたのです。そして実際に2023年からは北広島市が日本ハムファイターズの拠点となっています。

一方、今や日本ハムファイターズがいなくなってしまった札幌ドームは、今やかなりの苦境に陥っている模様です。「新モード」など様々な施策をうってなんとか赤字を回避・回復しようとはしているものの、なかなか赤字は埋まらず、しかもこの損失分は札幌市民の税金から負担されるわけなので、札幌市民からも落胆・批判・失望の的となっています。これは長年にわたる日本ハムファイターズに対する殿様商売が原因なので、叩かれるのも仕方ないでしょう。

また、同じく札幌ドームを拠点とするサッカーチームのコンサドーレ札幌も、実は札幌ドームに対しては不満を抱えており、本音ではお金があれば(日本ハムファイターズのように)新しい本拠地を作って出ていきたいと考えているそうなのですが、いかんせん資金力が無く、仕方なく札幌ドームに止まっているといった状況のようです。

また、最近では北広島市の再開発の勢いがとてもすごく、日本ハム移転効果もあって、どんどん北広島市が勢いを増しているという状態にもなっているそうです。

北広島駅を出て、札幌方面へ

千歳線・札幌へ向かう(北海道)

北広島市を出ると、窓の左側には、遠くに藻岩山(もいわやま)の姿が見えてきています。
やがて窓の右側の野幌森林公園(のっぽろしんりんこうけん)を過ぎて、函館本線との合流点である白石駅(しろいしえき)に至ります。函館本線の駅としては、第一回の旭川駅を出てから本当に久しぶりです

札幌駅に到着

やがて豊平川(とよひらがわ)を過ぎて、札幌駅(さっぽろえき、北海道札幌市)に着きます。

札幌駅(北海道札幌市)

ようやく、札幌まで戻ってきました
北海道第一の大都会にやってきたということで、人の生活を地に感じられるという安心感は半端ないです。

道東の旅の終わり 最後の締めくくり・感想・まとめ

道東の旅シリーズは、今回で終了とさせていただきます。

道東の旅、いかがだったでしょうか。
北海道の東部は、現代では知床(しれとこ)など、美しい観光地があることはこれまで紹介したきまさた。
しかきそれはこれまで何度も説明してきたとおり、ロシアの南下政策の脅威や、アイヌ民族との抗争などによる負の歴史がたくさんあったことも事実なのです。

そして今北海道に当たり前に存在する鉄道路線は、明治時代の網走監獄の囚人による労働など、多くの先人たちの犠牲によってできた線路・土地だったりするのです
そんな先人たちが命懸けで作った線路・土地にもかかわらず、現代では利用者数の減少などから、今にも廃止が検討されている路線や駅などが存在しているのです。
しかしこうなっては、犠牲になった先人たちの努力・苦労も報われませんよね。

もちろん、北海道のみならず現代日本共通の問題点である少子高齢化を改善する、また移住を促すなどの、行政面での解決ももちろん考えられます。
しかし本ブログを通じて、少しでも道東の旅行に興味を持ってくれる方が増えて、少しでもJR北海道や観光地などにお金が落ちることにより、北海道の経済が改善され、また廃線を免れる線路が増えてくれることを、心より願ってやみません。

あなたの道東の旅の楽しさアップに少しでも貢献できれば、嬉しい限りです。

道東の旅シリーズ・完

【注意】
この記事は、「旅行初心者に教える」ことを目的地として書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
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