鉄道唱歌 東海道編 第30番 豊橋から豊川稲荷へ、そして蒲郡の海

まずは原文から!

豐橋(とよはし)おりて乘る汽車は
これぞ豐川(とよかわ)稻荷道(いなりみち) 
東海道(とうかいどう)にてすぐれたる
海のながめは蒲郡(がまごおり)

さらに読みやすく!

豊橋(とよはし)降りて乗る汽車は
これぞ豊川(とよかわ)稲荷道(いなりみち)
東海道(とうかいどう)にてすぐれたる
海のながめは蒲郡(がまごおり)

さあ、歌ってみよう!

♪とよはしおーりて のるきしゃはー
♪こーれぞとよかわ いなりみちー
♪とうかいどうにて すぐれたるー
♪うーみのながめは がまごおりー

(東海道線)
浜松駅→舞阪駅→弁天島駅→豊橋駅→蒲郡駅→岡崎駅→南大高駅→大高駅→熱田駅→名古屋駅→岐阜駅→大垣駅→関ヶ原駅→米原駅

(飯田線)
豊橋駅→豊川駅→(至・天竜峡、飯田、辰野)

※鉄道唱歌に関係ある主要駅のみ抜粋

長かった静岡県の旅も終わり、愛知県豊橋市へ

浜松(はままつ。静岡県浜松市)方面から浜名湖(はまなこ)を経てずっと西へゆくと、県境を越えて、愛知県東部の大きな街である豊橋市(とよはしし)の中心駅・豊橋駅(とよはしえき、愛知県豊橋市)に着きます。

豊橋駅(愛知県豊橋市)

豊橋駅から先は、快速列車が充実している!

青春18きっぷ初心者の方は、ここまでずっと普通列車の旅を余儀なくされお疲れのことと思いますが、豊橋駅から先は快速列車が充実していますので、一気に旅は快適になるでしょう

もちろんそのまま新快速快速列車などに乗り換えてさっさと名古屋方面を目指すのもいいのですが、豊橋駅周辺はカフェや飲食店・商業施設などが充実しているので、30分~1時間ほど休憩して名古屋方面の列車に乗ると、旅の負担も軽減するでしょう。

なぜ豊橋駅までは(静岡県内は)普通列車がなく、逆にその先はなぜ快速があるの!?と、青春18きっぷ初心者は誰もが思うかもしれません
豊橋駅から先、岐阜駅までは私鉄である名鉄線(名古屋鉄道)と競合しているので、JRとしても快速列車等で対抗してスピードアップせざるを得ないのです。お客様を名鉄に一方的に持って行かれてはかないませんからね。

豊橋市は、三河地方(愛知県東部)の重要な街

愛知県豊橋市(とよはしし)は、かつて吉田宿(よしだしゅく)のあった東海道の宿場町でした。
豊橋市は三河地方(みかわちほう)の主要な大きな街になります。
なお、三河地方とは、かつての三河国(みかわのくに)の領域のことをいい、豊橋市・岡崎市(おかざきし)・安城市(あんじょうし)などのエリアのことをいいます。

豊橋駅・飯田線ホーム(愛知県豊橋市)

豊橋駅は、飯田線との分かれ道。豊川稲荷へも、飯田線で!

豊橋駅は、飯田線(いいだせん)との分岐点でもあります。
飯田線は、豊川鉄道(とよかわてつどう)という私鉄を前身とする路線であり、天竜川に沿って北上し長野県の辰野(たつの)・塩尻(しおじり)・諏訪湖(すわこ)方面に向かって伸びる鉄道路線です。
約200kmの距離を約7時間かけて走り、さらにきつい勾配やS字カーブの連続があるため、時速30km程度の区間も多く低速になります
数多くの秘境駅があることで有名で、現在の今上天皇であり当時の皇太子殿下とご結婚された皇太子妃雅子さま(現・皇后陛下)の苗字から一躍有名になった小和田駅(こわだえき、静岡県浜松市天竜区。なお、皇后陛下の旧姓の読みは「おわだ」)などがあります。
また、断崖絶壁に作られた田本駅(たもとえき、長野県下伊那郡泰阜村田本)があります。また、天竜川(てんりゅつがわ)によって作られた美しい峡谷である天龍峡(てんりゅうきょう)もあります。

飯田線・小和田駅(静岡県浜松市天竜区)
飯田線・田本駅(長野県下伊那郡泰阜村田本)
天龍峡(長野県飯田市)
飯田駅(長野県飯田市)

飯田線についてはもっとたくさん語りたいことがあるのですが、今回はメインではないので、また改めて飯田線メインの特集記事をやりたいと思います!

お寺なのに神社の鳥居がある!?「神仏習合」の豊川稲荷

豊橋駅から飯田線で10分ほど北上すると、愛知県豊川市(とよかわし)にある、豊川駅(とよかわえき)に着きます。

豊川駅(愛知県豊川市)

豊川駅に着くと、豊川のシンボルともいえる巨大なキツネが我々を迎えてくれます。
キツネは、豊作などに縁起のよい神様とされているため、稲荷神社のシンボルとされています。

豊川市で重要なものは、やはり鉄道唱歌の歌詞にもある豊川稲荷(とよかわいなり)です。
豊川稲荷は、神社の鳥居が存在しながらお寺の門お寺の鐘までもがあるという、日本古来の神道(しんとう)と仏教が混じり合ったお寺です。
勘違いされやすいのですが、豊川稲荷は神社ではなく、正式名称を妙厳寺(みょうごんじ)というお寺になります。
私が初めて豊川稲荷に行ったときは、神道における神社仏教が混じり合った境内(伽藍配置)の様子に驚きました。

豊川稲荷はあくまで仏教のお寺なので、ダキニ天という仏教の神様が祀られています。
ダキニ天は、お稲荷さまと同じく豊作や商売繁盛にご利益の神様なので、同じ神様だとされてきました(同一視)。
このように、神様と仏様を同一視する考え方を、「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」といいます。

明治時代に入って日本が「これからは神道をベースにして強い国家を作ろう」とうことで神仏分離令(しんぶつぶんりれい)が出された時に、神仏習合をしている寺社は厳しい取り締まりの対象となりました
しかし豊川稲荷は元々は先程述べたように妙厳寺(みょうごんじ)という名のお寺だったので、神仏分離の対象にはなりませんでした。
しかし、鳥居は撤去されたようです。
現在豊川稲荷にある鳥居は、戦後に建てられたものです

豊川駅~豊川稲荷までの参道には、たくさんの参拝客をもてなすお店があります。
このように、参拝客を対象としたお店(食事・お茶・お土産・宿泊など)によって栄えた街を、門前町(もんぜんまち)といいます。
神社の参拝客をもてなす場合は、「鳥居前町(とりいまえまち)」という表現をすることもあります。

豊橋駅に戻り、名古屋方面へ出発!なぜ海側のルートなのか?

豊橋駅に戻ると、いよいよ名古屋方面に向かって新快速などの速達車両に乗っていくことになります。豊橋駅を出発すると、豊川(とよかわ)、豊川放水路(とよかわほうすいろ)という二つの大きな川を渡ります。
なお、放水路(ほうすいろ)とは、豪雨などがおきて川が氾濫しそうなときに、水を逃がして氾濫を防ぐために作られた人工的な川のことです。

東海道線の列車は豊橋駅を出ると、蒲郡方面海側へルートが大きく分かれていきます。
しかし、かつて江戸時代の旧東海道は海側でなく、より内陸側を通っていました。これはほぼ現在の名鉄線のルートに当たります
これはなぜかと言うと、「鉄道忌避説(てつどうきひせつ)」というあくまで俗説にはなるのですが、明治時代の当時は列車の吐く煙を嫌ったらしく、それを回避する目的であえて蒲郡経由(海側)のルートになったという風に言われています。
しかしその結果としてかつての旧東海道の町が廃れてしまう恐れがあり、それを救済する目的で名鉄線ができたのかもしれません。
特に豊橋~岡崎間の名鉄線の線路は、ほぼかつての旧東海道にルートに沿っています

東海道線は、海辺近くを通らない路線が多いことで有名です。それは歴史的に、海外からの砲撃を恐れてのことだと言われています。
現在の小田原~熱海間は、確かに根府川付近で広大な相模湾を眺めながら走行しますが、この区間は1934年に開通した、鉄道唱歌の時代(1900年頃)よりも比較的遅い時期に作られた路線です。しかも、海外からの砲撃を恐れてか、かなり高台に線路が敷かれています
他に、東海道線で海沿いを走る区間といえば静岡県内の富士~静岡間にある、蒲原駅(かんばらえき)・由比駅(ゆいえき)付近海辺近くを走ります。しかしそれ以外はほぼ内陸部を遠い地域を線路が通ることが多いといえます。

海沿い地域を走り、やがて蒲郡市の複合リゾート施設であるラグーナテンボスの近くを通ります。

蒲郡・ラグーナテンボス付近(愛知県蒲郡市)

蒲郡駅に到着!鉄道唱歌の歌詞が刻まれた看板も

そして、列車は愛知県蒲郡市(がまごおりし)の蒲郡駅に到着します。

蒲郡駅(愛知県蒲郡市)
蒲郡駅付近・海の景色(愛知県蒲郡市)

蒲郡駅(がまごおりえき)で降りると、それは素敵な海の景色に出会えます。
鉄道唱歌の歌詞に

東海道にてすぐれたる 海のながめは蒲郡

鉄道唱歌の歌詞が記された、蒲郡駅前の看板。この看板を見るだけでも、蒲郡駅で下車する価値は十分ある。もちろん海も近いので、海を眺めに行くのもOKだ

とあるように、東海道線屈指の海の眺めがそこにあります。

蒲郡の海。はるか向こうは、渥美半島(あつみはんとう)。(愛知県蒲郡市)

蒲郡駅の南口には、鉄道唱歌のこの歌詞の部分が記された看板が立っており、私はこの看板がとても好きなのです。

蒲郡駅・鉄道唱歌の看板(愛知県蒲郡市)

しかし、蒲郡駅からは海がほぼ近い位置にあるため、貴重な海の景色を眺めることができます。

蒲郡には、海にぽっかり浮かぶ竹島(たけしま)という島があり、橋を使って島まで行くことができます。

竹島(愛知県蒲郡市)

蒲郡の竹島(たけしま)は、蒲郡の三河湾にぽっかりと浮かぶ小さな島のことです。
竹島には主祭神(しゅさいじん)として、やはり海の守る女性の神様である弁天様(べんてんさま)、すなわち市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)が祀(まつ)られており、海の安全を守っています。
竹島にある、弁天さまを祀る神社を八百富神社(やおとみじんじゃ)と言います。
蒲郡の竹島にも、やはりカップルで行くと別れるというジンクスがあるので、気をつけましょう。
これは神奈川県藤沢市の江ノ島(えのしま)や、広島県廿日市の宮島(みやじま)に同じことが言えますね。
弁天さまは女性の神様なので、カップルで行くと嫉妬されるそうです。
しかし、実際には「待ち時間が長いから話のネタが尽きて別れる」「他のカップルと自分の彼氏彼女と比較して幻滅して別れる」「別れた原因を江ノ島デートにしたいだけ」など、科学的エビデンスに沿った理由はきちんとあります。

また、蒲郡周辺には三谷温泉(みやおんせん)など、温泉街の優れていることで知られます。

蒲郡駅前にはアピタ蒲郡店というスーパーがあり、また海の景色もよく「生命の海科学館」などもあるので、ぜひ一度降りて行ってみましょう。

次は、岡崎駅に止まります!

注意
この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
もし内容の誤りに気付かれた方は、「お前は全然知識ないだろ!勉強不足だ!」みたいなマウントを取るような書き方ではなく、「~の部分が誤っているので、正しくは~ですよ」と優しい口調で誤りをコメント欄などでご指摘頂ければ嬉しく思います。再度こちらでも勉強し直し、また調べ直し、内容を修正致します。何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

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