鉄道唱歌 北海道編 北の巻第7番 厚別と野幌山のふもとを走る

まずは原文から!

稻田(いなだ)さかゆる厚別(あつべつ)は 
野幌山(のっぽろやま)の裾(すそ)の原 
雪間(ゆきま)に雁(かり)のおるゝ日は 
獵(かり)する人の行く處(ところ)

さらに読みやすく!

稲田(いなだ)さかゆる厚別(あつべつ)は 
野幌山(のっぽろやま)の裾(すそ)の原 
雪間(ゆきま)に雁(かり)のおるる日は 
狩(かり)する人の行く所(ところ)

さあ、歌ってみよう!

♪いーなださかゆる あつべつはー
♪のっぽろやまのー すそのはらー
♪ゆきまにかーりの おるるひはー
♪かりするひとのー ゆくところー

(函館本線)
小樽駅→(熊碓トンネル)→銭函駅→手稲駅→琴似駅→札幌駅→厚別駅→野幌駅→江別駅→幌向駅→岩見沢駅→峰延駅→美唄駅→奈井江駅→砂川駅→(神居古潭)→旭川駅

※鉄道唱歌に関係ある主要駅のみ表示

札幌駅から旭川方面に向かって出発すると、苗穂駅(なえぼえき)を過ぎ、豊平川(とよひらがわ)を渡って白石駅(しろいしえき)、平和駅(へいわえき)と過ぎて、徐々に札幌市街地を離れていきます。やがて、札幌市厚別区厚別駅(あつべつえき)に到着します。

白石駅(しろいしえき)は千歳線との分岐駅であり、全国各地に同名の駅があります。他の同名の駅だと宮城県白石市白石駅、熊本県肥薩線白石駅、そして佐賀県の肥前白石駅(ひぜんしろいしえき)などがありますね。
宮城県の白石駅は鉄道唱歌奥州・磐城編の24番に登場するため、別途そこで解説しています。
肥薩線の白石駅は2020年7月の豪雨により、八代~吉松間が不通となっているようで、当駅も現在のところ休止中のようです(2022年現在)。
肥前白石駅(ひぜんしろいしえき)は、スーツさんが2017年に最長往復切符の旅をスタートさせた駅ですね。片道でも普通の人なら難しいのに、往復とか凄すぎですよね。

話を元に戻します。
厚別区(あつべつく)は、札幌市中心部から東へ約10kmほどいったところにある札幌市の区で、元々は北海道の真ん中あたり(幌内など)から積み出した石炭を小樽へ向かって運ぶ貨物列車(官営幌内鉄道)の通り道の街として発展しました。幌内は「ほろない」と読みます。

厚別駅(札幌市厚別区)

歌詞に「稲田さかゆる厚別は」とあるように、このあたりは明治時代の開拓あたりから稲作を中心に発展してきたようです。
その稲作の礎を築いた人が信州(現在の長野県あたり)出身だったことから、信濃神社という神社が厚別駅の南約200mほどの距離にあります。
この辺りの稲田を開墾(田んぼを耕して広げること)をした当時の人々が長野出身だったことから、この辺りに田んぼを作って稲作していくことを「信濃開墾」と呼ばれたそうです。

野幌山(のっぽろやま)とは、現在の道立自然公園・野幌森林公園(のっぽろしんりんこうえん)のことであり、やや標高が高い位置にあったこと(約65m)から、歌詞では「山」と表現されています。
鉄道唱歌では他にも東京・新橋の「愛宕神社」のある山(標高約25m)を「愛宕の山」と表現したり(東海道編第1番)、上野公園のある高台(標高約20m)の位置を「上野の山」と表現したりしていますよね(奥州・磐城編第64番)。現在の東京は高層ビルに囲まれているために、これらの山はあまり山というイメージではないですが、当時としては山と呼ぶに相応しい外観だったからでしょう。

この野幌森林公園のあった位置は、明治時代の北海道開拓の際に屯田兵(とんでんへい)の村があったそうです。屯田兵とは、北海道の諸外国からの侵略に備えて武装し、さらに農村を耕す能力を持った「二刀流」の兵士のことです。「屯」というのは現在の陸上自衛隊でも「駐屯地」という言葉に残っているように、兵士がその土地に留まることです。「田」というのはその名の通り「田んぼ」のことで、田んぼを耕す、つまり農耕のスキルがあることを示します。つまり、屯田兵というのは兵力と農耕の二刀流の兵士のことをいいます。平時は兵士としての役割を果たしながら、その合間に農業に従事するわけです。

今考えればかなり重労働ですが、当時の北海道開拓においては軍事力の強化と農村の発展が優先されていましたから、武術と農耕の二つのスキルを持った屯田兵が重宝されていたことでしょう。
まあ、現在の自衛隊でも兵力以外に橋や道路を作ったり、サバイバルに備えて食べられる野草を見分けて調理して食べるなどのスキル・能力も必要になるわけですから、今も昔も兵士は大変だったわけです。

厚別区、厚別駅はこの野幌森林公園の麓にあります
裾(すそ)というのは、麓(ふもと)という意味です。

なお、野幌森林公園付近では、ヒグマが結構目撃されるようなので近隣に行かれる再は注意が必要です。
ここに限らず、北海道を旅行する際には野生のクマ対策は必要です。
クマといってもぬいぐるみキャラクターのような可愛いクマではなく、北海道に出没するのは恐い方のクマなので、充分に注意する必要があるのです。
クマの目撃情報は、自治体を通じての情報だったり、SNSで拡散されたりするので、人里離れた場所に行く場合はこうした情報に対して注意した方がいいでしょう。

(かり)というのは、カモメの仲間である鳥の一種です。
歌詞にあるように、雪景色の田んぼに雁が降り立った日には狩猟を行う人の捕獲対象になったようで、古くから狩りのターゲットにされてきたらしいですが、乱獲によってその数は減少、現在では狩りは「鳥獣保護管理法」という法律で禁止されているようです。

次は、江別駅に止まります!

注意
この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
もし内容の誤りに気付かれた方は、「お前は全然知識ないだろ!勉強不足だ!」みたいなマウントを取るような書き方ではなく、「~の部分が誤っているので、正しくは~ですよ」と優しい口調で誤りをコメント欄などでご指摘頂ければ嬉しく思います。再度こちらでも勉強し直し、また調べ直し、内容を修正致します。何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

コメント