鉄道唱歌 東海道編 第63番 和田岬と布引の滝 神戸の歴史をさらに学ぼう

まずは原文から!

磯(いそ)にはながめ晴れわたる 
和田(わだ)のみさきを控(ひか)へつゝ
山には絶えず布引(ぬのびき)の
瀧見(たきみ)に人(ひと)ものぼりゆく

さらに読みやすく!

磯(いそ)にはながめ(眺め)晴れわたる 
和田(わだ)のみさきを控(ひか)えつつ
山には絶えず布引(ぬのびき)の
滝見(たきみ)に人(ひと)ものぼりゆく

さあ、歌ってみよう!

♪いそにはなーがめ はれわたるー
♪わだのみさきをー ひかえつつー
♪やまにはたーえず ぬのびきのー
♪たきみにひともー とぼりゆくー

(東海道線)
米原駅→彦根駅→能登川駅→近江八幡駅→野洲駅→守山駅→草津駅→南草津駅→瀬田駅→石山駅→大津駅→山科駅→京都駅→山崎駅→高槻駅→茨木駅→吹田駅→新大阪駅→大阪駅→尼崎駅→芦屋駅→三ノ宮駅→神戸駅

(山陽本線)
神戸駅→兵庫駅

(和田岬線)
兵庫駅→和田岬駅

※鉄道唱歌に関連する駅と、新快速列車が停車する駅などを表記
※この区間は「琵琶湖線」「京都線」「神戸線」などの愛称あり
※和田岬駅へは、他に地下鉄線のルートもあり

和田岬(わだみさき)は、兵庫県神戸市にある、かつて平清盛の時代から栄えてきた港です。 

そして和田岬線(わだみさきせん)は、和田岬があった場所にまで通じる線路です。
和田岬線は「都会のローカル線」とも言われ、兵庫駅と和田岬駅のわずか2駅しかありません。

まるで神奈川県の鶴見線(つるみせん)のように、港湾エリアを走るローカルな路線となっています。

和田岬駅

和田岬線は、そもそもの本数が少なく(昼間の運行は無く朝夕のみ、日曜は1日2本のみ)地域輸送の役割をあまり果たしていないことと、また実際に和田岬に行くには地下鉄の方が便利であることから、後述のように廃止の議論もなされています。
また、水色の103系(国鉄時代の車両)の列車が都会の中を走っている光景がある種珍しかったのですが、水色103系は2023年3月をもって引退となりました。長い間お疲れ様でした。

また、和田岬線は先述の通り、その地域輸送の重要性の低さに加え、また神戸の港湾地域の再開発の妨げになるとして、神戸市から廃止の要請までなされたそうです。
例えば、線路が街を南北に貫いていると、線路の東側と西側で経済的格差ができたり、踏切を通らない限り人や車は反対側に行けないため、交通の往来に支障が出てしまい、人やモノの交流に影響を及ぼします。
このように、神戸市にとってはデメリットの方が大きいことから、神戸市はそのような判断をしたのでしょう。

和田岬線は、元々は明治時代で貨物輸送が全盛期だったために、神戸港に積み上げられた荷物を載せて他地域に運んだり、またその逆に船に載せることが目的でした。
しかし、1960年代以降の自動車普及に伴い、それらはみな長距離トラック輸送などに置き換えられ、貨物列車は衰退したため、全国的にあちこちで、こうした港湾に続く貨物路線は廃止されていきました。
しかし、和田岬線は未だに残されている珍しい路線だという印象です。

和田岬は、恐らくは「大輪田泊(おおわだどまり)」に由来する地名です。
昔は「わだ」の漢字として「和田」「輪田」など表記揺れがあったため、おそらく「和田岬」と「大輪田泊」は同じということでいいと思います。

そして前回も説明しましたが、和田岬は平清盛(たいらのきよもり)が大きく改修して栄えた港です。
平清盛は昔、大和田泊を改修して、神戸の港町としての発展に大きく寄与しました。
そして、瀬戸内海の海路を整備して、日宋貿易(にっそうぼうえき)で大きな利益を上げました。

かつて神戸には、平清盛が京都の仏教勢力から逃れために作ったと言われる和田京(わだきょう)という都がありました。
しかしこの和田京は、本来の都である京都からの反対があったといわれ、失敗に終わってしまいます。
その後1180年に福原京を建設するのですが、こちらも作りかけで建設途中で終わってしまい、結局は京都に都を戻しています。
それはやはり、京都からの反対が多かったからのようです。
しかし、神戸は一時的に日本の首都であったということもいえます。

布引の滝(ぬのびきのたき)は、新神戸駅の裏側にある滝のことです。
新神戸駅から徒歩5分ほどで行けるのですが、ややわかりにくい地下道から行かないといけないので注意しましょう。

布引の滝

歌詞に「山には絶えず布引の 滝見に人ものぼりゆく」とあるように、新幹線に乗っているときはあまり感じませんが(駅南側の周辺にビルが建ち並んでいるため)、新神戸駅は意外と山の側にあり、すぐ裏側(北側)にある布引の滝はもはや完全に山の中の景色です。つまり、当時としてはまさに「滝を見るために山を登っていく」という感覚だったのでしょう。

布引の滝は、「日本三大神滝」という風に言われることもあります。
1つは栃木県・日光の「華厳の滝(けごんのたき)」 、2つ目は和歌山県の「那智の滝(なちのたき)」。

しかし、もう1つはシチュエーションによって「袋田の滝(茨城県)」と「布引の滝」のどちらかが紹介されます。

日本三大名滝→袋田の滝
日本三大神滝→布引の滝

なお袋田の滝は、水郡線(すいぐんせん)という水戸駅(みとえき、茨城県水戸市)と郡山駅(こおりやまえき、福島県郡山市)を結ぶ路線から行くことができます。

新神戸駅は山と山に挟まれた狭い空間に作られており、またほとんどの人は気付いていないと思いますが新神戸駅の駅のホームの下には川が流れています。
この川の流れが、布引の滝から流れてくる水です。
つまり、この水の長年の侵食によってできた峡谷に、新神戸駅は造られたわけです。
なんか日本一の秘境駅である北海道の小幌駅に似ていますね。
小幌駅も二つの山に挟まれた狭い空間にあり(新神戸駅よりもさらに狭い)、駅のホームの下を流れる川の水による長年の侵食によってできた空間に駅があるわけです。

次は、湊川神社の解説をします!

注意
この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
もし内容の誤りに気付かれた方は、「お前は全然知識ないだろ!勉強不足だ!」みたいなマウントを取るような書き方ではなく、「~の部分が誤っているので、正しくは~ですよ」と優しい口調で誤りをコメント欄などでご指摘頂ければ嬉しく思います。再度こちらでも勉強し直し、また調べ直し、内容を修正致します。何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

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