まずは原文から!
天に泣けども天言はず
地に叫べども地もきかず
涙を呑(の)みて邊土(へんど)なる
こゝに月日(つきひ)をおくりけり
さらに読みやすく!
天に泣けども天言わず
地に叫べども地もきかず
涙を呑(の)みて辺土(へんど)なる
ここに月日(つきひ)をおくりけり
さあ、歌ってみよう!
♪てーんになけども てんいわずー
♪ちにさけべどもー ちもきかずー
♪なみだをのーみて へんどなるー
♪こーこにつきひを おくりけりー
天に泣いても、天は何も言ってくれない・・・
地に叫んでも、地は何も答えてくれない・・・
菅原道真(すがわらのみちざね)公の、まるで阿鼻叫喚(あびきょうかん)の無念の思いが伝わってくるようで、やれないですね・・・。
鉄道唱歌 山陽・九州編では、作者である大和田建樹(おおわだ たけき)さんの菅原道真公への思い入れから、太宰府エピソードが実に8番も歌詞が割り当てられています。
今回紹介するのも、その一部です。
前回解説した通り、醍醐天皇の時代である平安時代の西暦900年頃、菅原道真公はあまりの天才ぶりに出世をし続けた結果、藤原時平(ふじわらのときひら)という人物に嫉(そね)まれてしまい、京都から九州の太宰府(だざいふ)に左遷(させん)されてしまいます。
しかし、太宰府での2年間の生活は、それは惨めなものだったと言われています。
衣食住もままならず、家屋はボロボロで雨が降ると普通に濡れてしまったそうです。
あまりにも劣悪な環境で病気にもかかり、大切な本も濡れて破れてしまったといいます。
一年前の今頃は、彼は京都の清涼殿(せいりょうでん)で天皇陛下に歌を詠むように命じられて、それはとても素晴らしい詩を天皇陛下の前で披露します。
その素晴らしすぎる菅原道真公の詩に感動した天皇陛下は、自らの御衣(ぎょい)を彼に捧げます。
左遷が決まってからも、その大切な御衣を彼は太宰府にまで持ってきていたのです。
それを思い出すたびに、彼は一年前の京都で過ごした天皇陛下との日々を忘れることができず、断腸(だんちょう)の思いになります。
それはとても惨めなものです。
考えてもみてください。
去年の今頃は京都の清涼殿という最も格式の高い場所で、敬愛してやまない天皇陛下と一緒に過ごし働いていたのに、今や衣食住もままならず、劣悪な環境のために病にも犯され、これまで勉強していた大切な本も濡れて破れてしまった。
こんな惨めなことってありますか!?
私の個人的な話にはなりますが、私も若手社員の頃、会社でこうした左遷人事的なことをやられて、つい数ヶ月前まで都会の一等地の華々しいオフィスで働いていたのに、今は田舎のコンビニもないような所で勤務・・・という経験があり、そうした目の前の現実に、都会が恋しくなり、凄く惨めな思いをしたことがあります。まさに「天に泣けども天言わず」でした。
「人事(じんじ)は人事(ひとごと)」などといいますが、無制限にその権限を濫用(らんよう)していいものではありません。
人事の権力というものは社内において強大であるが故、一歩間違えるとその人の運命を突き落とすほどの破壊力があることを、人事担当者は知っておく必要があります。
間違っても「好き嫌い」「報復」などで人を動してはなりません。そうすれば必ず社員や部下から恨みを買いますし、労災や訴訟などのリスクも考えられます。
そうなれば、会社にとっても従業員にとってもマイナスでしかありません。
現代では「労働契約法」で労働条件について事業者と従業員でお互いの合意がなければ、その権限を濫用したものとして無効になります。
また、現代では社員や従業員はコンプライアンスや法令で固くその権利を保護されていますから、法的観点からも人的観点からも、人事担当者などの権力者が好き勝手やっていい時代ではなくなったことを考慮する必要があります。
もしあなたが「課長」以上の役職や、「人事」などのポジションの方であれば、正当な理由なく「報復人事」「左遷人事」だけは絶対にやめましょう。必ず恨みを買いますし、訴訟のリスクもありますし、その人の人生を破壊しかねません。
あくまでその人の能力、適性、成績、本人の希望などを鑑みて、客観的に不偏不党(ふへんふとう)に判断すべきです。
やはり菅原道真公の話題と労務の話題は一見すると関係ないように思われるかもしれませんが、「左遷」という意思決定一つでその人の運命を狂わせてしまうことは、今も昔も変わりません。
菅原道真公の気持ちがわかる人も多いことでしょう。
次回も、大宰府シリーズ編は続きます!
注意
この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
もし内容の誤りに気付かれた方は、「お前は全然知識ないだろ!勉強不足だ!」みたいなマウントを取るような書き方ではなく、「~の部分が誤っているので、正しくは~ですよ」と優しい口調で誤りをコメント欄などでご指摘頂ければ嬉しく思います。再度こちらでも勉強し直し、また調べ直し、内容を修正致します。何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
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