まずは原文から!
いざ一(ひと)めぐり見て來(こ)んと
津輕海峽(つがるかいきょう)跡(あと)にして
巴(ともえ)の形に漕(こ)ぎ入れば
こゝぞ渡島(おしま)の函館港
もう少し読みやすく!
いざひとめぐり見て来んと
津軽海峡後にして
巴(ともえ)の形に漕(こ)ぎ入れば
ここぞ渡島(おしま)の函館港
さあ、歌ってみよう!
♪いざひとめーぐり みてこんとー
♪つーがるかいきょう あとにしてー
♪ともえのかたちに こぎいればー
♪こーこぞおしまの はこだてこう
(函館本線)
函館駅→桔梗駅→七飯駅→新函館北斗駅→大沼公園駅→駒ヶ岳駅→森駅→八雲駅→国縫駅→長万部駅→黒松内駅→比羅夫駅→倶知安駅→然別駅→余市駅→蘭島駅→塩谷駅→小樽駅
※鉄道唱歌に関係ある主要駅のみ抜粋
青函トンネルをくぐり抜けて、北海道へ
いよいよ北海道の旅のスタートです。
1番、2番はあくまで北海道の紹介という位置づけでしたが、旅のスタートは3番からようやく開始という形になります。
現在では本州と北海道は、青函トンネル(せいかんトンネル)という全長53kmにも及ぶ長大なトンネルで結ばれています。青函トンネルは1988年に開通しました。
青函トンネルの名称は、青森の「青」と、函館の「函」の頭文字をそれぞれ取ったものと思われます。
青森と函館を結ぶトンネルだから、青函トンネルというわけですね。
なお、余談ですが「函」は「はこ」とも「かん」とも読めます。静岡県に函南駅(かんなみえき、静岡県田方郡函南町)という駅がありますよね。三島駅と熱海駅の間にある駅です。
箱根(昔は「函根」とも書いた)の南にある町だから、函南という地名になったそうです。
かつては「青函連絡船」で北海道へ渡っていた
青函トンネルができる以前は、青函連絡船(せいかんれんらくせん)いう船が運航していました。列車ごと船に乗せて運んでいたわけですね。
青森駅は、海の方向に向かって線路が伸びています。列車をそのまま船に乗せて、函館まで運ぶためですね。
現在でも青森駅の北の港には、青函連絡船「八甲田丸」の黄色い船があります。
また、対岸である函館も、よく地図を見たら函館駅から青函連絡船「摩周丸」がある海の辺りに向かって、線路が大きくカーブを描いていますよね。これも函館駅に来た列車をそのまま船に乗せて青森まで運んでいた、青函連絡船の名残ではないかと思われます。
しかし、1960年代以降ともなると航空機で一気に北海道に渡ることが主流になってきたため、青函連絡船の需要は激減、1988年の青函トンネル開通とともにその役割を終えたようです。
1988年からは「青函トンネル」で北海道へ
1988年に青函トンネルができてからは、青函連絡船はその役割を終え、さらに2016年には北海道新幹線が新函館北斗駅まで開通してから在来線も通らなくなりました。しかし、貨物列車用の幅の狭いレールは残されており、青函トンネルの線路は合計3本のレール構成になっているようです。
(左レ) (在来線用レ) (新幹線用レ)
なお、青函トンネル内では貨物列車が新幹線の風圧に吹っ飛ばされないようにするため、新幹線の速度は最高時速160km程度に抑えられています(年々、設備改良により増速傾向)。
そのため、全長53kmという長さもあり、新幹線で青函トンネルをくぐると30分近くかかります。それくらい青函トンネルは長いです。
「青春18きっぷ」や「北海道&東日本パス」で青森から北海道に渡るには
次に、鉄道で北海道に渡る方法です。
(以下、2022年現在の情報になります)
青春18きっぷや、北海道&東日本パスを使用して青森から北海道に渡るには色々な選択肢があります。
まず、「青春18きっぷ」で北海道に渡る場合は、2490円のオプション券を別途購入利用しての移動となります。
新幹線は奥津軽いまべつ駅~木古内駅相互発着の場合のみ利用可能です(基本的には立席扱いですが、空いている席には着席可能)。
しかし、新幹線のこの区間は本数が少なく不便であり(昼間は3~4時間に1本)、青春18きっぷを利用した青森~函館間の移動は一日がかりの大仕事になってしまいます。
以下に、青春18きっぷオプション券を使用した場合の青森→函館の移動の例を示します。
※以下、2022年のダイヤにて表記
11:01 青森発 津軽線・蟹田行
11:38 蟹田着
11:44 蟹田発 津軽線・三厩行
12:06 津軽二股着
(→奥津軽いまべつ駅へ徒歩で移動)
14:15 奥津軽いまべつ発
北海道新幹線はやぶさ305号・新函館北斗行
14:45 木古内着
15:19 木古内発 道南いさりび鉄道・函館行
16:22 函館着
上記は朝・夜ともに余裕のある、比較的待ち時間の少ないお勧めのスケジュール例ですが、それでも奥津軽いまべつ駅で約2時間の待ち時間がある点に注意する必要があります。また、道南いさりび鉄道の区間は途中下車が不可能で降りられないという点も注意しなければなりません。
しかし、オプション券が2490円と安く、津軽線を乗り倒したい、奥津軽いまべつ駅や木古内駅の駅構内や駅周辺の探訪をしたい、道南いさりび鉄道を乗り倒したいというニーズのある方はこの方法をとればよいでしょう。
道南の海の畔にある町である木古内町(きこないちょう)の探訪の良い機会ともなるでしょう。
一方、北海道または東日本エリアの普通列車が7日間11,300円(2022年現在)で乗り放題になる「北海道&東日本パス」を使って北海道に向かう場合は、新青森~新函館北斗発着限定で4000円の特急券を買えば新幹線に乗ることができます。この4,000円を高いか安いと思うかは人それぞれだと思いますが、私個人としては4,000円出せば新幹線に乗れるのだからラッキーだと思っています。
また、北海道新幹線のこの区間は全席指定席であり、建前上はこの特急券は「立席」ではありますが、さすがにJRとしてもお客様を立ちっ放しにさせるのは気の毒だと思うので、空いている席にどこでも座ることが可能です。というか、新幹線のこの区間は利用者が極端に少ないため、ほぼ間違いなく座れるでしょう。
なお、北海道新幹線のこの区間の利用者数が少ないのは、東京→函館への旅行者は航空機のシェアが大きいためです。2017年以降、新幹線は約30%、航空機は約70%で、東京→函館の移動は航空機有利な状態です。「新幹線は4時間の所要時間を超えると航空機に勝てない(4時間の壁)」と言われており、東京駅から約4時間の距離がある新函館北斗駅までの路線は、やはり航空機に比べて厳しいシェア争いを強いられているといっていいでしょう(年々、新幹線の速度増加により改善傾向にはある)。
実際、東京駅を出発した新幹線は、仙台駅や盛岡駅あたりでかなりの客が降りていきます。また、八戸駅や新青森駅を過ぎるとさらに降りていき、新青森駅からはほぼ人が乗っていない状況になります。
逆にいえば、4,000円払えば、ほぼ貸し切り状態でゆったりと楽で快適な移動をくつろぎ楽しむことができるのでおすすめです。
鉄道やフェリー、様々な移動手段を使いこなそう
青春18きっぷと北海道&東日本パスは性質が似ている切符なのでよく比較されますが、北海道の旅はどうしても7日近くかかる上、1日あたりの値段も安くなり(青春18きっぷ:約2400円、北海道&東日本パス:約1600円)、また4000円出せば青森→函館間を速く快適に移動できるので、北海道の旅行を安く移動するには北海道&東日本パスの利用を強くお勧めします。
東日本の旅行→北海道&東日本パス
西日本の旅行→青春18きっぷ
のように使い分けると効率的に旅行でき、旅ができる回数も増えます。
そして、フェリーを使う手段です。
「津軽海峡フェリー」を使えば片道約2000円~3000円台と安く、約3時間40分で着くようです。
(※注意!現在は原油価格高騰のため、少し高くなっていく可能性があります)
また、夜中に出発して翌朝に着く便もあり、これを上手く利用すれば移動費と宿泊費をセットにすることもできます。
船内でも余裕で寝られる!という人はこの方法をとるのもアリでしょう(私はやったことはありません)。
新青森駅を出発 北海道新幹線で、北海道へ
新幹線で新青森駅を出発すると、津軽半島を勢いよく、ぐんぐんスピードを出していきます(時速230~240kmくらいまでは加速)。そして、窓の右側には遠くに下北半島の山々を眺めることができます。
新幹線が青函トンネルに入るときは時速160kmほどにスピードを落としますが、青函トンネルに入ったことを伝える車内アナウンスが流れ、青函トンネルの概要を説明してくれます。
約30分に及ぶトンネルの景色を過ぎて木古内駅(きこないえき、北海道上磯郡木古内町)を過ぎると、右手に函館山の景色を眺めることができ、新函館北斗駅はすぐそこです。
新函館北斗駅から、函館駅へ やがて函館に到着
話を鉄道唱歌の話題に戻します。
さて、新函館北斗駅から「快速はこだてライナー」等に乗って函館本線を南下すると、七飯駅(ななええき)、桔梗駅(ききょうえき)、五稜郭駅(ごりょうかくえき)を過ぎ、ようやく道南最大の都市・函館市の中心駅である函館駅(はこだてえき、北海道函館市)に到着します。
函館駅で列車を降りると、
「ようこそ函館へ!」
「Welcome to Hokkaido!」
という大きな文字が出迎えてくれ、
函館へ来たんだ!北海道へ来たんだ!という感動に包まれます。
そして、函館駅の外に出て函館の街並みを目の辺りにすると、はるばると函館にやってきた実感がさらに加速します。
北島三郎さんの「函館の女」という曲(1965年発表)に、
「♪はるばる来たぜ 函館へ」
という歌詞があります。
また、アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」第2期第8話「HAKODATE」において、Aqoursのメンバーが函館にやってきたときに主人公の高海千歌さんが、
「はるばる来たね!函館!」
と歓喜するシーンがありますね。
函館に来たら、やはり「はるばるとやった来た」感動を覚えるのはもはや万人共通ではないでしょうか?
国内屈指の観光都市・函館
函館は、年間500万人が訪れる(2019年以前。現在は感染症等の影響で減少傾向)国内有数の観光都市にして、あの新撰組や土方歳三の戦いの舞台でもあり、また日本を代表するロックバンドGLAYの出身地でもあります。
函館に着いたら、まずはラッキーピエロ(函館のご当地ハンバーガー店)で腹ごしらえ。またはハセガワストアの焼き鳥弁当、また函館塩ラーメンなどもいいでしょう。
そして、夜は函館山ロープウェイで函館山に登り、函館の夜景を楽しみましょう。
函館夜景は巨大な黄金に輝く砂時計の形ですが、砂時計の左側が、いわゆる函館港となります。まるで巴(ともえ)の形をしているから、巴港(ともえこう)とも言われるわけですね。
鉄道唱歌の歌詞に出て来る「巴(ともえ)の形」というのは、この函館港(巴港)の形ことをいいます。
函館夜景は、世界三大夜景と呼ばれ(←自信なし)、函館市も条例で夜景を美しく見せるための工夫をこれでもかと施しているようです。
函館山が世界三大夜景ということは、つまり日本一の夜景ということになるんでしょうかね?
少なくとも私は、函館夜景は日本一の夜景だと思っています。
渡島半島と、渡島総合振興局 北海道の行政機関「振興局」とは
なお、「渡島」というのは「おしま」と読み、函館がある北海道の南に突き出た半島を「渡島半島(おしまはんとう)」といいます。
また、北海道はあまりにも広いので、札幌だけでは全土の面倒はみきれません。そのため、北海道は14の細かいエリアに分けられています。このエリアを管轄する行政機関のことを「振興局(しんこうきょく)」または「総合振興局(そうごうしんこうきょく)」といいます。なお、昔は「支庁(しちょう)」といっていました。
函館は「渡島総合振興局(おしまそうごうしんこうきょく)」に分類され、その振興局たる役所的なものが函館市内にあります。函館は渡島振興局所在地ということになります。
他にも、例として室蘭市や苫小牧市は「胆振(いぶり)総合振興局」、倶知安町(くっちゃんちょう)は「後志(しりべし)総合振興局」、札幌市は「石狩(いしかり)振興局」といった分類がなされています。
次回は、いよいよ道南最大の都市・函館観光となります。
函館は何度行っても飽きない素晴らしすぎる観光都市です。
注意
この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
もし内容の誤りに気付かれた方は、「お前は全然知識ないだろ!勉強不足だ!」みたいなマウントを取るような書き方ではなく、「~の部分が誤っているので、正しくは~ですよ」と優しい口調で誤りをコメント欄などでご指摘頂ければ嬉しく思います。再度こちらでも勉強し直し、また調べ直し、内容を修正致します。何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
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