鉄道唱歌 奥州・磐城編 第7番 古河・間々田 複数の県境を過ぎゆく 埼玉県→茨城県→栃木県

まずは原文から!

次に來(き)たるは古河(こが)間々田(ままだ)
兩手(りょうて)ひろげて我が汽車を
萬歳(ばんざい)と呼ぶ子供あり
おもへば今日は日曜か

さらに読みやすく!

次に来たるは古河(こが)間々田(ままだ)
両手ひろげて我が汽車を
万歳(ばんざい)と呼ぶ子供あり
おもえば今日は日曜か

さあ、歌ってみよう!

♪つーぎにきたるは こがままだー
♪りょうてひろげて わがきしゃを
♪ばんざいとーよぶ こどもありー
♪おもえばきょうは にちようかー

(東北本線)
上野駅→王子駅→赤羽駅→(荒川)→浦和駅→大宮駅→蓮田駅→久喜駅→栗橋駅→(利根川)→古河駅→間々田駅→小山駅→小金井駅→石橋駅→雀宮駅→宇都宮駅

※鉄道唱歌に関連する主要駅のみ表記

利根川を渡り、茨城県へ しかしすぐに栃木県に入る

利根川の橋を渡ると、茨城県に入ります。
古河駅(こがえき、茨城県古河市)を過ぎると、
すぐまた県境を過ぎ、栃木県に入ります。
栃木県に入ると、野木駅(のぎえき、栃木県下都賀郡野木町)、間々田駅(ままだえき、栃木県小山市)と過ぎて、栃木県第2の都市である小山市(おやまし)方面へ向かいます。

古河駅(茨城県古河市)

古河駅(こがえき)で、ほんの一瞬だけ茨城県に入ることになります。というのも、茨城県の左(西)に突き出た細長い領域を通ることになるので、すぐに県境を過ぎて栃木県に入ることになります。

3つ以上の県境が複雑に入り交じった、北関東のこの地域

この辺りは複数の県境が複雑に密集した地域で、簡単に群馬県、茨城県、栃木県、埼玉県を行ったり来たりすることができます。
3つ以上の県境がこれだけ重なる地域は、日本列島では基本的に山奥や山の頂上ぐらいなので、地上でこれだけ複数の県境が密接している地域は珍しいといえます。

古河駅の西にある渡良瀬遊水地(わたらせゆうすいち)の近くには、いわゆる「三県境」の地点があります。三県境とは、群馬県、栃木県、埼玉県の県境です。

足尾銅山鉱毒事件をきっかけに造られた、渡良瀬遊水地

渡良瀬遊水地(わたらせゆうすいち)は、いわゆるこの地域にある、大きな人工的な湖のようなものです。
遊水地(ゆうすいち)とは、洪水などが起きたときに、一時的にそこに水を溜めて退避させる、「遊び」を設ける空間のことです。

IT関係に詳しい方ならわかるかもしれませんが、「バッファ」って言葉がありますよね。あれは、大量にデータが溢れるのを防止するために、一時的にデータなどを退避させる「遊び」の空間のことです。

それと同じで、川などにおいても、洪水などで水が溢れてしまうのを防止するために、一時的に湖のような大きな「遊び」の空間を設けて、大量の水を退避させるわけです。これが、遊水地の役割です。

ではなぜ、このような、渡良瀬遊水地という大きな遊水地が作られたのか。
それは、明治時代におきた「足尾銅山鉱毒事件(あしおどうざんこうどくじけん)」が関係しています。
結論から言ってしまうと、足尾銅山鉱毒事件において発生した有害物質を、川が氾濫したときに水ごと周囲の地域に溢れさせないように、一時的に水を退避させる領域を設けるためです。

足尾銅山鉱毒事件(あしおどうざんこうどくじけん)は、明治時代に起きた我が国最初の公害事件です。

足尾(あしお)とは、現在の栃木県日光市の奥にある地名で、JR両毛線(りょうもうせん)の桐生駅(きりゅうえき)から「わたらせ渓谷鉄道」という第三セクター鉄道線に乗り換えると約1時間半ほどで行くことができます。

足尾銅山鉱毒事件は、どのようにして起こったか

足尾銅山鉱毒事件がなぜ、どのように発生したのか、簡単に説明します。

明治時代に入って、欧米諸国に負けない国を作るため、日本では生糸などの生産品を輸出してたくさんの利益を上げることが国策(こくさく)でした。
銅もその重要な輸出品の一つであり、足尾銅山から生産された銅はとても重要なものでした。

しかし、銅は最初から「銅」という形で自然の中に存在しているわけではありません。鉄などの場合も同じですが、何かしらの不純物と混じり合って自然の中に存在しているため、掘り出しただけではそのまま銅として使えないのです。
そこで、何らかの形で不純物を取り除き、銅だけを取り出す必要があります。この過程を、「精錬(せいれん)」といいます。

しかし、精錬(せいれん)は溶鉱炉の中で高温にまで燃やす必要があります。すると、必然的に汚染された煙が大気中に放出されます。
そして、精錬で燃やした時に出る有害な副産物も同時に出てしまい、それが大気中に放出されます。

すると、大気中に放出された有害物質が雨となって地上に降り注ぎ、それを浴びた山の木々がみな枯れてしまって、禿げ山となってしまいます。
禿げ山となってしまうと、山がもはや有害物質を含んだ雨水を保持できる状態ではなくなってしまうため、山に降った有害物質を含む雨は足尾近辺を流れる渡良瀬川(わたらせがわ)に流れ込んでしまいます

こうして有害物質を大量に含んだ渡良瀬川は、台風などでひとたび氾濫してしまうと、有害物質ごと川の外に溢れてしまい、魚も農作物もみなやられてしまいます。
これが、足尾銅山鉱毒事件の起こったプロセスです。

足尾銅山鉱毒事件と生涯戦い続けた、田中正造議員

こうした事態に近隣住民の皆さんの怒りは当然のように爆発します。
そして、1890年代に入ると日本でもようやく近代的な衆議院総選挙が行われるようになりました。
それで当選したのが、田中正造(たなか しょうぞう)という地元(現在の栃木県佐野市)から生まれた政治家です。
田中正造さんは、地元の怒りの声を国会に届けるため、生涯を通じてこの事件と戦われました。

渡良瀬川遊水地は、最初にも述べたように、台風などで川が氾濫したときに、有害物質が溢れてしまわないよう、一時的に水を溜めておくために出来たものです。

遊水池にたくさんある「水門」の役割

渡良瀬遊水地には周囲にたくさんの水門がありますが、これらの水門がどんな役割をしているのか気になりますよね。
たぶんですが、普段は水門を閉じておいて遊水地に水が流れてこないようにして遊水地の容量に余裕を持たせておき、もし洪水が発生したら水門を開けて遊水地に水が退避するようにし、洪水が収まって川の流れが落ち着いたらまた水門を開けて遊水地に溜まった水を川に逃がしてやる、ということをやり、水の量を調節しているのでしょう。
全国の川の至る所にある水門や放水路も、洪水やもしくは津波の被害から地域を守るために考え出された、川を上手に適切に管理するための仕組みなのだと思います。

「両手を広げて万歳と呼ぶ子供」 列車の旅の楽しさを強調・演出

さて、鉄道唱歌の話題に戻ります。

歌詞には
両手ひろげて我が汽車を 万歳と呼ぶ子供あり
とありますね。

私は列車に乗っていて、この区間にさしかかると、窓の外で子供たちが「ばんざい!」と手を挙げている姿を想像しながら乗るようにしています。こういうのは私だけですかね(^^;; 

次は、小山(おやま)に止まります!

注意
この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
もし内容の誤りに気付かれた方は、「お前は全然知識ないだろ!勉強不足だ!」みたいなマウントを取るような書き方ではなく、「~の部分が誤っているので、正しくは~ですよ」と優しい口調で誤りをコメント欄などでご指摘頂ければ嬉しく思います。再度こちらでも勉強し直し、また調べ直し、内容を修正致します。何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

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