釧網本線の鉄道旅と、弟子屈町の名所・摩周湖の地理・歴史などを、旅行初心者の方にもわかりやすく解説してゆきます!
摩周湖

摩周湖(北海道川上郡弟子屈町)
摩周湖は、川湯温泉駅の東にある湖です。
摩周湖へは、前回解説した川湯温泉駅から、バスで行くことができます。
摩周湖は、次回解説する屈斜路湖と同じで、カルデラによって出来た湖です(カルデラ湖)。
「カルデラ湖」としての摩周湖
カルデラ湖とは、
- 火山の噴火によって、
- 山の中身がみごとに噴き出してしまい、
- 中身が「すっからかん」になって、
- 凹んだところに、雨などで水が溜まってできた湖のこと
です。
スペイン語で「鍋」
ちなみに「カルデラ」は、スペイン語の「caldera」から来ています。
これは、日本語で「大きな鍋」という意味です。
まるで大きな鍋のような形をしているため、「カルデラ」というわけです。
この「大きな鍋」の中に、雨水などが溜まったのが、摩周湖などのカルデラ湖というわけです。
また、摩周湖は、
- 日本の湖全体では第20位の大きさ
- カルデラ湖としては、第6位の大きさ
になります。
布施明の曲「霧の摩周湖」で、知名度が上がった摩周湖
昭和を代表する歌手である布施明という方が、1966年に発表した「霧の摩周湖」という曲が大ヒットしたことで、一気に摩周湖はメジャーで有名な存在になりました。
すると、まるで布施明の「聖地巡礼」のような感じで、多くのファンが摩周湖を訪れるようになりました。

摩周湖(北海道川上郡弟子屈町)
「霧の摩周湖」では、霧のかかった摩周湖を訪れた主人公の男性(布施明さん本人)が、昔の恋人との思い出を思い出すという、なんとも切ない気持ちを歌い上げています。
布施明さんの曲は、令和の今でもあまり古臭さ(昭和っぽさ)を感じさせないため(※)、勉強がてら聴いてみる価値は十分にあると思います。
布施明さんとは?
ちなみに、布施明さんは1947年、東京都三鷹市生まれの歌手です。
「霧の摩周湖」の他にも、1975年に大ヒットした「シクラメンのかほり」などの大ヒット曲があります。
霧がかかると、まるで「天空の城」のようになる摩周湖
摩周湖に霧がかかると、あたり一面霧だらけになり、湖面の水が全く見えなくなるというものです。
すると、まるでカムイヌプリが「天空の城」みたいに見えるようです。
「天空の城」といえば、兵庫県の内陸部にある竹田城やペルーの「マチュピチュ」などが有名ですね。
竹田城は「東洋のマチュピチュ」と呼ばれます。
摩周湖に霧がたまりやすい理由
ちなみに、摩周湖に霧がたまりやすい理由は、
- カルデラ湖という地形
- 湖の水温と、気温の差による上昇気流
が主な理由です。
カルデラ湖のため、霧がフタをされ、溜まりやすい
摩周湖はカルデラ湖であるため、周囲をとり囲むような地形によって、霧がたまりやすい地形になっています。
つまり、まるで霧を封じ込めておくような地形になっているわけです。
夏の空気が急に冷やされ、地上で「雲(霧)」になる
もう一つの要因は、
になります。
以下、詳しく解説してゆきます。
霧とはいわば、「地上にできた雲」のことです。
- 夏の温かい空気が、
- 湖面の冷たい水によって冷やされ、
- 重くなって地上に留まり、
- 温かい空気が、水分を含みきれなくなり、
- 水分(雲のようなもの)が湖上に姿を現し、霧となって現れる
というわけです。
以下、雲・霧・前線・雨などを発生させる、基本原理です。
- 摩周湖の霧は、夏によく現れやすい
- 空気は、温かいほど、多くの水分を含めることができる
- しかし、急激に冷やされると、水分を含みきれなくなって、「雲」「霧」のようになって現れる
- 空気は冷たいほど密度が上がり、「重く」なる→下降気流の発生
- 空気は温かいほど密度が下がり、「軽く」なる→上昇気流の発生
余談:前線が発達して、雲が発生し、大雨を降らす仕組み
ここで、冷たい空気が無理やりかつ大量に「温かい空気」にぶつかると、
- 冷たい空気が、「温かい空気」の下にもぐりこみ、
- 温かい空気は、上に押し上げられて上昇気流が起き、
- 上空で冷やされ、空気に含みきれなくなった水分が空気中に現れ、雲となり、
- 積乱雲が発達し、前線ができ、
- 大雨が降る
というわけです。
余談2:「前線」となって大雨を作り出す空気のカタマり「気団」
「冷たい空気」の代表格は、ユーラシア大陸など北からやってくる「シベリア気団」などであり、冬の時期に日本の上空を覆いつくす気団です。
乾燥しているため、体感温度も下がり、風邪のウイルス(=湿気が苦手)も育ちやすい気候になります。
「温かい空気」の代表格は、南からやってくる「小笠原気団」です。
夏の時期に日本の上空を覆い尽くし、水分をたっぷり含んだ、蒸し暑い気候を作り出します。
そして、
- 「シベリア気団」
- 「小笠原気団」
の両者は、ともに6月になるとお互いにぶつかって「押し合い合戦」をするため、「梅雨前線」ができて、梅雨の大雨になります。
摩周湖の神の山・カムイヌプリ
摩周湖には、「カムイヌプリ」という壮大な山があります。

摩周湖の向こう側にある、カムイヌプリ(北海道川上郡弟子屈町)
- カムイ→神の
- ヌプリ→山
なので、カムイヌプリ=神の山という意味になります。
北海道では「ゴールデンカムイ」という漫画がとても有名ですね。
他にも、北海道で覚えておくと便利なアイヌ語を、以下に列挙しておきます。
- ワッカ(稚)→水
- ナイ(内)→川
- ベツ(別、部)→川
- ポロ(幌)→大きな
- トー、ト→沼、湖
- サム(寒)、サップ(沙布)→~の傍に
- コタン(古潭/古丹)→村、人々の住む場所
アイヌの人々にとって、お魚が採れる川や沼というものはとても神聖だったので、こうした地名が多かったのですね。
次は、屈斜路湖の話題へ

屈斜路湖(北海道川上郡弟子屈町)
次回は、同じ弟子屈町にある、屈斜路湖についての話題になります!
今回はここまでです!お疲れさまでした!
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