沼津市になぜ新幹線の駅ができなかったのか?について、全力で考えていってみましょう!そこには、納得の理由が存在します!
沼津市に新幹線駅ができなかった理由を学ぶ

沼津駅(静岡県沼津市)
今回は、沼津市になぜ新幹線駅が設置されなかったのか、その興味深い理由を学んでいきましょう!✨
まずアニメの聖地・沼津についての基本的な知識については、以下の記事でも解説していますので、ご覧ください。


アニメの聖地ともなった沼津市の名所・あわしまと、内浦の海
新幹線の駅は、三島駅に存在する
まず前提として、東海道新幹線は沼津市を通っているにもかかわらず、駅は隣の
- 三島駅(静岡県三島市)
にあります。
三島駅については、以下の記事でも解説していますので、ご覧ください。

なぜ沼津市の中に、新幹線駅が存在していない?
なぜなのか?その背景には、
- 東海道新幹線は、市街地の中心から離れた位置を走っていること
- そのため、沼津市に新幹線駅を作ると、市街地の中心部から遠くなる
- 三島駅にあった方が、沼津駅から在来線1駅で乗れるため便利
という、沼津市の強い意向を反映したためです。
すなわち、市民の利便性を最優先した、行政の判断があったわけです。
以下、詳しく見ていきましょう!
沼津市が新幹線駅を誘致しなかった理由
先述の通り、沼津市が新幹線の駅を誘致しなかった主な理由は、
- 「市民の利便性が損なわれる」
と判断したためです。
すなわち、
- 三島駅の方が、むしろ市民にとっては便利
- 沼津市に駅を作ると、沼津駅(=街の中心部)よりも北の位置に新幹線駅(例えば「新沼津駅」など)が出来ることになり、不便である
というわけですね。
沼津市のやや北部を通る、東海道新幹線
東海道新幹線は、沼津市の市域のうち、やや北に離れた位置を通っています。
そして、新幹線駅は隣の三島市に設置されています。
すなわち、沼津市は、新幹線駅を誘致した場合、市街地から離れた場所に駅ができてしまう可能性が高いと考えたのでした。
そうなると、市民の移動が不便になってしまうということを、沼津市は懸念したというわけです。
沼津市の中心部にある沼津駅
特に、現在の沼津駅は市街地の中心部に位置しています。
すなわちここの沼津駅は、市民にとって非常に利用しやすい駅なのです。
新幹線駅を誘致することによるメリットよりも、むしろデメリットの方が大きいと判断したと言われているわけですね。
市民の移動を優先した、沼津市の判断
また、沼津駅はJR東海道本線の駅であり、駅の周辺には商店街やバスロータリーなどがあります。
すなわち、沼津駅は市の玄関口としての、重要な役割を果たしています。
バスロータリー:駅や空港などに設けられた、バスが円を描くように周回して、乗客の乗り降りを行うためのスペースです。
これには円形の一方通行の道であることにより、信号停止することもなく、また複数方面からのバスが互いにぶつかることなく、スムーズに乗り場へ進入・出発できるメリットがあります。
沼津市の中心地としてとても重要な沼津駅
すなわち、新幹線駅が設置されることで、
- 沼津駅の元々持っていた機能・役割が低下してしまう
- 市街地の中心から、その機能や人が(北へ)離れてしまう
- その結果、既存の沼津駅周辺が衰退してしまう
などといったことを、沼津市は心配・懸念したようです。
つまり、市民の生活を第一に考えた、行政側の判断だったというわけですね。
なぜ、東海道新幹線は沼津市の北を通っているのか?
では、ここからは
について考えてゆきましょう!
沼津市の南側(海岸)にある、千本浜海岸
まず、沼津市の南側(海岸)には、千本浜海岸という、新幹線が通るのにはまるで適していない、非常に長い海岸があります。

千本浜海岸の松原(静岡県沼津市)

市の南にずっと広がる、千本浜海岸からの駿河湾と大瀬崎の景色(静岡県沼津市)
千本浜海岸については、以下の記事でも解説していますので、ご覧ください。

千本松原周辺における、弱い地盤
そして、この千本松原の近くは、新幹線が通るのにはまるで不適切な、非常に弱い地盤がある可能性があります。
そもそも「地盤」とは?
地盤とは、例えば建物や線路が建つために必要な、基本となる地面のことをいいます。
もし地盤が弱いと、
- 建物が崩れやすくなる
- 建物が揺れやすくなる
など、様々な危険が潜むことになります。
「地盤」の使用例:
- この辺の土地は地盤がゆるい。家を建てるのに適さない。
- この会社は、経営方針や社員のモチベーションがいい加減だ。まるで成長する地盤が無い。
- 選挙に受かるには、地域との繋がりやサポートなどの地盤が必要だ。
線路を引くには、とにもかくにも「強い地盤」が重要
このように、地盤は、建物の基礎を支える重要な役割を担っています。
そのため、軟弱な地盤は、
- 地盤沈下
- 地震による液状化(※後述)
などの災害を引き起こしやすくなります。
そのため、後述するように、人の手によってわざと地盤を強くしてあげるための地盤改良工事が必要になる場合があります。
「液状化」とは?
また、液状化とは、
- 普段の地面は、砂と水が入り混じって、お互いに支え合って強度を保っている
- しかし地震がおこることにより、お互いに支え合っていた砂と水がバラバラになる
- 水は水同士で固まり、砂は砂同士で固まる
- 砂のカタマリの方が重いため、水よりも下に行ってしまう
- 水のカタマリの方が軽いため、砂よりも上に上がってしまう
- その結果、地面に水が上がって露出してしまう
- マンホールが浮いて出てくることも
- 以上により、地盤がドロドロになる
という現象のことです。
この現象により、建物が傾いたり、地盤沈下などの被害が発生します。
ちなみにマニアックですが、地面が「平ら(水平)」を保てなくなり、建物が傾くことを不同沈下といいます。
一方、地盤沈下は「平ら(水平)」を保ったまま沈む現象なので、少し異なります。
沿岸地域における、弱い地盤のリスク
また、沼津市の千本浜海岸のように、特に海岸に近い場所や、また台風にも煽られやすく高潮被害が頻繁に発生しやすいような場所は、特に
- 地盤沈下
- 液状化
などのリスクが発生することが考えられます。
「高潮被害」とは?
ここで、高潮による被害とは、
- 台風などにより、海面が異常に上昇し、
- 海水(波など)が陸地に浸入してきて、これにより引き起こされる災害
のことです。
「高潮」と「津波」は全く違う!津波は1mでも超危険!逃げて!
ちなみに「津波」と「高潮」は、似ていて全く異なります。
高潮は、シンプルに「高い波」です。
しかし、津波は「巨大な波の壁」なので、たとえ1mの津波であっても、人がまともに立ってられないくらい、非常に強力な波となります。
したがって、たとえ1mの津波であっても、今すぐに海岸から離れて、少しでも遠いところ(高いところ)へ逃げなければなりません。
千本浜海岸の地盤が弱いと考えられる
軟弱な地面・地盤の海岸線
海岸線に近い場所は、砂地や軟弱地盤であることが多いです。
砂地:主に砂を多く含む土壌・地面を持った土地のことです。
例えば、主に海岸や砂漠、砂丘などにおいてよくみられます。
そのため、地震時の液状化現象のリスクが高いのです。
過去に起きた高潮被害
過去に高潮被害が発生した場所は、地盤が緩んでいる可能性があります。
したがって、地震による液状化や地盤沈下のリスクが高まります。
もともと「砂浜」に、松を植えてった千本松原
先述の通り、千本松原は、もともと砂浜だった場所にとある歴史上の人が松を植えていって、松林ができたという経緯があります。
こうした元々は砂浜であったため、地盤が弱い可能性があるのです。
なぜ千本松原にたくさんの松が植えられたのか?については、先ほどの千本松原の記事(当サイト)をご覧くださいね!
地盤調査の実施
もしも新幹線だったり、あるいは
- 新築のピカピカの家
- 既に存在している既存の家やビルに対する、大規模な改築工事
を行う場合は、専門業者による地盤調査を行うは必要性が出てきます。
なぜなら、地震が起きたときに崩壊してしまう可能性が出てくるからです。
地盤調査:建物を建てる予定地の地盤が、建物の重さに耐えられるかどうか、またどのような質の土であるかを調べる調査です。
この調査は、不同沈下(先述の通り、建物の傾き)や倒壊のリスクを防ぎ、安全な建物を建てるために必要とされており、建築基準法でも定められた工程となります。
すなわち、もしこれが安全基準に満たないと、人間の手でわざと地盤を強くしてあげるための地盤改良工事を行うことになります。
千本浜海岸の軟弱な地盤
先述の通り、東海道新幹線が沼津市の北側を通る主な理由の一つは、「地盤の弱さ」です。
つまり、海に近い千本松原のあたりは、極めて軟弱な地盤だったからです。
軟弱な地盤:泥や砂が多く、重い建物を支える力が弱い地面のこと。
当時の海沿いは、浮島沼と呼ばれるほどの湿地帯でした。
湿地帯:一年中、水が多くてじめじめしている土地のこと。
新幹線の高速運転に求められる、安定的な地盤
高速走行が求められる新幹線の線路には、安定性と耐久性が欠かせません。
したがって、軟弱な地盤では、線路が沈んだり、揺れたりする危険があります。
そのため、現在のようにより地盤が強固な愛鷹山のふもと・裾野を通るルートが選ばれたわけですね!
なぜ地盤が弱いと、新幹線の線路は通せない?
地盤が弱いと、新幹線の線路をそのまま通すのは難しいです。
地盤:先述の通り、建物や道路などを支えている地面の下の部分のこと。
なぜなら、新幹線はとても速く走るため、線路には高い「安定性」と「耐久性」が求められるからです。
安定性: ぐらついたりせず、しっかりと落ち着いている性質のこと。
耐久性: 長い時間、または繰り返し使っても、壊れずに持ちこたえる性質のこと。
したがって、地盤が弱い場所を通す場合は、わざと地盤を強くしてあげるための地盤改良工事が必要になります。
それはたとえば、杭を深く打ち込んだり、地盤を固めたりする技術が使われます。
地盤改良工事:元々ある弱い地盤を、わざと人工的に強く、そして安定させるための工事のこと。
杭 :地面に打ち込んで、建物を支えるための太くて長い柱のこと。
これは、まるで新幹線という大きな建物を建てるときに、足元をしっかり固めるのと同じことなのです。
もちろん、技術の進歩によって、以前よりは柔軟に対応できるようになってきているわけです。
おわりに・まとめ
以上、沼津市が新幹線駅を誘致しなかった理由について、学んでみていかがでしたか。
すなわち、新幹線という大きな利益よりも、「市民の毎日の生活の利便性」を優先したという点が、この問題の核でした。
したがって、もし市街地から遠い場所に駅ができていたら、多くの市民が不便になっていたでしょう。
沼津市のこの決断は、現代の都市計画とを考える上でも、私たちに大切な視点を与えてくれます。
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