まずは原文から!
遠里小野(とおざとおの)の夕(ゆう)あらし
ふくや安倍野(あべの)の松かげに
顯家(あきいえ)父子(ふし)の社(やしろ)あり
忠死(ちゅうし)のあとは何方(いずかた)ぞ
さらに読みやすく!
遠里小野(とおざとおの)の夕(ゆう)あらし
ふくや安倍野(あべの)の松かげに
顕家(あきいえ)父子(ふし)の社(やしろ)あり
忠死(ちゅうし)のあとは何方(いずかた)ぞ
さあ、歌ってみよう!
♪とおざとおーのの ゆうあらしー
♪ふーくやあべのの まつかげにー
♪あきいえふーしの やしろありー
♪ちゅうしのあとは いずかたぞー
※正式名称は「鉄道唱歌 関西・参宮・南海編」です。記事タイトルの便宜上、このようなタイトル(関西編)とさせていただいております。ご了承ください。
列車は大和川(やまとがわ)を渡り、住吉大社(すみよしたいしゃ)の横を通り、ゴールの大阪・難波(なんば)方面へどんどん進んでゆきます。
やがて、中百舌鳥(なかもず)・玉出(たまで)・阿倍野(あべの)といった大阪市南部の地域にさしかかります。
遠里小野(おりおの)とは、現在の大阪府大阪市阿住吉区(すみよしく)の地名です。
歌詞では「とおざとおの」と読んでいますが、現代では「おりおの」という読み方が一般的のようです。
歌詞にある顕家父子(あきいえふし)とは、北畠顕家(きたばたけ あきいえ:息子)と北畠親房(きたばたけ ちかふさ:父)の親子のことです。
この父子は、後醍醐天皇に対する忠実な武士として、敵対する足利尊氏(たかうじ)側の武将である高師直(こうのもろなお)と戦い、無念にも敗れました。
同じく後醍醐天皇とともに足利尊氏と戦った人物として、楠木正成(くすのき まさしげ)・新田義貞(にった よしさだ)・結城宗広(ゆうき むねひろ)・名和長年(なわ ながとし)らがいます。
その無念にも戦って敗れた北畠親房・北畠顕家の父子は現在、阿倍野区の阿部野神社(あべのじんじゃ)に祀(まつ)られているところであります。つまり、顕家父子の最期と伝わる阿倍野に、地元の有志たちによって明治時代の1875年に祠(ほこら)が造られたことにはじまる神社になります。
ちなみに地名は「阿”倍”野」ですが、神社名では「阿”部”野」です。漢字が微妙に異なるので、注意しましょう。
また、歌詞にはあくまで「いずかたぞ」って書いてあるに過ぎないので、本当に戦死した場所は阿倍野かどうかまではわからないわけです。
いわゆる、ここがその場所であると伝わる、いわば「伝承地」というわけです。
阿倍野には現在、「あべのハルカス」という、高さ300mのとてつもなく高いビルがあります。
これは2023年10月までは日本一の高さでしたが、今度また2023年11月に開業した東京の「麻布台ヒルズ(あざぶだいヒルズ)」に抜かれてしまいました。麻布台ヒルズは高さ325mで、高さ300mのあべのハルカスを抜き、高さ333mの東京タワーに迫る高さとなっています。
「あべのハルカス」は近鉄が運営する商業施設です。
近鉄線はかつて明治時代は「大阪電気軌道」という名前でした。
略して「大軌(だいき)」といいます。
「大軌」は明治時代の1890年代、現在のJR片町線(学研都市線)の前身となる「関西鉄道」が険しくて貫くことができなかった生駒山(いこまやま)を、現代の近鉄の前身である「大軌」が大正時代の1910年代になって長大トンネルによって通れるようにし、大幅な時間短縮となったことはこれまで何度も説明してきた通りです。
この生駒山の長大トンネルが掘られたことにより、大阪と奈良を横に直線的に結ぶことが可能となり、所要時間が短縮されたのです。
このことから、現代でも大阪~奈良の移動はJR線よりも近鉄線の方が優位となっています。
しかしJR線も「大和路快速(やまとじかいそく)」などのより速い列車を関西本線(大和路線)経由で走らせ充実させるなど、対抗策を取っています。
また、関西地方は「私鉄大国」のように言われるだけあって、「近鉄線」「京阪線」「阪神線」「阪急線」などの多数の私鉄の存在が、JR線のライバルとなっています。
それらに負けないため、 JR線も「新快速」「快速」などの列車の増発などで対応している形となっています。
しかも「新快速」は最高で時速130kmにもなるなど、かなりのスピードです。
しかしそのスピードを実現させるための過密ダイヤと、JR社内で過剰に社員を教育(むしろパワハラ)する「日勤教育」といった行き過ぎた施策により、2005年の「福知山線脱線事故」 のような傷ましい事故が起きてしまった事実もあります。現在のJR社ではその反省を生かし、改善されています。
福知山脱線事故については以下の記事でも解説しておりますので、ご覧ください。
鉄道唱歌 東海道編 第61番 尼崎に到着!池田、伊丹、有馬への分かれ道 そしてあの事故の跡
あべのハルカスは、いわば「複合商業施設」というジャンルのビルとなります。
「複合商業施設」とは、一般的に、様々な会社やショップに入居してもらい、そのテナント料を徴収することで利益を得ている施設のことです。
あべのハルカスには、企業・カフェテリア・大学・病院・ダイニング(食堂)など、様々なテナントが入居しています。
こうした複合商業施設がたくさん都市部にできて、もし多くの会社を誘致(入居)できると、そこで働く人も増え、市などの自治体にも多くの法人税・所得税が入るため税収アップが期待されます。
そのため、大都市は積極的にこうした複合商業施設の開発(再開発含む)をどんどん積極的に行ってゆきたいわけです。今この瞬間も、都市部のどこかでは常に高層ビルの建設をしていますよね。
また、複合商業施設のオーナーにとっても、たくさんの会社やショップに入居してもらえればテナント収入が増え、利益が上がってくるとビルの維持・管理・清掃・ペンキ塗替え・テナントの管理・税金などの仕事はみな人を雇って任せればよいので、最終的・究極的には自分は全く働かなくてもいいという、スーパーウルトラ勝ち組という地位を手に入れられます。
まさに「不労所得」「財産所得」の究極形態であり、人々の憧れ・夢ともいっていいでしょう。
もちろん、そこまでに到達するための多大な努力や苦労、資金集め・人望集めは甚大なものであり、誰でもそう簡単にできるものではありません。
そもそも資金集めの時点から、「この人の実力なら絶対に儲かってお金を返してくれる」というバリバリの信用度の高いヤリ手のオーナーでない限り、銀行はまず金を貸してくれませんし、投資家も誰もその人に投資したり株を買ったりしたいとは思えません。資金が集まらなければ、そもそもビルを建てられませんからね。
また、複合商業施設はコロナ禍などになるとみな「テレワーク」に以降し、オフィスを廃止する会社が続出するとテナント料が減って経営が危うくなるなどの危険性があります。
また、駅前などの好立地な条件の場所にビルを建てないと、誰もテナントに入ってくれません。ましてや駅から遠い場所とか、犯罪多発地域などにビルを建ててもそもそもお客様が来にくいので、ビル経営は立ちゆかなくなるでしょう。
このように、例えどんな一見羨ましいと思える職業にも、必ずデメリットはありますので、その職業の「華々しい部分」にだけ注目して職業選択することは避けるべきです。
また、「この苦労だったら乗り越えられる」という職業を選択することも重要でしょう。
YouTuberでも、「例え再生数が伸びなくても、好きだから続けられる」ほど好きじゃないと、この職業はなかなか続かないでしょう。
・・・話がかなり逸脱してすみませんが、元の話題に戻ります。
「中百舌鳥(なかもず)」とは、モズ(百舌鳥)という鳥が鳴くことに由来します。
モズ(百舌鳥)は、読み仮名二文字なのに漢字三文字を書くという特殊な漢字です。
なんでも、モズは繁殖期に異性を引きつけるため、百もの舌・声を使い分けられる(つまり、「名探偵コナン」の蝶ネクタイ型変声機のように、たくさんの声を使い分ける)ことができる鳥なので、「百舌鳥」という漢字が充てられたそうです。
スーパー玉出(たまで)は、なんと1円の食材があるなど、とにかく激安なスーパーとして知られます。大阪のスーパーといえば「玉出」のほかに「ライフ」などが思いつくかもしれません。
そのスーパーの由来となった「玉出」とは、この地域に実在する「玉出」という地名となります。
そして天下茶屋駅(てんかぢゃやえき)や新今宮駅(しんいまみやえき)を過ぎると、いよいよゴールの難波に到着します!
注意
この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
もし内容の誤りに気付かれた方は、「お前は全然知識ないだろ!勉強不足だ!」みたいなマウントを取るような書き方ではなく、「~の部分が誤っているので、正しくは~ですよ」と優しい口調で誤りをコメント欄などでご指摘頂ければ嬉しく思います。再度こちらでも勉強し直し、また調べ直し、内容を修正致します。何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
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