中央線鉄道唱歌 第31番 諏訪の神様・タケミナカタの戦い 千曳の岩を手に戦う

まずは原文から!

手引き(ちびき)の岩を手末(たなすえ)に
擎(ささ)げし力折りためて
天照(あまてる)神(かみ)の御孫(おんまご)に
讓(ゆず)りましけむ秋津島(あきつしま)

さらに読みやすく!

手引き(ちびき)の岩を手末(たなすえ)に
擎(ささ)げし力折りためて
天照(あまてる)神(かみ)の御孫(おんまご)に
讓(ゆず)りましけむ秋津島(あきつしま)

さあ、歌ってみよう!

♪ちびきのいーわを たなすえにー
♪ささげししからー おりためてー
♪あまてるかーみの おんまごにー
♪ゆーずにましけむ たまつしまー

(中央東線)
甲府駅→竜王駅→韮崎駅→新府駅→日野春駅→小淵沢駅→富士見駅→青柳駅→茅野駅→上諏訪駅→下諏訪駅→岡谷駅(→至・塩尻駅)

※鉄道唱歌に関連する主要駅のみ表記

列車は既に、長野県諏訪市(すわし)の上諏訪駅(かみすわえき)に到達しています。
位置的には、諏訪湖(すわこ)の畔(ほとり)です。

今回の歌詞は一見すると難関ですが、実はこの歌詞は日本神話の
大国主命の国譲り(おおくにぬしのくにゆずり)」
について歌っています。

大国主命の国譲り(おおくにぬしのくにゆずり)」とは、簡単に言うと古事記(こじき)などの日本神話におけるストーリーです。
それは大国主命が天照大神(あまてらすおおかみ)との政争に敗れ、国の統治を天照大神の孫に譲ったという物語です。

大国主命(おおくにぬし)は、日本神話に登場する神様のことであり、スサノオの遠い孫にあたります。
サメに襲われた因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)を、医学の知識で治したことでも知られます。
また、その優しさに感動した八上姫(ヤカミヒメ)と結婚したことから、「縁結びの神様」としても知られます。
大国主命は、縁結びと婚活で人気な出雲大社の神様です。

スサノオ(素戔嗚尊)とは、日本を創造した神様の1人であるイザナギ(伊邪那岐命)の息子の一人になります。
島根県出雲市を流れる斐伊川(ひいが)の上流で、八岐大蛇(やまたのおろち)という怪物を倒し、またその尻尾から出てきた草薙の剣(くさなぎのつるぎ)のエピソードでも知られます。

話を戻しますが、「大国主命の国譲り」とは、先述の通り、大国主命が天照大神の孫に対して国を譲った話を言います。

というのも、この諏訪大社に祀られているタケミナカタと、茨城県の鹿島神宮(かしまじんぐう)に祀(まつ)られている神様であるにタケミカヅチが戦ったことにあります。

タケミナカタタケミカヅチ名前がよく似ていて紛らわしいため、便宜上、以下
タケミナカタ(諏訪)
タケミカヅチ(鹿島)
と表記させていただきます。

タケミナカタ(諏訪)は、大国主命側の軍神です。
タケミカヅチ(鹿島)は、天照大神側の軍神です。

このタケミナカタ(諏訪)対タケミカヅチ(鹿島)は、結果でいうとタケミカヅチ(鹿島)側の勝利に終わりました。
つまり、天照大神側の勝利ということで、大国主命側の敗北ということになります。

またこの両者の勝負は、いわゆる「相撲(すもう)」の起源になったともされています。
なぜなら両者は、いわゆる「力比べ」で争ったからです。
タケミナカタ(諏訪)は「千曳の岩(ちびきのいわ)」という重たい岩を軽々と持ち上げる程の力の持ち主だったので、この力を持ってタケミカヅチ(鹿島)に戦いを挑もうとします。
しかしタケミカヅチ(鹿島)は、腕がつららに変化し、さらに剣に変化してしまいました。
これに怯えたタケミナカタ(諏訪)は諏訪に逃げ込み、タケミカヅチ(鹿島)に降伏したのです。
それぞれのボスは大国主命と天照大神だったので、負けた大国主命は天照大神に「国譲り」をしました。

千曳の岩(ちびきのいわ)とは、日本神話に登場する岩のことです。
「千引の岩」とも書きます。

「曳く」は、「引く」の旧字体です。

「千曳の岩(ちびきのいわ)」は、千人で持ち上げないといけないほどの重い岩です。
しかし諏訪の神様である「タケミナカタ」は、この岩を軽々と持ち上げ、敵である「タケミカヅチ」に戦いを挑もうとしました。しかし腕がつららと剣に変化したタケミカヅチに怯えてしまい、無念にも敗れてしまったのでした。

また千曳の岩は、「あの世」と「この世」の間にある、「黄泉の国(よみのくに)」に通じる岩のことでもあります。
そしてそれは島根県出雲市に存在すると言われています。

秋津島(あきつしま)とは、ここでは日本列島のことを言います。
「秋津(あきつ)」とは、トンボのことをいいます。
「秋津(あきつ)」は、「蜻蛉(あきつ)」とも書きます。
「蜻蛉(あきつ)」は、「蜻蛉(とんぼ)」とも読みます。

ここでは、秋津=トンボ=日本列島と、とりあえず覚えておきましょう。

なぜ日本列島のことを「秋津島(あきつしま)」というのかというと、初代天皇の神武天皇(じんむてんのう)が、日本列島のことをトンボのようだと言ったことに由来します。
それはまるで、トンボが交尾するときのように重なり合うような山や大地、そして人々の国だったからです。

その神武天皇が「日本列島はトンボのようだ」と宣(のたま)った場所は、奈良県御所市(ごせし)の「ほほまの丘」にあります。
つまり、奈良県御所市の国見山(くにみやま)という山になります。

鉄道唱歌 関西・参宮・南海編 第41番でも、

新庄(しんじょう)御所(ごせ)をうち過ぎて 掖上(わきがみ)ゆけば神武帝(じんむてい)
国を蜻蛉(あきつ)とのたまいし ほほまの丘ぞ仰がるる

と歌われていますよね。

鉄道唱歌 関西編 第41番 奈良県御所市へ 神武天皇が「国は蜻蛉だ」と宣われた、「嗛間の丘」

繰り返しにはなりますが、タケミナカタ(諏訪)がタケミカヅチ(鹿島)に敗れ、結果的に大国主命の敗北、天照大神の勝利となり、日本という国(秋津島)は天照大神の孫に譲られることとなりました。

その日本(秋津島)を譲り受けた天照大神の孫が、初代天皇の神武天皇(じんむてんのう)であり、またそのはるか子孫にあたる令和の第126代の今上天皇(きんじょうてんのう)・徳仁(なるひと)天皇陛下に至るということです。

今回の歌詞はかなり難解でしたが、なんとなく意味がおわかりいただけたでしょうか。

次回も、タケミナカタ(諏訪)の話題となります!

注意
この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
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