中央線鉄道唱歌 第33番 周囲16kmの内陸の海・諏訪湖 「日本のスイス」とよばれる工業地

まずは原文から!

翠(みどり)の山にかこまれし
周回四里(まわりよんり)の諏訪(すわ)の湖(うみ)
衣が崎(ころもがさき)に波も無く
富士(ふじ)の上漕(こ)ぐ釣り小舟(おぶね)

さらに読みやすく!

翠(みどり)の山にかこまれし
周回四里(まわりよんり)の諏訪(すわ)の湖(うみ)
衣が崎(ころもがさき)に波も無く
富士(ふじ)の上漕(こ)ぐ釣り小舟(おぶね)

さあ、歌ってみよう!

♪みどりのやーまに かこまれしー
♪まーわりよんりの すわのうみー
♪ころもがさーきに なみもなくー
♪ふーじのうえこぐ つりおぶねー

(中央東線)
甲府駅→竜王駅→韮崎駅→新府駅→日野春駅→小淵沢駅→富士見駅→青柳駅→茅野駅→上諏訪駅→下諏訪駅→岡谷駅(→至・塩尻駅)

※鉄道唱歌に関連する主要駅のみ表記

列車は既に、長野県諏訪市(すわし)の、上諏訪駅(かみすわえき)に着いています。

諏訪湖は、標高759mという高い位置に位置します。つまり東京スカイツリー(634m)よりも高い位置にあるため、夏は涼しくなります。
冬は水面が凍ってしまうため、明治時代の1906年には日本初のスケート大会が行われました。それはなんと下駄に「」をつけて氷の上を滑る、「下駄スケート」と呼ばれるものでした(大正時代には廃止されています)。

「ようこそ 諏訪湖」(長野県諏訪市)

諏訪大社の男性の神様であるタケミナカタは、女性の神様のおられる諏訪大社・下社(下諏訪神社)にまで、湖の上を歩いて会いに行ったといいます。
これを、「お御渡り(おみわたり)」といいます。
また、「お御渡り」は冬の凍った諏訪湖にできる不思議な細長い亀裂のことをいいます。これは凍った水面が膨張して、割れることによって起こる亀裂です。
昔は科学があまり発展していなかったので、この不思議な自然現象神様の仕業だと信じられてきました。
なので、この冬の凍った湖面にできる長い亀裂のことを「神様が湖上を歩いた跡なんだ」ということで「お御渡り」と呼んだのでした。

この「お御渡り」現象は、残念ながら近年ではあまり見られなくなったようです。

歌詞によれば、諏訪湖は「周り四里(約16km)」とあります。
実際、諏訪湖は1周約15.9kmになります。
1里は約4kmですから、おおよそ合ってますね。
つまり昔の人は、かなりの精度で距離を測っていたことがわかります。
1周16kmというわかり易い長さなので、地元のマラソンランナーにとっても諏訪湖は人気があります。
また、海のない内陸県の長野県の人々にとっては、広大な湖である諏訪湖の存在はとても貴重であり、また漁業にもとても重宝してきた歴史があります。

それに加え、諏訪湖は広い湖畔と美しい景色が特徴です。
まるで(写真で見た)スイスのジュネーブ湖(レマン湖)みたいな景色そのものです。
実際、諏訪市は「セイコーエプソン」など精密工業が盛んなこともあって、「日本のスイス」とも呼ばれます。

諏訪は空気が綺麗なために、「セイコーエプソン」などを始めとする精密機械の製造に優れています。
精密機械は”空気がきれいで水が多いこと”が重要視されるので、精密機械の製造に諏訪はとても優れた立地になっています。

戦時中、東京の空襲から逃れるため、諏訪湖に疎開してやってきた精密機器の会社はたくさんあります。
やはり精密機器の製造に必要になる水が豊富にあり、また都心にもある程度は近い諏訪湖が選ばれたわけですね。

戦後になり多くの企業は元の東京に戻っていきましたが、セイコーエプソン等の会社はそのまま諏訪に留まっているという形になります。

セイコーエプソンは創業した地である諏訪への思いが深いようにも感じられ、諏訪湖の水だけは絶対に汚してはならないという強い企業としての決意と意地を感じさせられます。

というのも、諏訪湖も1960年代の高度経済成長期には、全国の他地域の湖と同様に、生活排水や工業排水などが原因で湖が汚染されてきた歴史があるからです。
しかし人々の弛(たゆ)まぬ努力により、諏訪湖の水質も改善に向かっています。もちろんセイコーエプソンも同様だと思われます。

また諏訪地方は、水が豊富にあって、またお魚をたくさん採れます。
海がない内陸県(しかも高原地帯)である長野県(信濃国)にとっては、歴史的に諏訪湖の水はとても貴重なものだったことでしょう。

長野県歌「信濃の国」では
諏訪の海には魚(うお)多し
と歌われています。

つまり、海のない長野県下であっても、諏訪湖では魚はたくさん採れるため、民衆の稼ぎ(人々の生活の糧/かて)は良い、つまり人々の生活には困らないということになります。

諏訪湖(長野県諏訪市)

次も、諏訪湖の話題は続きます!

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