まずは原文から!
森(もり)に出づれば旅人の
眠氣(ねむけ)もさむる噴火灣(ふんかわん)
晴れたる日には薄青く
有珠(うす)の高嶺(たかね)も仄(ほの)みえて
さらに読みやすく!
森(もり)に出づれば旅人の
眠気(ねむけ)もさむる噴火湾(ふんかわん)
晴れたる日には薄青く
有珠(うす)の高嶺(たかね)もほの仄(ほの)みえて
さあ、歌ってみよう!
♪もーりにいずれば たびびとのー
♪ねむけもさむるー ふんかわんー
♪はてたるひーには うすあおくー
♪うーすのたかねも ほのみえてー
(函館本線)
函館駅→桔梗駅→七飯駅→新函館北斗駅→大沼公園駅→駒ヶ岳駅→森駅→八雲駅→国縫駅→長万部駅→黒松内駅→比羅夫駅→倶知安駅→然別駅→余市駅→蘭島駅→塩谷駅→小樽駅
※鉄道唱歌に関係ある主要駅のみ抜粋
大沼公園を過ぎて、森駅に到着
大沼公園駅(おおぬまこうえんえき、北海道亀田郡七飯町)を出ると、前回紹介した北海道駒ヶ岳(通称:渡島富士)を右にして、森駅(もりえき)方面へ向かってゆきます。
列車の窓の右側にずっと渡島富士(おしまふじ)を眺め、しばらくするとそれまでの山岳地帯や美しい原野の景色は落ち着きをみせ、徐々に住宅地などの建物が増えて町らしい雰囲気になってきます。
森駅(もりえき、北海道茅部郡森町)に到着です。
森駅では、約10分くらい?(※)の停車時間があるため、青春18きっぷユーザーや北海道東日本パスユーザーは駅の外に出て休憩することができます。
※2022年ダイヤで確認したらわずか9分でした。
08:17 函館発 函館本線・長万部行
10:06 森着
(休憩時間)
10:15 森発
11:24 長万部着
※あまり時間ないかもしれません!
※余裕をもって車内に戻りましょう!
【※2024年追記】
※2024年のダイヤで再掲しています。
08:18 函館発 函館本線・長万部行
09:49 森着
(休憩時間)
10:02 森発
11:09 長万部着
※森駅での休憩時間が13分に拡大しています。
※函館駅を出る時間が1分遅くなったのに、森駅への到着が17分短縮、長万部駅へと到着が15分短縮となっています。ダイヤ改正でかなり早くなった印象です。列車の性能が向上したんですかね?
駅前に「森名物いかめし」といった商店があります。
北海道唯一の「まち」・森町
森町(もりまち、北海道茅部(かやべ)郡)はこの辺りでは比較的大きな重要な町であり、交通の重要拠点です。
読み方は「ちょう」ではなく、「まち」です。そして、北海道で唯一の「まち」でもあります。逆にいえば、森町以外の北海道の「町」はすべて「ちょう」という読みになります。
森駅の後ろに広がる、噴火湾(内浦湾)
そして、森駅の反対側のホームの向こうには、巨大な大海原が控え、後ろ側には渡島富士が控えています。
この巨大な大海原は「噴火湾(ふんかわん)」、正式名称は「内浦湾(うちうらわん)」といい、森→長万部→室蘭を大きな弧を描いて時計回りに迂回する巨大な内海です。
「噴火湾(ふんかわん)」というネーミングから、火山の噴火か何かと関係ある海と思えるかもしれません。
実際に昔は、火山が噴火して、陥没したカルデラ部分に海水が溜まってできた海だと考えられてきました。
「カルデラ」とは、火山が噴火したときに中身が噴出してしまい、中身が空っぽとなってできる大きな空洞のことです。熊本県の阿蘇山(あそさん)などが有名です。
そして、そのカルデラに水が溜まってできた湖を、「カルデラ湖」といいます。
例えば、主なカルデラ湖として、北海道の屈斜路湖(くっしゃろこ)、支笏湖(しこつこ)、洞爺湖(とうやこ)などが有名です。
しかし、巨大な陥没(カルデラ)ができるほどの火山が周囲にはないため、その説は否定され、噴火湾は火山の噴火とは何ら関係ない海だということです。
噴火湾の正式名称は「内浦湾」
ちなみに噴火湾は、「内浦湾(うちうらわん)」が正式名称です。
ん?
静岡県沼津市にも「内浦湾」ってありますね!
内浦(伊豆・三津シーパラダイス)のご当地ゆるキャラ「うちっちー」がいる(?)海です!
私(筆者)が大好きなアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」が好きな人や、沼津市の観光がお好きな方ならわかるネタです。
しかし、残念ながら北海道の内浦湾にはうちっちーはいません。(^-^;
なお、「うちっちー」はセイウチであり、セイウチは主に北極圏に分布する動物なわけですが、沼津市内浦の水族館「伊豆・三津(みと)シーパラダイス」は、1977年に我が国初のセイウチの飼育を行ったようで、その名物であるセイウチに因んだゆるキャラが「うちっちー」というわけですね。
以上余談、失礼しました。
話を元に戻します。
晴れた日に、はるか遠くに見えるであろう「有珠山」
歌詞の4行目に出て来る「有珠の高嶺(うすのたかね)」とは、森からみて噴火湾の対岸にある「有珠山(うすざん)」のことをいい、洞爺湖町(とうやこちょう)と伊達市(だてし)の間にある標高733mの山です。
歌詞によると晴れの日には有珠山が見えるようですが、私は今のところ確認できていません(→次の旅行では確認できました!しかし写真には収められず)。
有珠山(うすざん、標高733m)は、洞爺湖(とうやこ)のカルデラの一部ですが、カルデラの外枠の突出した部分といっていいかもしれません。つまり、洞爺湖の火山が噴火したときに、そこの部分だけに噴出されたものが積もりまくって、有珠山という山が作られたわけですね。
壮大な疑問:なぜ森と室蘭を、直接距離で結ぶ橋が無いのか?
そして、
「なぜ室蘭市と森町を結ぶ橋ができないの?」という疑問です。
地図で噴火湾(内浦湾)を眺めていたらわかると思いますが、直線距離だと森町と室蘭市がかなり近いように思えます(実際には約30kmもあり決してそうでもない)。
現在では陸路が中心であり、長万部を経由して大きく時計回りに迂回してから室蘭市に至るようになっています。
そこで、「なぜここに橋を作らないの?ここに橋を通せばかなりショートカットになるのでは?」と思えてくるはずで、実際そのような疑問を抱く人は多いようです。
しかし、現実的にこの区間に橋を通すのは、ほぼ「不可能」というのが定説になっています。
理由は、まずこの地域は風が非常に強い地域なので、通行止めが多くなることと、また強風の影響で建設も容易でないこと、また直線距離で約30kmで思った以上に長いこと、そしてそこまでの労力をかけて建設しても採算が取れない、などが挙げられます。
東京湾を横断する「東京湾アクアライン(全長約15km)」を構成する、日本一長い橋である「東京湾アクアブリッジ」も、長さ約4.4kmほどです。
噴火湾の約30kmというのが、いかに長いかがおわかりいただけるでしょう。
室蘭市にある白鳥大橋(はくちょうおおはし)は長さ約1.4kmですが、ここですら強風や荒天などの影響でかつては難工事だったり、現在も頻繁な通行止めがあるようなので、噴火湾に橋を通すことがどれだけリスクが高いのかおわかりいただけると思います。というか、相当な難工事と膨大な建設費やリスク等が考えられます。
また東京湾アクアブリッジは、噴火湾と違い比較的季候がよく、交通量も多くて採算が見込めるから、予算・リスク等の観点で実現したわけですね。
つまり、噴火湾に橋を通すよりも、まずは2030年目処の「北海道新幹線札幌延伸」の方が最優先なわけです。
北海道新幹線が札幌にまで到達した場合、札幌~函館間の移動時間は約1時間~1時間半ほどになるといわれ、余裕で日帰りができるようになります。
なので、法的根拠(全国新幹線鉄道整備法。簡単にいえば「我が国の発展のために日本全国に新幹線を通しましょう」といった趣旨の法律)もあり、より建設が具体的な、北海道新幹線の札幌延伸の方が、噴火湾の橋建設よりもよほど現実味が高いといえるでしょう。
以上のことから、噴火湾の橋建設は非現実的であり、今後も未来永劫(みらいえいごう)実現しないだろう、というのが定説になっています。
森駅を出て、八雲・長万部方面へ
話を森駅に戻します。
森駅のホームからの眺めは素晴らしいです。噴火湾をバックに写真撮影するもよし、渡島富士をバックに写真撮影するもよし、キハ40の車両と並んで写真撮影するもよし。
しかし、毎度のことですが列車の発車時刻に置いていかれないようにしましょう。(^-^;
ただ、森駅は特急の止まる駅なので、万一乗り遅れても特急料金を別途払えばある程度は挽回利くかもしれません。
冒頭に述べた通り、2022年現在、駅の停車時間は9分なので、その間にトイレ休憩、写真撮影などを素早く済ませたいものですね!
※10時15分発の普通列車を逃しても、10時51分発の特急に乗れば、長万部で9分遅れまで差は縮まるようです。
次は八雲駅、国縫駅に止まります!
注意
この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
もし内容の誤りに気付かれた方は、「お前は全然知識ないだろ!勉強不足だ!」みたいなマウントを取るような書き方ではなく、「~の部分が誤っているので、正しくは~ですよ」と優しい口調で誤りをコメント欄などでご指摘頂ければ嬉しく思います。再度こちらでも勉強し直し、また調べ直し、内容を修正致します。何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
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