まずは原文から!
海邊(うみべ)づたひに早(はや)いつか
過ぐる膽振(いぶり)の國境(くにざかい)
八雲(やくも)に續(つづ)く國縫(くんぬい)は
滿俺(まんがん)鑛山(こうざん)所在の地
もう少し読みやすく!
海辺伝いに早(はや)いつか
過ぐる胆振(いぶり)の国境(くにざかい)
八雲(やくも)に続く国縫(くんぬい)は
マンガン鉱山所在の地
さあ、歌ってみよう!
♪うーみべづたいに はやいつかー
♪すぐるいぶりのー くにざかいー
♪やくもにつーづく くんぬいはー
♪マンガンこうざん しょざいのちー
(函館本線)
函館駅→桔梗駅→七飯駅→新函館北斗駅→大沼公園駅→駒ヶ岳駅→森駅→八雲駅→国縫駅→長万部駅→黒松内駅→比羅夫駅→倶知安駅→然別駅→余市駅→蘭島駅→塩谷駅→小樽駅
※鉄道唱歌に関係ある主要駅のみ抜粋
マンガン(Mn、元素番号25)って昔はこういう漢字で書いていたんですね・・・鉄道唱歌を知るまで知りませんでした。
森駅を出発すると、前回説明した噴火湾(ふんかわん)の海辺伝いに長万部(おしゃまんべ)方面に向かって進みます。
窓の右側に眺める噴火湾の景色は壮観ですが、青春18きっぷのシーズンの窓側の席はいつも人気なので、どん臭い私はいつも山側の席にいます。(笑)まあ、山側は山側で、かえって空いているので、余裕あってまったりできたりもするんですけどね。(^^;
山側の席にいても、列車の窓は大きいので、噴火湾の美しい景色はどちらにせよ壮観です!
・・・余談はさておき。
海辺伝いに列車を進めると、落部駅(おとしべえき、北海道二海郡八雲町)からは八雲町(やくもちょう)に入ります。
やがて、森駅~長万部駅のちょうど中間にあり、特急列車も停車する重要な駅である八雲駅(やくもえき、北海道二海郡八雲町)に到着します。
歌詞の2行目には、「過ぐる胆振(いぶり)の国境(くにざかい)」とあります。
つまり、旧律令制に倣った地方区分である渡島国(おしまのくに)と胆振国(いぶりのくに)の国境を過ぎていく、というイメージになります。もちろん北海道は江戸時代までは「蝦夷地(えぞち)」であり正式な日本の一部ではなかったので「国」による区分分けはなかったのですが、明治時代に「北海道」と改められ正式に北海道は日本の一部になったため、「渡島国」「胆振国」などのように国による区分分けがなされました。
現在の八雲町(やくもちょう)は、現在の行政区分においては渡島総合振興局(おしまそうごうしんこうきょく)に属しており、函館市と同じということになります。さらに北の長万部も渡島総合振興局にあります。
しかし、八雲町は旧地方区分では旧落部村(おとしべむら)の領域を除き、胆振国(いぶりのくに)に属していました。
逆にいえば、落部駅のある旧落部村より南は、渡島国ということになります。
つまり、現在の行政区分である胆振総合振興局(いぶりそうごうしんきょうこく、振興局所在地は室蘭市)と渡島総合振興局とでは、かつての胆振国と渡島国とで行政区分が若干異なるということになります。
したがって、列車が落部駅を過ぎたあたりから、渡島国と胆振国の国境を過ぎていくことになります。
列車でこの区間に来たら、ぜひ頭の中で「♪海辺伝いにはやいつか 過ぐる海辺の国境~」の歌詞のフレーズを思い出しましょう。鉄道唱歌の世界に浸れます。
そして、八雲町は2030年目標に開業する予定である北海道新幹線の「新八雲駅(しんやくもえき)」が設置される予定でもあります。
新八雲駅は、なんと牧場の中に駅を作るということで話題になったりもしています。
牧場の中に新幹線の停車する立派でピカピカな駅舎が出来る・・・極めて珍しい光景であり、シュールかつ興味深いです。
八雲駅を過ぎてさらに長万部方面に進むと、かつての瀬棚線(せたなせん)との分岐点であった国縫駅(くんぬいえき、北海道山越郡長万部町)に到着します。
国縫駅(くんぬいえき)からは1987年まで、西に一直線に、西海岸のせたな町まで「国鉄瀬棚線(こくてつせたなせん)」という鉄道が延びていたそうです。
せたな町周辺の西海岸の海産物や、沿線の鉱物(歌詞にあるように、恐らくマンガン等も含むのでしょう)などを貨物列車等で運ぶ重要路線でした。
しかし、1960年代以降に長距離トラック輸送などが主流になり、貨物列車での輸送が衰退したことで、瀬棚線は1987年に廃止になったようです。
以下、貨物輸送の歴史について少し言及しておきます。
大昔(特に江戸時代以前)は鉄道やトラック輸送もないため、海運(船に荷物をたくさん載せて海や川をいく)が主流でした。そのため、この時代は港町が特に栄えました。
そして明治時代になると鉄道による貨物輸送が主流になり、さらに戦後(特に1960年代以降)に入ると自動車が普及し、高速道路がどんどん作られていくと必然的に長距離トラック輸送に置き換えられ、コスパや柔軟性などで劣る鉄道輸送はどんどん重要が減っていくことになり、その結果として廃線・廃止になった路線はたくさんあります。
この瀬棚線もその一つといえるでしょう。
ただ、近年は地球温暖化防止の観点から、CO2(二酸化炭素)の排出が少ない貨物列車輸送の重要性が見直されていたりもするようです。
次は、長万部駅に止まります!
注意
この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
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