まずは原文から!
雲(くも)たち出(い)づる 出雲路(いずもじ)の
斐の川上(ひのかわかみ)は 其昔(そのむかし)
大蛇(おろち)うたれし素戔嗚尊(すさのお)の
神の武勇(ぶゆう)にかくれなし
さらに読みやすく!
雲(くも)たち出(い)づる 出雲路(いずもじ)の
斐の川上(ひのかわかみ)は その昔
大蛇(おろち)うたれし素戔嗚尊(すさのお)の
神の武勇(ぶゆう)にかくれなし
さあ、歌ってみよう!
♪くもたちいーずる いずもじのー
♪ひのかわかみはー そのむかしー
♪おーろちうたれし すさのおのー
♪かみのぶゆうにー かくれなしー
(山陰本線)
米子駅→安来駅→荒島駅→東松江駅→松江駅→玉造温泉駅→宍道駅→荘原駅→直江駅→出雲市駅
※鉄道唱歌に関連する主要駅のみ表記
奥出雲へと通じる「斐伊川」を渡る
宍道駅(しんじえき)を出ると、やがて斐伊川(ひいがわ)という大きな川を渡ります。
斐伊川(ひいがわ)とは、日本神話に出てくる怪物である八岐大蛇(ヤマタノオロチ)と戦って倒した神様である、スサノオ(素戔嗚尊、須佐之男)が登っていった川になります。
スサノオは、イザナギという神様に生み出された神様になります。
イザナギ(男神)・イザナミ(女神)は、「古事記」や「日本書紀」の日本神話における、日本という国を生んだとされる神様です。
イザナギの子には他にも天照大神(アマテラスオオカミ)やツクヨミ(月読命)がおります。
それぞれ、イザナギの体の以下のパーツから生まれてきた子になります。
左目からは天照大神(アマテラスオオカミ)
右目からはツクヨミ
鼻からはスサノオ
がそれぞれ産まれています。
つまり、イザナギとイザナミとの交配によって産まれたわけではないのです。
ヤマタノオロチを倒した神・スサノオ
スサノオの性格は極めて破天荒で、ある意味メチャクチャな性格でもありました。
高天原(たかまがはら。神様たちが住む天空の場所)において、天照大神の畑をめちゃくちゃにしたので、高天原を追放されてしまったのです。
そんなある日、出雲の斐伊川(ひいがわ)にさしかかったスサノオは、斐伊川を登ってゆくことにします。
スサノオが斐伊川を登ったところで、そこに何故か泣いていた老夫婦がいました。
老夫婦が泣きながら言うには、
「この奥出雲には、ヤマタノオロチという化物がおります。その化物によって、娘はみんな食べられてしまいました。
既に7人の娘が、ヤマタノオロチに食べられてしまったのです。
そして今夜、最後の娘である「クシナダヒメ」を、ヤマタノオロチに生け贄として差し出さなせればならないのです。」
ということでした。
それを聞いたスサノオは、
「わかった。その化物は俺が倒してやる。
その代わり、その娘(クシナダヒメ)を俺によこせ。」
といって、娘を嫁にもらうことを条件に、ヤマタノオロチを倒すことにしました。
ヤマタノオロチとは、その昔、奥出雲に存在したとされる、尻尾(しっぽ)が8つもある怪物のことです。
スサノオは、酒のにおいでヤマタノオロチを誘い出し、それに釣られたヤマタノオロチは酒を一気に飲み干し、酔っ払って寝てしまいました。
その寝ているところを、スサノオの剣で滅多打ちにされてしまい、スサノオは見事に勝利したのでした。
ヤマタノオロチの尾から出てきた「草薙の剣」
その「剣で斬った」とき、ヤマタノオロチのしっぽから出てきた剣が、いわゆる草薙の剣(くさなぎのつるぎ)です。
草薙の剣(くさなぎのつるぎ)は、いわゆる三種の神器(さんしゅのじんぎ)の一つであり、名古屋の熱田神宮(あつたじんぐう)に祀(まつ)られています。
三種の神器(さんしゅのじんぎ)は、天皇家に伝わる、3つの神聖なアイテムのことです。
・草薙の剣(くさなぎのつるぎ)
・八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)
・八咫鏡(やたのかがみ)
草薙の剣は先述の通り名古屋の熱田神宮(あつたじんぐう)に、八尺瓊勾玉は東京都千代田区の皇居に、八咫鏡は三重県の伊勢神宮に、それぞれ祀(まつ)られています。
斐伊川は、木次線(きすきせん)に沿った川でもあります。こちらは前回解説した通りです。
山陰鉄道唱歌 第29番 松江を出て、宍道湖の横を行く 玉造温泉・荘原・直江と進む
また、斐伊川は歴史的に氾濫を繰り返して荒れ狂う川だったため、斐伊川そのものがヤマタノオロチだった、という伝説もあります。
また、奥出雲には黄泉の国(よみのくに)へと続くといわれる、黄泉比良坂(よもつひらさか)という坂もあります。黄泉の国とは、いわば死んだ後の世界のことであり、黄泉比良坂は「この世」と「あの世」を行き来するための坂だとされています。
奥出雲には、このように日本神話にまつわる観光地や名所がたくさんあります。神話の世界って、なんだかワクワクしますね!
斐伊川は、埼玉県さいたま市・大宮の「氷川神社」とも関係あり
さらに補足ですが、斐伊川(ひいがわ)は埼玉県さいたま市・大宮(おおみや)の氷川神社(ひかわじんじゃ)の由来にもなっています。氷川神社は斐伊川とスサノオに関する信仰の神社のため、スサノオが神様として祀られています。大宮は、東北新幹線の駅もある鉄道の重要駅の街でもあります。
埼玉県・大宮については以下の記事でわかりやすく解説していますので、詳しくは以下をご覧ください。
鉄道唱歌 北陸編 第7番 大宮の宿場町と鉄道の街としての歴史 街の由来の氷川神社
次は、出雲市駅に止まります!
注意
この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
もし内容の誤りに気付かれた方は、「お前は全然知識ないだろ!勉強不足だ!」みたいなマウントを取るような書き方ではなく、「~の部分が誤っているので、正しくは~ですよ」と優しい口調で誤りをコメント欄などでご指摘頂ければ嬉しく思います。再度こちらでも勉強し直し、また調べ直し、内容を修正致します。何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします
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