鉄道唱歌 奥州・磐城編 第60番 筑波山からの常陸国の景色はまるで地図のよう そして、千葉県へ

まずは原文から!

峰(みね)にのぼれば地圖(ちず)一つ
ひろげし如(ごと)く見えわたる
常陸(ひたち)の國(くに)のこゝかしこ
利根(とね)のながれの末(すえ)までも

さらに読みやすく!

峰(みね)にのぼれば(登れば)地図一つ
ひろげし(広げし)如(ごと)く見えわたる
常陸(ひたち)の国のここかしこ
利根(とね)のながれ(流れ)の末(すえ)までも

さあ、歌ってみよう!

♪みーねにのぼれば ちずひとつー
♪ひろげしごとくー みえわたるー
♪ひたちのくーにの ここかしこー
♪とねのながれのー すえまでもー

(常磐線)
仙台駅→(※注1)→岩沼駅→相馬駅(旧・中村駅)→原ノ町駅→浪江駅→双葉駅(旧・長塚駅)→富岡駅→木戸駅→広野駅→久ノ浜駅→いわき駅(旧・平駅)→内郷駅(旧・綴駅)→湯本駅→泉駅→勿来駅→大津港駅(旧・関本駅)→磯原駅→高萩駅→日立駅(旧・助川駅)→常陸多賀駅(旧・下孫駅)→水戸駅→友部駅→石岡駅→土浦駅→松戸駅→北千住駅→南千住駅→日暮里駅(※注2)

※鉄道唱歌に関連する主要駅のみ表記
※注1 仙台駅→岩沼駅は東北本線の区間
※注2 当時は田端駅が終端

まずは、歌詞の意味を確認しよう

歌詞の意味としては、
筑波山の頂上に登ると、まるで地図を一つ広げたようにして、常陸国(ひたちのくに。茨城県のこと)がみな見渡せる。そしてそれは、利根川の末までも。
というような意味になります。

筑波山の頂上から見渡せる、常陸国(茨城県)の地図を広げたような景色

筑波山の頂上に登ったときの景色は、まるで茨城県のすべてが地図のように(現在でいうとGoogle MapsやGoogle Earthなどのように)見渡せてしまう、という意味ですね。
そしてそれは、利根川の河口(太平洋側)まで見渡せてしまう、という意味になるでしょう。

現在では実際に筑波山に登らなくとも、Google Earthというツールで頂上からの景色を疑似体験できます。
ちなみに私がGoogle Earthで筑波山の頂上からの景色を確認したところ、利根川は少し確認しづらかったのですが、加波山(かばさん)、霞ヶ浦(かすみがうら)は確認できました。
そして裏側にも富士山(ふじさん)もばっちり確認できました。

コブバクチョウのたくさんいる、牛久沼

さて、鉄道唱歌では土浦駅~松戸駅までの区間は歌詞に登場しませんので、いくつかスポットを紹介させていただきます。

土浦駅(つちうらえき、茨城県土浦市)を南下すると、右手に牛久沼(うしくぬま)があります。牛久沼には、龍ヶ崎駅(りゅうがさきえき、茨城県龍ヶ崎市)から北約600mほどの位置にあります。
牛久沼には、茨城県龍ヶ崎市(りゅうがさきし)名物のコブバクチョウがたくさんいます。
また、牛久沼からはとても綺麗な筑波山が眺められます。

取手駅を過ぎて、千葉県へ

やがて、常磐線の直流・交流電化の境界点である藤代駅(ふじしろえき、茨城県取手市)、取手駅(とりでえき、茨城県取手市)を過ぎると、茨城県はここまでで終わり、千葉県に入ります。

直流・交流の境界点、藤代駅・取手駅 地磁気観測所に配慮

先ほど、直流・交流電化の境界点と書きました。取手駅よりも南の首都圏側は電気の方式は「直流」で、藤代駅よりも北の茨城県・福島県側は「交流」になります。
理由は、茨城県石岡市のあたりに、気象庁の地磁気観測所が存在するからです。直流だと電気から発生した磁気が漏洩しやすくなり地磁気と干渉してしまうため、正確な地磁気の観測ができなくなるからですね。
直流と交流を切り替えるため、藤代駅と取手駅の間には「デッドセクション」という電気が流れない区間が存在します。

デッドセクションとは?直流と交流の境界に存在する区間

デッドセクションとは、電気が電線に通っていない区間のことをいいます。
電気が通っていない部分では列車は電気の供給を受けられないので、デッドセクションにかかる前に充分に加速しておき、加速したままの勢いでデッドセクションを通過します。この間に列車は直流と交流のいずれかに切り替えます。
藤代駅方面へ向かうなら交流に切り替え、列車は交流運転に変わります。一方、取手駅方面へ向かうなら直流運転に変わります。
なお、同じく直流と交流の変換地点である黒磯駅(くろいそえき、栃木県那須塩原市)にもデッドセクションが存在しています。

取手駅からは、利根川の眺めが近くなる

取手駅(茨城県取手市)からは、徒歩圏内で利根川の景色にたどり着けます。

取手駅付近・利根川の景色(茨城県取手市)

取手駅をさらに南下すると、利根川を渡り、先述の通り千葉県に入ります。やがて、成田線(我孫子支線)との分岐駅である我孫子駅(あびこえき、千葉県我孫子市)に着きます。

「暗夜行路」で有名な志賀直哉ゆかりの地・我孫子市

千葉県我孫子市(あびこし)は、有名作家の志賀直哉(しが なおや)が全盛期を過ごしたことで知られる街です。志賀直哉は33歳の1916年より約7年ほど我孫子市に邸宅を構え、名作「暗夜行路」の前編もこの時期に描かれました。

また、我孫子駅(あびこえき)近くには、とても大きくて景色のよい手賀沼(てがぬま)があります。
手賀沼も高度経済成長期には水質汚染などで苦しめられたようですが、地元の人々の長年の努力により、現在の水質は改善傾向にあります。私が手賀沼を訪れたときは、とても綺麗な湖だと思いました。

手賀沼(千葉県我孫子市)。人々の水質改善の努力によって、とても綺麗な湖である

常磐線をますます南下し、千葉県・松戸へ

我孫子駅を過ぎると、いよいよ列車のスピードもアップし、徐々に大都市部に近づいていく実感がわきます。
我孫子駅から先は、上野・品川へ早く着く快速列車と、東京メトロ千代田線に直通する各駅停車に分かれます。各駅停車の列車は北千住駅(きたせんじゅえき、東京都足立区)で常磐線から離れ、東京メトロに直通します。

やがて、松戸市方面へ向かっていきます!

注意
この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
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