鉄道唱歌 山陽・九州編 第31番 門司からはじまる九州の旅 やがて小倉に到着

まずは原文から!

門司(もじ)よりおこる九州(きゅうしゅう)の
鐵道(てつどう)線路(せんろ)をはる/″\と
ゆけば大里(だいり)の里すぎて
こゝぞ小倉(こくら)と人はよぶ

さらに読みやすく!

門司(もじ)よりおこる九州(きゅうしゅう)の
鉄道線路をはるばると
ゆけば大里(だいり)の里すぎて
ここぞ小倉(こくら)と人はよぶ

さあ、歌ってみよう!

♪もじよりおーこる きゅうしゅうのー
♪てつどうせんろを はるばるとー
♪ゆーけばだいりの さとすぎてー
♪こーこぞこくらと ひとはよぶー

(現代意訳)
門司駅(現代の門司港駅)からはじまる九州の、
鉄道線路を(小倉方面へ)はるばると、
行けば大里駅(現代の門司駅)のある町をも過ぎて、
着いたこの地を、人々は小倉(こくら)と呼ぶのだ。

(鹿児島本線)
門司港駅→門司駅→小倉駅→西小倉駅

(日豊本線)
西小倉駅→城野駅→行橋駅→宇島駅→中津駅→宇佐駅

(鹿児島本線)
小倉駅→折尾駅→箱崎駅→博多駅

※鉄道唱歌に関連する主要駅のみ表記
※鉄道唱歌ができた当時(1900年)は宇佐駅より南側は開通していなかったため(1910年開通)、小倉駅に一旦戻って折尾・博多方面へ進む

関門海峡のトンネルをくぐり、門司駅(もじえき、福岡県北九州市門司区)に到達すると、ここからはいよいよ九州の鉄道線路の旅になります。

JR九州(九州旅客鉄道)は、言うまでもなく九州を管轄するJRの鉄道会社です。
国鉄からJRに分割するときにできたJRグループの一つです。
しかし、JR九州は当初から赤字が予想されており、実際に現代の沿線人口の減少や、高速バス、航空機との競合によってその経営は常に苦境に立たされています(これはJR北海道や、JR四国にも同じことがいえます)。
最も利用者の多いエリアは言うまでもなく福岡の博多周辺ですが、この地域ですらなかなか黒字にはならないとのことです。
これはJR北海道における札幌周辺ですら黒字になりにくいのと似ています。
鉄道は沿線人口の減少や自動車の普及によって常に苦境に立たされやすい弱点を抱えています。

そんなJR九州も、地元住民も一体となって、以前にも増して観光などによる旅行客の誘致の努力を行っています。

私は、JR九州の社歌である「浪漫鉄道(ろまんてつどう)」が好きです。
しかも近年、YouTubeにて浪漫鉄道のPVがアップグレードされ、この動画を見るとその瞬間に九州の鉄道の旅に出かけたくなります(^^;)

皆さんも青春18きっぷを片手に、九州の鉄道の旅にでかけましょう!!

関東方面から九州に来られる場合は、鉄道だけで九州に来るにはちょっと遠いので、その場合は飛行機で福岡空港に降り立ち、そこから青春18きっぷや特急列車を駆使して九州の鉄道旅に来るのもアリです。

全日空(ANA)では75日前に予約すれば、あわよくば新幹線よりも安い金額で搭乗できるため、あらかじめ「夏休みには九州に行くんだ!」のように予定されている方は、75日前までに全日空を予約しましょう。
福岡空港は、博多駅に近いという抜群のアクセスの良さのため(地下鉄ですぐ)、東京(羽田)から九州に移動(ワープ)する際にはおすすめです。

もちろん、青春18きっぷ1回(2,410円)で東京から九州に来る方法もないわけではありませんが、朝の4時台に東京を出発し、延々と東海道線と山陽本線の普通列車を乗り継いで、翌0時過ぎに小倉に到着するという過酷な旅になります。
これはスーツさんの2019年の動画「青春18きっぷ1回で行ける 東京→小倉 普通列車だけで行ってみた」という動画が参考になると思います。
スーツさんは東京から小倉まで普通列車だけで移動した感想を「余裕」と仰ってましたが、スーツさんほどの上級者で無い限り厳しいでしょう(少なくとも私は無理ですね・・・)。

もちろん、1日で完結させるのではなく、何日かに分けて宿泊しながら来るのであれば、鉄道唱歌の旅に沿って東京→小倉を普通列車で来るのもアリだと思います!!

前置きが非常に長くなりましたが、鉄道唱歌の話に入ります。

歌詞にある大里(だいり)とは、現在の門司駅(もじえき)にあたる大里駅(だいりえき)のことです。

現在の門司駅(もじえき)は、明治時代の開業当初は大里駅(だいりえき)という名前でした。
そして、現在の海側の先端にある門司港駅(もじこうえき福岡県北九州市門司区)が、明治時代の当初の門司駅(もじえき)でした。

なので、鉄道唱歌の歌詞にある「門司よりおこる九州の~」の「門司」とは、すなわち現在の門司港駅ということになります。
現在の門司駅(旧・大里駅)ではありませんので、注意しましょう。

門司港駅(鉄道唱歌の当時の「門司駅」) (北九州市門司区)
門司港駅(北九州市門司区)

しかし、現在の門司駅(旧・大里駅)も、現在の鹿児島本線(かごしまほんせん)の起点となっており、また本州側から関門トンネルを通ってきた方にとっては、門司駅が九州の実質的入り口になります。

なので、「門司よりおこる九州の~」という歌詞は、現代でもあながち間違っていません。

間もなく、北九州きっての大都会・小倉駅(こくらえき、福岡県北九州市小倉北区)に着きます。

小倉駅は、すべての新幹線のぞみ号が停車する大きな重要駅であります。

小倉は、関門海峡を挟んで下関と同様に、歴史的にも地理的にも軍事上重要な拠点でした。

関門海峡は、本州と九州が最も近いので、小倉の防御をしっかり固めておかないと本州からの勢力に攻め入られてしまいます。
また、関門海峡は船にとって瀬戸内海へのショートカットになるので(鹿児島まで大回りせずに済む)、下関と同様に小倉の防衛は重要なのでした。

そして小倉は、あの原爆投下の候補地にあがっていたことでも知られます。
1945年の実際に原爆が落とされたのは長崎ですが、長崎はあくまで第二候補地であり、第一候補地は軍需施設も多く、まだ空襲にもあっていなく多くの家屋が残っている小倉でした。

原爆投下はあくまでアメリカの核兵器の威力を実験する意味合いもあったと言われています。そのため、既に大規模空襲に遭って壊滅状態にあった他の都市では原爆の威力を測れないため(例えば、既に3月に東京大空襲で壊滅状態にあった東京に落としても意味が無かった)、まだ空襲を受けていない小倉が候補地として適切だったのです。

また、戦争中は、国際条約によって民間人への殺傷は禁じられていました。これを破ると、世界各国がアメリカとの貿易を拒否してアメリカの製品を買ってくれなくなったりなどの制裁を受けるため、アメリカとしては民間人への殺傷だけは回避せねばなりません。
しかし、国際条約では「軍需施設への攻撃はOK」となっていたため、小倉にある軍需施設への攻撃という目的で原爆投下候補地となったのです。

もちろん、戦時中は「空襲予告ビラ」というものを投下し、米軍は予め空襲を予告して民間人には逃げるように呼びかけていいました。しかし、それにも関わらず結果的に民間人への殺傷となってしまったのは、「逃げたら非国民扱いさるために逃げることができず、結果的に空襲の犠牲になった」など意見が分かれます。

B29という爆撃機は大量の爆弾や燃料を載せて長距離を飛ぶことができますが、その反面、素速い動きで逃げる行動などは苦手としていたため、目視ではなくレーダーで小倉に原爆を落とそうとすると、簡単に地上から見つかって撃墜されてしまいます。
そのため、レーダーではなくあくまで目視で小倉に落とそうとしていたB29の搭乗員は、悪天候により雲で視界がさえぎられ、地上の目標が確認しづらい小倉への原爆投下は断念しました。
そして、第二候補地であった長崎に原爆は落とされることになりました。

・・・戦争の話題ばかりになって申し訳ございませんが、少しでも皆さんの「思考」のための題材を提供するこたに繋がれば幸いです。

小倉駅周辺は大都会なので、降りてこれから始まる長い九州の旅に備えましょう!!

次回からは、西小倉駅で日豊本線(にっぽうほんせん)に乗り換え、九州の東海岸沿いを南へ下ってゆきます!

注意
この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
もし内容の誤りに気付かれた方は、「お前は全然知識ないだろ!勉強不足だ!」みたいなマウントを取るような書き方ではなく、「~の部分が誤っているので、正しくは~ですよ」と優しい口調で誤りをコメント欄などでご指摘頂ければ嬉しく思います。再度こちらでも勉強し直し、また調べ直し、内容を修正致します。何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

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