まずは原文から!
吹上(ふきあげ)すぎてながめやる
熊谷(くまがや)土手(どて)の花ざかり
次郎直實(じろうなおざね)生(う)まれたる
村(むら)の名(な)今につたへたり
さらに読みやすく!
吹上(ふきあげ)すぎてながめやる
熊谷(くまがや)土手(どて)の花ざかり
次郎直実(じろうなおざね)生(う)まれたる
村(むら)の名(な)今につたえ(伝え)たり
さあ、歌ってみよう!
♪ふきあげすーぎて ながめやるー
♪くまがやどてのー はなざなりー
♪じーろうなおざね うまれたるー
♪むらのないまにー つたえたりー
(東北本線)
上野駅→田端駅→王子駅→赤羽駅→蕨駅→浦和駅→大宮駅
(高崎線)
上尾駅→桶川駅→鴻巣駅→吹上駅→熊谷駅→深谷駅→本庄駅→神保原駅→新町駅→倉賀野駅→高崎駅
※鉄道唱歌に関連する主要駅のみ表記
鴻巣駅(こうのすえき、埼玉県鴻巣市)を出発して高崎線を北西へ進むと、やがて吹上駅(ふきあげえき、埼玉県鴻巣市)、熊谷駅(くまがやえき、埼玉県熊谷市)に着きます。
この辺りは、荒川(あらかわ)と高崎線、中山道(なかせんどう)、北陸新幹線(上越新幹線)が平行に延びてゆきます。
中山道の吹上宿(ふきあげしゅく)は、いわゆる「間の宿(あいのしゅく)」という扱いでした。
間の宿(あいのしゅく)とは、宿場と宿場との距離が非常に離れている場合に、休憩場所として設けられた宿場です。
宿泊は禁止されていたようです。
埼玉県熊谷市(くまがやし)は、かつて源平合戦、特に兵庫県神戸市須磨区(すまく)で行われた「一ノ谷の戦い」で戦ったことで知られる熊谷直実(くまがい なおざね)という武将の本拠地でした。
熊谷直実(くまがい なおざね)は、源平合戦において、上述の「一ノ谷の戦い(いちのたにのたたかい)」で源氏側につき、平氏の当時わずか16歳だった平敦盛(たいらの あつもり)という武将と戦った人物であります。
なお、熊谷直実はいわゆる「次男」であるため、「熊谷次郎直実(くまがやじろうなおざね)」とも呼ばれます。
「次郎(じろう)」とは、いわゆる次男(上にお兄さんがいる)という意味です。
熊谷駅前には熊谷直実の像があります。
この熊谷直実は右手を上げて誰かに呼びかけるようなポーズですが、これは海に舟に乗って逃げようとする平敦盛を呼びとめようとする(そして戦いを挑もうとする)シーンを再現したものです。
「一ノ谷の戦い」は、源平合戦のあった1180年代に、兵庫県神戸市須磨区(すまく)にあたる地域で行われた物語になります。
それまでは「平氏にあらずんば人にあらず」と言われて相当おごり高ぶっていた平氏でしたが、1181年に偉大なカリスマである平清盛が死去すると、平氏は急速に衰退をみせ、逆に源氏の勢いが増してきて、平氏は次第に(京都から西へ)追い詰められていきました。
そして神戸の「一ノ谷の戦い」で、源頼朝(よりとも)の弟にあたる源義経(よしつね)は、なんと「崖から滑り下りて一気に奇襲をかける」という常識はずれな戦法を仕掛けます。
これによって平氏軍は大変驚いてパニックに陥り、平氏軍は劣勢に追い込まれました。
劣勢に立たされた平氏軍の兵士たちは海の方へ次々に逃げ出して行き、また16歳の若武者・平敦盛も舟に乗って逃げていこうとしたその時、ある武将が呼びとめました。
そう、熊谷直実です。
熊谷直実は逃げて行こうとする平敦盛に対して、このように呼びかけました。
「おい、そなたは相当たる腕の持ち主に見える。敵を目の前にして背を向けるとは、無礼であろう。いざ真剣に勝負いたせ。」
これが熊谷駅前の像の右手を上げているシーンです。
そして熊谷直実と平敦盛は一騎打ちをしたのですが、結局平敦盛は破れ、熊谷直実はその首を打ち取ろうと、彼の兜を外したその瞬間でした。
そこにいたのはなんと、自分の息子と年齢が変わらない16歳の少年でした。
なんとか彼の命を救ってやりたいと考えましたが、既に追っ手が迫ってきており、逃げ切るのは不可能だと考え、熊谷直実は泣く泣く敦盛の首を取りました。
そして、平敦盛が身につけていたのは、 「青葉の笛」という笛でした。
戦いの前に平氏の陣地から、戦場にも関わらず美しい笛の音が聞こえていたのですが、あの美しい笛の音はこの青年のものだったのだと、その時に熊谷直実は気付きました。
熊谷直実は、世の中の無情さを感じ、この戦いの後に出家することになるのでした。
(「出家」とは、お坊さんになって修業に励むことです)
また、熊谷は日本一暑い街としても知られます。
元々は2007年に岐阜県多治見市(たじみし)が記録した40.9度が最高でしたが、2018年に埼玉県熊谷市が41.1度を記録し、また静岡県浜松市も2020年に41.1度と最高タイを記録しています。
また、熊谷市に近い群馬県高崎市(たかさきし)も東京と比べると緯度は高くなるのですが、暑い街として知られます。
周囲が山に囲まれている地形だと、熱がこもりやすく熱が逃げにくいからですね。
また、空気が山を越えたとき、下降する先に熱がこもるという現象が起こります。これをフェーン現象といいます。
内陸部や盆地は、たとえ緯度が高くても(東北地方や北海道であっても)比較的暑くなります。
理由は、上記に挙げたフェーン現象や、山に囲まれて熱がこもりやすく、逃げにくいからです。
北海道旭川市(あさひかわし)や、山形県山形市(やまがまし)も、冬には寒いイメージがありますが、盆地であるため夏はとても暑くなりますので、旅行に行く場合は十分に注意し、念頭に置いておきましょう。
歌詞には「熊谷土手の花ざかり」とありますが、熊谷駅の南には荒川の土手であり、美しい景色が広がります。
堤(つつみ)とは、いわゆる堤防(ていぼう)、土手(どて)のことです。つまり、大雨の時に洪水を防ぐことを目的として、人工的に造った高い壁のことです。
また、熊谷駅は秩父鉄道(ちちぶてつどう)という鉄道路線が出ており、秩父方への分かれ道になります。
こちらは、次回解説します!
注意
この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
もし内容の誤りに気付かれた方は、「お前は全然知識ないだろ!勉強不足だ!」みたいなマウントを取るような書き方ではなく、「~の部分が誤っているので、正しくは~ですよ」と優しい口調で誤りをコメント欄などでご指摘頂ければ嬉しく思います。再度こちらでも勉強し直し、また調べ直し、内容を修正致します。何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
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