新潟県糸魚川市のシンボルであり大国主命の妻であり、またヒスイの女神でもあるヌナカワヒメについて、わかりやすく解説していきます!
新潟県・糸魚川に伝わる美しき女神:ヌナカワヒメ
今回は北陸地方を鉄道などで旅をしていて、ふと降りた駅である糸魚川駅(新潟県糸魚川市)の前に鎮座している銅像の女神である、ヌナカワヒメについて解説します!
翡翠の女王・女神
新潟県の糸魚川地方に古くから伝わるヌナカワヒメ(奴奈川姫)は、かつて古くから、しかも大昔からこの地を治めていたとされる伝説の女王であり、また非常に知的な女神様になります。
古事記にも登場するほど由緒ある神様で、地元では今も大切に崇められていますね!
古事記:日本に現存する最古の歴史書で、「日本の始まり」に関連する神様たちの物語や、歴代天皇の歴史など様々なことが記された、大昔の日本がどうだったかについて知るための手がかりになる本です。
新潟県糸魚川市とは?
ちなみにヌナカワヒメが女神様として祀られている新潟県糸魚川市とは、
- 新潟県新潟市
- 富山県富山市
という超重要な県庁所在地のちょうど間のあるような、まさに交通の要所とも言うべき場所です。
北陸新幹線も止まる交通の要所 ヒスイの名所
また、糸魚川には北陸新幹線も止まり、南に向かえば大糸線を通じて長野県の松本方面へ向かうこともできます。
このように、糸魚川は東は新潟・西は富山・南は松本という、まさに古くから(海のない内陸部へ、貴重な塩を運ぶための道として)栄えてきたという、まさしく歴史的な交通の要所であるというわけです。
後述するように、緑色のとても珍しい宝石であるヒスイの名所です。
荒れ狂う「厭い川」 糸魚川の地名の由来
また、糸魚川の地名の由来は街を流れる 姫川が古くから頻繁に氾濫して洪水が起こり、人々を苦しめてきた「厭うべき(つまり、嫌な)川」ということで、
になったと言われています。
(ただし諸説あり・アイヌ語由来という説も。)
「越の国(北陸地方)」の女神・ヌナカワヒメ
また、彼女は後述する高志国を支配していた絶世の美女として知られています。
そもそも、「高志国」とは?
ちなみに、先ほど述べた高志国とは、古代日本における、かつての北陸地方一帯のこと指す、古い呼び名のことです。
「越しの国」とも書き、それが「越国」となり、あまりにも広すぎたことから、かつて大昔に
- 越前国:福井県
- 越中国:富山県
- 越後国:新潟県
のそれぞれ3つの国に分割されたのでした。
これは、かつての日本の首都である京都に近い順に、「前」「中」「後」とつけられています。
広すぎて寒く環境も厳しい「越の国」 越前・越中・越後の3つに分割された
かつて越の国と呼ばれた北陸地方は、あまりにも広すぎて(現代の交通インフラですら、新潟県はあまりにも広すぎますよね)、しかも雪が深く寒くて厳しい環境の場所だったことから、政治や管理の効率化のために、3つの国に細かく分割されたのでした。
加賀国・能登国も、元々は越前国の一部だった 広すぎて後に分割
また、現在の石川県は富山県と福井県の間に位置する地理関係ですが、「越」という国名がつきません。
すなわち、現在の石川県に該当する加賀国や能登国は、元々は越前国の一部でした。
つまり、かつては福井県と一体化していたというわけです。
しかし、その越前国ですらあまりにも広すぎたため、後に加賀国と能登国が分割されて出来たというわけです。
新潟県もあまりにも広すぎる 上越・中越・下越に分かれている
また、同じように現在の新潟県もあまりも広すぎるため、現在でも京都に近い順に、上越・中越・下越と分かれれてますよね。
昔は京都が日本の中心だったので、
- 「京都に上る(上洛)」
- 「地方へ下る(下向)」
という言い方をしていました。
ちなみに、今回話題にしている糸魚川市は、最も京都府(つまり、かつての日本の首都)により近い上越地方にあたります。
筑紫国や吉備国がかつて分割された事情とは決定的に異なる
ちなみに、かつて大昔に米がたくさん取れすぎたことで強大な財力を誇り、大和朝廷を脅かした筑紫国(九州北部)や吉備国(岡山県及び広島県の東部)とは、その分割された理由が決定的に事情が異なります。
- 越の国→広すぎて寒すぎて、効率化を図るために分割された
- 筑紫国、吉備国→広大な平野を持つことから米が採れすぎて超大な財力 誇り、大和朝廷を脅かしたために、勢力を削ぐために分割された
出雲の大国主命からも求婚され、結婚
また、ヌナカワヒメは出雲大社の主祭神である大国主命に求婚され、結婚したというロマンチックなエピソードがあります。
このようにして、結婚した二人の間に生まれた子(神様)が、現在の長野県の諏訪地域・諏訪大社の神様として祀られている建御名方神(タケミナカタノカミ)であると伝えられています。
糸魚川のシンボル・翡翠(ヒスイ)の女神様
また、ヌナカワヒメは現在でも糸魚川の名物としてよく知られているヒスイ(翡翠)を支配する霊力を持っていたとされています。
そのため、ヌナカワヒメは現在でも糸魚川の豊かなヒスイ文化の象徴でもあります。
ヒスイ(翡翠):深い緑色が特徴の、非常に硬い宝石です。
糸魚川は、世界最古のヒスイ産地として知られています。
ヌナカワヒメは、現在でも糸魚川市内の天津神社や奴奈川神社などにおいて、現在においても地域の守護神として大切にされ祀られています。
このように、ヌナカワヒメは現在でも糸魚川のシンボルであり、またアイデンティティそのものと言える存在であるというわけです。
そのため、現在でも北陸新幹線・糸魚川駅(新潟県糸魚川市)の前には、ヌナカワヒメの銅像が鎮座してます。
日本神話の時代の太古の昔に、このようなヒスイの輝きと、共にこの地を治めていた女神様を想像すると、なんだかワクワクしてきませんか?
恋多き英雄:ヌナカワヒメの夫、大国主命の素顔
大国主命は、確かに多くの女神様と結ばれた「恋多き神様」として有名ですね!
例えば、大国主命は古事記などの記録によると、
- 正妻のスセリビメ
- 因幡の白兎のエピソードがきっかけで結婚した、八上姫(ヤガミヒメ)
- そして糸魚川のヌナカワヒメ
など、各地に何人もの奥様がいらっしゃいました。
大国主命にたくさんの奥様がいた理由
ではなぜ、大国主命はこんなに奥様が多かったのか。
もちろん、彼が非常にモテるイケメンだったというのも、理由の一つにあります。
現在でも出雲大社では、縁結びの神様として知られてますよね。
その他にも合理的な理由として、当時の「国造り」が、各地の豪族(つまり有力な一族)と親戚関係になることで進められていたからです。つまり、奥様が増えることは、そのまま「協力してくれる地域が増える」ということでもあったわけですね。
すなわち、彼らにとって奥様が増えるということは、もちろんロマンチックな愛の物語であると同時に、壮大な国家プロジェクトの記録でもあったというわけです。
したがって、大国主命は、現代の感覚で見るとはっきり言って力強くて心優しい イケメンであり、まるで「プレイボーイ」のような印象を受けるかもしれません。
大国主命の優しさに惚れた八上姫
このように、たくさんの女性の神様からモテてきた大国主命ですが、数ある奥さんの一人である八上姫は、
- 後述する有名な「因幡の白兎」のエピソードで、
- 優しく助けてくれた大国主命に一目惚れした
というお姫様です。
ちなみに因幡の白兎とは、古事記などの日本神話において、
- サメを騙したことで報復されたウサギを、
- 大国主命が知恵と優しさで救った
という有名なエピソードです。
まあ、うさぎはサメを騙したわけなので、結局は自業自得なわけですけどね。(^^;
大国主命の正妻・スセリビメ
ちなみにスセリビメは、試練を乗り越えて結ばれた大国主命の正妻です。
正妻法律や社会的な手続きを経て、正式に認められた第一の妻のことをいいます。
しかしながら、彼女(スセリビメ)は実は非常に嫉妬深い一面もあり、大国主命は一生懸命になって何度も彼女の機嫌をとるのにとても苦労したという、何とも人間味が溢れるようなエピソードも残っています。
神話の神様たちでありながら、人間味あふれるエピソードが多い、古事記
このように、古事記などの日本神話においては、我々人間であっても親しみやすいように、神様同士のとても人間臭いエピソードもたくさん記述されているというわけです。
- 黄泉の国で、腐敗した(元妻の)イザナミから、一目散に逃げ出すヘイザナギ。
- スサノオのやんちゃすぎる「いたずら」。天界を荒らしてしまったせいで、現在の島根県にあたる出雲国へ追放される。
- イケメンな大国主命をめぐる、女神たちの激しい嫉妬エピソード。
結婚は、各地の女神と結ばれることで、自身の国への支配力を強化する目的もあった
各地の女神と結ばれる背景には、当時の「婚姻による同盟」という政治的な意味合いも強かったと考えられています。
すなわち、大国主命は、
- (北陸を含む)各地の有力な一族の娘さん(つまり女神)と結婚することで、
- 出雲における、自らの支配力を広げていった
という側面があるというわけです。
逆に言えば、大国主命自身が地方の人々から多くの信頼を得ていたカリスマ的なリーダーであったということの証明にもなります。
やはり威厳と権威性のある大国主命と結婚することで地方の有力者の娘にとってもメリットがあったということは、今も昔も変わらないことなのでしょう。
強い出雲の神様と結婚できることの「強力なつながり」
出雲は当時、 農業・医療、そして鉄などの高度な技術を持っていました。
そのため、強力な出雲の神様と結婚するということは、強力な味方を手に入れることにもつながり、地方の一族にとってもとても大きなメリットがあったはずです。
数多くの女神と結婚した大国主命 その子の数はなんと180以上!?
しかも数多くの奥様と結婚した大国主命の子の数は、一説にはなんと180柱(ちなみに「柱」とは、神様を数える単位のこと)もいたと言われており、驚きの生命力ですね!
柱:神様を数えるときに使う、特別な単位のことです。
大国主命のカリスマ性が、いかに地方に広く・多く伝わっていたかが分かります。
優しい心を持ち、多くの女神からモテた大国主命
確かに、大国主命がこれほど多くの女性に慕われるというのは、彼が単に強かっただけでなく、包容力のある魅力的な神様だった証拠なのかもしれませんね!
大国主命と正妻スセリビメの、ちょっとクスッとするような夫婦喧嘩のエピソードについても詳しくお話ししましょうか?
ヌナカワヒメと翡翠(ヒスイ):宝石を統べる女神
ヌナカワヒメは、単なる伝説のお姫様ではなく、世界最古のヒスイ文化を象徴するまさしく特別な存在ですね!
そもそも、新潟県糸魚川市の名物・ヒスイとは?
ちなみにヒスイ(翡翠)とは、緑色がとても美しい宝石のことをいいます。
英語で言うとJadeであり、ロックバンド・X JAPANの曲名にもなっていますね。
もちろん、ヒスイはただ美しいだけでなく、古くから「魔除け」のアイテムとしても使われてきました。
「翡翠」は「カワセミ」とも読む 500系新幹線の形のルーツにも
また、余談ですが翡翠は「カワセミ」と読むこともできます。
カワセミは全く音を立てずに(獲物に気づかれずに)水に飛び込むことができるという、非常に鋭い体をしています。
そのため、カワセミのくちばしは500系新幹線のモデルにもなっています。
ヒスイの霊力を持った、ヌナカワヒメ
ちょっと話が横に逸れましたが、本題に戻りましょう。
古くから、ヌナカワヒメは糸魚川で採れてきた神秘的な緑の石であるヒスイを支配する霊力を持っている女神であると信じられてきたのでした。
霊力:人間の知恵では計り知れないような、不思議で神聖な力のことを指します。
したがって、新潟県糸魚川市における彼女にまつわる神話と、この土地の特産品であるヒスイは、まさに切っても切れない深い絆で結ばれているというわけです。
さらには、ヌナカワヒメはヒスイを加工する技術を持っていた一族の長、あるいはその象徴だったという説があります。
ヌナカワヒメの名前の由来
また、彼女の名の「ヌ」は、古い言葉では「玉(宝石)」を意味し、「ナカワ」は「川」を指しているという解釈が一般的です。
すなわち、ヌナカワヒメというお名前自体が「宝石が採れる川の女神」という意味を持っているのですね!
翡翠が持つ強大なパワー「魔除け」
彼女が身につけていたとされるヒスイの首飾り(つまり勾玉)には、災いを払い、なんと命をも再生させるという強大なエネルギーが宿っていたと伝えられています。
勾玉:牙あるいは「し」の字のような形をした、古代の装身具(アクセサリー)です。
特に、ヒスイで作られたものは非常に高い価値がありました。
ヒスイのすさまじいパワーが示したもの
そのため、大国主命がはるか西の遠い出雲からわざわざ求婚に訪れたのも、
- 決して彼女の美貌だけでなく、
- このヒスイが持つ、絶大な権力を手に入れるためだった
という、ロマンチックな考察もあります。
このような、ヒスイという糸魚川の美しい緑色の石に対して、古代の人々がヌナカワヒメという女神の姿を重ね合わせたというのは、とっても素敵な感性だと思いませんか?
ヌナカワヒメとタケミナカタ神
タケミナカタは長野県の諏訪湖の神様という風に言われていますが、そのお母さんは今回メインで解説しているヌナカワヒメになります。
つまり、タケミナカタは大国主命との間で生まれた子であり、とても強い神様が続くように言われています。
天照大御神と大国主命は天下を巡って争いましたが、負けてしまいました(大国主命の国譲り)。
そのため、国を天照大神に譲って、自分自身は糸魚川の川である姫川を登って、すなわち現在の大糸線に該当するルートを通って、長野県の諏訪湖にたどり着いたというわけです。
諏訪湖の戦いに敗れ、現在は諏訪神社に祀られるタケミナカタ
天照大神と大国主命はそこまでガチガチの争いだったわけではないわけですが、タケミナカタは諦めなかったのでした。しかしながら、タケミナカタは天照大神の部下の神様であるタケミカヅチとの(諏訪湖での)戦いにおいて負けてしまい、現在は諏訪湖の神様として諏訪神社に祀られています。
そして、これらの一連の エピソードは古事記に詳しく記載されている物語になります。
全国の諏訪大社の神様は、ヌナカワヒメの息子・タケミナカタ
現代でも日本各地に存在する諏訪神社に祀られている神様は、今回解説したヌナカワヒメと大国主命との間に生まれた息子であるタケミナカタだということになります。
彼は諏訪湖での戦いに破れはしたものの、天界最強の神様として多くの 神々から恐れられたタケミカヅチに挑んで行った勇敢な神様として、武田信玄をはじめ多くの武将から崇められてきました。
おわりに・まとめ
いかがだったでしょうか。
全国の諏訪大社の神様が、糸魚川のヒスイの女神であるヌナカワヒメの息子・タケミナカタであったことは、また驚きだと思います。
また、大国主命が出雲の非常に有力な神様であったこともあって、遠く離れたこの新潟(越後)の地域でヌナカワヒメと言った女神にも受け入れられたことはとても興味深い話でしたね。
今後、鉄道などで糸魚川に立ち寄られた際には、こうしたヌナカワヒメにまつわるエピソードも思い出してもらえると、現地での観光や探訪がより楽しく充実したものになることと思います!
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