中央線鉄道唱歌 第14番 大月に到着!富士急行線に乗り換え、富士山と河口湖方面へ

中央線鉄道唱歌の歌詞を、わかりやすく解説してゆきます!
大月・富士急行の地理・歴史などを、やさしく解説してゆきます!

↓まずは原文から!

大月驛おおつきえきに下り立ちて
南へ馬車ばしゃ便べんを借り
富士ふじ高嶺たかねの雲分けて
千古せんこの雪を踏みや見む

さらに読みやすく!

大月駅おおつきえきに 下り立ちて
南へ馬車ばしゃの 便べんを借り
富士ふじ高嶺たかねの 雲分けて
千古せんこの雪を 踏みや見ん

さあ、歌ってみよう!

♪おおつきえーきに おりたちてー
♪みなみへばしゃの べんをかりー
♪ふーじのたかねの くもわけてー
♪せんこのゆきをー ふみやみんー
(中央東線)
高尾駅→相模湖駅→上野原駅→四方津駅→鳥沢駅→猿橋駅→大月駅→初狩駅→笹子駅→(笹子トンネル)→甲斐大和駅→塩山駅→山梨市駅→石和温泉駅→酒折駅→甲府駅

(富士急行・大月線)
大月駅→都留市駅→都留文科大学前駅→富士山駅→富士急ハイランド駅→河口湖駅

※鉄道唱歌に関連する主要駅のみ表記

甲州街道の重要宿場町・大月に到着

桂川かつらがわに沿って、前回解説した

  • 猿橋駅さるはしえき(山梨県大月市)

を過ぎると、列車はやがて、

  • 大月駅おおつきえき(山梨県大月市)

に到着します。

大月駅(山梨県大月市)

大月駅(山梨県大月市)

甲州街道の宿場町・大月宿/花咲宿

山梨県大月市おおつきしには、かつて

  • 大月宿おおつきしゅく花咲宿はなさきしゅく

という、甲州街道こうしゅうかいどうの宿場町がありました。

甲州街道・大月宿(山梨県大月市)

甲州街道・大月宿(山梨県大月市)

そもそも「甲州街道」とは?

甲州街道こうしゅうかいどうとは、

  • 江戸を出発して西へ進み、
  • 甲斐国かいのくに(現代の山梨県)を通り、
  • 長野県の諏訪湖すわこ下諏訪宿しもすわしゅくで、中山道なかせんどうと合流する

という、江戸時代に整備された、徒歩または馬で旅人たちが移動するための道です。

甲州街道は、現代のような中央線中央自動車道などのような「綺麗な道路」とは異なり、

  • 泥濘ぬかるんだ道
  • 険しい峠道で遭難するリスク
  • 山賊に襲われたりするリスク

もあり、それは危険なものでした。

大月市にはこの甲州街道の宿場町・大月宿花咲宿の跡地のほか、前回紹介した猿橋さるはしや、次回紹介する岩殿山いわどのやまという山が観光名所として知られます。

富士登山の拠点の一つ・大月市 

かつては、大月駅から南の富士山まで「馬車」が出ていた

歌詞によれば、

大月駅で降りて馬車の便を借り、富士山方面へ向かおう

というような描写になっています。

恐らく、当時は大月駅からは馬車で富士山観光(河口湖など、富士山が綺麗な湖)に向かっていったのでしょう。

現代では、大月駅からは富士急行線ふじきゅうこうせんで向かうことができます。

コスト高と列車性能の向上により、馬車は廃止

しかし、明治時代に鉄道が開通して、東京~大月までのアクセスが向上するようになると、そこからさらに”富士山へ向かいたい観光客“の需要が急増することになります。

すると次第に、馬車ではその輸送力が追いつかなくなります。
そもそも馬車ではスピードが出ませんし、他にも

  • 馬の健康状態を常に管理したりするための労力・コスト
  • 馬が線路・道路内に吐き出す、糞尿などの処理するための労力・コスト

などの要因により、常にコストや労力がかかっていたといいます。

そうした背景の中で出来たのが、現在の富士急行線です。

富士急行線からの富士山の眺め(山梨県)

富士急行線からの富士山の眺め(山梨県)

富士河口湖へ 太宰治「富嶽百景」の気分を味わおう

また、山梨県富士山といえば、太宰治だざいおさむが戦前の1930年代に書いた「富嶽百景ふがくひゃっけい」という小説が印象的です。

1938年秋、甲州・御坂峠でのエピソードを書いた小説

この小説「富嶽百景ふがくひゃっけい」は、太宰治が1938年(昭和13年)の秋に、山梨県の富士山がよく見える、

  • 標高約1,300mの御坂峠みさかとうげという峠に現在も存在する、天下茶屋てんかぢゃやという茶店

において、井伏鱒二いぶせますじという先輩小説家のもとでお世話になり、また仕事(小説の執筆)のために、数ヶ月間滞在したときに書いたエピソードを小説にしたものです。

何度も執筆の場所を変えていた、太宰治

太宰治は、生まれつきデリケートで精神的に弱く、リラックスして小説を書くのに集中するためだったのか、何度も執筆の場所を変えています。

その例として、

などが挙げられます。

特に伊豆半島周辺における、とても景色のよい風光明媚な場所が彼には好まれたようです。

この「富嶽百景」で訪れた山梨県の御坂峠みさかとうげも、恐らく小説の執筆に集中するために、それこそ現代の我々が「勉強」「研修」などに集中する目的で行う「合宿」をするのと似たようなイメージでやって来たのでしょう。

ちなみに小説では、「思ひをあらたにする覚悟で」やってきたと書かれています。

また太宰治は、高校時代から先輩小説家にあたる、

  • 井伏鱒二いぶせますじ
  • 芥川龍之介あくたがわりゅうのすけ

の大ファンであり、尊敬する(当時御坂峠の「天下茶屋」で仕事・執筆活動をしていた)井伏鱒二にお世話になるため、山梨県の御坂峠を訪れたものと思われます。

小説における、太宰治の富士山への評価の変化が面白い

この小説では、太宰治の富士山への評価の変化が、とてもおもしろく書かれています。

太宰治は、元々は富士山が大っ嫌いでした。

普通、富士山を嫌いな人なんていないと思うのですが、なぜ太宰治があえて富士山を大嫌いだったのいうと、彼はいわゆる

  • 「通俗的なもの」
  • 「世俗的なもの」
  • 「型にハマったもの」
  • 「教科書的なもの」

などが大嫌いだったからです。
つまり、「いかにも絵に描いたような富士山」を嫌っていたわけです。

みんなが「わー、凄い!」と言っているものを、自分もそれに合わせて「わー凄い!」というのが、とても嫌だったわけですね。

筆者
筆者

私も、なかなか型にハマったりするのが苦手だから、太宰治さんの気持ちがわからなくもないよ・・・!

しかし、山で暮らして色んな人と関わっていくうちに、太宰治の心境の変化が小説の中で、巧妙に描かれています。

むしろ最後の方では、富士山のことをかなり好印象で捉えている描写が存在しています。

マイナスの評価の例:(主に前半

  • 低いすそのひろがつてる割に、低い
    あれくらゐの裾を持つてゐる山ならば、少くとも、もう一・五倍、高くなければいけない
  • 東京の、アパートの窓から見る富士は、くるしい。
  • 風呂屋のペンキ画だ
    芝居の書割かきわり
    どうにも註文ちゅうもんどほりの景色で、私は、恥づかしくてならなかつた

プラスの評価の例:(主に後半

  • まつしろい睡蓮すいれんの花に似てゐた。
  • 月のる夜は富士が青白く、水の精みたいな姿で立つてゐる。
  • 富士山、さやうなら、お世話になりました。
    パチリ。

ー太宰治の小説「富嶽百景」より(1938年)

そして、「富嶽百景」は現代でも学校の国語の授業でも取り上げられるため、こうした太宰治の「富士山へのイメージ」は、よく宿題・読書感想文・テストでも課題にされるようです。

最初こそ、太宰治は小説の中で、富士山のことをけなしてしてばっかりだったのでした。
しかし、彼は生まれつき神経が弱かったことと、また少し卑屈だったこともあるため、まあここら辺は大目に見てあげましょう(^^;)

そして、最後の方には富士山のことを褒める・感謝の気持ちもたくさん出てきています。

ここが、この小説「富嶽百景」の面白いところです。

有名なセリフ「富士には、月見草がよく似合う」とは?

富士には 月見草が よく似合う

これは「富嶽百景」の小説の中で登場する、太宰治の有名なセリフの一つです。

これは、

  1. 富士山とずっと向かい合っている月見草のことを、
  2. とても強い金剛力士像こんごうりきしぞうにもたとえて、
  3. また、富士山と真正面から堂々と向き合う自分の姿にも重ね合わせて、
  4. このような台詞を述べた

というわけですね。

河口湖(富士河口湖町)からの、富士山の眺め

河口湖と富士山(山梨県南都留郡富士河口湖町)

河口湖と富士山(山梨県南都留郡富士河口湖町)

河口湖かわぐちこ(山梨県南都留郡富士河口湖町)からの、富士山の長めは壮観です!
素晴らしい富士山が眺められるため、外国人観光客からも人気であり、たくさんの外国人が訪れます。

また、太宰治の「富嶽百景」のシーンを思い浮かべながら、観光・滞在するのもよいでしょう。

是非一度訪れる価値があります。

次回は、大月市の名所「岩殿山」の話題

次は、大月市の名所である「岩殿山いわどのやま」の話題となります!

ちゅうい!おわりに

この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。
そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
もし内容の誤りに気付かれた方は、「お前は全然知識ないだろ!勉強不足だ!」みたいなマウントを取るような書き方ではなく、「~の部分が誤っているので、正しくは~ですよ」と優しい口調で誤りをコメント欄などでご指摘頂ければ嬉しく思います。
再度こちらでも勉強し直し、また調べ直し、内容を修正致します。
何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

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