鉄道唱歌 関西編 第53番 紀伊半島へ少し寄り道 みかんの有田市、「安珍清姫」の道成寺

まずは原文から!

密柑(みかん)のいづる有田村(ありたむら)
鐘(かね)の名ひゞく道成寺(どうじょうじ)
紀州名所(きしゅうめいしょ)は多けれど
道の遠きを如何(いか)にせん

さらに読みやすく!

密柑(みかん)のいづる有田村(ありたむら)
鐘(かね)の名ひびく道成寺(どうじょうじ)
紀州名所(きしゅうめいしょ)は多けれど
道の遠きを如何(いか)にせん

さあ、歌ってみよう!

♪みかんのいーずる ありたむらー
♪かねのなひびくー どうじょうじ
♪きしゅうめいしょは おおけれどー
♪みちのとおきをー いかにせんー

(紀勢本線)
和歌山駅→海南駅→箕島駅→御坊駅→紀伊田辺駅→白浜駅→周参見駅→串本駅

※鉄道唱歌と関連する駅と、特急「くろしお」が止まる駅などを抜粋して記載

※正式名称は「鉄道唱歌 関西・参宮・南海編」です。記事タイトルの便宜上、このようなタイトル(関西編)とさせていただいております。ご了承ください。

ここからは、和歌山からさらに南、紀州名所への寄り道になります。
紀伊半島への「寄り道」となるわけですが、鉄道唱歌ができた明治時代の当時はまだ紀伊半島の鉄道、すなわち現代でいう紀勢本線(きせいほんせん)はまだ全通していませんでした。
歌詞にあるように
道の遠きをいかにせん(道が遠いのをどうしようか)」
といったところだったようです。
当時としては徒歩または馬車・人力車などに頼るしかなかったでしょうから、文字通り「道が遠くてどうしようか」といった具合だったのです。

紀勢本線(きせいほんせん)が紀伊半島一周グルッと完全開通したのは、鉄道の歴史としてはかなり遅い方の1950年代(1959年)になります。
また紀勢本線は最初からすべてが一度に開通したわけではなく、明治時代に「三重県側から(時計回りに)」「和歌山側から(反時計回りに)」という具合に部分的に建設されていったのです。
部分的に紀伊半島西側だけ建設していった「紀勢西線」の御坊駅(ごぼうえき、和歌山県御坊市)の開通は1929年、道成寺駅(どうみょうじえき、和歌山県御坊市)の開業は1930年です。

つまり、明治時代の鉄道唱歌の当時(西暦1900年)には、紀伊半島の鉄道の開通は少なくとも30年後という、まだまだ後のことという話でした。
だから今回の鉄道唱歌の旅では、恐らく紀州名所の探訪には行けなかったということになります。

なので今回は、現在の紀勢本線(きせいほんせん)で青春18きっぷや特急「くろしお」などに乗るという前提で話を進めてゆきます。

和歌山駅をさらに南下すると、紀三井寺(きみいでら)や名草山(なくさやま)の横を通って海南駅(かいなんえき、和歌山県海南市)や加茂郷駅(かもごうえき、和歌山県海南市)などを通り、歌詞にある「有田村(ありだむら)」に該当する箕島駅(みのしまえき、和歌山県有田市箕島)に着きます。

箕島駅(みのしまえき、和歌山県有田市箕島)は、和歌山県有田市(ありだし)の駅です。
「ありたし」ではなく「ありだし」です。
(ただし歌詞原文では「あり”た”むら」となっています)
有田市は歌詞にもある通り、「有田みかん(ありだみかん)」で有名です。

紀勢本線の車窓に広がる景色

和歌山県は2023年現在、みかんの生産量が日本一です。
かつては愛媛県が日本一だったのですが、愛媛県は残念ながら2004年を境に、和歌山県に抜かれてしまいました。
原因としては、みかん畑の農家の後継者不足が一番に挙げられます。
また愛媛県やみかん畑に限らず、現代では全国的に多くの農村が少子高齢化の影響で、農家の後継者不足に悩まされています。
また安い外国産の輸入などで国内の農業が圧迫されると儲からないので、農家の子はみな都市部に進学・就職してしまうことも日本各地の農業が廃れる原因となっています。

これは「漁業」にも同じことがいえ、廃れた漁村などでは持ち主不明の漁船(レジャー用の船も含む)などが散乱・放置されていたりもします。これにより景観を損なったり、津波のときに背後の町や集落などに(船が)流出するなどのリスクがあります。
しかし処分するとお金がかかるし、そもそも誰も住んでいないような漁村ならどうせ観光客も来ないだろうし、放置していても誰も困らないや、等の要因からこのような状況が生まれているわけです。
日本の(超がつく)少子高齢化の影響はこういった所にも現れており、それだけ深刻ともいえます。

話が少しズレましたが、「みかん」の話題に戻ります。

一方、和歌山は関西(京阪神)に近く、マーケットも大きく売れやすい(輸送コストがかからず、みかんを買ってくれる人口も多い)ので、その点は愛媛よりは有利だということでしょう。
一度は進学・就職で大阪に出て行った農家の子どもも、和歌山ならUターンで帰ってきやすい(後を継ぎやすい)というメリットもあるでしょう。
一方、愛媛県だと、例えば農家の子どもが進学・就職で福岡・広島・大阪などの大都市部に出ても、海(瀬戸内海)を一つ挟んでいるため、交通の便の関係でなかなかUターンしにくい可能性があり、その点は和歌山県に比べて愛媛県は後継者選任の点で不利かもしれません。

みかんは、やはり「南国の温かくて斜面が多く、しっかりしている山」によく出来、育ちます。
斜面のしっかりした山であれば太陽の光が当たりやすいですから、おいしいみかんを育てやすいのです。

日本のヘヴィメタルバンド・SEX MACHINEGUNSの「みかんのうた」は最強です。サビが「みかんみかんみかん!」と叫ぶだけの驚くべき曲であり、リーダーのAnchang(あんちゃん)が愛媛県出身なので、曲は愛媛のみかんをゴリ押しする内容の歌詞になっています。
歌詞にあるように、みかんは皮を捨てずに、風呂に入れて暖まればポカポカ暖かく、また血行もより促されるという効能があります。

また、愛媛県では「水道の蛇口(じゃくち)を捻(ひね)れば『ポンジュース』が出る」という都市伝説もありますが、もちろん(さすがに)そんなことはありません。
しかし、観光客向けに「本当にポンジュースが出る蛇口」が、松山空港をはじめとする観光地にあります。

また静岡県もみかんの生産は盛んで、全国第3位となっています。しかも1968年に愛媛県に抜かれるまでは全国1位だったそうです。
特に静岡県沼津市(ぬまづし)の駿河湾の海沿いに面した、内浦(うちうら)・西浦(にしうら)地区の山々を覆うみかん畑は美しい景観を誇ります。
同市を舞台にしたアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」でも西浦・内浦のみかんは頻繁に登場します。

有田市箕島駅(みのしまえき)を出ると、さらに南下し、御坊駅(ごぼうえき、和歌山県御坊市)に着きます。

御坊駅(和歌山県御坊市)

和歌山県御坊市(こぼうし)には、道成寺(どうじょうじ)という、安珍清姫(あんちんきよひめ)の物語にゆかりのあるお寺があります。

安珍清姫(あんちんきよひめ)の物語とは、安珍(あんちん)というお坊さんと、清姫(きよひめ)という娘がかけおちをして、恋に結ばれるという筋書きです。
しかし安珍は清姫を振ってしまうため、清姫が安珍に怒りと恨みのあまり復讐して自らも自殺してしまうという、悲劇のバッドエンドになるという物語です。

現代でも、婚活女性が自分をふった元カレに恨みを持ち、ネットに書き殴るケースが相次いでいたりします。
元カレとはいずれ専業主婦にならせてもらう前提で20代を付き合ってきたのに、30手前で彼氏に裏切られる形で振られてしまい、焦って結婚相談所に登録して婚活スタートというのが、現代婚活女性の王道パターンになっています。
今の時代、専業主婦をさせてくれる男性は本当にごく一握りですし、男性の平均年収が低下しておりそもそも多くの男性にとっては結婚のメリットがほぼ皆無の時代になっていますから、女性も30過ぎても自分で稼げるだけの「手に職」を付けなければなりません。

和歌山から本州最南端の串本駅(くしもとえき、和歌山県東牟婁郡串本町)および潮岬(しおのみさき)までの道のりは、「特急くろしお」が便利です。
というか、紀伊半島は思ったよりメッチャクチャ広く(日本で一番大きな半島です。北海道の渡島半島(おしまはんとう)や、千葉県の房総半島(ぼうそうはんとう)よりも大きい)、また普通列車の本数も限られているため、普通列車のみでの移動はあまり現実的ではありません。どうしても「普通列車のみの移動」に拘るなら別途ホテル・旅館などの予約が必要になるでしょうし、「日帰り」に拘るなら「行きは青春18きっぷ使用で、帰りは乗車券+特急料金を支払って帰る」など、別の予算枠(6,000円~15,000円くらいは余分に持っていく)が必要になるでしょう。
ホテル代か、特急料金か。どちらかを取る必要性に迫られそうです。

私も学生時代はこの料金のネックに悩まされ、なかなか紀伊半島の旅には行きたくても行きづらかった思い出があります。
まさに、「道の遠きをいかにせん」ですね(^^;)

紀勢本線からの車窓(和歌山県)

特急「くろしお」に乗っていると、途中、白浜駅(しらはまえき、和歌山県西牟婁郡白浜町)に着きます。白浜は「アドベンチャーワールド」や「パンダ」が人気です。
「白浜のお湯」は、ドリフターズの「いい湯だな」という曲にも歌われています。

また本州最南端の駅である串本駅(くしもとえき)では、先述の通り、本州最南端の地である潮岬(しおのみさき)があります。

紀伊半島の旅はまだまだ語りたいことが沢山あるのですが、今回はメインでないので、また別の機会に語ろうと思います!

次は、和歌山城の話題となります!

注意
この記事は、「小学生の頃の私(筆者)に教える」というイメージで書いており、難しい表現や専門用語などは極力使用を避けて、噛み砕いて記述・説明することに努めております。そのため、内容については正確でない表現や、誤った内容になっている可能性があります。
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