鉄道唱歌 関西・参宮・南海編の歌詞(有田・御坊・道成寺・紀州名所など)について、鉄道に詳しくない方にもわかりやすく解説しています!
↓まずは原文から!
鐘の名ひゞく道成寺
紀州名所は多けれど
道の遠きを如何にせん
さらに読みやすく!
鐘の名ひびく 道成寺
紀州名所は 多けれど
道の遠きを 如何にせん
さあ、歌ってみよう!
♪かねのなひびくー どうじょうじ
♪きしゅうめいしょは おおけれどー
♪みちのとおきをー いかにせんー
和歌山駅→海南駅→箕島駅→御坊駅→紀伊田辺駅→白浜駅→周参見駅→串本駅
※鉄道唱歌と関連する駅と、特急「くろしお」が止まる駅などを抜粋して記載
今回は、紀伊半島に少しだけ寄り道
ここからは、和歌山からさらに南、紀州名所への寄り道になります。
紀伊半島への「寄り道」となるわけですが、鉄道唱歌ができた明治時代の当時はまだ紀伊半島の鉄道、すなわち現代でいう紀勢本線(きせいほんせん)はまだ全通していませんでした。
歌詞にあるように
といったところだったようです。
当時としては徒歩または馬車・人力車などに頼るしかなかったでしょうから、文字通り「道が遠くてどうしようか」といった具合だったのです。
鉄道の歴史としては少し新しい、紀勢本線
紀勢本線(きせいほんせん)が紀伊半島一周グルッと完全開通したのは、鉄道の歴史としてはかなり遅い方の1950年代(1959年)になります。
また、紀勢本線は最初からすべてが一度に開通したわけではなく、明治時代に
- 「三重県側から(時計回りに)」
- 「和歌山側から(反時計回りに)」
という具合に、部分的に建設されていったのです。
このように、部分的に紀伊半島西側だけ建設していった「紀勢西線」のうち、
- 御坊駅(ごぼうえき、和歌山県御坊市)の開業は、1929年
- 道成寺駅(どうみょうじえき、和歌山県御坊市)の開業は、1930年
になります。
つまり、明治時代の鉄道唱歌の当時(西暦1900年)には、紀伊半島の鉄道の開通は少なくとも30年後という、まだまだ後のことという話でした。
だから今回の鉄道唱歌の旅では、恐らく紀州名所の探訪には行けなかった、ということになります。
なので今回は、現在の紀勢本線(きせいほんせん)で青春18きっぷや特急「くろしお」などに乗るという前提で話を進めてゆきます。

紀勢本線の海の景色
みかんの名産地・有田市
和歌山駅をさらに南下すると、
- 紀三井寺(きみいでら)
- 名草山(なくさやま)
の横を通って
- 海南駅(かいなんえき、和歌山県海南市)
- 加茂郷駅(かもごうえき、和歌山県海南市)
などの駅を過ぎ行き、歌詞にある「有田村(ありだむら)」に該当する
- 箕島駅(みのしまえき、和歌山県有田市箕島)
に着きます。

紀勢本線の車窓に広がる景色(和歌山県)
有田市のメインの駅・箕島駅
箕島駅(みのしまえき、和歌山県有田市箕島)は、和歌山県有田市(ありだし)の駅です。
「ありたし」ではなく「ありだし」です。
(ただし歌詞原文では、「あり”た”むら」となっています。)
有田市は歌詞にもある通り、「有田みかん(ありだみかん)」で有名です。
みかんの生産量日本一・和歌山県
和歌山県は2023年現在、みかんの生産量が日本一です。
かつては愛媛県がみかんの生産量第1位だった
みかんの生産量は、かつては愛媛県が日本一でした。
しかし、愛媛県は残念ながら2004年を境に、和歌山県に抜かれてしまいました。
みかん農業の「後継者不足」
原因としては、みかん畑の農家の後継者不足が一番に挙げられます。
もちろん、愛媛県やみかん畑に限らず、現代では全国的に多くの農村が、少子高齢化の影響で、農家の後継者不足に悩まされています。
若い人たちも、農家のあとを継ぎにくい
また、安い外国産の輸入などにより、国内の農業が圧迫されてしまうと、儲からないようになってきます。
そのため、農家の子はみな都市部に進学・就職してしまうということも、日本各地の農業が廃れる原因となっています。
漁業でも「人手不足」「衰退」が深刻
これは「漁業」にも同じことがいえ、廃れた漁村などでは持ち主不明の漁船(レジャー用の船も含む)などが散乱・放置されていたりもします。
これにより、
- 景観を損なったりする
- 津波のときに、背後の町や集落などに対して、(船ごと)流れ込んできてしまう
などのリスクがあります。
「いやいや、なぜ処分・撤去しないんだよ!」と思うかもしれませんが、
- 処分すると、そもそも撤去・解体費用などでとにかくお金がかかる
- そもそも、誰も住んでいないような漁村なら、どうせ観光客も来ないだろう
- だったら、放置していても誰も困らないし、別にいいや
・・・等の要因から、このような状況が生まれてしまっているわけです。
日本の(超がつく)少子高齢化の影響はこういったところにも現れており、それだけ深刻ともいえます。
話が少しズレましたが、「みかん」の話題に戻ります。
農家の後をついでくれるには、若者がUターンしてくるほうが望ましい
一方、和歌山は関西(京阪神)に近く、マーケットも大きく売れやすい(輸送コストがかからず、みかんを買ってくれる人口も多い)といえます。
そのため、和歌山の場合はその点においては愛媛よりは有利だということでしょう。
たとえ一度は進学・就職で大阪に出て行った農家の子も、和歌山でならばUターンで帰ってきやすい(後を継ぎやすい)というメリットもあるでしょう。
Uターンが難しいと、若者が農家を継ぎにくい
一方、愛媛県だと、例えば農家の子が進学・就職で福岡・広島・大阪などの大都市部に出ると、海(瀬戸内海)を一つ挟んでいるため、これが交通の障壁となり、地元へと帰ってきにくい場合が考えられます。
そのため、交通の便の関係でなかなかUターンしにくい可能性があります。
そうなってくると、どうしても和歌山県に比べて、愛媛県は後継者選任の点で不利になってしまうかもしれません。
暖かい場所と「山の斜面」で育ちやすい「みかん」
みかんは、やはり「南国の温かくて斜面が多く、しっかりしている山」によく出来、育ちます。
斜面のしっかりした山であれば太陽の光が当たりやすいですから、おいしいみかんを育てやすいのです。
日本第2位・愛媛県のみかん
愛媛県は、先述の通り日本第2位のみかんの生産量を誇ります。
先述の通り、農家の後継者不足などが原因で、トップの和歌山県に抜かれてしまいましたが、それでも「愛媛のみかん」の知名度やブランド力は、いまだに衰えることはないでしょう。
今でもやはり「みかんといえば愛媛県」という方も多いのではないでしょうか。
最強の曲・SEX MACHINEGUNS「みかんのうた」
日本のヘヴィメタルバンド・SEX MACHINEGUNSの「みかんのうた」は最強です。
サビが「みかんみかんみかん!」と叫ぶだけの驚くべき曲であり、リーダーのAnchang(あんちゃん)が愛媛県出身であるため、曲は愛媛のみかんをゴリ押しする内容の歌詞になっています。
「みかんのうた」の歌詞にあるように、みかんは皮を捨てずに、風呂に入れて暖まればポカポカ暖かく、また血行もより促されるという、とても素晴らしい効能があります。
愛媛県では「蛇口」からポンジュースが出てくる?
また、愛媛県では「水道の蛇口(じゃくち)を捻(ひね)れば『ポンジュース』が出る」という都市伝説もありますが、もちろん(さすがに)そんなことはありません。
しかし、観光客向けに「本当にポンジュースが出る蛇口」が、松山空港をはじめとする観光地にあります。
みかんの生産量第3位・静岡県
また静岡県もみかんの生産は盛んで、全国第3位となっています。
しかも1968年に愛媛県に抜かれるまでは全国1位だったそうです。
特に静岡県沼津市(ぬまづし)の駿河湾の海沿いに面した、内浦(うちうら)・西浦(にしうら)地区の山々を覆うみかん畑は美しい景観を誇ります。
同市を舞台にしたアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」でも西浦・内浦のみかんは頻繁に登場します。
詳しくは、以下の記事でも解説していますので、ご覧ください。
御坊駅(御坊市)に到着 安珍清姫にゆかりある道成寺
有田市・箕島駅(みのしまえき)を出ると、さらに南下し、御坊駅(ごぼうえき、和歌山県御坊市)に着きます。

御坊駅(和歌山県御坊市)
和歌山県御坊市には、道成寺という、安珍清姫の物語にゆかりのあるお寺があります。
安珍清姫の物語とは?
安珍清姫(あんちんきよひめ)の物語とは、
- 安珍(あんちん)というお坊さん
- 清姫(きよひめ)という娘
とが「かけおち」をして、恋に結ばれるという筋書きです。
しかし安珍は清姫を振ってしまうため、清姫が安珍に対して怒りと恨みのあまり、復讐して彼女自身も自○してしまうという、悲劇のバッドエンドになるという物語です。
ネット上での、婚約破棄を突きつけてきた元カレへの恨み節は酷い・・・
現代でも、婚活女性が自分をふった元カレに恨みを持ち、ネットに書き殴るというケースが相次いでいたりします。
例えば、
- 元カレとはいずれ専業主婦にならせてもらう前提で20代を付き合ってきた
- しかし、30手前で彼氏に裏切られる形で振られてしまう
- 焦って結婚相談所やマッチングアプリなどに登録して、婚活スタート
というのが、現代婚活女性の王道パターンになっています。
今の時代、「専業主婦」の需要は限りなく0に近い
今の時代、専業主婦をさせてくれる男性は本当にごく一握りです。
また、男性の平均年収が低下しており、そもそも多くの男性にとっては結婚のメリットがほぼ皆無の時代になっています。
そのため、女性も30過ぎても自分で稼げるだけの「手に職」を付けなければならないわけです。
紀勢本線をもっと南へ進む 本州最南端の駅・串本駅へ

紀勢本線の車窓より
和歌山駅から、本州最南端の
- 串本駅(くしもとえき、和歌山県東牟婁郡串本町)
- 潮岬(しおのみさき)
までの道のりは、「特急くろしお」が便利です。
日本一広い半島「紀伊半島」
というか、紀伊半島は思ったよりメッチャクチャ広く、日本で一番大きな半島です。
例えば、
- 北海道の渡島半島(おしまはんとう)
- 千葉県の房総半島(ぼうそうはんとう
よりも大きい)、また普通列車の本数も限られているため、普通列車のみでの移動はあまり現実的ではありません。
普通列車だけでは厳しい!「ホテル代」か「特急料金」のいずれかは必要
どうしても「普通列車のみの移動」に拘るなら、別途ホテル・旅館などの予約が必要になるでしょう。
また、「日帰り」に拘るなら
- 「行き」は、青春18きっぷ使用
- 「帰り」は、乗車券+特急料金を支払って帰る
など、別の予算枠(6,000円~15,000円くらいは余分に持っていく)が必要になるでしょう。
ホテル代か、特急料金か。
どちらかを取る必要性に迫られそうです。
「道の遠きをいかにせん」紀伊半島の旅は、それなりの準備を
かくいう私も、学生時代はこの料金のネックに悩まされ、なかなか紀伊半島の旅には行きたくても行きづらかった思い出があります。
まさに、「道の遠きをいかにせん」ですね(^^;)
白浜駅
特急「くろしお」に乗っていると途中、
- 白浜駅(しらはまえき、和歌山県西牟婁郡白浜町)
に着きます。
白浜は「アドベンチャーワールド」や「パンダ」が人気です。
「白浜のお湯」は、ドリフターズの「いい湯だな」という曲にも歌われています。
「いい湯だな」で歌われる各地の温泉については、以下の各記事でも解説していますので、ご覧ください。
北海道・登別温泉
群馬県(上州)の温泉
別府温泉
本州最南端の地・潮岬
また本州最南端の駅である串本駅(くしもとえき)では、先述の通り、本州最南端の地である潮岬(しおのみさき)があります。

本州最南端の地・潮岬(和歌山県)
潮岬については、以下の記事でも解説していますので、ご覧ください。
紀伊半島の旅はまだまだ語りたいことが沢山あるのですが、今回はメインでないので、また別の機会に語ろうと思います!
次は、和歌山城の話題
次は、和歌山城の話題となります!
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