【鉄道の営業係数とは】100円稼ぐのにいくらコストがかかる?ローカル線の赤字の秘密

営業係数の意味や計算方法、ローカル線存廃の議論での見方まで、鉄道経営の基礎を、わかりやすく解説してゆきます!

今回は、鉄道の営業係数について学んでいきましょう!(画像はあくまでAIによるイメージです。実際の景色ではありませんので、ご了承ください。)

今回は、鉄道の営業係数について学んでいきましょう!(画像はあくまでAIによるイメージです。実際の景色ではありませんので、ご了承ください。)

ローカル線の収支を映す鏡

営業係数とは「100円を稼ぐのに必要なコスト」です

今回は、鉄道の営業係数について学んでいきましょう!(画像はあくまでAIによるイメージです。)

今回は、鉄道の営業係数について学んでいきましょう!(画像はあくまでAIによるイメージです。)

鉄道の分野における営業係数について、例えばネット上でも「〜線の営業係数がやばい実態」など色んなところで目にする機会の多いワードですよね。

営業係数が3000って、それってやばいの?って思ってしまうかもしれません。
まあ、実際にこの3000という数字はかなりやばいわけですが。

簡単に言うと、100円稼ぐのに3000円かかっているわけなので、利益よりもコストの方が圧倒的に多い、赤字を垂れ流しまくりの路線ということが、分かる人から見ればこの営業係数3000という数字で一発で分かるわけです。

鉄道事業の健全性を測るものさし

この営業係数は、鉄道事業の健全性や各路線の経営状態を、主観的な感情などは抜きにして、あくまでも客観的に比較・分析するための重要なものさしとして、長年にわたり広く活用されてきました。

すなわち、主観的な感情を排除しているので、例えば地域住民の「この路線を愛しているから廃止しないでくれ」といった要素は考慮していないわけです。
そういう意味では、ちょっと残酷な指標ではありますね。
「人間の心」というものは、数字とか客観的な指標だけで測れるものではないですからね。

営業係数の基準となる「100」の意味

話を元に戻しますが、すなわち営業係数は、さらに具体的に言うと

「100円の運賃収入を得るために、どれくらいの費用がかかったか」

を表す数字というわけですね!

黒字と赤字を分ける境界線

例えば営業係数が6000だと、100円稼ぐのに6000円かかっています。
これは走らせれば走らせるほど、大赤字を垂れ流す路線ってことになります。
特に地方の山岳地方のローカル線では、このような大きな数字になることが結構多いわけですね。

  • 100未満:鉄道会社が黒字の状態です
  • 100:収益と費用がちょうどトントンの状態です
  • 100超:鉄道会社が赤字の状態です

逆に言えば営業係数が50だと、100円稼ぐのに50円の投資でいいわけなので、走らせれば走らせるほど儲かる路線ということになります。
これは例えば東京の山手線やまのてせんなど、利用者が非常に多い路線で実現できるような数字になります。

数字で冷徹に示される営業係数の真実

このように、営業係数を見れば、その鉄道路線の収支バランスが一目で分かります。
逆に言えば、数字で分かってしまうからこそ誰もこれには逆らえず、残酷な指標でもあるわけです。
「みんなが乗っているんだから儲かっているでしょ!」みたいな主観論や感情論が通じないわけですね。
そしてこの営業係数において、ある鉄道路線が基準となる100を下回っていれば健全な経営であり、上回るほど経営課題が大きいことを示しているわけです。

営業係数の具体的な見方

例えば、営業係数が「80」だとします。
鉄道会社が100円稼ぐのに80円しか使っていないため、20円の利益が出ることになります。
都会など人が多い路線では、このような100を下回る数字になりやすいです。

逆に、営業係数が「300」だとします。
つまり、鉄道会社が100円稼ぐのに300円も使っているので、200円の赤字になるわけです。
ちょっと地方のあまり利用者の少ない路線になると、このような300のような数字が出てきやすい傾向にあります。

数字の大きさと路線の存廃問題

この事例から分かるように、営業係数というものは数字が大きくなればなるほど、赤字の割合が深刻だということです。
すなわち、営業係数が数百に達するような路線では、単に運賃収入だけで運行コストを賄うということが極めて困難になっていきます。

そのため、この状況が各地域の自治体による(つまり税金による)公的支援や、さらには路線の存廃問題そんはいもんだいに直結する大きな議論へ発展するわけですね。

営業係数の計算方法

ここで、計算に出てくる言葉について整理してみますね。

  • 営業収入とは?:お客さんが払った運賃や特急券代など、本業の運輸サービスで得たお金のことです。つまり、自治体からの補助金や借入金(負債)などによって得られたお金は、本業の収入ではないため、ここには含まれません。
  • 営業費用とは?:電車を動かす電気代や燃料代、線路や車両の修理代、駅員さんや運転士さんの給料など、本業にかかった全コストのことです。
    つまり、維持費用がかかればかかるほどこの営業費用は大きくなるということになり、路線の見直しや廃止を議論するときの重要な目安になります。

計算式は、以下のようになります。

図式:営業係数 = 営業費用 ÷ 営業収入 × 100

すなわち、営業費用を営業収入で割って、100をかければ計算できます。

とてもシンプルな計算式ですね!

  • 黒字路線の例(都市部など):営業費用80億円 ÷ 営業収入100億円 × 100 = 営業係数80(20円の黒字)
  • 大赤字路線の例(地方ローカル線など):営業費用3,000万円 ÷ 営業収入100万円 × 100 = 営業係数3000(2,900円の大赤字)

この計算式は、鉄道会社が各路線区間の採算性を正確に把握するために用いられています。
これによって投資計画を決めたり、また維持するか廃止するかを決めたりするわけですね。

さらに、(人件費や設備の維持費など)固定費の割合が大きい鉄道事業の特性を理解する上でも、非常に役立つ基礎知識といえますね!

なぜローカル線の議論でよく使われるのか

近頃、JR北海道やJR西日本などが、路線ごとの営業係数を発表して話題になっています。
というのも、どの路線がどれくらい大変な状況なのかが、ひと目で分かるからです!

鉄道会社が厳しい経営状況を公開することによって、今後の路線のあり方や維持について、地域住民や自治体と一緒に議論を進めるきっかけを作っているわけですね。

本当に営業係数については、ニュースなどにおいて、驚くような数字を目にすることがあります。
ニュースではセンセーショナルに報道することで視聴率が上がるという側面もあり、「この路線の営業係数が大変なことになっている」と取り上げられれば、多くの人が関心を寄せるわけですね。

たとえば、赤字が深刻な路線では、営業係数が「1000」や「10000」を超えることもあります。

乗客数が極端に少なくても、線路の点検や除雪などの維持管理費は常に一定額発生するため、こうした桁違いの数値が算出されてしまうわけです。

営業係数が極端に高くなるケース

営業係数が10000の場合:100円の収入を得るために、なんと1万円の費用がかかっています!
芸備線げいびせんや、かつての北海道の留萌本線るもいほんせんなどの一部区間において、このような衝撃的な数字が記録されました。

鉄道会社が100円を集めるために1万円使っていると聞くと、思わず「えっ!」とびっくりしてしまいますね!

営業係数を見るときに知っておきたい注意点

しかしながら、営業係数だけで路線の価値のすべてが決まるわけでは決してありません。

したがって、営業係数を見る際にはいくつか知っておきたいポイントがあります。

関連事業や補助金の存在

また、営業係数には例えば国や自治体からの補助金、駅ビルや不動産といった(鉄道の本業とはあまり関係ない)関連事業による利益は、そもそも含まれていません。
逆に言えば、営業係数がたとえ悪かったとしても、国からの補助金があったり、駅ビルや不動産からの利益があってそちらから鉄道の赤字を補填できれば、会社トータルとしては会社が倒産する心配はないわけです。

多角化経営と関連事業による赤字補填の構造

そもそも鉄道会社の全体では、ただ本業の鉄道事業だけでなく、他にもホテル事業や流通事業などの関連事業によって、大きな利益を上げている場合もあります。
むしろ鉄道だけでは食べていくことができず、他の事業からも利益を集めて補填しないとやっていけない部分すらあります。

つまり、最初から鉄道だけの利益に頼るのではなく、例えば商業ビルを所有して各部屋を様々なテナント企業に貸し出すなど、その賃貸・テナント料収入で収益を得るというビジネスモデルも確立されています。

鉄道単体と会社全体の経営体力の違い

したがって、営業係数など鉄道事業単体の数字だけでは、会社全体の経営体力は見えてこないわけです。

つまり、営業係数が悪いからといって鉄道会社全体が赤字で今にも潰れそうというわけではなく、他のビジネスで成功してそちらからの利益で鉄道の赤字を負担できれば、会社トータルとしては何とか維持できるという構造も生まれるわけです。

赤字の「金額そのもの」ではない

また、たとえ営業係数がすごく高くても、利用者が極端に少なければ、赤字額の絶対値自体は小さくなります。

対して、営業係数が100台前半と低く見えても、そもそも運行本数や利用者規模といった母数が桁違いに大きい都市近郊路線では、(列車を走らせるための支出の方が上回ってしまうため)実際の赤字総額が数十億円規模に膨らんでしまうケースもあります。

数字には表れない生活インフラとしての価値

鉄道には、例えば地域の人々にとっては通学、通勤、病院へのアクセスなど、数字には表れない大切な価値があります。

特に高齢者になると、どうしても動体視力や体力、反射神経が衰えてくることもあり、自動車の運転免許を返納する人も増えてきていますよね。
そうなると、やはり頼りになるのは地域のバスや鉄道くらいになります。

また、高校生までの学生は年齢的にまだ自動車免許を取得できないため、地域のバスや鉄道という移動手段は、毎日の通学やクラブ活動などのために極めて重要なアクセス手段になります。

地域社会の生活基盤を守る公共性

そのため、例えば高齢者の通院や、学生の毎日の通学手段として、地域社会の生活基盤を守る公益的な役割は、単なる採算性や損益の数値だけでは決して推し量れないものです。

鉄道は、まさにみんなの暮らしを支える大切な移動手段ですね。
だからこそ、単に数字の比較だけでなく、地域の未来をどうしていくか、温かい目で見守っていきたいですね!

おわりに・まとめ

営業係数は、鉄道各線が抱える収支の現実を「100円を稼ぐのにかかるコスト」という分かりやすい数値で教えてくれる重要な指標です。

ローカル線などで見られる驚異的な数字の背景には、利用者の減少や維持費の大きさが深く関わっています。

しかし、数字だけでは測れない地域の足としての価値や暮らしの重要性があることも、決して忘れてはならないわけです。

効率性と公共性のバランスを考えるきっかけとして、ぜひ鉄道のニュースに注目してみてくださいね!

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