鉄道の電気に関する基本的な用語(例:直流・交流・トランス、モーター、VVVFインバーターなど)を、わかりやすく解説してゆきます!

電車のモーター(画像はあくまでAIによるイメージです。)

交流方式の変圧器(トランス)(画像はあくまでAIによるイメージです。)
鉄道電気関連用語

電車の線路(画像はあくまでAIによるイメージです。実際の景色ではありません)
今回は、鉄道に関する電気に関する用語について学んでいきましょう!
基本から学んでいけば、自ずとそこから先の電気についての理解も深まることと思います。
専門的な内容ですが、なるべく親しみやすくお伝えします!
基本的な事項(鉄道電気関連用語)
直流(DC)
直流とは、電気が、常に同じ向きに、しかも一定の強さで流れる状態のことをいいます。
Direct Current、つまりDCと略します。
直流方式で身近なものでは、乾電池やバッテリーといったものがこれに当たりますね!
直流方式では交流方式のように電圧を自由に変更できませんが、仕組みが非常にシンプルであり、導入しやすいというメリットがあります。
交流(AC)
一方、交流とは、電気の流れる向きと強さが、短い周期でそれぞれ交互に入れ替わる状態のことをいいます。
例えば、家のコンセントに届いている電気は交流方式で、変圧器(トランス)というものを用いて電圧を自由自在に変更できるため、遠くまで電気を運ぶのが得意なんですよ。

変圧器(トランス)(画像はあくまでAIによるイメージです。)
しかし、交流方式のデメリットとしてはその代わり構造が複雑で、導入にはそれなりの知識とコストが求められます。
鉄道・線路の設備関連用語
高架(こうか)
道路や線路を、地上よりも高い位置に、まるで橋のようにして(電車などを)通す構造のことをいいます。

高架の上を走る列車(画像はあくまでAIによるイメージです。)
例えば、(家の屋根などよりも)高いところを走る新幹線などは、まさしくこの高架方式の代表格ですね!
このように新幹線では、2階建ての屋根の上の高さを走ることも珍しくありません。

高架の上を走る列車(画像はあくまでAIによるイメージです。)
ちなみに、この高架方式においては、自動車の道路がその下を通る(交差する)ことができ、踏切をなくせるというメリットがあるため、渋滞を回避し、交通をスムーズにするための大切な工夫ですね!
架線(がせん)

電車の上にかかる架線(画像はあくまでAIによるイメージです。)
架線は、空中に張られた電線設備全体のことを指す言葉になります。
例えば、吊り下げられているワイヤーや、それを支えるための金具なども含めた総称のことを架線というわけですね!

電車の上にかかる架線(画像はあくまでAIによるイメージです。)
このように、架線というワードは、線路の上に張られている電線設備「全体」のことを指す言葉ということになります。
つまり、トロリ線は架線の一部に含まれるということになります。
トロリ線
(先ほどにも少し名前が出てきた)トロリ線とは、先述の架線の中でも、特に一番下に張られている電線のことをいいます。

電車の上のトロリ線(画像はあくまでAIによるイメージです。)
つまりトロリ線とは、電車の上・空中に張られている、パンタグラフと直接接触して、電車に対して直接的に電気を供給してくるための電線のことをいいます。
つまりトロリ線は、パンタグラフが直接触れて(当てて)電気をもってくるための、まさに「電気の道」というわけですね。
変電所
変電所の役割

変電所の例(画像はあくまでAIによるイメージです。)
変電所は、
- 発電所から送られてきた、(非常に高圧で)高い電圧の電気(=まともにそのまま使うと爆発事故が起こる)を、
- 電車が使いやすいレベルの電圧にまで下げたり、
- また、電車が使いやすい種類(つまり、直流か交流のいずれか)の電気に、状況に応じて変えるための施設
のことをいいます。
電圧:電気を押し出す力の強さのことをいいます。
交流方式と直流方式の変電所の違い
例えば交流方式だと、電車に搭載した変圧器(トランス)というものを用いて電圧を自身で下げたりなど変えることができます(その分、車両の重さが上がるというデメリットもあります)。
そのため、変電所の数を減らすことができます(ただし全く不要というわけではありません)。

トランス(変圧器)の例(画像はあくまでAIによるイメージです。)
一方の直流方式だと、電車が自身で電圧を安全なレベルに下げることはできないため、この変電所の数が多く必要になり、その分コストが上がってしまうというデメリットがあります。
そのため、変電所の数を多く設置しても(乗客数などが多い)エリアや地域などにおいては、車両に変圧器(トランス)を積まなくて済む(これにより車両が軽くなり、シンプルな設計で済む)直流方式が採用される傾向があります。
交流方式においては、変電所の数は少なくて済む
また、先述の交流方式においては、トランス(変圧器)によって自由に電圧を変更できるため、電気が遠くまで届きやすく、変電所の数は直流方式ほど多く必要ありません。
しかし、直流方式の場合は電圧を自由に上げ下げできないため、電気がすぐに減衰してしまい、変電所の数がより多く必要になります。
地方の路線における直流方式のコスト
例えば、都市部においては乗客の利用者数も非常に多いため、変電所をたくさん置いたとしても十分に元は取れるわけです。
しかし、地方においてこの(変電所をたくさん必要とする)直流方式を使うというのは、建設や維持のコスト面から見ても、正直コスパが悪いと言えるでしょう。
すなわち変電所というものは、鉄道の運行を支える、影の力持ちのような存在ですね!
車両の電気関連用語など
パンタグラフ

パンタグラフの例(画像はあくまでAIによるイメージです。)
パンタグラフは、電車の屋根の上に取り付けられた、先述のトロリ線から電気を取り入れてくるための装置のことをいいます。
また、パンタグラフはバネの力によって、先ほども紹介したトロリ線に対してピタッと押し当てられているような構造になっています。
そのため、たとえ電車が高速で走ったとしても、パンタグラフはトロリ線に「ずーっとくっついて簡単には離れない」という、とても巧妙で賢い仕組みになっています。
トランス(変圧器)

トランス(変圧器)の例(画像はあくまでAIによるイメージです。)
トランス(変圧器)は、交流の電気の電圧を、上げたり下げたりして調節をすることができる装置のことをいいます。
これは、直流には無い交流ならではの仕組みであり、こうしたトランス(変圧器)を用いることで自由に電圧を上げ下げできるというのは、交流方式の大きな強みです(その代わり変圧器を積む分、車両は少し重くなってしまいます)。
また、この「直流方式にはない、交流方式のメリットがある」という事案は、歴史的に有名な「エジソンとテスラの電流戦争」のテーマにもなりました。
コイル
先述のトランス(変圧器)は、このコイルというものを利用して、それぞれの様々な用途に合わせた強さの電気を作り出しています。

電気を作るのに不可欠な「コイル」(画像はあくまでAIによるイメージです。)
コイルは、銅などの線を、ぐるぐると何重にも巻き付けた部品のことをいいます。
このコイルに対して電気を流すと、まるで磁石のようになり、しかも「電気と磁気の力をそれぞれ結びつける」という、重要な役割を持っています。
- 電気を磁気に変換
- 逆に、磁気を電気に変換
コイルと電気・磁気の可逆性

コイル(画像はあくまでAIによるイメージです。)
コイルにおける電気と磁気のそれぞれのエネルギー変換は、見事なまでに可逆性を持っています。
- 電気→磁気(右ねじの法則など):
コイルに対して電気を流すと、それによってまるで磁石のような力(磁界)が発生してくれます。
この磁界こそが、まさに電車が走るときのモーターが回るときの原理であるというわけですね! - 磁気→電気(ファラデーの法則):
逆に、コイルの近くで磁石を動かすことで磁気を変化させると、電気が流れてくれるようになります。
これが、発電機が電気を作る原理ということになります!
モーター

モーターの例(画像はあくまでAIによるイメージです。)
モーターは、電気のエネルギーを、回転する力(動く力)に変える装置のことをいいます。
電車の車輪を回せるようになるための、まさに「筋肉」のようなパーツですね!
回生ブレーキ
回生ブレーキとは、
- (走っている)電車の勢いを利用してモーターを回し、
- 発電した電気を架線に戻して、電気を再利用する
という、なんともエコなブレーキ方法のことをいいます。
自転車のライトがイメージしやすいかもしれません。
例えば自転車のライトは、タイヤが回転する力を利用して内部の発電機を動かし、電気を作って点灯しています。
つまりこの回生ブレーキの仕組みは、まさに可逆性というものを利用している(電気→磁気になり、逆に磁気→電気になる)というわけです。
このように回生ブレーキは、(電気と磁気の)可逆性という性質をフル活用した、素晴らしいシステムというわけですね!
電気の理論に関係する用語
周波数

三角関数(画像はあくまでAIによるイメージです。)
周波数は、交流の電気が、1秒間にプラス(+)とマイナス(-)で入れ替わる回数のことをいいます。
周波数は「Hz(ヘルツ)」という単位で表され、これを変えることで、モーターの回転速度を操っているというわけです。
ちなみに、この周波数がそれぞれ異なる区間だと、電車はお互いに走ることができません。
例えば、日本国内では静岡県の富士川や新潟県の一部を境に、東日本が50Hz、西日本が60Hzに分かれています。
すなわち、50Hzと60Hzの異なる電源に対応していない従来の電車の車両では、そのままお互いのエリアを跨いで直通運転することができないわけです。

富士川(静岡県)。この川を境に、右(東)が50Hz、左(西)が60Hzとなる。
ちなみに、東海道新幹線も交流電化ですが、富士川の東側(50Hz地域)も含めて、(地上側の変電所で周波数を変換することで)全線を60Hzで統一して走るという、とても賢い仕組みが備わっています。
電気の法則などに関連する用語
ファラデーの法則

ファラデーの法則(画像はあくまでAIによるイメージです。)
ファラデーの法則とは、
- コイルの近くで磁石を動かすと、電気が発生する
という現象(電磁誘導)のルールのことをいいます。
電磁誘導:磁界が変化することによって、導体(コイルなど)に電流が流れる現象のことをいいます。
イギリスの科学者であるファラデーという方が、19世紀にこの発見をしたおかげで、私たち人類は発電機やモーターを作れるようになりました。

ファラデーの法則(画像はあくまでAIによるイメージです。)
導体:電気をよく通す物質(銅やアルミニウムなど)のことをいいます。
マイケル・ファラデー
マイケル・ファラデーは、19世紀のイギリスの科学者で、先ほど紹介したファラデーの法則を発見した、電気と磁気の関係を次々と解き明かした偉大な人物です。
すなわち、現代の電気社会の基礎を作った、まさに「電気の父」と呼べる人ですね!
マイケル・ファラデーは、裕福な家庭ではなく「製本見習い」として働きながら、独学で学問を修めたことで知られています。
というのも、イギリスの偉人といえば、例えばオックスフォード大学、ケンブリッジ大学、エディンバラ大学といった世界でも屈指の難関校・名門校の出身者が並ぶイメージですね。
しかしマイケル・ファラデーは大学に行くことなく、自分が勤めていた製本店での独学や実験を通じて、電気の勉強を重ねました。
このように、彼は若い頃から大量の本を読んで、たくさんの知識を深めていたわけです。
そして彼の発見がなければ、今のVVVFインバーターを使うような、現代の高度な鉄道電気技術は考えられませんでした。
マクスウェル
マクスウェルは、先述のマイケル・ファラデーが見つけた現象を、さらに数学を使って完璧な理論にまとめ上げた、これまた偉大な科学者です。
つまり彼のおかげで、電気の仕組みを数学に基づく計算によって予測し、従来よりもさらに精密に電気を設計できるようになったというわけですね。
こうして並べてみると、一人の天才の発見を次の天才が形にしていった歴史が見えて、ワクワクしますね!
右ねじの法則(みぎねじのほうそく)
ちなみに、先ほども少し出てきた右ねじの法則とは、電流を流したときに、どの方向に磁気が発生するかについてを決めるルールのことをいいます。
発見者はファラデーと誤解されやすいのですが、実はアンペールという19世紀のフランスの科学者で、「アンペア(A)」の単位の由来となった方です。
この「右ねじの法則」の発見によって、人類は磁界を適切な向きに調節(計算)をすることが可能になり、さらにはモーターを適切な向きや強さで回転させることが可能になりました。
おわりに・まとめ
今回は、鉄道の運行を陰で支える「電気」にまつわる基本的な用語や法則を分かりやすく解説しました。
直流や交流の違いをはじめ、パンタグラフや変電所、そしてモーターや回生ブレーキに至るまで、身近な電車の仕組みには科学のロマンが詰まっています。
普段何気なく乗っている電車も、こうした電気の基礎知識を知ることで、より一層興味深く感じられるはずです。
次にお出かけする際は、ぜひ線路の上や車両の設備にも注目してみてくださいね!
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